ドラゴンクエストX(DQ10) ネタバレストーリー まとめ

ドラゴンクエストX(DQ10)のメインストーリー、サブストーリーのまとめ

エピソード22 闇を抱く月光の楽園

ビアス達の先行調査隊が闇の領界から戻ったというので、主人公はエステラのもとに向かった。
ビアスの報告によると、闇の領界の人々は毒と病に苦しんでいるようである。


それを聞いたエステラは、故郷のマティル村のことを思い出した。
「きっとつらい日々を送っているでしょう。」
「急ぎ闇の領界へ出発したいところですが、オルストフ様から主人公さんに会いに来て頂きたいと伝言が。」
「私はここで待っていますので、出発なさる前にオルストフ様のお部屋をお尋ねください。」


主人公は早速、総主教オルストフの部屋を訪ねた。
「おお、主人公さん。わざわざお呼びだてして申し訳ない。」
「お待ちしておりましたよ。」
「ようやくトビアスが闇の領界の調査から帰還いたしましてな。」
「トビアスからの報告によれば、闇の領界は深き闇に閉ざされ、いたるところから毒が吹き出す恐ろしい世界。」
「そのため闇の領界の民は、みな毒と病に苦しんでいるそうなのです。」
エステラの故郷と同じ様に。」


神官長ナダイアが口をはさむ。
「調査結果をもとに、トビアスには闇の領界の毒を打ち消すことのできる新しい解毒剤の開発を急がせている。」
「我が教団の研究部門が総力を上げて取り組んでいるのだが、完成の見込みは今のところたっていない。」
「解毒剤がなければこれ以上闇の領界の調査を進めることもかなわん。」
「ほとほと困り果てているのだ。」


総主教オルストフが話を続ける。
「この通りの有様なのですが、闇の領界のことで主人公さんにはどうしても伝えておかねばならない情報があるのです。」
「あなたがお探しのご友人の中に、行方不明の女性がいたはずでしたな?」


神官長ナダイアが再び口をはさむ。
「調査中、凶悪な魔物に襲われた教団の者たちを赤い肌の異種族の女性が助けてくれたという報告を受けたのだ。」
「その女性は魔物たちを倒すとすぐに何処かへと立ち去ってしまったとか。」


総主教オルストフが話を続ける。
「もしもその女性があなたがお探しのご友人なのだとしたら、急ぎお伝えせねばと思いましてな。」
「その赤い肌の女性は行方知れずだそうですが、闇の領界へ向かえば何か手がかりがつかめるかもしれません。」
「もし危険を承知でご友人のため闇の領界へ旅立たれるのなら、我々に代わって調査を進めていただけないでしょうか。」
「教団としてもあなたに頼るしかないのです。」


主人公は闇の領界へ向かうことを総主教オルストフに伝えた。
「おお、行っていただけますか。感謝します。」
「ならばエステラを補佐につけましょう。きっとあなたのお役に立つでしょう。」


主人公は早速、氷晶の聖塔の南東「円盤の遺跡」に向かった。


主人公は「円盤の遺跡」のゲートをくぐった。
そこには大きな白いモグラがいた。
闇の色をしたハープを手に持っている。
モグラは歌っていた。
「移りゆく季節の中〜 ひとみを閉じて君を想う〜 やっと気づけたんだ〜 ただそばにいたい〜 それだけのことに〜」


主人公に気がついたモグラが話し始める。
「幾千、幾万の時を越え、やっとお前に会えたな。主人公。」
「この瞬間をずっと待っていた。」
「さあ、今こそ汝に問おう。」
「もしお前が心から信じる者が、取り返しのつかない過ちを犯した時、お前はその者を信じ続けることが出来るか?」


主人公は頷いた。


「お前が信じるは、世界が決めた正義ではなく、自分自身が信じた人そのものか。」
「それもまた一つの真実だろう。」
「さて、主人公よ。汝だけに伝えておきたいことがある。」
「女神ルティアナはこの世に光をもたらした。」
「されどどこにも闇がないならば、光は光とは呼ばれない。」
「それと同じく、どこにも光がないならば闇は闇とは呼ばれない。」
「されど次なる領界は闇の領界。」
「暗き闇に覆われたその世界がなにゆえ闇と呼ばれるのか。」
「その身をもって知るがいい。」


モグラは再び歌い始める。
「旅立つ君の背中〜 追いかけたいけど〜 追いかけられなかったよ〜 そんなボクの弱さ〜 許して欲しい〜」


モグラの名前は「神獣パチャティカ」。


その瞬間、眩しい光に包まれ、気が付くと主人公は闇の領界にいた。
そこは、一面真っ暗で、空のない世界だった。
主人公は遺跡の近くにある「カーラモーラ村」を目指して進んだ。


途中でマイユが倒れているのを見つけた。
主人公はすぐに側へ駆け寄る。
マイユの側には竜族の眼鏡をかけた少年がいた。


マイユは意識がもうろうとしていて、竜族の少年に話しかけている。
「私のことは置いていって。あなただけ、はやく村に。」


竜族の眼鏡をかけた少年が答える。
「ボクは問題ない。治療が必要なのは、あなただ。」


マイユが答える。
「ごめんなさい、あなたを助けるつもりが、逆に迷惑を。」


そのとき、マイユが主人公の姿に気がついた。
「主人公さん!本当に主人公さんなの!?」
「でも、よかった。主人公さん。この子、安全な村の中へ。お願い。」


そう言うと、マイユは意識を失ってしまった。


竜族の少年が呟く。
「息はある。まだ間に合うはずだ。」


「主人公、初めて見る顔だ。君も竜族ではないのか?」
「君のことは後回しだ。この人の知り合いなら、手を貸して。」
「この近くで猛毒の胞子を浴びたんだ。」
「放っておけばこの人はじきに死ぬ。」
「でも月の光さえ浴びれば問題ない。手伝って。カーラモーラ村の中へ運ぶんだ。」


主人公は竜族の少年と共に意識を失ったマイユを村の中へ運んだ。


少年の名前は「サジェ」というようだ。
サジェと主人公、マイユの姿を見つけた村人が集まってくる。
「おい、サジェ!また黙って村の外へ行ってたな?」
「兄さんの言うことが聞けないのか。さあ、家に戻るんだ。」


