ドラゴンクエストX(DQ10) ネタバレストーリー まとめ

ドラゴンクエストX(DQ10)のメインストーリー、サブストーリーのまとめ

エピソード19 いにしえの竜の伝承

主人公はアリオス王に呼ばれてグランゼドーラ城へと向かった。


アリオス王「大魔王マデサゴーラが倒され、アストルティアにはかけがえのない穏やかな時が訪れた。」
「そこでわしは決めた。アストルティア中の王を集めてこの平和を祝い、讃える六種族の祭典を開催する。」


六種族の祭典がグランドタイタス号で行われるというので、主人公は会場に向かった。


主人公がグランドタイタス号に行くと、そこに勇者姫アンルシアと青年の姿を見かける。
アンルシアと青年が話をしている。
アンルシアはとても驚いているようだ。


青年「お気に召されませんか?アンルシア。」
アンルシア「いえいえ、とんでもありません。とてもお似合いです。」


「そう言ってもらえて光栄です。どうか、これを。」
青年はそう言うと、アンルシアにペンダントを差し出した。
そのペンダントをうれしそうに受け取るアンルシア。


アンルシアは主人公の姿に気づく。
青年が主人公に話しかける。
「相変わらずせわしない様子ですね、主人公。」
そう言うと、青年はその場を立ち去ってしまう。


「シオンさま、行ってしまわれたわ。」
青年の名前はシオンと言うようだ。


「私は準備があるから、またあとでね、主人公。」
アンルシアもその場を立ち去っていく。


主人公は用意されている部屋で休んで待つことにした。
ベッドの上に横になっていると、ついつい寝込んでしまう。


主人公は夢を見た。


場所はエテーネ村。
主人公の弟がやってきた。
「この村でお兄ちゃんと過ごした時間は本当にかけがえのないものだったね。」
「あの日お兄ちゃんと別れて、ずっと昔の時代に飛ばされてからいろんなことがあったよ。」
「そう、いろんなことが。それから僕、何度も何度も考えちゃうんだ。」
「僕があんなにつらい思いをしたのは、全部お兄ちゃんのせいなんじゃないかってね。」


そこで主人公は目を覚ます。


主人公は着替えをして大広間へ向かった。


祭典が始まり、王たちがダンスを始める。
ドレスアップしたアンルシアもやってきた。
首にはシオンからもらったペンダントをつけている。


アンルシアがシオンと一緒に踊り始める。
そのものかげに、主人公の弟らしき人物がアンルシアを見つめている。
顔や姿は年老いておらず、若々しいままだ。


アンルシアとシオンが踊り終わると、突然、弟が姿を現した。


「できれば会いたくなかったよ。お兄ちゃん。」


同時に海は大荒れになり、グランドタイタス号の上空に「奈落の門」が現れた。


その瞬間、アンルシアとラグアス王子は氷の結晶の中に閉じ込められ、動けなくなってしまう。
アンルシアとラグアス王子が入った氷の結晶は小さな結晶になり、弟の手元に移動した。


弟がつぶやく。
「あと4人。」


シオンが弟に言う。
「その方々を放しなさい。」


しかし弟はその場からすぐに消え去ってしまった。
アンルシアとラグアス王子を連れて。


そして上空に現れていた「奈落の門」もその姿を消した。


女王ディオーレが言う。
「アンルシア姫とラグアス王子、もしや若き王族が狙われたのか?」


「甲板の船尾楼で待っています。」
シオンは主人公にそう言うと、その場を立ち去った。


主人公が船尾楼に向かうと、そこでシオンが待っていた。
「主人公、これは災のはじまりです。」
「私があの場にいながら、みすみす勇者をさらわれてしまうとは、口惜しい。」
「記念すべき祭典の席で客人たちを驚かせまいと人の姿に変化したことがアダとなりました。」
「もうお気づきでしょう?私の本当の名はファルシオン。あなたもよくご存知のペガサスです。」
「この姿の私では本来のチカラを発揮できず、ペガサスに戻るための唯一のカギはアンルシアと共に奪われました。」
「私が信頼の証として彼女にペンダントを渡していたのを覚えていますか?」
「あれが私の姿を変える宝具だったのです。」
「しかし、突如現れたあの人物。もしかしてあなたも見覚えがあるのでは?」


