主人公が偽のアラハギーロ王国城下町に行くと、セラフィが城下町の人たちと揉めていた。
「材料さえ取ってきてくれれば薬も作れるし、この人が治るかもしれないのよ。」
デヒトという男が反論する。
「そんなこと言ってオレたちを危険な目にあわせようとしているんじゃないのか?」
サンシャという女性もデヒトに加勢する。
「その薬で治る保証がどこにあるのよ。」
「あんたの言うことなんか信じられるわけがないでしょ。」
偽のアラハギーロ王国に住む人たちは、もともと魔物だった者たち。
セラフィも魔物使いカレヴァンに使えるホイミスライムだった。
シメールという男性が寒さに震えて寝込んでいる。
サンシャは言う。
「アンタのことは信じられない。ベルムド王にさんざん、たてついて。」
「アンタのせいで王様は死んだのよ。」
主人公の姿を見つけたセラフィ。
セラフィは主人公に薬の材料を取ってきてくれと頼んだ。
主人公が薬の材料を集めてセラフィに渡すと、すぐに調合を始める。
調合した薬をシメールに飲ませると、病気はすぐに改善した。
セラフィは元気になったシメールに聞いた。
「ねぇ、シメールさん。なぜこの病気にかかったか心当たりある?」
「あいつだ、あのバッファロンを見たときからだ。」
「以前、一番最初に行われた格闘場のショーでベルムド王がズッタズタにしたあのバッファロンだ。」
「夜中にベルムドって低くうなる声がして、外に出てみたら急に襲ってきたんだ。」
「ところがそのままオレの身体を通り抜けて消えちゃって。」
「アイツに襲われた時から猛烈な寒気が襲ってきて、身体が動かなくなっちまった。」
セラフィがつぶやく。
「やっぱりこの病気は怨霊による呪いなのね。」
セラフィと主人公はそのバッファロンが人間の頃、誰だったのかを調べることにした。
セラフィは、前に格闘場の地下の檻から逃した魔物たちが知っているかもと考えた。
城下町の人々に話を聞いてみると、シカブという男性が「日除けのほら穴」で魔物たちの集団を見かけたという。
セラフィと主人公は「日除けのほら穴」へ向かった。
そこには格闘場の地下の檻から逃した魔物たちがいた。
魔物たちにバッファロンのことを聞いてみると、その中の1匹のリリパットが答えた。
このリリパットは人間の言葉を話すことが出来るようだ。
「ベルムドに最初に殺されたバッファロンなら、ゴリウス兵士長に間違いありません。」
「私はアラハギーロ兵士団の兵士長だったゴリウスの息子でタジウスと申します。」
「父は非常にプライドの高い人でしたからベルムドに見せ物にされ殺された恨みはきっと並々ならぬものだったのでしょう。」
「元はといえば父がまもの使いたちの魔物を戦地へ向かわせ、人間たちの盾にしたことから生まれた恨みだというのに。」
「セラフィさん、申し訳ありませんが私をアラハギーロまで連れて行っていただけませんか。」
「私が父を説得してみます。」
セラフィと主人公は、タジウスと一緒にアラハギーロに向かった。
アラハギーロの城下町に、またバッファロンの怨霊が現れていた。
そこにタジウスが立ちふさがる。
「父さん、もうやめて下さい!」
すると突然、魔道士キルギルが現れた。
魔道士キルギルは、魔勇者アンルシアを真の勇者に覚醒させようと暗躍していた大魔王マデサゴーラの部下だ。
「おや、そこにいるのはあの勇者姫の横にいたヤツ。」
「またお会いできて嬉しいですよ。」
「せっかくこうして再会出来たのですから、あれから私の身に起こったことを少し話してさしあげましょう。」
「あなたがたに我が研究の集大成である魔勇者を粉砕され、私のプライドはズタズタになりました。」
「ですがおかげで目がさめました。」
「あの程度の成果に満足していたなんて。」
「かくして私はより強い素材を求めて偽のレンダーシア中を探索したのです。」
「そしてついにめぐりあいました。このゴリウス君に。」
「彼がまとう怨念のチカラは計り知れません。」
「このチカラと私の技術が合わされば最高傑作となりましょう。」
「そしてこの国を滅ぼすことでそれを証明し、大魔王マデサゴーラ様に我が研究成果を献上するのです。」
バッファロンは息子タジウスの姿を見てひるんでいる。
「まだ人の情が残っているとは計算外です。」
「再調整したあと、あなたをブチ殺して差し上げます。」
魔道士キルギルとバッファロンは主人公の前から姿を消した。
その後セラフィと主人公は、ゴリウスの怨霊を実体化させる結界を作り、そこにゴリウスをおびき寄せる作戦を思いついた。
その作戦は見事に成功し、再び現れたゴリウスの怨霊を実体化することができた。
主人公は、魔道士キルギルと実体化した怨霊ゴリウスを倒した。
魔道士キルギルは、怨霊ゴリウスのチカラを暴走させる呪文を唱えて消滅した。
暴走した怨霊ゴリウスの前にタジウスと仲間の魔物たちが立ちはだかる。
タジウスと仲間の魔物たちが暴走した怨霊ゴリウスの放つ魔瘴(ましょう)に触れると、次々と命を落としていった。
そして霊体となったタジウスは、ゴリウスに語りかけた。
「父さん、もうやめましょう。」
「ベルムドを復讐に駆り立てたのはあなた自身ではありませんか。」
仲間の魔物たちも霊体となって語りかける。
「兵士長、あなたが魔物の命を盾にしても国と民を守ろうとしたことを私達は皆知っています。」
「悪評にまみれようとも国を守ることを優先したあなたをオレは尊敬しています。」
「厳しいけれど、あなたは誰よりも強かった。自らの怨念になど負けないで下さい。」
タジウスの霊体がつづける。
「父さん、犯した過ちを償いましょう。そして憎しみの連鎖を断つのです。」
ゴリウスは正気を取り戻した。
正気を取り戻したゴリウス兵士長の霊体が話し始める。
「皆、すまなかった。」
「アラハギーロを守るためには人に恨まれても仕方ないと思っていた。」
「そんな心がいつしか私を鬼にしていたのだな。」
「なんと長い戦いであったことか。」
ゴリウス兵士長、タジウス、そして兵士たちの魂は天に召されていった。
城下町に町の人たちが皆集まっていた。
戻ったセラフィを歓迎している。
驚くセラフィにシメールが言った。
「セラフィ、やってくれたじゃないか。」
「みんなで考えたんだが、オマエ、オレたちのリーダーになってこの国を引っ張っていってくれないか?」
戸惑うセラフィ。
「ムリだよ、私にリーダーなんか。」
「この国を守るのがオマエの夢なんだろう?」
「だったらリーダーになってその夢を真正面から貫いてみろ。」
シメールの言葉に後押しされ、セラフィーはリーダーになることを承諾した。
「うん、わかった。」
「リーダーとかガラじゃないけど、これからもこのアラハギーロとみんなを守るために私、頑張るね。」