サジェが答える。
「ボクとあなたは赤の他人だ。指図しないでくれ、バジュー。」


それを聞いたバジューは怒りだした。
「何だと!人が心配して言ってやってるのに。」
「しかもそのおかしな連中はなんだ?」
竜族じゃないようだがいったい何処から連れてきた?」


その時、エステラの声が聞こえてきた。
竜族の男性に必死に話しかけている。
「カイラム村長、村中に重病人がいるのにどうして私達の治療を拒むのです?」
「お願いします、どうか協力させて下さい。」


カイラム村長は取り付く島がない。
「治療など必要ない。エステラ殿と申したか。あなたの厚意は受け取っておこう。」
「だがこの闇の領界には、月がある。」


エステラは驚き空を見上げるが、闇が広がっているだけだ。
「異世界の空に浮かぶというあの月ですか?」
「それが闇の領界に存在していると?」


バジューがエステラに話しかける。
「ナドラガ教団だかなんだか知らないが、よそ者は黙っていてもらおうか。」
「ここにはここのやり方があるんだ。」


エステラはなおも食い下がる。
「そんなことを言っている間に、病に伏せる村の皆さんにもしものことがあったら。」


そのとき、エステラは主人公の姿に気がついた。
「主人公さん!あなたも到着していたのですね。ご無事で安心しました。」
「まあ、お連れの方は一体どうなさったのです?」
「この方がマイユさん。やはり闇の領界にいらしたのですね。」
「ですが、一体何が。」


サジェが話し始める。
「ボクをかばったんだ。」
「一人で遺跡の調査をしていたら、突然すぐそばで猛毒の胞子が吹き出した。」
「このまま死ぬんだろうと覚悟した時、ボクをかばって・・」


バジューが言う。
「そうか、お前。責任を感じてそのマイユっていう異種族の女を村まで連れてきたのか。」


カイラム村長が言う。
「事情はわかった。そういうことなら、浄月の間に寝かせておけ。月の光さえ浴びれば問題なかろう。」


マイユはバジューに運ばれていった。


エステラは困惑している。
「浄月の間?月の光?このカーラモーラ村はいったい・・・」


エステラと主人公も浄月の間へと向かった。


浄月の間に入ると、バジューが近づいてきた。
「おい、よそ者のくせに勝手に浄月の間に入ってくるなよ。さっさと出て行くんだ。」


サジェが言う。
「待ってよバジュー。」
「主人公はあの人が心配で来たんだ。さあ、こっちへ来て。」


エステラはなおも訴えかける。
「瀕死のマイユさんをただ寝かせておくだけなんて、どうか私たちに治療させてください!」
「この村のしきたりだとお聞きしましたが、これではあまりにも・・」


カイラム村長が答える。
「案ずることはない、エステラ殿。」
「闇の領界では毒の治療など不要なのだ。」
「ほれ、今、月が現れる。」


空に月が現れ、浄月の間に月光が降り注ぐ。


すると、病に冒された竜族の人々が次々と元気になっていく。


エステラが驚く。
「みるみる皆さんがお元気に。本当にこの月の光には癒やしのチカラがあるというの?」


しかし、マイユの毒はまだ抜けない。
それを見たバジューが驚く。
「おいサジェ。この女だけ毒が抜けないぞ?竜族以外にも月の光は効くのか?」


サジェがマイユを観察する。
「少しずつだけど息が落ち着いてきている。強い毒の直撃を受けたから時間がかかっているだけだろう。」


その時、大きな地響き共に、声が響き渡る。
「月の光は今宵限りだ。」


羽根の生えた悪魔達が大勢で月を囲んでいる。
悪魔たちは一斉に月を攻撃して破壊してしまった。


悪魔が言う。
「月は落ちた!二度と光を放たぬよう破壊してやったぞ!」
「貴様らに救いなどないのだ!毒に苦しみながら死んでいくがいい!」


月は破壊され、悪魔たちは飛び去っていった。


村人たちは驚き戸惑い、その場に立ち尽くしていた。
取り乱すものも大勢いる。


エステラが皆に言う。
「皆さん、どうか落ち着いて。」
「私が教団本部へ連絡し、救援を呼びます。」
「それまで安静にしてお待ち下さい。」


カイラム村長はうなだれている。
「いくら手当をしようが、闇の領界の毒は日々我らを蝕む。」
「それを癒せるのは月の光ただひとつ。」
「ここにいる病人を治療したところで一時しのぎにしかならん。」


サジェがマイユを見ながら言う。
「みんなの浴びた毒は軽いものだ。」
「でもこの人はひどい毒に蝕まれている。」
「急いで月の光を浴びなければ、確実に死ぬ。」


「月だけが闇の領界を救えるなら、落ちた月をまた浮かべればいい。」
「闇の領界、その頂には楽園あり。」
「彼方より照らす月の光はすべてを癒す。」
「昔からの言い伝えだ。」


「だけど月は魔物に襲われ、月の光は失われてしまった。」
「それなら月を探しだし、空へ戻すことが出来れば元通り光を放つはずだ。」
「この女の人も、村のみんなも治るかもしれないんだ。」


「楽園へいこう。月を元通りにする方法を僕たちの手で探すんだ!」


カイラム村長は言う。
「月が失われた今、村の外に出て毒に蝕まれれば、助かるすべは無きに等しい。」
「しかも先程の魔物がまたいつ現れるかもわからんのだぞ。」


サジェが主人公に話しかける。
「君、この女の人の友達なんでしょ?」
「それにさっき魔物が出た時も冷静だった。」
「お願いだ、僕と一緒に楽園へ行ってくれ。」
「危険な旅になる。君にしか頼めないんだ。」


主人公は楽園へ行くことを決めた。


「助かるよ。君の協力があればきっと村のみんなを助けることが出来る。」
「それじゃ、いこう。主人公。」


楽園の入り口は村から西の岩穴の奥にあるようだ。
主人公は早速岩穴に向かうことにした。
マイユの看病はエステラに任せることになった。


岩穴の入り口に着くと、サジェがすでに到着していた。
「来てくれたんだね、主人公。」
「そうさ、ここが楽園への扉。」
「大昔から、この扉の向こう、はるか頂きに毒にも病にもおびやかされない楽園があると村には伝えられている。」
「貴重な過去の遺跡だから錠前を壊さずに開ける方法を探してたけど今は非常事態だ。しょうがない。」


