ドラゴンクエストX(DQ10) ネタバレストーリー まとめ

ドラゴンクエストX(DQ10)のメインストーリー、サブストーリーのまとめ

ガタラ外伝 動き出した時間

城主ダストンに「黄色のキーエンブレム」を譲られた後、再び城主ダストンに呼び出され、岳都ガタラにあるガラクタ城に向かった。
「いい所に来ました!ちょっとこいつを見てくだせえ!」


城主ダストンの後ろには壊れたウルベア魔神兵があった。
「こいつはあの遺跡で拾ってきた魔神兵とかいうガラクタの一部なんですがね。」
「こりゃ正真正銘のガラクタでごぜえますよ。こんな素晴らしい物に巡り会えるなんてワシは天下一の幸せモンです。」
「ん?」
壊れたウルベア魔神兵が突然動き出した。
「エネルギー・・限界・・エネルギー・・限界・・」
「凍眠室内部、危険。凍眠室内部、危険・・」
「緊急回避装置、起動。凍眠機能、解除します。」


壊れたウルベア魔神兵の内部にある扉が開いた。
魔神兵の中にはドワーフの男性が眠っていた。
すると突然、ドワーフの男性が目を覚ました。
「老師!!リウ老師ーー!!」
ドワーフの男性が勢いよく起き上がる。
「ほほう。ウルベアの魔の手より余を救ってくれたのはそち達じゃな。苦しゅうない。褒めてつかわすぞ。」


城主ダストンは怯えて震えている。
「いきなり出てきて偉そうに。アンタ一体、何者でごぜえますか。」


ドワーフの男性が言う。
「これは異なことを。ドワーフでありながら余を知らぬとな?」
「まあ良い。余は寛大じゃからな。」
「ならば我が名を聞いて恐れおののくのだ。余はかのガテリア皇国の正統なる継承者、第一皇子ビャン・ダオであるぞ!」
「・・あまり反応がないな。まあ良い。余は寛大じゃからな。」
「おお、そうじゃ。こうしてはおれん。囚われのリウ老師を救わねば!」
ビャン・ダオが主人公に言う。
「そち、奇妙な身なりをしているものの、なかなか腕が立つと見たぞよ。余の頼みをひとつ聞いてくれぬか。」
「実はな、ウルベア地下帝国には余の家庭教師を務めるリウという男が余と同じように囚われておるのじゃ。」
「そこで余をウルベア地下帝国まで導き、リウ老師を救出する手助けをしてくれぬか?勿論、褒美は取らせるぞよ。」
主人公は頷いた。
「うむ、苦しゅうない。そち、名は何と申す?」
「・・そうか、主人公と申すか。」
「それでは主人公よ、反重力飛行装置を持ってまいれ。ウルベアまでひとっ飛びで行こうぞ。」
「・・どうした?反重力飛行装置を知らぬわけではあるまい?ほれ、空を自由自在に飛び回る、あれじゃ。」
「まさか、ここには反重力飛行装置がないと申すか?」
「言われてみれば確かに、ここにいる者の身なりは相当・・貧相。」
「ここは貧民街の一画であったか。」
「すまぬ。余の配慮が足りなかったわ。ならば致し方なし。」
「地下帝国までは徒歩で行くとしようぞ。」
「それでは主人公よ。ウルベア地下帝国まで案内を頼む。余はそちの後をついて行くでな。」
「ウルベア地下帝国に着いたら地下を目指すのじゃ。地下3階辺りにある奥まった部屋にリウ老師は囚われているはずじゃ。」


主人公はビャン・ダオと共にガタラ原野にあるウルベア地下遺跡の地下3階に向かった。
「ハア、ハア・・・待ちや、主人公。一体どれほど余を歩かせるのじゃ?余は歩くのに慣れてはおらぬぞよ。」
「ところで主人公よ。そちは来る場所を間違えておらぬか?」
「進めども進めども瓦礫の山。余の知っておるウルベア地下帝国はこのような廃墟ではないぞえ?」
「深く広く掘られた空洞には虹色に輝く宝石で装飾された家屋が並び、頭上には反重力飛行装置が飛び交う。」
「のう、主人公よ。ここがその大陸随一の大国とうたわれたウルベア地下帝国だとそちは申すのか?」
主人公は頷いた。
「これは異なことを。余は信じられぬ。」
「あの栄華を誇った地下帝国が何故かのような姿をしている?」


