ドラゴンクエストX(DQ10) ネタバレストーリー まとめ

ドラゴンクエストX(DQ10)のメインストーリー、サブストーリーのまとめ

エピソード34 王の戴冠

主人公は魔仙卿に呼び出され、ゴダ神殿に向かった。
「よくぞまいったな。」
「我は以前魔界の各国が歩む復興の道は険しいものになるだろうと話したな。」
「まさしく今、ゼクレスとバルディスタ双方の国にて解決しがたき問題が起こっているようだ。」
「そこでそなたには両国におもむき、それぞれの問題を解決する手助けをしてほしい。」


イルーシャもそばにいる。
「私も一緒に行くわ。」
「魔瘴を操る私のチカラが何かの役に立つかもしれないから。」


「ではそなたはさっそくゼクレスとバルディスタに向かってくれ。」
「両国で起こっている問題が解決したら我のもとに戻ってくるがよい。」
「よろしく頼んだぞ。」


主人公はまずゼクレス魔導国へ向かった。
ベラストル家のリンベリィにゼクレス城に連れて行って欲しいと頼んだ。
「アンタ、私のパーティに忍び込んだ小汚い下等魔族?」
「うん、使えるかも。」
「私、新しいしもべを助けたいの。」
「正確には新しいしもべ候補ね。」
「アイツが私に夢中なのはわかってるけどちょっとした障害があってね。」
「魔界大戦が起きる少し前、パーティでアンタを助けた骨董屋。」
「あのシリルがなんと、我がゼクレス魔導国の王・魔王アスバルだったのよ。」
「平民に変装し運命の恋を探していた魔王と美しき大貴族の娘。」
「アスバルからの熱い視線は感じていたわ。」
「アイツって顔も声もイケてるし、新しいしもべにしてあげてもいいかなって思っていたところにあの魔界大戦が。」
「アスバルは愛する王太后様の死で悲しみの淵に。」
「そこにつけこんだヤツがいるのよ。」
「そいつの名はオジャロス。」
「心身ともに傷を負ったアスバルは叔父オジャロスに国を任せて喪に服してるわ。」
「で、元気づけてあげようと何度か城を訪ねてるんだけど会わせてもらえないの。」
「オジャロスのヤツ、私を警戒してるみたい。」
「アイツは今や国王気取り。」
「私がアスバルを立ち直らせたら都合が悪いから邪魔してるんだわ。」
「で、ここからがアンタの出番。」
「城に潜入して愛しのリンベリィ様が会いたがっていると魔王アスバルに伝えなさい。」
「あんただってパーティでアスバルに助けられた恩を返したいでしょ。」
「オジャロスの魔の手から助け出すのよ。」
主人公はリンベリィから無理矢理しもべの証を押し付けられた。


リンベリィの手助けで城に潜入した主人公はなんとかアスバルの部屋に入ることができた。
「誰だい?」
「食事を持ってきてくれたならそこの机に置いておいてくれ。」
「国のことは叔父上に任せている。」
「僕をそっとしておいてほしい。」
「今は誰にも会いたくない。」
「母上の死を一人で悼みたいんだ。」


ベッドを覗いてみるとボッガンというアスバルの身代わりだった。
「アスバル様ならこの国にはいないよ。」
「オジャロス様のすすめで魔界を出たんだ。」
「アストルティアのヴェリナード王国ってところへ旅立ったんだ。」


その時リンベリィから押し付けられたしもべの証が光だし、中からリンベリィが飛び出してきた。
「なんですって!」
「オジャロスめ、許せない。」
「私からアスバルを引き離すために魔界から追いやるなんて。」
「オジャロスのやつ、アスバルを魔界から追放してゼクレス魔導国を手に入れるつもりだわ。」
「まったくあの一族ってば腹黒いわ。」
「亡きエルガドーラ様が前王イーヴ様を追放した時とそっくり同じじゃない。」
「このままじゃアスバルもお父上同様殺されちゃうかもしれないわ。」
「急いで連れ戻さなきゃ。」
「でもアストルティアへ転移する魔法儀式なんてこの私でも一ヶ月以上かかるわ。」
「今すぐアスバルを助けたいのに。」