ナイフを取り出し、扉を破壊しようと試みるサジェだが、扉はびくともしない。
「駄目だ。力技じゃ開きそうにないよ。どうにか扉を開く方法がないかな。」


その時、背後からカイラム村長の声が聞こえた。
「扉に触れてはならぬ!」


「領界の頂に存在するという楽園。闇の領界に住むものならば、その言い伝えは誰でも知っておろう。」
「だが言い伝えはそれだけではない。サジェ、お前は小さいから知らぬだろうが、楽園には恐ろしい秘密があるのだ。」
「楽園はけがれ無き地。毒も病もなき月の光に照らされし地。」
「されど楽園には悪魔が棲む。」
「かの楽園は禁忌の地。」
「楽園を目指すは神に背くと知れ。」


「かつて我らの先祖の大半は、楽園に棲むという悪魔に殺された。その時逃げ延びた僅かなものが深い闇の底に村を作ったという。」
「無論、言い伝えを確かめたものはおらぬ。だが、月を落としたあの魔物が現れた。」
「あれこそが楽園の悪魔かも知れぬ。」


「サジェよ。この扉を開いてはならぬ。楽園に近づいてはならんのだ。」


サジェが答える。
「秘密ってそれだけ?」
「楽園には悪魔がいるから危ないってことは村の古い書物を調べてとっくに知っている。」
「でもどんな危険があったって、ボクは楽園へ行くよ。」


カイラム村長が言う。
「異種族の娘のために、なにゆえお前はそこまでするというのか。」
「サジェ、お前、あのことをいまだに?」


サジェが答える。
「ボクはあの女の人に助けられた。その借りを返したいだけだ。」
「それにこの扉の向こうにあるのは危険だけじゃないさ。」
「楽園、伝説の地。はるか頂きに存在するという月の光あふるる神秘の地。」
「ボクはずっと憧れていた。この扉の向こうに何があるのか。」
「未知なる世界をこの目で見てみたいんだ。」


カイラム村長がうなだれる。
「お前も楽園に魅入られたか。」
「ならば私の忠告など耳に入るまい。」
「サジェ、影の谷へ向かえ。」
「この扉を開くカギは楽園よりもたらされる災いが村を襲わぬようナドラガ神を祀るほこらに封印されておる。」
「長らく閉ざされていた影の谷へ向かう道を開いてやろう。」
「カーラモーラ村の地下から行くが良い。」


サジェは不安気だ。
「でも、あの場所は・・」


カイラム村長が言う。
「どうした?怖気づいたか?」
「楽園への扉を自らの手で開き、その真実を知りたいのではなかったのか?」


サジェが答える。
「怖くなんかあるものか。」


カイラム村長は主人公に言う。
「ならば行くが良い。このチビスケをよろしく頼みますぞ。」


主人公とサジェは影の谷の奥、ナドラガ神を祀るほこらへ向かった。


主人公がナドラガ神を祀るほこらに着くと、サジェが遅れてやってきた。
「主人公、遅くなってすまない。影の谷はどうしても苦手なんだ。」
「あの時のこと、思い出しちゃて。」


「ごめん、なんでもない。ともあれ、君がいてくれて助かったよ。」
「ボクだけじゃほこらに辿りつけなかった。」


「ここがナドラガ神のほこらか。初めて来たよ。」
「さあ、楽園のカギはどこだろう。」


ほこらをくまなく探すが、カギはなかなか見つからない。
「さすがに簡単には見つからないか。」
「隠されているとして、手がかりになるものは・・村の言い伝え・・」


「楽園は穢れ無き地。」
「毒も病もなき、月の光に照らされし地。」
「されど楽園には悪魔が棲む。」
「かの楽園は禁断の地。楽園を目指すは神に背くと知れ。」


サジェが何かに気がついた。
「楽園を目指すことは神に背くこと。神に背を向ける。つまり、この祭壇の後ろに?」


祭壇の後ろを探すと、扉のカギがでてきた。
「おかしいな、このカギ。やけに真新しい。」
「楽園への扉を閉ざしていた鍵穴はずいぶん古いものだったのに。」
「ごめん、急がなきゃいけないね。こういうものを調べ始めるとつい夢中になっちゃって。」
「主人公、楽園への扉まで戻ろう。このカギで楽園を目指すんだ。」


サジェと主人公は、楽園への扉まで戻った。


楽園の扉の前に到着した。
「やっぱり扉とカギは作られた時代が異なっているみたいだ。いったいどういうことだろう。」
「そうだった、先に扉を開かなきゃね。やってみよう。」


サジェが扉にカギを差し込むと、大きな音とともに扉が開いた。
中に入るサジェと主人公。
「真っ暗だね。ここで行き止まり?」
「いや、きっとどこかに楽園へ続く道があるはず。」


サジェは辺りを観察する。
「風の流れを感じない。おそらくここは部屋だ。どこかに扉がないかな。」


その時、サジェが何かスイッチのようなものに触れてしまう。
同時に辺りが急に明るくなった。
そして部屋全体がどこかに移動しているようだ。
「この部屋、移動しているみたいだ。」
「上に向かっている?」


その時、部屋全体に声が響き渡る。
「やはり月を求めて現れたな。だが、楽園へ行かせるわけにはいかん!」


月が襲われた時に現れた悪魔の手下達が現れた。
「月を失い、楽園を目指す道半ば、希望さえも失い、絶望のうちに死ぬがよい。」


主人公は襲い掛かってくる魔物たちを倒した。
「ありがとう、主人公。君のおかげで助かったよ。」
「悪魔の手下が邪魔してきたってことは、この部屋は間違いなく楽園に続いているはずだ。」
「まだ上へ移動しているね。一体何処まで行くんだろう。」


突然アラームが鳴り、部屋の移動が停止した。
部屋に声が響く。機械のの声のようだ。
「生命反応を感知。滅菌処理スタート。」


突然部屋全体にガスのようなものが噴射された。
すると、主人公たちのHPとMPがみるみるうちに回復した。


その後、部屋全体が光で満ち溢れる。
「まぶしい、なんて光だ。目がくらんで何にも見えない。」


「やっと目が慣れてきた。不思議な部屋だね。楽園の住人が作ったのか?」
「楽園はきっとこの扉の向こうだ。行ってみよう、主人公。」


サジェと主人公は部屋の扉を開け、楽園の中に入っていった。


「ここが楽園。」
「なんて広いんだ。大きな天井から光が溢れている。」
「水面みたいになめらかな床。どうしたらこんなにまっすぐに作れるんだ?」
「ボクたちが暮らす村の上に、こんな場所が。」
「カーラモーラ村の技術では、こんな建物は100年たったって作れっこない。」
「この楽園は、いつ誰が建造したものなんだ?」
「毒素も全く無い。空気は清浄だ。ここに来ればきっと毒におびえずにみんなで幸せに暮らせるはず。」
「ここが伝説の楽園なんだ。」