主人公は頷いた。


「やはり弟なのですね。」
「私がエテーネの村でカメさまとしてあなたたち兄弟を見守っていた頃の面影のままでした。」
「あの子はあなたのチカラで遠い時代へ飛ばされたはずでしたが。」
「いや、しかし、あの子もまたエテーネの血を引くものか。」


そこに女王ディオーレがやってきて言った。
「取り込み中にすまない。」
「すぐにヴェリナード城まで来て欲しいのだ。」
「アンルシア姫がさらわれた時、あの賊はあと4人と言っていた。」
「事件はこれでおわりではない。」
「そして若き王族が狙われたのならば、次にさらわれる可能性があるのは・・」


シオンが続ける。
「オーディス王子も候補者の一人というわけですね。」
「主人公、行くべきです。もしかしたら弟の足取りもつかめるかもしれません。」
「世界に異変が起きようとしている今、あなたに希望を託しましょう。」


主人公は早速ヴェリナード城に向かった。
王室には、すでに女王ディオーレとオーディス王子が集まっていた。
そして何故かヒューザの姿がそこにあった。


ヒューザが主人公に話しかけてきた。
「おっと、すまない。こんな格好だがオーディスだよ。」


どうやらオーディスの影武者としてヒューザが選ばれ、姿を入れ替えているようだ。
オーディスと見た目がちかくて腕が立つという理由で選んだと、女王ディオーレの夫 メルー公が言う。


主人公は影武者となったヒューザの護衛を頼まれた。


主人公が王子の姿をしたヒューザと共にバルコニで話をしていると、突然魔物が襲いかかってきた。


主人公が魔物を倒すと、魔物は何か白い札のようなものに変わり、消えていった。


その様子を白いフードをかぶった大柄の男が見ている。
「グランゼドーラの王女にメギストリスの王子、3人目はヴェリナードの王子か。次はしくじりはしない。」
そう言うと、白フードの男は姿を消した。


魔物に襲われたことを女王ディオーレに報告へ行くと、そこにエリーゴ調査員がいた。
「王立調査団より報告があります。」
「先日より開始されましたジュレイダ連塔遺跡の調査にて石版がひとつ発見されました。」
「鑑定の結果、その素材は未知のものと判明。さらには次のような文面が表面に刻まれていたのです。」


「ヴェリナード王家の者のみが開放しうる扉、その向こうにひとつのツボが眠る。」
「大いなる恐怖が封じられし、真紅のツボなり。」
「大いなる恐怖はやがて目を覚まし、すべての島が海のもくずと化すであろう。」
「ウェナの歴史の終わるとき、きたれり。」


女王ディオーレが言う。
「確証はないが、捨て置くわけにもいかぬか。」
「主人公、ヒューザ、オーディスと共に行ってくれるか?」
「本当に遺跡に魔物が封じられているのならその排除を頼みたい。」


主人公は、ヒューザ、オーディスと共にジュレー島下層の奥にあるジュレイダ連塔遺跡に向かった。


遺跡の奥に進むと、開かずの扉があった。
「まずは僕が試してみよう。」
オーディスの姿をしたヒューザが扉に手を触れると、何故か扉が開く。
「開いたんならよしとするか。では中へ入ってみるとしよう。」


中に入ってみたが、真紅のツボがどこにも見当たらない。


「アハハハハ」
どこからか笑い声が聞こえる。


「またひっかかったね、このバカ王子。」
そこにいたのはキャスランだった。
キャスランは以前、暴君バサグランデを復活させようと暗躍していた人物だ。


「やっぱりあんたはボンクラさ。ウソの石版の言葉に騙されてノコノコと出てきちまうんだからね。」
「私はベビ使いの旦那に頼まれて罠を張っただけ。」


キャスランがそう言うと、白いフードをかぶった大柄な男が突然現れた。


白いフードの男の左手から白い蛇が現れ、その蛇をヒューザとオーディスの前にかざす。
するとオーディスの格好をしたヒューザの前で、白い蛇が紅く染まった。


「やはりお前で間違いないな、ウェディの王子よ。一緒に来てもらうぞ。」
フードの男はそう言うと、青い札を出しこちらに投げつけてきた。
投げつけられた青札から魔物が出現した。