主人公はリンベリィにアストルティアに行けることを伝えた。


「しょうがないわね。」
「他に手はないしアスバルのことはアンタに任せてあげる。」
「じゃ、頼んだわよ。」


ヴェリナード王国へ向かった主人公は詩歌の遺跡でアスバルを見つけた。
アスバルはオーディス王子と一緒だった。
「いかがですか?アスバル先生。」
「代々のヴェリナード王位継承者に詩歌を伝えてきた詩歌の遺跡のご感想は。」


「まるで夢のようだよ。」
「歴史書に記されたこのすばらしい場所を自分の目で見ることができるとは。」


その時、オーディス王子が主人公の姿に気づいた。
「やあ、久しぶりじゃないか。我が親友よ。」


アスバルが言う。
「僕の故郷の友人をオーディス王子はご存知だったのですか。」
「不思議な偶然もあるものですね。」


「なんと、二人が知り合いだったとは。」
「アスバル先生は高名な歴史家で、今は僕の家庭教師をしてもらってるんだよ。」
「そうだ、つもる話もあるだろうからしばらく授業は中断しましょう。」
「僕はそのあたりを散歩してきます。」


オーディス王子は席を外した。


「君がアストルティアの出身であることは知っていたけど、まさか僕に会いに来てくれるなんて。」
「でもどうしてここがわかったんだい?」


主人公はリンベリィから追放されたアスバルを連れ戻すよう頼まれていることを伝えた。
「オジャロス叔父上が僕を追放しただって?」
「馬鹿な。あの人は母とは違うよ。」
「ベラストル家のお嬢さんはひどい勘違いをしているようだね。」
「叔父さんこそが僕を救ってくれたんだから。」
「あの大戦で心底思い知った。」
「母が愛したのはゼクレスの栄華だけ。」
「僕は母にとって道具でしかなかった。」
「僕の悲しみを分かってくれたのはオジャロス叔父さんだけさ。」
「あの人は昔からとても優しいんだ。」
「アストルティアに来たのも少し国を離れて気分転換したらどうだと叔父さんが勧めてくれたからさ。」
「アストルティアはすばらしいところだね。」
「自由で、平和で。」
「心から来てよかったと、そう思うよ。」
「もはや魔界に未練はない。」
「僕はアストルティアで生きていくよ。」
「悪いけどオジャロス叔父さんに二度と魔界には帰らないと伝えてくれ。」
「僕が魔族だということはくれぐれもオーディス王子には秘密にね。」


オーディス王子が戻ってきた。
「では授業を再開しましょう。」
「ヴェリナード王家には恵みの歌、導きの歌をはじめとする様々な詩歌が伝えられていますが、その原点ははるか神話の時代。」
「儀式の中で歌われた古き祈りの歌とも言われているそうです。」
「私の故郷にも詩歌が伝えられています。」
「亡き母が愛していた古い詩。」
「はてなき空、はてなき時、巡り巡る先の星、ひとつの花、ひとつの声、地に満ちる千の生命。」
「うつろう空、過ぎゆく時、花が枯れ星が消え去ろうとも。」
「君に・・」


イルーシャが詩歌の続きを言う。
「花が枯れ星が消え去ろうとも、君に捧げしこの心変わらず。」
「この詩はゼクレスのお城で聞いたの。」
「オジャロスさんの部屋に置いてあった水槽の中の魔物がこの詩だけずっと口ずさんでいたの。」


アスバルが言う。
「まさか・・」
「オーディス王子、急用ができましたので今日の授業はこれで終わりにします。」
「僕は故郷へ帰るよ。」
「どうしても帰らなきゃいけないんだ。」
「お願いだ、君たちもゼクレスへ来てくれ。」
「オジャロス叔父上のもとで会おう。」