「どうしてこんな綺麗な場所に悪魔が棲んでいるんだろう。ボクたちの先祖から楽園を奪った?」
「ああ、気にしないで。独り言を言いながら考えるほうが思考がまとまるんだ。」
「主人公に質問しているわけじゃないよ。」


「それにしてもわからないことだらけだな。」
「誰かいれば話を聞けるんだけど。この辺りには人の気配がしないね。」
「まずは月を探そう。この楽園のどこかに落ちたはず。」


すると突然、キャタピラで移動する小さな黄色いロボットが主人公たちの前まで進んできた。
「アクシデント報告。発見者、管理端末Q484。」


このロボットは管理端末Q484という名前のようだ。
「中央通路にて、アンノウン複数と遭遇。データ未登録。」
「種族の異なる生命反応と判断。」
「原始的武器の所持を確認するも、攻撃行動なし。」
「エネミー判定、ネガティブ。」
「最優先事項に変更なし。領界浄化システムの修理へ向かう。」


管理端末Q484はそう言うと、主人公たちの前から立ち去ってしまった。
慌てて管理端末Q484を追いかける。


管理端末Q484が何かの前で止まった。
「領界浄化システム発見。」
「外部からの攻撃、及び墜落により領界浄化システム故障。」
「下界の毒素浄化は現在、停止中。」


サジェがあることに気づく。
「この金属のカタマリ。光を失っているけど、間違いない。」
「これがボクたちの月なんだ。」
「月が作り物だったなんて。どんな毒をも消し去るあの月が。」
「誰かの手で作られたもの?」


「こんなの誰も信じてくれないよ。」
「ボクだって信じられないんだもの。」
「楽園、なんて場所だ。」


管理端末Q484が動き始める。
「領界浄化システム、故障箇所の調査及び修理スタート。最優先事項。」


管理端末Q484が月の修理を始める。
「コイツ、月を直せるのか、すごいや。」
「これならきっとあの女の人も村の人も助かるぞ。」


その時、月を破壊した悪魔の声が聞こえる。
「いいや、貴様らは死ぬのだ。」
「修理などさせんぞ。月を失い、苦しみながら死ぬがいい!」
「邪悪なる意志に従い、月も、お前たちも滅ぼしてくれるわ!」


襲いかかってきた悪魔「くらやみ飛天」を主人公は倒した。


サジェが喜びながら主人公に駆け寄る。
「主人公、君は何者なんだ?どこからともなくふらりと闇の領界に現れて月を落としたあの悪魔を倒しちゃうなんて。」
「いや、キミがどこの誰だって関係ない。」
「楽園の悪魔を倒してくれてありがとう。」
「悪魔は滅んだ。これで一安心だね。」
「あとは本当に管理端末Q484が壊れた月を直してくれれば。」


管理端末Q484はなおも修理を続けている。
しばらくすると、管理端末Q484の動きが止まった。
「予備パーツ交換完了。補修材、注入完了。」


サジェが喜ぶ。
「もしかして、もう月を直しちゃったのかい?」
「すごいや、やるじゃないか、管理端末Q484。」


管理端末Q484が言う。
「補修材、定着完了まで3ヶ月。」
「修理時間の短縮には、サルファバリンが必要。」
「サルファバリンを補充せよ。」
「凝固促進剤サルファバリン補充後の定着完了時間、30秒と算出。」
「サルファバリンを補充せよ。」


管理端末Q484はスリープモードに入ってしまった。


サジェが言う。
「サルファバリンというものがあれば修理がすぐに終わるらしいけど、そんなもの聞いたこともない。」
「どこか楽園の他の場所にないかな。ボク探してくるよ。」


そう言うと、サジェは何処かへ行ってしまった。


すると突然シオンの声が聞こえた。
「主人公、私の声が聞こえますか?」
「どうやらお困りのようですね。私が助言できるかもしれません。」
「何が起きたのか教えていただけませんか?」


主人公は経緯を説明した。


「なるほど、主人公。率直に言って、あなたの必要とするその物質はこの世界のどこにも存在していません。」
アストルティアオーグリード大陸にかつて存在し、今は失われた物質。」
「それこそがサルファバル鉱。」
「けれど主人公、あなたなら時を超え手に入れられるはず。」
「過去へ向かい、友にチカラを借りなさい。」
「ただし、サルファバル鉱を精製する技法は闇の領界のみ伝えられているとか。」
「その技法を知る者がいればいいのですが。」


サジェが戻ってきた。
「サルファバリンを探そうとしたんだけど、奥の建物への通路が封鎖されていて。」
「ごめん、役にたてなくて。」


主人公はサジェにサルファバリンの原料がアストルティアにあるらしいことを伝えた。


「なんだって?サルファバル鉱?キミの世界にある物質なのかい?」
「でもその鉱石を手に入れても、精製しなければサルファバリンは手に入らず、その技法は闇の領界に伝えられている・・・」


「そうだ、村長なら。」


「カーラモーラ村のカイラム村長の家には古い文献が沢山あった。」
「それに村長は鉱石の精製に詳しいんだ。」
「もしかしたらサルファバル鉱からサルファバリンを精製する技法も知っているかもしれない。」


「主人公、もし無事にサルファバル鉱を見つけたなら、カーラモーラ村の村長に聞いてみてくれ。」
「ボクはここに残って月の仕組みについて調べながら待っているよ。」


主人公は大地の箱舟に乗り、時渡りの術を使って、エルジュのいる500年前のグレン城に向かった。
早速エルジュと話をする。
「主人公じゃないか、ちょうど君に会いたいと思っていたんだ。」
「シオドーアから共に新天地を目指さないかと誘われたけど、僕はこの城に残って破邪船師として修行を積むつもりだ。」
「レイダメテスの残骸を調査してみたいし、グレン城には古い魔道士書がたくさんある。」
「それに、予感がするんだ。」
「いつか再びこのグレンの地で破邪船師のチカラが必要となる時が来る。」
「そのためにはここにいなければならないと。」