主人公はビャン・ダオに、この場所がウルベア地下帝国の遺跡であることを伝えた。
「なんじゃと?ここはウルベア地下帝国の遺跡じゃと?遺跡とはすなわち・・ウルベアはすでに滅んで、この有様に・・」
「何ということじゃ。余はかの帝国が滅びるまで魔神兵の中で眠っていたというのか。」
「ならばガレリアはどうじゃ?主人公よ、そちはガテリア皇国の行末を知っておるか?」
「・・そうか。何も知らぬのじゃな。すなわち、ガテリアもウルベア同様、もはやこの地には・・」
「父上も母上も、もう・・そんな・・」
「・・すまぬ。一国の皇子である余が情けない姿を晒してしもうた。許してたもれ、主人公よ。」
「だがそちの話を聞いてあらゆる事に合点がいったわ。」
「下々の者がガテリアの威光にひれ伏さぬのも、反重力飛行装置を目にしないのも、行き交う者の衣装が奇妙なのも、全て時の流れの中で我等の文明が失われてしまったため。」
「つまりはグルヤンラシュ!きゃつの思い通りになったということか!」
「主人公、そちに聞かせたい話がある。余がこの時代に来る前の話じゃ。」
「かつてこの大陸には二つの大国があった。余が国王となるはずだったガテリア皇国。そしてこのウルベア地下帝国だ。」
「二つの国は他の種族を圧倒する技術力を有し、そこに住まう者たちは何不自由なく平和な時を過ごしていた。」
「あの乱世の使者、奸臣グルヤンラシュがウルベア地下帝国に現れるまでは・・」
「グルヤンラシュは高潔な神官の身なりで現れウルベア皇帝に取り入ると、二つの大国を争わせるよう仕向けたのだ。」
「その戦いの中、多くの技術者が散り、互いの技術と技術がぶつかり合って我等の文明は徐々に失われていった。」
「そう、我等の文明の喪失は全てグルヤンラシュの奸計によるもの。きゃつが両国を破壊へと導いたのだ!」
「そして行き過ぎた戦いの果てに、余は命の危険にさらされた。それを救ってくれたのがリウ老師なのじゃ。」
「父上も母上ももう生きてはいまい。じゃがリウ老師だけは今もどこかで生きているはずじゃ。」
「老師は余がこの時代に来る前に、余の後を追って魔神兵に乗ると約束してくれたからな。」
「じゃがここに老師はいない様子。余はひとまず、あのガラクタ屋敷に戻り今後の事を考えるとするぞよ。」
「主人公、そちは信頼に値する者だと分かった。余が困った時にはまた手を貸してたもれ。」
「リウ老師・・そなたは何処へ行ったのだ?余を時の激流に押しやったまま・・」


岳都ガタラにあるガラクタ城に行くと、城主ダストンがビャン・ダオに怒っていた。
「ちょっとアンタ、急にウチに転がり込んできて家事の一つも手伝わねえんですか!」
「アンタみてえなヤツはこの家から・・絶対に出ていかねえで下さい!」
「このウチは使えねえ野郎は大歓迎です!どんどん怠けて下せえ!」


ビャン・ダオは主人公が来たことに気づいた。
「おお、主人公よ。まともに話せるそちを待っておったぞ。ここにいる者の話はワケが分からぬでな。」
「ときに、ウルベアの遺跡で話したグルヤンラシュの話、そちは覚えておるか?」
「実はその話には続きがあってな。ウルベア皇帝に取り入って計略をめぐらせたグルヤンラシュじゃが、その正体は知略に長けた魔物なのじゃ!」
「グルヤンラシュは神官の姿に化け、怪しげな術でウルベア皇帝の心を掴むと、そのまま宰相として登用されてな。」
「ウルベアを意のままに操ると、軍事に偏った技術革新を推し進め、ガテリア皇国との戦争を始めたのじゃ。」
「そのせいで余の祖国は・・許すまじ、奸臣グルヤンラシュ!」
「いくら時が過ぎたとはいえ、あれほどまでに知略の優れた魔物が死んでいるとは思えぬ。今も謀り事をめぐらせているはずじゃ。」
「主人公よ、頼む。余と共にグルヤンラシュの根城に向かい、きゃつの討伐を果たしてはくれぬか?」
「きゃつの根城は恐らく当時のまま。南のグルグ地下道にあるはずじゃ。我が祖国のカタキ、この手で討たせてたもれ!」
「そして恐らく、あのリウ老師も余と同じ考えに至り、グルヤンラシュの討伐に向かったはずじゃ。」
「余の家庭教師、リウ老師はグルヤンラシュが魔物であることを早々に見抜いておってな。いずれ何とかせねばと申していたのだ。」
「リウ老師が地下遺跡にいなかったのは祖国のカタキを討ちにグルヤンラシュのもとへ向かっているからに相違あるまい。」
「うまくいけばリウ老師に会えるはずじゃ。それではグルヤンラシュの根城へ急ごうぞ。余はそちの後をついていくでな。」