主人公はゼクレスへ戻り、オジャロスの部屋へ向かった。
リンベリィもやってきた。
「やっと魔界に帰ってきたわね。」
「ほんとアンタってのろまなんだから。」


オジャロスが言う。
「おやおや、若いお嬢さんたちにずいぶん人気なんだねね、アスバル。」
「ベラストル家のお嬢様と、そちらは魔瘴の巫女どのでしたな。」
「みなさまご機嫌うるわしゅう。」


アスバルが言う。
「先ほどご相談した通り、ゼクレスの王位は叔父上に譲ります。」
「ですからこれ以上他人を巻き込むのは・・」


リンベリィが口をはさむ。
「王家の血を引いていないオジャロスには王位継承権は存在しないはず。」
「そもそもアナタが生きているのにどうして。」


「とにかく決めたんだ。」
「王位はオジャロス叔父上に譲り、僕はゼクレスで一生を静かに送ると。」
「行きましょう、叔父上。」
「王位交代の宣誓の日取りについて臣下たちを集めて相談しなくては。」


リンベリィは主人公からしもべの証を取り上げ、怒って部屋を出ていった。


アスバルは別れ際にそっとメモを渡していった。
「僕の店の大きな箱の中にある書物・古秘術大全4巻の11章の内容を実行し、店まで戻ってきてくれ。」


主人公は六大陸堂で書物を読んだ。
「魔術の鎖により精神を縛り思いのままに奴隷として使役する忌まわしき秘術がかつて存在した。」
「だが旧き秘術・呪縛の術は大魔道士リドにより破られ歴史から姿を消してしまったのだ。」
「大魔道士リドにより呪縛の術の使い手は一人残らず滅ぼされ、奴隷魔族たちは解放された。」
「大魔道士リドはすでにこの世を去ったが、再び呪縛の術を使う者が現れし時、己のチカラを授けてくれるという。」
「はるか魔幻都市ゴーラ跡の北東に存在する朽ちた霊廊・大魔道士リドの墓所に呪縛の術を打ち破るチカラは眠る。」


主人公は大魔道士リドの墓所でリドのタリスマンを手に入れ六大陸堂へ戻るとアスバルがやってきた。
「店の中に潜んでいる者はいない。」
「今の所叔父には気づかれていないようだね。」
「それで無事にリドのタリスマンは手に入れてきてくれたかい?」
主人公はアスバルにリドのタリスマンを渡した。
「よし、これで母上を助けられるぞ。」
「何も事情を説明しないまま協力してもらってすまなかった。」
「城の叔父の部屋にあった水槽。」
「あの中にいる魔物は僕の母、王太后エルガドーラなんだ。」
「あの古い詩は母が子守唄がわりに聞かせてくれた僕と母以外知るはずのない詩。」
「急ぎ魔界へ戻った僕が問い詰めるとオジャロスは嬉しそうに教えてくれたよ。」
「瀕死の状態だった母上をオジャロスが助けたのだと。」
「魔力が尽きて抜け殻同然になった母上の身体を新しい生命として再構成したと。」
「惨めで下等な魔物の姿に。」
「あの魔物をひと目見て分かった。」
「叔父の言葉は真実なのだと。」
「だがあいつは一つだけ嘘をついている。」
「かつて母エルガドーラは身につけた者の意思を操る魔法の首輪で僕を支配していた。」
「あれに使われていたのと同じ宝石が水槽の中の母上にも。」
「今の母に知能がないなんて嘘だ。」
「でなければあの宝石を使う必要がない。」
「君たちに頼んだタリスマンがあればオジャロスの支配の術を打ち消せる。」
「母を解き放てるんだ。」
「今でも母のことは許せないさ。」
「だがいくらなんでもオジャロスの仕打ちはひどすぎる。」
「オジャロスは自分が王位につく瞬間を痛ましい姿になった母エルガドーラに見せてやるのだと言っていた。」
「もっともオジャロスが油断する瞬間、王位譲渡の儀式に集まった民の前でやつの罪を追求し、母を助けるつもりだ。」
「リンベリィに協力をあおぎ王位交代の宣誓に潜入してくれ。」
「そして僕が合図したら騒ぎを起こすよう彼女に伝えてほしい。」
「今のこの国で信頼できるのは君たちしかいないんだ。」
「どうか頼んだよ。」