「それで君はどうしたんだい?わざわざ僕を訪ねてくるからには大事な用があるんだろう?」


主人公はエルジュにこの時代のオーグリード大陸にあるサルファバル鉱を探しに来たことを伝えた。


「サルファバル鉱?そんなもの、心当たりはないけど。」
「いや、待てよ。どこかで聞いたことがあるような。」
「そうだ、魔獣サルファバルだ。」
「昔父さんから聞いたことがあるんだ。」
「魔獣サルファバルという魔物をかつてフォステイルが封印したと。」
「君が探している鉱石と同じ名前なんだ。」
「おそらく何かの関係があるはず。」
「フォステイルに話を聞いてみよう。」


エルジュと主人公はフォステイルのいるゲルト海峡に向かった。


フォステイルと話をする。
「ふっ。めずらしいこともあるものだ。」
「こんな場所に立て続けに懐かしい客人が来るなんて。」
「久し振りだね、主人公。そして、若き四術師エルジュ。我らが同士よ。」


エルジュが答える。
「お久しぶりです。継承の儀ではあなた方にお世話になった。」
「改めて礼を言わせてもらおう。」


フォステイルが言う。
「君と主人公が世界を救ったんだ。」
「礼を言わなければならないのは私達さ。」
「さて、わざわざ私を訪ねてきた理由を教えてくれないかい?」


主人公はサルファバル鉱という物質が必要なことをフォステイルに説明した。


「なるほど、サルファバル鉱か。」
「サルファバルか、少しばかりやっかいだね。」
「サルファバルを異空間に封印したのは私一人のチカラではない。」
「私とヤクル、ガミルゴ、そしてもちろん君の父上ベルンハルト。」
「四術師が全員で異空間に封印したんだ。」
「サルファバルはとにかくタフな魔物でね。」
「我々四術師ですら封印するのが精一杯だった。」
「その後現れたレイダメテスによりベルンハルトが死に、四人がそろわぬ以上封印を解くことはないだろうと思っていた。」
「だがエルジュ、キミが新たな継承者となり、レイダメテスを破壊した主人公もいる。」
「今なら封印を解き、やつを倒すこともできる。」


エルジュは急いで他の四術師、ヤクルとガミルゴを呼び集めた。
四術師は皆、グレン城にあるエルジュの部屋に集まった。
そして、四術師のチカラで主人公は魔獣サルファバルが封印されている異空間へ飛ばされた。


主人公は魔獣サルファバルを倒し、サルファバル鉱を手に入れた。


主人公はエルジュ達と別れ、カーラモーラ村のカイラム村長の家に向かった。


カーラモーラ村に着くと、何やら騒ぎが起きている。
バジューが何者かに向かって声を荒げる。
「何者だ?突然空中から現れやがって。怪しい奴め。」


カイラム村長もその何者かに話しかける。
「見たところ竜族ではないようだが何用かな?」


その者は主人公の弟だった。
「やっと見つけた。」


弟はそう言うと、マイユを結晶の中に閉じ込めてしまう。


騒ぎを聞きつけたエステラが駆けつける。
「皆さん、今の騒ぎは一体・・」


エステラが弟を見つけた。
「ここで一体何をしているのです?」


弟がマイユを結晶にしている様子を見て、エステラは怒りを露わにする。
「マイユさんに一体何を。」
「毒に侵され、弱ったものを狙うなんて、今すぐその怪しげな術を解きなさい!」


エステラが弟にメラゾーマを放つが、素早い動きですべてかわされてしまう。
弟はすきを突いて、エステラにメダパニの呪文をかけて混乱させてしまった。


エステラが混乱している隙に、マイユを閉じ込めた結晶を回収しようとする弟。
エステラは混乱が治ったのと同時に、弟にメラガイアーを放つ。


弟はメラガイアーを正面からまともに受けてしまう。
マイユは結晶から解放された。


そこに主人公がやってくる。
それに気がついたエステラ。
弟も主人公の姿に気がついた。


弟が主人公の前にやってきた。無傷のようだ。
「今日のところはその人を連れて行くのはやめておくね。」
「だけどお兄ちゃん、これだけは覚えておいてね。」
「邪悪なる意志はお兄ちゃんのすぐ近くに。」


弟は謎の術で姿を消した。


エステラが主人公に話しかける。
「マイユさんや村の皆さんに大事がなくてよかった。」
「私が目を離したばかりに、申し訳ありません。」


「先ほどの敵の正体はわかりませんが、見過ごすことは出来ません。」
「すぐに部下に命じ、警備を強化させましょう。」


バジューが主人公に話しかける。
「ところで主人公、サジェはどうした?まさかあいつを置いて逃げ帰ってきたんじゃないだろうな?」


主人公はカイラム村長とバジューに楽園で起きた出来事と、サジェからの頼みを伝えた。


カイラム村長が驚く。
「おお、楽園、毒も病もなき光あふるる地。」
「そこへサジェとお前は・・・」
「よかろう、月の修理に必要なサルファバリンとやらはなんとか私が精製してみせよう。」


主人公はカイラム村長の家に移動した。
カイラム村長は、文献を見ながらサルファバリンの精製作業に入った。


「サルファバリンの精製には少し時間がかかる。」
カイラム村長はそう言うと、昔のことを話し始めた。


「私もかつてサジェと同じように楽園への道を求めたことがあった。」
「若き日、私は楽園の伝説に憧れ、闇の領界中を調査しありとあらゆる古文書や伝承を集めた。」
「毒に脅かされぬ光あふるる地。」
「実在するならば闇の領界の民は救われるはず。」
「私はその考えにとりつかれた。」
「お前たちがくぐった楽園の扉、あそこから楽園へ行けるはず。」
「だが扉を開くカギはどうしても見つからん。」
「いや、はじめから存在しなかったのだ。扉を作ったものはこう古文書に記していた。」
「楽園は清浄な地なれど悪魔が棲む。扉を開き、悪魔を解き放つものがいないよう、楽園への扉のカギはすべて処分したと。」
「主人公、ナドラガ神のほこらに隠されていたものは私が作り出した新しいカギだ。」
「楽園への扉、そのカギを作るため設備を揃え、失敗を繰り返すこと数年、ようやくピタリとはまるカギが完成した。」
「私は楽園への扉に向かい、そこで怖くなったのだ。」
「この扉を開けた先に、本当に楽園はあるのか。もし本当に悪魔を解き放ってしまえば、村の者にまで災いが及ぶのではないか。」
「私は恐怖を乗り越えることが出来ず、ナドラガ神のほこらに自ら作ったカギを隠し、村へ戻った。」
「それからずっと楽園のことは忘れ生きてきた。」
「村の皆にも決して楽園へは行くなと命じて。」