主人公がその魔物を倒すと、青い札に変わり消えていった。


「そいつと渡り合えるとはな。」
白いフードの男が言う。
「だが目的は果たした。ヴェリナードの王子はもらっていくぞ。」


そう言うと、白いフードの男は気絶したヒューザを連れて魔法陣の中へ消えていった。


怒ったオーディスは、キャスランを捕らえようとするが逃げられてしまう。


主人公とオーディスは、ヴェリナード城へ戻り、女王ディオーレに報告した。


すると今度は、ドワチャッカ大陸で不審な男の目撃情報が確認されたと聞かされた。
いずれもウデに蛇を巻きつけた男がドルワーム王国で目撃されているという。


主人公は急いでドルワーム王国へ向かった。


ドルワーム王国のウラード国王に話を聞く。
「ラミザ王子は騎士団が守っているから大丈夫だが、もう一人の王家の血を引くもの、チリの護衛をそなたに頼みたい。」


ラミザ王子の妹、チリ王女の護衛をすることになった主人公。
ドゥラ院長が探知機を作ったのでそれをチリに取り付けたいが、部品がひとつ足りないとのこと。
足りない部品は「ガテリア式真空管」と呼ばれるもの。
貴重なものだが、チリ王女は育ての親である城主ダストンが持っているのを見たという。


主人公、チリ王女、院長ドゥラの3人は、丘都ガタラにあるダストンの家に向かった。


チリ王女が城主ダストンに「ガテリア式真空管」を譲って欲しいとお願いするが、聞き入れてもらえない。
しかし大量のガラクタとの引き換えを提案すると、ダストンは簡単に了承した。


「ガテリア式真空管」が手に入ったことで、院長ドゥラが作った探知機は完成。
チリ王女の右耳に発信機が取り付けられた。


発信機をラミザ王子に届けるため、列車に乗りドルワーム王国へ向かった。


交換条件のガラクタを引き取るため、城主ダストンも一緒に列車に乗り込む。


列車に乗っていると突然車内が暗くなり、白いフードの男が現れた。
フードの男の左手から白い蛇が現れ、車内にかざすと蛇が紅く染まる。


「この中にいるのは間違いないようだな」


そう言うと、フードの男はピンクの札を取り出し投げつけてきた。
ピンクの札は魔物に変わり、主人公に襲いかかる。


主人公が魔物を倒すと、フードの男が口から闇の霧を吹き出し、主人公を隔離させた。


フードの男の左手から白い蛇がまた出現し、今度はチリ王女の前にかざした。
近くには城主ダストンもいる。
すると蛇の身体は紅く染まる。
「お前か、一緒に来てもらおう。」


城主ダストンの抵抗も虚しく、チリ王女はフードの男に連れ去られてしまった。


列車を降りて、すぐに発信機の位置を確認する院長ドゥラ。
すると探知機はダラズ採掘場のダラリア砂岩遺跡を指していた。


主人公は怒った城主ダストンと一緒にダラリア砂岩遺跡に向かう。


ダラリア砂岩遺跡の奥に進む途中、広い庭のような場所があった。


古い瓦礫の中にボロボロの手記があったので、主人公はそれを読んでみた。
「今日もリウ老師はお帰りにならなかった。」
「私はもう長くはない。」
「きっと再開することはかなわないだろう。」
「閉鎖された研究所、心残りがあるとすれば今もその扉を守り続けているウルベア魔神兵08号のことだ。」
「私には命令を解いてやることもできない。」
「どうか1日も早くリウ老師がお帰りになり、あの子に安らかな時間が訪れんことを。」


近くにある壊れたウルベア魔神兵08号は、3000年前に作られたようだ。


主人公は研究所のさらに奥へと進んでいった。


そこには、白いフードの男と気を失って倒れているチリ王女がいた。
フードの男の左手から白い蛇が顔を出す。


「反応しない、どういうことだ?」
「列車の中でこの女に反応していたのは間違いないはず。何故急に反応しなくなった?」
「ん?誰だ?」


主人公と城主ダストンがそこにいた。
城主ダストンはかなり怒って、興奮している。


すると白い蛇が城主ダストンに反応し、身体が紅く染まった。


「ん?何故急に反応しだしたのだ?」
「そうか、お前こそが器だったのだな?」


フードの男は黄色い札を取り出し投げつけてきた。
黄色い札から魔物が現れ、主人公に襲いかかってきた。


主人公が魔物を倒すと、フードの男は魔法陣を出し消え去ろうとした。
その時、チリ王女が突然目を覚まし、自分についていた発信機をフードの男に投げつけた。
発信機はフードの男の左肩に付き、男はそのまま姿を消した。


