弟は目を覚ました。
そこは「ナルビア」という町の外、「サザミレ草原」と呼ばれる場所だった。
さっきまでエテーネ村に暮らしていて、その村が焼き払われて・・・自分も死ぬ寸前だった・・・
混乱する弟。
ナルビアの町で話を聞くことにした。
ナルビアの人々はエテーネ村のことを知らない。
島にはナルビアの町がひとつあるだけ。
ナルビアは、レンダーシア大陸にある「グランゼドーラ王国」から海を渡ってきた人々によって作られた町。
レンダーシア大陸の内海には小さな島があるがほとんどが険しい岩山に囲まれた無人島。
なぜかナルビアが作られた島には色とりどりの古いほこらがある。
町の人々に話を聞いていると、「リリオル」という女の子がエテーネ村のことを知っているとのこと。
早速、リリオルのところに向かった。
家にいくと、リリオルは病気で寝ていた。
近くに置いてあった「錬金釜」を見ていると、リリオルのお父さん「イッショウ」が帰ってきた。
「勝手に家に入りやがって!」と怒るイッショウ。
しかし、錬金釜に興味を持っている様子だったの弟をみたイッショウは錬金釜について話し始めた。
錬金釜は、錬金術を行うため欠かせない魔法の釜。
イッショウは、今では数少ない錬金術師だという。
自分も錬金が出来るということをイッショウに伝える。
「上やくそう」を錬金して証明することになった。
上やくそうの練金に成功すると、イッショウは驚く。
「なんでお前に練金ができるんだ?」
最近、イッショウは練金の能力が失われてしまい悩んでいた。
さらに娘のリリオルは、メラゾ熱にかかり高熱で死にかけている。
メラゾ熱を治すための薬は練金で作る以外ない。
イッショウは、弟の練金の腕を見込んでメラゾ熱を治すための薬を作ってくれと頼んだ。
弟は、メラゾ熱を治すための薬を練金してあげることにした。
メラゾ熱は、100年以上前に滅んだと言われる大昔の病気だ。
フラスコというイッショウの友人が薬のレシピを探して届けてくれたようだ。
メラゾ熱の薬の素材を集め、錬金して薬を作った。
リリオルに飲ませるとすぐに薬が効き、リリオルの命が助かった。
次の朝、リリオルはすっかり元気になっていた。
イッショウとリリオルにエテーネ村が襲われて気がついたらサザミレ草原で倒れていたことを話す。
リリオルはエテーネ村のことを知っているといった。
リリオルが浜辺で拾ったというボトルレターをもってきて見せてくれた。
手紙には「このエテーネ村で一番幸せなカップルになろうね」と書いてあった。
近くにエテーネ村がある・・・弟は希望を持つことができた。
そしてエテーネ村の場所がわかるまで、イッショウの家にお世話になることになった。
このナルビアの島には7つの色違いのほこらがある。
ほこらのカギは練金で作れるようだ。
イッショウから青のほこらのカギを譲り受け、青のほこらを目指した。
イッショウの家の本棚を見ると、錬金術師に関する本があった。
錬金の力はある日突然消えてしまうことがあるという。
その原因はわかっていないと書いてあった。
青のほこらに行くと奥に「白の封石」があった。
これで白のほこらのカギを錬金できる。
白のほこらのカギを錬金し、ポルネア山にある白のほこらに向かう。
白のほこらのカギを開けると、そこにはアームライオンという魔物がいた。
アームライオンは、過去に錬金術師によってこのほこらに閉じ込められたらしい。
錬金術師を憎み、襲いかかってきた。
弟は、アームライオンを倒した。
町に戻りリリオルに話をすると、メラゾ熱にかかった理由を教えてくれた。
灰のほこらのそばで呪いの霧をあびてしまったようだ。
その話を聞いた弟は、灰のほこらに向かった。
灰のほこらにはセルゲイナスという魔物がいた。
「我はこの世を絶望で満たすためにはるか死の世界より訪れし者」
「せっかくひとりの有能な錬金術師から能力を消し去ったというのに、すぐに新たな錬金術師があらわれるとは」
「貴様もあの錬金術師のように我に錬金術師としての力を捧げよ」
「そして再び死の絶望を味わうのだ」
こういうと、いきなり襲いかかってきた。
弟はセルゲイナスを倒した。
イッショウの錬金術師の能力を奪い、リリオルをメラゾ熱にかけたのはセルゲイナスの仕業だったようだ。
町に戻りリリオルに報告する。
リリオルは、練金の素材を取りに灰のほこらまで行ったとき、セルゲイナスに呪の霧で殺されそうになった。
その時父親イッショウに助けられ、イッショウの練金術はそれ以来使えなくなってしまったという。
イッショウに思いを託され、弟は赤のほこらへと向かった。
赤のほこらにあった封石を錬金し黒のほこらに進むと、そこにはゴールドマンという魔物がいた。
「どうだい、僕のキンキラの体。すっごい錬金術師が作ってくれたんだよ。」