「サジェが楽園を目指す意志は固い。」
「サジェは今は亡き姉デリダが自分をかばって死んだことを気に病んでおる。」
デリダはかつて、バジューと恋仲であった。」
「あの日、サジェとデリダのふたりは影の谷の調査に向かった。」
「そこでデリダはサジェをかばって毒に。」
「今よりも小さかったサジェが姉をかついで必死に村までたどり着いた時にはもうデリダの息はなかった。」
「もう5年になるが、生きていれば今頃はバジューと所帯を持ち、良い夫婦になっていただろうに。」


「5年の間心を閉ざし、村の誰とも関わろうとしなかったサジェがあの娘を助けたいとそう言ったのだ。」
「あの子を信じて見守ってやりたいと思った。」


ちょうどその時、サルファバリンの精製が終わった。


主人公は、サルファバリンを持って楽園へ向かい、管理端末Q484にサルファバリンを渡した。


管理端末Q484が作業を始める。
すぐに作業は終わり、月が輝きを取り戻した。
辺りが光で満ち溢れる。


すると、すぐに光が消えてしまった。
管理端末Q484が話始める。
「最優先事項更新。」
「アンノウン複数のうち、移動体Aを闇の領界に生息する竜族と認定。」


管理端末Q484はそう言うと、変形し、大きくなった。
「最優先事項、闇の領界に生息する竜族の駆除を実行する。」


管理端末Q484はいきなり襲いかかってきた。
主人公は管理端末Q484がを撃退した。


管理端末Q484が話し始める。
「物理ダメージ大。自己修復機能損傷。リペア不能。」
「代替え機、製造スタート。完成次第、竜族駆除、再開する。」


管理端末Q484はこわれてしまった。


サジェが悲しい顔で話し始める。
「すぐに代替機を作るって・・」
「代わりができたらまた竜族を殺そうとするらしい。」
「ボクたちの祖先を殺し、楽園から追い出した伝説の悪魔は、月を壊した悪魔のことじゃない。」
「管理端末Q484が楽園の悪魔だったんだ。」


「楽園へ来れば毒に苦しめられることなく、みんな幸せに暮らしていけると思ってた。」
「でも、そう簡単にはいかないようだね、主人公。」


「くよくよしててもしょうがないよね。」
「危ない目にもあったけどキミのおかげで生きのびられたし。」
「ずっと憧れていた楽園の姿をこの目で確かめられたんだ。」
「でも、お前とこの楽園で一緒に暮らしたかったな。管理端末Q484。」


すると壊れたはずの管理端末Q484が突然話し始めた。
「再起動完了。浄化システムまもなく上昇開始。」


月が上昇を始める。
「エマージェンシーモード解除。通路全解放。」
「管理端末Q484機能停止。」


管理端末Q484は爆発して黒焦げになった。


「管理端末Q484はずっと楽園を守ってきたんだ。」
「闇の領界を浄化するのを邪魔されないように。」
「闇の領界が完全に浄化されたら、ボクはあいつと友だちになるんだ。いつかきっと。」


主人公とサジェはカーラモーラ村に戻った。


カイラム村長が言う。
「先ほど浄化の間を月の光が満たした。」
「皆の毒はすべて月が癒やしてくれた。」
「お前たちのおかげだな、サジェ、そして主人公。心より感謝する。」


「楽園とはいかなる地だった?サジェ。お前の見たまま、感じたままを教えてくれ。」


サジェが答える。
「恐ろしい場所だったよ。言い伝え通り、悪魔が潜んでいて。」
「とても竜族が暮らせる場所じゃなかった。」
「ボクも二度と行かないよ。」


カイラム村長が頷く。
「そうか。」
「月の光は素晴らしいものだ。でも今回みたいに消えることだってある。」


サジェが言う。
「だからボクはこれから月の光に頼らなくてもみんなが元気に暮らせるそんな未来を作るために研究を続けるよ。」


「みんな治ったって言ってたけど、あの異種族の女の人は?彼女は何処?」


「私だったらこの通りよ。」
マイユが元気な姿を見せる。


「あなたと主人公が助けてくれたのね。」
「おかげですっかり元気になったわ。ありがとう、サジェ。」


エステラが話す。
「主人公さんたちがお戻りになるまでの間、マイユさんから事情は伺いました。」
「なんでも婚約者のアロルドさんを苦しめる毒の治療法を探すためマイユさんはナドラガンドへやってこられたそうですね。」


マイユが言う。
「主人公と奈落の門ではぐれてから私、気を失ってしまって。」
「気がついたらここに落ちてきてたの。」
「あちこちさまよう間にサジェと出会って。」
「それからのことは主人公のほうがきっとよく知っているはずよね。」
「闇の領界の月の光はすごいわね。アロルドの容態がもう少し軽ければ、ここへ連れて来て助けられるのに。」


その時、突然話始める人物が現れる。
「遠方にいる病身の方をはるばるこの地まで連れてくるよりもっとよい治療法がありますぞ。」
その人物は、神官長ナダイアだった。


エステラが驚く。
「神官長ナダイア様!」
後ろにはトビアスの姿もある。


ビアスが言う。
「お前からの報告にあった、人を宝石化する術を使う怪しい人物、その者について調査するためおもむいたのだ。」
「ご多忙な中をぬって、遠い闇の領界までおこしになられたナダイア様に感謝するのだな。」


神官長ナダイアが言う。
「マイユさん、あなたの故郷を襲ったアンテロという竜族についてはわがナドラガ教団でも把握しております。」
「アンテロが用いたという毒がナドラガンドのものと言うならおそらく、あなたの身体を蝕んだものと同種のもの。」
「毒を克服したものの身体には同じ毒に対する抗体ができる。あなたの協力があれば、解毒剤もすぐに出来るかもしれません。」