主人公はビャン・ダオを連れてグルグ地下道に向かった。
「ハアハア、この辺りで一休みするぞえ。こんなに歩いたのは初めてじゃ。」
「全く、そちはスパルタじゃのう。リウ老師であれば余をいたわり、休みをこまめに入れてくれたはずじゃ。」
「まっこと、リウ老師は完璧な家庭教師だったぞよ。」
「・・いや、そう言えば老師にも一つだけ気に入らぬところがあったわ。」
「リウ老師はウルベア出身の技術者でな。その技能は天下一品とうたわれておった。そう、あの魔神兵もリウ老師が作ったのじゃ。」
「だがグルヤンラシュが現れた頃からリウ老師はウルベアを離れ、余の家庭教師として我が国に招かれたのじゃ。」
「天下一の技術者を近くに置き、余は心を踊らせたものぞよ。」
「誰よりも優れた技術を身につけられる、とな。」
「だがリウ老師は生きていくのに必要な最低限の技術しか余に教えてくれなかったのじゃ。」
「これ以上技術に身を委ねると、自分たちの首を締めることになるなどとおかしなことを言うてな。」
「余はそれがもどかしくてたまらなかった。国王となる余が先じて技術を修めれば、かのウルベアにも勝てるというのに・・」
「さてと、そろそろ行かねばな。話をしている間に足腰の疲れも取れたぞよ。待たせてすまなかったのう、主人公。」
「それでは歩を進めるとするぞえ。グルヤンラシュの根城まであと少し。きっとリウ老師にも会えるはずじゃ。」


グルグ地下道の最奥へ進んでいく。
「着いたようじゃな。ここが当時、グルヤンラシュの根城と言われていた場所じゃ。」
「気をつけよ、主人公。グルヤンラシュは何処かに身を潜め、不意に襲ってくるかも知れぬぞえ。」
「奸臣グルヤンラシュよ!姿を現せい!余はガテリア皇国が第一皇子、ビャン・ダオなるぞ!」
「愛する祖国を滅亡へと追いやった悪鬼め!その罪は万死に値する!さあ、出てこい。余が一刀のもとに斬り伏せてくれるわ!」
しかし誰も出てこない。
「老師、リウ老師!余の声が聞こえるか?ビャンが来たぞよ!いたら返事をするのじゃ!」
「・・コホン。主人公よ、苦しゅうない。もう楽にしても良いぞよ。ここには誰もおらぬようじゃ。」
「グルヤンラシュめ、ちょこざいな。余が眠っている間に根城を変えようとはさすがの余でも思い至らなかったわ。」
「主人公、すまぬ。これまでの苦労が水の泡となってしもうた。全て余の過失じゃ。許してたもれ。」
「リウ老師がこの場にいないのも、グルヤンラシュの新たな根城を追って、ここを後にしたためであろう。」
「のう、主人公よ。リウ老師のこと、少し話させてくれぬか。そちには知っておいてもらいたいのじゃ。」
「あれは余がこの時代に来る直前。リウ老師がいつものように余の所へ通ってきたある日のこと。」
「グルヤンラシュの悪魔の囁きに耳を貸したウルベア皇帝が、ついに軍を動かし我がガテリアに侵攻してきおったのじゃ。」
「長きにわたる好戦の末、余とリウ老師はウルベアに捕らえられ牢獄に入れられた。そして余は交渉の材料となったのじゃ。」
「ガテリアが降伏しなければ余は処刑。降伏か、抗戦か・・その運命の審判が下された夜、リウ老師はこう言った。」