駆けつけたドゥラ院長がチリ王女に声をかける。
「チリ王女、お怪我はありませんか?」


「うん、大丈夫だよ、少しの間、気を失っていただけ。」
「本当は途中から目が覚めていたんだけど、何か誘拐犯の情報をつかめないかと思って気絶したフリを続けていたの。」
「でもダメ、さすがにしっぽをつかませるような情報は得られなかったわ。」
「それでとっさに発信機を投げつけることを思いついたんだけど、なんとかうまくいってよかったわ。」


ドゥラ院長が言う。
「なるほど、急にチリ王女が起き上がった時は驚きましたが、これでヤツの足取りを追うことが出来ます。」


チリ王女「誘拐犯の足取りの他にもう一つわかったことがあるわ。」
「敵の狙いは私ではなく、お父さんだったって言うこと。」
「誘拐犯は王族を狙っているわけではないのね。」
「ドゥラ院長、このことを国王様に急いで知らせましょう。」


ドゥラ院長「今この場で最も重要と思われる人物、ダストン氏を厳重に保護します。」


ドゥラ院長は嫌がる城主ダストンをドルワーム王国で保護することを決め、無理矢理連れて帰った。


主人公もすぐにドルワーム水晶宮の王座の間に向かう。


ウラード国王が言う。
「チリを救ってくれたこと、心から礼を言う、ありがとう。」
「賊が狙っていた人物はチリではなく、チリの養父ダストン氏であったことも聞いた。」
「ダストン氏には厳重な警護をつけておる。ご本人には不満もあるようだが。」
「それからドゥラが考案した高性能発信機で、その後の敵の足取りもつかめたようだ。」


ドゥラ院長「チリ王女が誘拐犯に投げつけた発信機は現在、エルトナ大陸の世界樹の丘にあることを確認しました。」


主人公は白いフードの男を追ってエルトナ大陸の世界樹の丘に向かった。


世界樹の丘に着くと、発信機だけが落ちていて白いフードの男の姿はなかった。
が、突然、後ろから声がした。
「そのカラクリに気づかないとでも思ったか?」


振り返ると、フードの男が立っていた。
男は緑の札を主人公に投げつけた。
緑の札は魔物に変わり、主人公に襲い掛かってくる。


魔物を倒すと、そこに巫女ヒメアが加勢にやってきた。
それを見たフードの男は再び姿を消す。


巫女ヒメアが言う。
「凶風を感じて来てみれば、やはりこの地に悪しき者が紛れ込んでいましたか。」
「不吉な風が吹いていますね。もうすぐ聖祭だというのに。」


巫女ヒメアが話したいことがあるというので、主人公はツスクル村の巫女の館に向かった。


「大魔王が倒され平和の訪れし今、このエルトナの地にも大きな時代の転機が訪れました。」
「まもなく、世界樹の花が咲きます。」
世界樹の守り人たる私にはかの大樹の息吹から、葉のざわめきから、はっきりとそれがわかるのです。」
「そしてそれを祝う花開きの聖祭がここツスクルの村で始まろうとしています。」
エルトナの民にとって花開きの聖祭は数百年に一度だけ起こる奇跡の再現。」
「大陸の各地から要人が集まることでしょう。」
「そんな大切なときに世界樹の丘に悪しきものが現れた。」
「私は不吉な予感がしてならないのです。」


そこへアズランの風乗りフウラがやってきた。
「このたび、聖祭の介添え役を仰せつかりました、アズランの風乗りフウラです。」
「とても光栄なのですが、私、こんな大切な役をこなす自信がありません。」
「だって、この聖祭が終わるとき、ヒメア様は・・」


巫女ヒメアが言う。
「フウラ、よい風乗りになったそうですね。」
「そなたのおかげでアズランの風は心地よいものとなりました。」
「カザユラもきっと誇らしいことでしょう。」