マイユが驚く。
「アロルドが治るんですか!?」


ビアスが頷く。
「ナドラガ教団の薬師たちは有能だ。我々に任せていただきたい。」


神官長ナダイアが続ける。
「同じ竜族であるアンテロがあなたがたアストルティアの民を苦しめたおわびに少しでも償いをしたいのです。」


マイユが頷く。
「ありがとうございます。私喜んで協力します。」


「サジェ、あなたには2回も助けられたわね。」
「毒を浴びて倒れてしまった私を運んでもらって、月の光を取り戻して助けてくれて。」
「故郷に帰ってもあなたのことは忘れないわ。本当にありがとう、サジェ。」


サジェが答える。
「お礼を言わなきゃいけないのはボクの方だよ。」
「ボクの姉さんは、ボクのせいで死んだ。今度は、やっと助けることが出来た。」
サジェが泣いている。


マイユが言う。
「私もねしばらく前、自分のせいで大切な人たちにひどい怪我をさせてしまったことがあるの。」
「私を狙う悪者に故郷の村が襲われて。」
「父さんは大怪我にもかかわらず私が無事で良かったと笑ったわ。」
「お前が笑顔でいるだけで救われてきた。もっと親である自分のことを頼ってほしいって。」


「もちろんあなたとお姉さんの間のことは私にはわからないわ。でも私に弟がいたら、きっとこう思う。」
「サジェを助けられてよかった。私の分まで幸せになって欲しいって。」


サジェは泣くのをやめた。
「あの、一度だけ。嫌じゃなかったらでいいんだけど、一度だけ。あなたのことを姉さんって呼んでもいい?」


マイユはサジェを抱きしめた。
「サジェ、よく頑張ったわね。月を元通りにしてくれてありがとう。」
マイユはそっとサジェの頭をなでた。


「ありがとう、姉さん・・・」
サジェはその後、しばらくの間泣き続けた。


カイラム村長が主人公に言う。
「月は蘇り、村人たちは皆救われた。」
「すべてお前のおかげだ。主人公。」
「闇の領界はもう心配ない。主人公、達者でな。」
「お前は村の恩人だ。また会える日を楽しみにしているぞ。」


マイユは神官長ナダイアと共に炎の領界へと旅立った。
サジェは元気に手を降ってマイユとお別れをした。


エステラが言う。
「それにしてもあの神官長ナダイア様がわざわざ闇の領界までおいでになるとは。驚きました。」
「主人公さんが長い間探しておられたご友人のマイユさんも見つかったことですし、我々は先を目指しましょう。」


「今だ調査できていないのは楽園と呼ばれる場所だけです。」
「おそらく、次の領界への塔の入り口はそこに。では出発いたしましょう。」
「楽園まで来て下さい。」


主人公とエステラは楽園に向かった。


楽園には、やはり冥闇の聖塔の入り口が存在した。
「ここが次の領界への道を開く塔の入り口。」
「思った通り下へと降りていく構造のようですね。」
「楽園と呼ばれるこの闇の領界の頂は想像をはるかに超えた場所のようですね。」
「それにこの塔、下へ下へと降りて行くなんて、塔というにはあまりに奇妙。」
「何が待ち受けているのか予想もつきません。主人公さん、気をつけて進みましょう。」


主人公は最初の試練をクリアし、先へ進むと石碑があった。
「我が試練を乗り越え、よくぞここまでたどり着いた。」
「わしはドワーフの神ワギ。」
「遠き未来、我が楽園を訪れるもののためにこの言葉を残しておこう。」
「水の領界への道を開かんと望むなら裁定者となりて闇の領界の罪業を見定めるのだ。」


主人公は次の試練に向かう途中、管理端末Q484にそっくりなロボットを見つけた。
まだ真新しい。
「私は管理端末Q485、この楽園の新たな管理端末です。」
「現在、領界浄化システムは正常に作動しています。領界浄化完了まで残り5491年です。」


さらに先へと進むと新たな石碑があった。
「かつて闇の領界で起こりし歴史を、我が試練を越えし汝に聞かせてやろう。」
「闇の領界の竜族は、ここ楽園と呼ばれる地にて繁栄し、平和な時を過ごしていた。」
「かの大いなる戦いが始まるまでは。」
「闇の領界の民は戦いをやめようとはせず、むしろ勇んで戦いにおもむき、罪なき者達の生命を奪ったのだ。」


さらに先へと進み、新たな石碑を読む。
「闇の領界の竜族達は敵を滅ぼすため、おそるべき災いをもたらす毒を作り出し、そのチカラを試すべく用いることさえした。」
「災の毒により戦いはさらに長引き、はてしなき争乱の末、闇の竜族達は敗れ、毒に汚されし大地だけが残った。」


さらに先へと進み、新たな石碑を読む
「かつて闇の領界で怒りし歴史。その結末を伝えよう。」
「戦いに敗れし闇の領界の竜族達は、あまたの生命を奪いし罪、大地をけがせし罪によりこの楽園を追われることとなった。」
「戦いのため自らの手で毒に汚した地にて苦しみの日々を生きること。それこそが闇の領界の竜族に与えられし罰。」


主人公は冥闇の聖塔の最下弦に着いた。


主人公の頭のなかに不思議な声が響いてくる。
「わが背負いし罪業を裁くべきものをわしはずっと待っていたのだ。」
「新たなる裁定者よ。」
「闇の領界の民が何を為し、いかなる罪を課せられたかはこれまでそなたに語ったとおり。」
「ゆえに闇の領界の竜族達は、永劫とも呼べるほどの時間、毒と暗闇に閉ざされたこの闇の領界で苦しみの日々を送ってきた。」
「闇の領界の民の罪は重きもの。これなる裁きは正しき報いとわしはそう信じてきた。」
「されど罪を犯せしは彼らの遠き父祖なり。」
「新たに生まれてくる闇の領界の民に罪があるものか問い直したく思うのだ。」
「新たなる裁定者よ、そなたに問おう。」
「そなたならばわしをどう裁く。わしの裁きは正しかっただろうか。」