「聡明なる皇子、ビャン・ダオ様。どうか心を静め、私の話をお聞き下さい。」
「遺憾ながらあなた様のお父上は、ウルベア地下帝国の侵攻に対し、徹底抗戦の意を表明されました。」
「それと同時にガテリア兵がなだれ込み、私はその混乱に乗じて牢を開け、あなた様をここまでお運びしたのです。」
「ビャンさま、お気を確かに。我々に残された時間はあと僅か。いずれここも敵兵に見つかりましょう。」
「さあ、ビャンさま。御身を守るため、どうかこれにお乗り下さい。」
「これは私がウルベアにいた時に極秘で研究していた魔神兵にございます。皇子を安全な場所までお連れ致します。」
「この魔神兵はもう一つだけございます。私も後から魔神兵に乗りますゆえ、どうかご安心を。」
「さあ早く。敵兵に見つかる前に。」


「こうして余はリウ老師の手によって、あの特別な魔神兵に乗せられこの時代にやって来たのじゃ。」
「魔神兵は本来、棺の役目を果たすもの。死後復活を遂げる前に肉体が朽ち果てぬよう保存し、守るためのものなのじゃ。」
「リウ老師はそれを改良し、人を生かしたまま保存できる技術を研究していたのじゃろう。そのおかげで余は救われたのじゃ。」
「父上は余の命よりも国を選んだ。リウ老師が逃してくれなかったら、余は処刑されていた。」
「結局、余のことを心配してくれたのはリウ老師だけであった。老師は余にとって特別な存在なのじゃ。」
「のう、主人公よ。余はリウ老師に会いたいぞよ。そのために、またチカラを貸して欲しいのじゃ。」
「リウ老師はきっと何処かにいるはずじゃ。後から魔神兵に乗ると別れ際に余と約束を交わしたでな。」
「ひとまず余はガラクタ屋敷に戻り、今後のことを考えることにするぞえ。また様子を見に来てたもれ。」


主人公は再びガラクタ城に向かった。
ビャン・ダオが項垂れている。
「リウ老師、そなたは一体何処にいるのじゃ・・」
「そうじゃ!リウ老師は言っておった。余が成人したあかつきには、とっておきの技術を教えてくれるとな。」
「あの時の約束さえ果たされていたら・・」


そこへ城主ダストンの娘、チリがやって来た。
「良かった。主人公、ここにいたのね。あなたがガラクタ城にいるって町の人に聞いて急いで駆けつけたのよ。」
「カルサドラ火山で大変なことが起きてるの。」
「火山を調査している学者さんの話によると、魔物の大群が火山に押し寄せて儀式めいたことをしているらしいのよ。」
「私も遠巻きにだけど、鳥っぽい魔物が火口付近に集まっているのをこの目で見たわ。」


ビャン・ダオが騒ぎ出す。
「主人公よ、聞いたかえ!グルヤンラシュじゃ!ついにきゃつが動き出したのじゃ!」
「詳しく説明している時間はない!カルサドラ火山こそきゃつの新たな根城じゃ!そこで謀り事をめぐらせてるのは明白ぞ!」


チリが言う。
「あなたの言っていることは良く分からないけど、不吉な予感がするのは確かよ。」
「だからすぐにでも火口付近に行って怪しい儀式を止めたいんだけど、空でも飛べない限りあそこには行けないの。」
「ねえ主人公、お願い。カルサドラ火山の火口付近に行く方法を私と一緒に探してくれない?」
「外から火口付近に行くのは無理みたいだから、火山の中から行けないか確かめて見ましょう!」
「溶岩の流れる洞窟を進むことになるけど、他に方法が思いつかないわ。それじゃ、私は先に行っているわね。」