フウラが驚く。
「お母様のことを知っているんですか?」


「彼女も学びの庭で学んだのですよ。」
「とても利発であなたに似て優しい子でした。」
「聖祭を成し遂げることこそは私のよろこび。」
世界樹の花はエルトナの民にとって希望の風を運ぶ大切な花。」
「そしてあなたは新たな風の象徴です。だからこそ聖祭の祭司を務める私の介添えを頼みたいのです。」


フウラが言う。
「ヒメア様、本当に、本当にいいんですか?」


ヒメア「とうに覚悟は出来ています。」
世界樹の花が開くと同時に世界樹の守り人である私の使命は終わり、この永き生を終えるでしょう。」
「ですが不思議と悲しくはありません。心は穏やかに凪いで(ないで)いるのです。」
「学びの庭を見守ってきたきた日々、永遠とも思えた時の中。」
「私は子らに囲まれ、気づけば人としての幸せをまっとうしていたのかもしれません。」


フウラ「それでも私は生きていて欲しいです。きっとみんなもそう願っていまます。」


ヒメア「ありがとう、フウラ。そのように私のことを大切に思ってくれる皆を、私もまた大切に思っています。」
「私が花開きの聖祭を成し遂げたいのは愛するそなたたちがいるからなのです。」
「わかってくれますね?」


世界樹の丘で花開きの聖祭が始まった。


ヒメアが聖なる水差しで世界樹の花の蕾に水を注ぐと、花が開き、そこから光が溢れだした。
ヒメアの身体からも光が溢れだし、その光は天に昇る。
そして巫女ヒメアは、動かなくなってしまった。


すると、風乗りフウラの身体が急に光輝きだした。
フウラの身体は光り輝きながら空中に浮かんでいる。


声がする。
「我はエルフの神、エルドナ。」
「世界の行末を変える天命を伝えんがため、この娘の身体に降りました。」
世界樹の守り人、ヒメアよ。いまひとたび目覚めなさい。」


その瞬間、巫女ヒメアの身体が激しく光輝いた。
そして、ヒメアは目を開けた。


側で聖祭を見守っていたニコロイ王が言う。
「奇跡だ!」


再びエルドナの声が響き渡る。
「500年という人には永い時の間、世界樹の守り人の使命をよくまっとうしました。」
「しかし、そなたにしか出来ない役目がまだ残っています。」


巫女ヒメアの両手に光が集まり、その光は世界樹の花になった。


「この世界樹の花は遠くない未来、とても大きな役割を担うでしょう。」
「その時が来るまで、どうか花を守って欲しいのです。」


巫女ヒメア「しかと拝命いたしました。」


世界樹の花は巫女ヒメアの身体に取り込まれ、ひとつになった。


「闇が世界を覆い尽くす、その時に。」
フウラの身体が地上にゆっくりと降りていく。


と、その時。


白いフードの男が現れ、フウラを手中におさめた。
「器は、我が手に。」


フードの男がそう言った瞬間、主人公の弟がその場に現れた。
「おまえに神の器は渡さない!」


フードの男が驚く。
「なぜ神の器のことを知っている?」
「貴様、もしや、2つの器をかすめ取った盗人か。」


フードの男は青い札を主人公に投げつけた。
青い札は魔物に変わり、主人公に襲いかかる。


魔物を倒すと、その魔物は消える間際に主人公に向かってメラゾーマを打ってきた。
すると弟が主人公の前に立ちふさがり、メラゾーマを身体で受ける。


魔物は消え、弟はうずくまる。


「神の器はいただいた。」
フードの男は、フウラと共に消えてしまった。


「お兄ちゃん、これ以上、神の器を追おうとはしないで。」
そう言うと、弟も姿を消してしまった。


ニコロイ王が言う。
「しかしアンルシア姫たちをさらった者と、フウラをさらったフードのならず者は仲間ではなかったのか。」


巫女ヒメアが言う。
「皆には心配をかけました。」
世界樹の花を守るという使命を得て、すこしだけ生きながらえることになりました。」
「かの悪しきものが狙うのは、神の器。」
「幼き頃、母より聞いたことがあります。」
「六種族を司る六柱の神々からの特別の加護を受けて生まれる子がいると。」
「その子は神の器と呼ばれ、種族の神と魂の結びつきを持つとか。」
「おそらく、フウラがエルフの神エルドナ様の神の器なのでしょう。」
「すでにさらわれた他種族の者達もそれぞれの神の器だったと言うことになります。」