「知ってるよ。君も錬金術師なんだろ?ここまで来た人はとっても久しぶりで僕うれしいよ」
「さあ、君の力を見せてほしいな。それが僕のお仕事なんだ。ほら、いくよ〜」
といい襲いかかってきた。
ゴールドマンを倒した弟。
最後に残ったのほこらは「金のほこら」のみ。
一体ここに何があるのか。
弟は準備をし、谷間の広場にある金のほこらに向かった。
金のほこらの中に入ると、魔物がいた。
どうやら、ほこらは錬金術師の実力を試すためにあったようだ。
魔物の名前はバルザック。
「おお、ついに我が前に現れたか。セルゲイナスの呪いすら退ける類まれなる錬金術師の才能を持つものよ」
「私の名はバルザック。究極と呼ばれる錬金術・・・とある秘宝により自身の姿すら作り変えた偉大なる錬金術師だ。」
「私はこれまで多くの錬金術師を食らいその知識と技術をこの身に宿してきた。」
「だが、食らうだけの価値がある力を持った錬金術師はなかなか現れぬ。」
「ゆえに自ら育てることにしたのだ。」
「ククク・・・この地にあるほこらはな未熟な錬金術師に力をつけさせるために私が創りだした巨大な錬金釜だったのさ。」
「そうとも知らず、貴様は錬金術師としての腕を磨き続けこうして私の前に現れた。」
「残念だがほこらの先に行かせるわけにはいかん!」
「貴様はここで我が錬金術の力の一部となるのだ!」
そういうと、バルザックは襲いかかってきた。
バルザックを倒し、金のほこらの奥へ進む。
その先は未踏の地。
名もなき草原、清き水の洞窟、育みの大地がある。
そう、ここはエテーネ村がある島と同じ島だったのだ。
エテーネ村へと急ぐ弟。
エテーネ村に着いた。
エテーネ村は滅びておらず、人が住んでいた。
しかし、弟が知っている村人ではいない。
村人も弟のことを知らないようだ。
村人に話を聞くと、アバ様がなにやら儀式をして苦しんでいるようだ。
弟のことを救世主と呼び、なんでもっと早くこなかったのかという。
状況が理解できない弟。
とにかく、アバ様に会ってみよう。
そう決めた弟は、高台のアバ様の屋敷に向かった。
高台のお屋敷では巫女さまが新しい巫女さまへ力をゆずる継承の儀式が行われていた。
アバ様は、半年も儀式を続けているようだ。
カメ様のお告げでは、村を訪れた救世主がその力で巫女の儀式を終わらせ、村を平和に導くそうだ。
チャッカという村人に、儀式を終わらせるために「ふしぎな豆」を持ってきてくれと頼まれ、練金術の本を託された。
そこに書かれているレシピ通り練金をし、「ふしぎな豆」をチャッカに渡した。
チャッカが豆をアバ様に渡すと、アバ様はその豆を食べた。
とても美味しいようだ。
不思議と力がみなぎり、儀式を終わらせてしまった。
その瞬間、アバ様は光輝いた。
眠っていたカメ様も目をさました。
光がおさまると、アバ様が屋敷から出てきた。
弟の名前を知っているようだ。
村人を集めろとチャッカに伝えるアバ様。
するとチャッカは、アバ様のことを「エルバ様」と呼んだ。
弟がアバ様だと思っていたのはアバ様ではなく、エルバ様だったのだ。
村人が集まると、エルバ様は言った。
「聞け!エテーネ村の民たちよ。カメ様のお告げにありし救世主の力で長きに渡った継承の儀式は終わった。」
「さあ、新たなる巫女をみなで迎えるのじゃ!」
屋敷から少女が出てきた。
少女は言う。
「我が名はアバ。新たなる巫女としてエテーネの民を導くものなり。」
「わしは巫女としてエテーネの民達に新しき道を示そう」
「このおいしい豆を皆で育てよう。この豆をハツラツ豆と名付ける!」
弟が練金で作った不思議な豆は、ハツラツ豆だったのだ。
エテーネ村が襲われたあの日、兄が無意識のうちに弟に時渡りの術を使い、弟は過去のエテーネ村に飛ばされていたのだ。
アバ様がまだ少女だった時代に。
弟は、エテーネ村のひとりとして迎えられることになった。
少女のアバ様が弟に話しかける。
「わしにはわかっておるぞ。お前は時渡りの術を使いこの時代に来たのじゃろ?」
「このことは二人だけの秘密にしておこう。」
「時渡りの術はとうの昔に忘れ去られた術。再び人々が口にすれば、悪しき者に目を付けられやすくなるからな。」
「今この時代に時渡りの術を使えるものはおらん。お前が元の時代に帰る方法はないのじゃ。」
アバ様は、兄に弟の思いを届けてあげるあげるといい、祈りはじめた。
少女アバ様の隣に、いつも付き添っている少年がいた。
名前は「ホーロー」。
リリオルが浜辺で拾ったボトルレターは少年ホーローが書いたものだった。
ホーローは少女アバ様のことが大好き。
アバ様にラブレターを送ったが、それをもらったアバ様は手紙をビンに入れて海に捨ててしまったようだ。
弟は、元の時代に戻ることはできない。
アバ様がまだ少女だった頃のエテーネ村で、兄の無事を祈りながら暮らしていく。