ビャン・ダオがチリを止める。
「待たれよ!溶岩の流れる洞窟を行くなど、みすみす死にに行くようなものじゃ。そなたのようなか弱き乙女が何故危険を冒すのじゃ?」


チリが答える。
「私達の世界が危険にさらされてるのよ?私達の手で何とかするのが当然じゃない。」


ビャン・ダオが言う。
「・・そうか。じゃがな、どれだけそなたが頑張ってもカルサドラ火山の火口にはたどり着けぬ。」
「カルサドラ火山の火口、そこはかつてガテリア皇国の民が儀式に使っていた神聖な場所じゃった。」
「そのため、他国の者が火山に立ち入らぬよう、徒歩で行ける道は全て封じたのじゃ。」
「しかし心配はいらぬ。ガテリアの民は道を封じる前に、火口への転送装置を作っておいたからな。」
「転送装置は技術的には高度なものだが、作り自体は単純なものである。あれならばこの時代でも動かすことが出来よう。」
「よし、それでは主人公よ。転送装置を動かす起動器具、三闘士のオノを持ってまいれ。」
「・・コホン、主人公よ。もったいぶらずに持ってくるのじゃ。三闘士のオノくらいなら、さすがにこの時代にもあるじゃろう?」
「なんじゃと?三闘士のオノすらこの時代には無いと申すか。」
「何ということじゃ。たった一つの道が断たれてしもうた。もうおしまいじゃ。」


落ち込むビャン・ダオにチリが言う。
「ちょっと、なに諦めてるのよ。ないなら作ればいいじゃない。」
「道を切り開くにはそれしかないの。」
「さあ、そのオノのこと詳しく教えて。今頼れるのはそれを知ってる、あなたしかいないんだから。」


ビャン・ダオが言う。
「うむ、それでは・・そなた達にも三闘士のオノを作るため手伝ってもらうとするぞよ。」
「主人公、そちは魔導の歯車と古代の戦刃という物を手に入れてまいれ。いずれもオノを作るのに欠かせぬ材料じゃ。」
「ひとまずその二つさえあれば、三闘士のオノの原型が出来るはずじゃ。」


主人公は魔導の歯車と古代の戦刃を手に入れ、ガラクタ城に戻ってきた。
「うむ、これじゃ。大儀であったな、主人公よ。」
「では転送装置の起動器具、三闘士のオノを作ってみるとしよう。」
「ダストン殿、ここにある物を使っても良いかの?」
「ここにある物からは失われた文明の息吹を感じるぞよ。三闘士のオノの部品にうってつけじゃ。」
「初めて出会った時は薄汚れたただの貧民かと思ったが、ダストン殿はまっことお目が高い。」


城主ダストンは褒められて、嫌がっている。
「やめてくだせえ。褒められるようなことをした覚えはねえです。使えるもんなら使ってみやがれですよ。」


ビャン・ダオが三闘士のオノを作り始める。
「よし、それではリウ老師直伝の技術で三闘士のオノへと生まれ変わらせてみせよう!」
「というわけで主人公よ。オノの完成まで少し時間がかかるじゃろう。しばらくしたら、また戻って来てたもれ。」


しばらくしてからガラクタ城に行く。
「おお、主人公。待っておったぞ。」
「転送装置を動かす三闘士のオノがついに完成したのじゃ!」
「これでカルサドラ火山に行けるぞよ!余もやれば出来るのじゃ。」
「魔物達を率いるは我が祖国のカタキ、グルヤンラシュに相違ない。今こそ復讐を果たす時ぞ。」
「河口付近へと通じる古代の転送装置はモガリム街道を南に抜けた先のラニアッカ断層地帯の中央辺りにある。」
「まずはラニアッカ断層地帯へ行き、カルサドラ火山に乗り込むとしようぞ。そして余の復讐に終わりを告げるのじゃ。」


主人公とビャン・ダオ、チリの三人で転送装置のある場所まで移動した。
「これが古代の転送装置じゃ。まあ、余にとっては現役の代物じゃがな。」
「それでは余が作った三闘士のオノで転送装置を起動させるぞえ。」
ビャン・ダオは三闘士のオノを持って転送装置の中央に立った。
「オノが導くは母なる大地を見守る三闘士の懐、カルサドラ火山なり。」
「せいや!」
三闘士のオノが金色に輝き、転送装置と共鳴する。
「来たぞえ、来たぞえ!」
転送装置に光が宿り、使用出来るようになった。
「よいか?火口付近に着いたらグルヤンラシュが儀式をしている場所を探すのじゃ。頼んだぞ、主人公。」