人間の神「グランゼニス」
エルフの神「エルドナ」
プクリポの神「ピナヘト」
ウェディの神「マリーヌ」
ドワーフの神「ワギ」
オーガの神「ガズバラン」


巫女ヒメアが、フードの男の行方を占う。
オーグリード大陸、ランガーオ村。そこに悪しきものが向かっているようです。」


主人公はランガーオ村に向かった。


ランガーオ村はすでにドラゴンに襲われていて、村王クリフゲーンが負傷していた。


村王クリフゲーンの傷を治す薬を娘のマイユと恋人のアロルドが用意して治療をする。
そのおかげでクリフゲーンは命を取り留めた。


すると、マイユとアロルドの前に突然白いフードの男が現れた。


アロルド「お前が村をドラゴンに襲わせたのか!」


「先日この村を訪れた時には貴様らいなかったな?」


フードの男の左手から白い蛇が現れる。
蛇はマイユの前で身体を紅く染めた。


「貴様か。」
「貴様こそが我々が探し求めていた神の器。」


アロルドがフードの男に戦いを挑むが、呪いの霧を浴びせられて気を失ってしまう。
マイユが怒ってフードの男に襲いかかった。


マイユが男の顔を蹴りあげた時に、フードが外れ顔が見える。


「あなた、魔物だったのね。」


「魔物ではない。我々はこの世界の歴史から忘れ去られし種族。」


マイユは男の反撃を受けて気を失ってしまう。


そこへ主人公が駆けつけた。


「また貴様か。この姿を見られた以上、もはや決着をつけねばなるまい。」
「我が名は竜将アンテロ、我が手で貴様に引導を渡してやろう。」


竜将アンテロが主人公に襲いかかってくる。
それを退けた主人公。


「貴様、この私に手傷を負わせるとは。」
「だがこれしきで私を倒したと思っては困るぞ。」


そこへ、村王クリフゲーンが駆けつける。
「その背格好には見覚えがある。」
「貴様、先日村を襲った白フードの男だな?」


竜将アンテロが言う。
「さすがに分が悪いな。」
「オーガの神の器はしばし預けておいてやる。」
「我ら竜族の野望、必ずこの手で実現してみせる。」


竜将アンテロは魔法陣を出し、消えていった。


村王クリフゲーンが言う。
竜族だと?あの異形の姿と恐ろしいまでの強さ。」
「いったい竜族とは何者なのだ。」


村王クリフゲーンは、マイユとアロルドを家まで運んだ。


主人公が村王の家に行くと、マイユはすでに目を覚ましていた。
しかしアロルドはまだ眠ったままで苦しんでいる様子だ。


村王クリフゲーンが言う。
「アロルドの毒がなにをしても消えない。」
「こんな症状の毒は今までに見たことも聞いたこともない。」
「アンテロとやらの居場所をつきとめればこの毒を治す方法もわかるかもしれんが。」


そこへ、マルトンというグランゼドーラ城からの使いがやってきた。
「主人公殿、直ちにグランゼドーラ城にお戻り下さい。」
「シオン様から急ぎおいでいただきたいと伝言を預かって参りました。」
「なんでも相次ぐ誘拐事件について、重大なことを直接お伝えしたいとのことであります。」


主人公は、グランゼドーラ城 東の塔にいるシオンに会いに行った。
「主人公、あなたを待っていました。」
「これまであなたが誘拐事件を追って知ったこと、そのすべてを私に聞かせていただけませんか?」


主人公は今までに起きたことをシオンに話した。


「竜将アンテロ、ランガーオ村に現れたその男は確かに自らを竜族だと名乗ったのですね?」
「やはり、竜族か。」
「悠久の時を経て定められし運命の時がアストルティアに訪れようとしている。」
「すべてはその流れの一つにすぎない。」
「主人公、あなたをここへ呼んだのは竜族という存在について教えるためです。」
「この世界から忘れ去られし幻の種族、空の民、竜族。」
「ランガーオ村に現れたアンテロという者の姿は、まさに古来より伝えられし竜族そのもの。」
「あなたには聞き覚えがあるのでは?」
「そう、あなたの古き友、シンイが仮の宿としたクロウズもまた、アンテロ同様、竜族と名乗っていたはず。」
「この先は私が語るよりもあなた自身の目で確かめてくるほうがいい。」
「このアストルティアには竜族が住む、竜族の隠れ里という場所があります。」
「飛竜に乗り、モンセロ温泉峡の南にある煙霧の滝へ降り立ち、竜の描かれた壁画の前で竜笛を吹きなさい。」
「そうすれば竜族の隠れ里への道が開けるでしょう。」