主人公は「闇の領界の民を許すべき」と答えた。


「わしはそなたの優れた知恵と強き心、真実を見定めるチカラを認め、新たなる裁定者と自ら認めた。」
「わしが選んだ裁定者がそう判断を下すならばこの裁定も受け入れねばならぬだろう。」
「新たな裁定者より裁きは下った。」
「ならば闇の領界の罪業を許すとしよう。」
「もはやこの扉を閉ざす必要はなくなった。」
「解放の間の扉を開こう。解放の間へと進がよい。」


主人公は解放の間へ向かった。


部屋の中は暗闇だった。
エステラもやってきた。
「真っ暗ですね。ここで最後の試練を乗り越えればいよいよ次の領界のはずですが。」


その時、闇の炎がともり、闇魔ティトスが現れた。
「荒ぶるワギが打ち込みし闇のくさびを取り払わんとする者よ。」
「我に挑みチカラを示せ。さすれば水の領界への道がそなたの前に開けるであろう。」


主人公はエステラと共に闇魔ティトスと戦った。
そして闇魔ティトスを倒し、チカラを示した。


闇魔ティトスが消滅した跡に解錠の円盤が現れた。
しかしそこに闇のフードを被った謎の男が現れる。
「これが解錠の円盤か。神の遺物というから期待したのだが。」


フードを被った男に解錠の円盤を奪われてしまい、驚くエステラと主人公。


「何者です!その円盤を返しなさい!」


フードを被った男が答える。
「我は邪悪なる意志と呼ばれし者。」
「我らの崇高な理想を理解できぬ愚かなる貴様らに名乗るならばこの名がふさわしいだろう。」


エステラが驚く。
「邪悪なる意志、お前がそうだというのか。」


邪悪なる意志が主人公に言う。
「解放者よ。貴様のことはずっと見ていたぞ。貴様に解放者たる資格があるか、我が試してやろう。」


エステラが攻撃を仕掛けるが、あっさりと避けられてしまう。
「無駄だ、若き神官よ。聖鳥すらも魔の者へと堕したこの私に、神官ふぜいがかなうと思ったか。」


「聖鳥を?まさか恵みの木を凍らせた魔物フロスティや月を落としたあの化け物もお前が。」


邪悪なる意志が答える。
「いかにも。我が恩寵(おんちょう)によりナドラガンドに混沌の芽がもたらされたのだ。」
「貴様に邪魔されるまではな。主人公。」


エステラが怒る。
「その言葉が真実であるならばとうてい許してはおけません。」


そう言った途端、主人公とエステラは吹き飛ばされてしまった。
「身体が動かない・・・」


「この程度も防げぬとはな。命を奪うにも値せぬ。」
「ナドラガンドにさらなる混沌を。絶え間なき苦しみで竜族の犯した罪をあがなうのだ。」
「解放者よ、次はもっと我を楽しませてくれ。期待しているぞ。」


邪悪なる意志はそう言うと、解錠の円盤を投げ返してきた。
そして異空間へ消えてしまった。


「私では手も足も出なかった。恐るべき使い手でした。」
「あやつの狙いが何なのかはわかりませんが、解錠の円盤は無事のようです。」
「これで次の領界への道が開かれるのですね。」
「氷の領界も闇の領界と同じようにあの邪悪なる意志によって苦しめられるのでしょうか。」
「解放者様。どうか次なる領界の民もお救い下さい。私も精一杯お手伝いします。」


主人公は円盤をはめられる台座に向かい、解錠の円盤をはめた。


どこからともなく声が聞こえる。
「見ていたぞ、主人公よ。」
「冥闇の聖塔に現れし、悪しき者を前にして汝が手も足も出なかったことを。」
「水の領界への道を開く前に、汝はもっと強くならなければならぬ。」
「我が汝を鍛え直してやろう。」


主人公のまわりを白い光が包み込み、異空間へ飛ばされた。
闇の領域に入った時に現れた白いモグラ「神獣パチャティカ」がいきなり襲いかかってきた。
そして主人公は神獣パチャティカを返り討ちにする。


神獣パチャティカは歌っている。
「武器用なボクだけど〜 勇気を出して今誓うよ〜」
「深い闇の底だって〜 もう二度とキミの手を離さない〜」


「よくやったな、主人公。」
「我が名は神獣パチャティカ。地の神ワギの眷族にして闇の領界の竜族の行く末を見守りし者。」
「汝の強さはしかと見定めた。よいだろう、主人公よ。」
「水の領界への道を開くことを許そう。」
「罪人たちの救いとなるワギの月が巡るたび、冥闇の聖塔は下へ下へと伸びゆき、いつの日にか大地へと達して許しの時を告げる。」
「されど汝は時来たる前に竜族の少年とともに楽園への道を開いた。」
「楽園にて汝がワギに示した裁定を我は嬉しく思うぞ。」
「彼らは充分すぎるほどに苦しんできたのだ。」
「許しを得し、闇の領界が変わりゆくさまをどうか見届けてやってほしい。」
「我が神ワギが、いや、すべての種族神が考えていたよりもずっと早くに許しの時は訪れるのかも知れぬな。」


神獣パチャティカはまた歌い出す。
「別れの時だけど〜 寂しくなかったよ〜」
「キミがボクに教えてくれたから〜 輝く明日は〜 きっと来るって〜」


主人公は元の場所に戻り、解錠の円盤をもう一度はめた。
ゲートに光が集まり、水の領界への道が開かれた。


そこにエステラがやってきた。
「きっと総主教オルストフ様もおよろこびになるはず。」
「私は教団本部へ報告に向かいましょう。」
「闇の領界であらためて自分の未熟さを思い知らされました。」
「もっとお役に立てるよう強くならねば。」
「それでは私はこれで。水の領界へ旅立たれる日までしばしご休息をお取り下さいませ。」


総主教オルストフは、トビアスに水の領界の調査を命じた。


「隔てられし領界はあとわずか。ナドラガンドが再び光を取り戻す日はもうすぐ訪れるはず。」
「たゆたう炎よ。解放者が歩みゆく新たなる未来を今ここに示しておくれ。」


青い炎の中にヒューザの姿が見える。
邪悪なる意志と戦っているようだ。


目が3つある小さな魔物が見える。
鼻水を垂らし、陽気に駆けまわっている。


竜族の女性の姿が見える。
まるで水の女王のようだ。


竜族の夜明けは近い。」
「されど夜明け前の空はもっとも暗きもの。」
「解放者は苦難の道を歩むでしょう。」
「我らが神、ナドラガ神よ。どうか竜族の民をお守りくだされ。」