チリが転送装置を見て驚く。
「凄い・・これが古代の技術・・」


古代の転送装置のチカラで主人公とビャン・ダオ、チリの3人はカルサドラ火山の火口付近に送り届けられた。
火口では魔物達が怪しい儀式をしていた。
「さあ、祈れ!祈り続けよ!この世の全てを終わらせる、あの方が現れるまで祈り続けるのだ!」
魔物達の儀式により、ジャミラスが降臨した。
「聞け!野郎ども!このカルサドラからドワチャッカ大陸を恐怖のドン底に突き落としてやろうぜ!」
「よーし、その手始めに俺たちの野望を邪魔しようとするそいつらを恐怖のドン底に突き落としちまおうぜ!」
「いくぞ、野郎ども!魔鳥軍団の旗揚げじゃ!」
主人公はジャミラス率いる魔鳥軍団を倒した。


ビャン・ダオが魔物に聞く。
「どういうことじゃ?この者、グルヤンラシュではないのかえ?」


魔物が答える。
「ワケの分からぬことを!グルヤンラシュというのは乱世の引き金となった伝説の魔物の名であろうが。」
「そんな魔物、今の時代にいるはずがなかろう。貴様、その伝説の魔物とジャミラス様を間違えてここまで来たというのか。」


ジャミラスが言う。
「やめねえか!これ以上俺様に恥かかすんじゃねえ!」
「野郎ども、出直しじゃ!もっとチカラをつけてこの地に舞い戻ってやろうぜ!」
ジャミラス率いる魔鳥軍団は去っていった。


ビャン・ダオが項垂れる。
「何ということじゃ。我が宿敵グルヤンラシュはすでにこの世におらぬというのか。」
「あれほど強大なチカラを持ったグルヤンラシュさえ、時の流れの中ではかようにはかなき存在だったとは。」
「奸臣グルヤンラシュの脅威も、あの地下帝国ウルベアの威光も、余が愛したガレリア皇国の栄華さえも、時が全て終わらせてしまった。そういうことか・・」


チリが言う。
「ねえ、ビャン君。確かにあの魔物はグルヤンラシュってヤツじゃなかったけど、この地が守られたのはあなたのおかげよ。本当にありがとう。」


「礼など不要じゃ。余はそち達のために動いたのではない。」
「主人公よ、すまぬ。またそちを振り回してしまったな。」
「そのお詫びと言ってはなんじゃが、この三闘士のオノを受け取ってたもれ。必要な時に使うと良いじゃろう。」
主人公は三闘士のオノを受け取った。
「余の復讐は終わった。いや、初めから復讐などなかったのじゃ。」
「リウ老師、そなたもまたグルヤンラシュのように時の流れの中に消えてしまったのだな。」
「そなたも余を置いて時の彼方へ・・うう、老師・・」
「すまぬ、主人公、チリ。余は全ての希望を失ってしもうた。もはや何も考えられぬ。」
「ひとまずガラクタ城に戻るぞよ。二人共、世話になったな。」


主人公がガラクタ城に行くと、ビャン・ダオは少し元気を取り戻していた。
「おお、主人公。来てくれたか。実はな、そちに頼みがある。これが余の最後の頼みとなるであろう。」
「余の最後の頼みとは、我が祖国ガテリア皇国を探す手伝いをして欲しいのじゃ。」
「みなまで申すな。ガテリアがすでに存在しないのは重々承知。」
「しかし、ウルベア同様、朽ち果てた姿の・・そう、ガテリア皇国の遺跡ならば見つけられるかも知れぬじゃろ?」
「余は見てみたくなったのじゃ。かつて父上や母上、そしてリウ老師と共に過ごした祖国の今の姿を。」
「祖国の玉座の間には親しい者たちがいた。彼らの思い出にふれることが出来れば、余は再び歩き出せるぞよ。」
「ウルベア地下遺跡のある場所から見て、ガテリアの遺跡はこの大陸の西の果てにあるボロヌス溶岩流の東に眠っているはずじゃ。」
「主人公よ。ガテリアの遺跡を見つけ、余を玉座の間まで連れて行ってたもれ。どうかこの最後の希望、叶えてくれ。」


主人公はビャン・ダオを連れてボロヌス溶岩流の最果ての地下遺跡に向かった。
「かように変わり果てても、悲しいほど余には分かるぞえ。」
「間違いない。この地こそ我が祖国ガテリアじゃ。」
「祖国と言えど、父上も母上も、親しい者は皆すでにここにはおらぬ。」
「分かっていたが、やはり辛いぞえ。」
「さあ、主人公。余を玉座の間まで連れて行ってたもれ。きっとこの奥にあるはずじゃ。」