主人公は、シオンから「白き導きの手」を受け取った。
「その白き導きの手を持っていれば、いかなる場所に居ようとも、私からの助言があなたに届くはずです。」
「ただし白き導きの手が声を伝えるのは、私の方から呼びかけた時のみ。」
「あまり期待はしすぎないように。」


主人公は飛竜に乗り、煙霧の滝に向かった。
竜の描かれた壁画の前で竜笛を吹くと、村への入り口が現れ、主人公がその入口をくぐるとすぐに消えてしまった。


竜族の隠れ里に入ると、すぐに人がやってきた。
「やれやれ、ひどい音色じゃ。」
「こんな竜笛が下手くそなやつ、この里にいたかのう。」


その村人は、主人公の姿を見て驚く。
「なんと、竜族以外の者がこの里に入ってこようとは。」
「先ほど聞こえた竜笛の音色はそなたのものだったようだが。」
「竜笛の技術は竜族だけに伝わるもの。そなた、いったいどこでそれを手に入れた?」


主人公はクロウズから竜笛を受け取ったいきさつを話した。


「なるほど、そなたはクロウズの。」
「わしの孫の友人じゃったのか。」
「いや、警戒してすまなかったな。」


「わしはオルゲン。この隠れ里に住む竜族たちの族長だ。」
「クロウズが竜笛を託したのなら、そなたは信頼に足る人物なのだろう。」
「この里の客人として喜んで迎えよう。」
「まずはなにゆえこの里を訪れたのか、わしの家でくわしい話を聞かせてもらえるか。」


主人公はオルゲンの家に向かった。


「こうしてずっと隠れて暮らしていると、毎日の生活に張りがなくての。」
「外からの客人など、数十年ぶりだよ。」
「それがクロウズの友人で、しかも竜族以外の種族とは。」
「長生きはしてみるものだ。」


「クロウズが里を出て行ってからというもの、となりにあるあやつの部屋もがらんとして、少しばかり寂しかったんだ。」
「しかしわざわざこんな年寄りばかりのへんぴな村まで、そなた一体何をしに来たんだ?」


「なんと、竜族の男があちこちで人を襲い、誘拐していると。」
「バカな、クロウズを除けば竜族はこの里にいるものだけだ。」
「にわかには信じがたい話だが。」
「ひょっとして、そやつは、奈落の門の向こうからやってきた竜族なのかも知れない。」
「奈落の門、その向こうは神代の昔にアストルティアから切り離された世界でな。」
「なんでも竜族の故郷があるとのことだ。」


「わしらはその門が閉ざされた時に、こちらの世界に取り残されてしまった竜族たちの子孫なのだ。」


「そういえば先日、里の外に出ていたものがエテーネの島の上空に巨大な門が浮上して、その後すぐに消えたと言っていたな。」
「それが奈落の門だとするならば、門は消えたのではなく、その場に存在したまま見えなくなっているんだろう。」
「そう、この隠れ里に施されたものと同様の竜族に伝わる幻術で隠されているのだ。」


「その幻を生み出し制御しているのが、この里の中央にもある竜の香炉という特殊なカラクリなのだ。」
「そなたがその竜族の男を追うため、消えた奈落の門を見つけ出すつもりなら、竜の香炉が必要になるだろう。」
「この里のものを貸すわけにはいかないが、1回きりのものでよければ竜の香炉をひとつ、作ってやろう。」