遺跡の奥へ進んでいく。
「この部屋こそ余の思い出が詰まったガテリア皇国の玉座の間。ついにたどり着いたのじゃな。」
「ここにいると、在りし日のガテリアが目に浮かぶようじゃ。」
「父上が威風堂々と玉座に座ると、その隣で母上が余に笑いかけた。」
「そして、決まった時間になるとリウ老師が嬉しそうに余を迎えに来る。」
「なんと懐かしく、はかない光景なのじゃ。」
「主人公よ、余はそちに謝らねばならぬ。」
「余がここに来た本当の理由は・・余は、ここで自らの生を終えようと思う。」
「止めないでたもれ。大事な者達との思い出にふれながらこの世を去ることが出来るのなら本望じゃ。」
「そちには本当に世話になった。心の底から感謝してるぞよ。では、さらばじゃ。」
その時、大きな地鳴りと共にウルベア魔神兵が部屋に入って来た。
「魔神兵?何故あの魔神兵がガテリアにおる?」
「まさか、リウ老師か?この中にリウ老師が入っておるのか?早く、早く中を見せてたもれ!」
ウルベア魔神兵は機能を停止し、身体の中の扉を開けた。
「ふふふ、やはりな。魔神兵の中はもぬけの殻。もうリウ老師はこの世にはおらぬのじゃ。」
魔神兵の中をよく見ると、一枚の手紙が入っていた。
「これは・・リウ老師の手紙か!老師が余に手紙を・・」
ビャン・ダオが手紙を読む。
「親愛なる我が主、ビャン・ダオ様。リウにございます。」
「ビャン皇子を魔神兵に乗せた後、私はこのガテリアまで戻ってまいりました。皇子と未来で会う約束を守るために。」
「しかし私は魔神兵に乗れなかった。皇子の後を追って未来へ行くという道を選ぶことは出来なかったのです。」
「私は文明に影を落とした技術者の一人。その大いなる罪を償うべく、この時代で生を終えると決めました。」
「皇子の生きる未来に、正しい文明の姿を取り戻すため、この身を賭して戦うと決めたのです。」
「あなたは我々の最後の希望。」
「ドワーフ達が同じ過ちを繰り返した時、あなたならばきっと正しき道へと民を導くことが出来るでしょう。」
「ビャン様。あなたが成人したらとっておきの技術を教えるという約束を覚えておいでですか?」
「今こそその約束を果たす時。さあ、魔神兵の中に入っている物をお受け取り下さい。」
魔神兵の中をよく探すと、植物の種が入っていた。
「かつてドワーフ達は他の種族と同じく、自らの手で種を植え、その収穫を喜びとしていました。」
「しかし我等は高度な技術に溺れ、自らのチカラで成し遂げる喜びを、本当の文明というものを見失ってしまった。」
「私がビャン様に託したかった技術とは、自らのチカラで生き抜く術だったのです。」
「ビャン様、どうかお元気で。あなたとの約束を守れなかった私めをお許し下さい。」


手紙を読み終えたビャン・ダオが肩を落とす。
「老師、そなたは何も分かっておらぬ。余が欲しかったのはこんな手紙ではない。」
「余はただ一目だけでもそなたに会いたかったのじゃ。」
「・・だがその思いは受け取ったぞ。リウ老師よ。」
「そなたは望んでおったのだな。技術に身を任せた歪んだ時代を終わらせ、世界がまさに今の姿になることを。」
「主人公よ、前言撤回じゃ。余はこの時代で行きていくと決めたぞよ。」
「余は見てみたくなったのじゃ。リウ老師が望んだこの世界を。」
「この手紙を読んだだけではリウ老師の教えを理解できなかったじゃろう。じゃが今の余には分かる。」
「技術ばかりに頼らず、自分たちのチカラで生きていくことの大切さを、そちやチリが教えてくれたからな。」
「余はこれからリウ老師の教えに従い、旅に出ようと思う。この手で種を植え、この足で自分の居場所を見つけるのじゃ。」
「ふふふ、そなた達のおかげで止まっていた余の時間が動き出したようじゃ。新しい出会いに胸が躍るぞよ。」
「それではまた会おう、主人公よ!ガラクタ城の皆にも宜しく伝えてたもれ!」