主人公は、オルゲンから竜の香炉を受け取った。


すぐに飛竜に乗り、エテーネ島の上空に向かった。


エテーネ島の上空で竜の香炉を使うと、目の前に奈落の門が現れた。
主人公は奈落の門の前に降り立った。


そこには竜将アンテロがいた。
奈落の門の前に立っている。


手に持った何かを門にかざすと、ゆっくりと奈落の門が開いた。
「待たせたな、私だ。」


門の中から、2人の竜族の男が現れる。
「おお、アンテロ様。よくご無事で。」


「予想外の妨害にあってな。完全には使命を果たせなかった。」
「あの方には合わせる顔もないが、まだあきらめたわけではない。」
「引き続き、残る神の器を狙うつもりだ。」
「せめて今はこの二人だけでもあちらに連れて行ってくれ。」


気を失ったヒューザとフウラが奈落の門の向こう側へ引き渡される。
「ぬ?誰だ?」


主人公の姿に気がつく竜将アンテロ。


「ほう、貴様か。」
「どうやってこの門の幻術を解いたかは知らないが、よかろう。これまでの失態を精算するためにもここで決着をつけてくれるわ。」
「あの方の加護を受けられるこの場所でならば存分に戦える。」
「今こそ、我が真の実力を見せてやろう。」


襲い掛かってくる竜将アンテロを主人公は退けた。


「ふん、この程度で勝ったつもりか?下級種族の分際で片腹いたいわ。」


奈落の門から出てきた2人の竜族の男たちが駆け寄ろうとする。
「お前たちは先にいけ。ネズミがまぎれ込む前に門を閉じよ。」


「教えてやろう、選ばれし民、竜族の絶対的な強さを。」


竜将アンテロの姿が巨大な竜に変わった。
「貴様を門の向こうに行かせるわけにはいかない。」


巨大な竜に姿を変えたアンテロが主人公に襲いかかる。
なんとかアンテロを倒す主人公。


「なんという強さ。貴様、ただのエルフではなかったか。」
「だが、門の向こうは我ら竜族の領域。貴様に行かせはせん。」


アンテロはそういうと、手に持っていた竜の形をしたものを砕いてしまう。
これは先ほど奈落の門を開くときに手に持っていたものだ。


すると、奈落の門は閉じてしまう。


アンテロはその場で息絶え、消えてしまった。


アンテロが倒れたあとに、粉々に砕かれた破片が散らばっている。
主人公は、その壊れた印章を拾った。


そこへオルゲンがやってきた。
「おお、これが奈落の門か。なんと巨大で荘厳な造りだ。」
「どうやら見事、例の男に打ち勝ったようだな。」


「なにやら嫌な予感がしてな。そなたを心配して来てみたが、浮かぬ顔だな。」


「なんと、男は倒したが仲間は奈落の門の向こうへ連れ去られてしまったのか。」


主人公は壊れた印章をオルゲンに渡した。
「ふむ、なるほど。これは奈落の門を開けるためのカギの役割を果たす印章のようだな。」
「これはまた難解な仕組みでできているな。この印は神代の。」


「主人公、そなたは仲間を助けるために奈落の門の向こうへいくるもりだな?」
「ならばそなたに語っておかねばなるまい。奈落の門の向こうに広がる竜族の世界。」


「その名をナドラガンドという。」
「ナドラガンドはアストルテイアより隔絶され、長きに渡り、いっさいの交流が途絶えた未知なる世界。」
「我らの常識では計り知れぬ場所だ。あまたの苦難が降りかかることだろう。」


「ひとまず、この印章はわしが預かる。」
「これは古き竜族の技によって作られたもの。」
「他の種族のものには扱えないが、わしならば修理することが出来るだろう。」
「必ず直してみせるから、待っていてくれ。」


ナドラガンドに住む竜族の風景が見える。
ひとりの娘が老人の所に歩いて行く。
老人は長い杖を持っていて、青白い炎の前で未来を予測している。
「たゆたう炎よ、この世界の行く末を、我らの待望するかの者の到来せし未来を今ここに示しておくれ。」


青白い炎の中に、誰かと戦うヒューザの姿が見える。
誰かから逃げ、走っているフウラとラグアス王子の姿が見える。
クロウズが竜化の術を使っている。
何かに絶望し、膝をつき泣いているアンルシアの姿が見える。


竜族の老人が言う。
「まもなくだ。もうまもなく、約束されし解放者がこのナドラガンドの地に現れる。」


竜族の娘が老人に話しかける。
「失礼します。総主教さま。」
「まもなく礼拝が始まる時間です。」


「我らが神よ、その日まで、どうか竜族の民をお守りください。」