主人公はリンベリィにアスバルが計画の協力者を求めていると伝え、王位交代の宣誓に潜入した。
主人公はリンベリィと共にオジャロスの企みを阻止し、襲いかかってくるオジャロスをアスバルと共に協力して倒した。


アスバルは魔物になったエルガドーラにリドのタリスマンを使った。


オジャロスが言う。
「馬鹿め、すべては手遅れだ。」
「姉上の肉体を再生する時にちょっとした仕掛けをしておいたのさ。」
「その女の身体はすでに爆弾と化した。」
「自らの愛した国も城もみな己のチカラで灰塵に帰すのだ。」


意識を取り戻したエルガドーラが言う。
「アスバル、この愚か者めが。」
「高貴なるゼクレス王家の血を引きながら大魔王にもなれずオジャロスごときに後れをとるとはなんたる役たたず。」
「もはや親でも子でもない。」
「アスバル、お前など産むのではなかったわ。」


「こんな時まで憎まれ口を・・」
アスバルは魔物を召喚し、オジャロスとエルガドーラを異空間に取り込み爆発させた。


どこからかエルガドーラの声が聞こえてくる。
「それでいい・・」
「ゼクレスを頼んだぞ、我が息子・・」
「いや、魔王アスバルよ・・」


アスバルは困惑する民に宣言した。
「誉れ高きゼクレス魔導国の民よ!」
「王位を奪わんと策謀をめぐらした大逆人オジャロスはこの魔王自身の手で断罪したゆえ安心して欲しい。」
「これまで私の不甲斐なさゆえにみなに苦労をさせてしまった。」
「ゼクレスの王として心から詫びよう。」
「私はここに誓う。」
「亡き母、エルガドーラが愛したこのゼクレスを我が生涯にかけて守り導いていくと。」


アスバルが主人公に言う。
「僕の母は炎のように激しく美しい人だった。」
「母は誇り高い人だ。」
「あんな姿になったとは誰にも知られたくないだろう。」
「あの魔物の正体は内密にしてほしい。」
「ゼクレスのために母がおこなったことの全てが正しかったとは思えないけど、それでも僕や叔父よりもあの人はずっとこの国のことを愛していたと思う。」
「僕はもう逃げないよ。」
「ゼクレス魔導国の魔王として僕はこの国で生きていく。」
「かつて母が愛した大切な故郷で。」
「二度とゼクレスの民の血は流させない。」
「そのためには魔界全体が平和でなくてはならないんだ。」
「バルディスタやファラザードとも叶うなら和平を結びたい。」
「君たちもどうか協力してくれ。」
「それじゃ、また会おう。」
「これからのゼクレスは開かれた国にしていく。」
「いつでも立ち寄ってくれ。」


主人公はイルーシャとともにバルディスタ要塞へ向かった。
魔王ヴァレリアがいなくなり、ベルトロは自暴自棄になっていた。
「よう、ファラザード王の元しもべだっけか?」
「一体何しに来やがった?」
「見てみろよ、ヴァレリアのいなくなったバルディスタを。」
「バカどもがどいつもこいつもバルディスタの次の魔王は自分だとのたまって、気がづけばこの有様よ。」
「ヴァレリアに追放された拷問好きのギャノン兄弟まで戻ってきてやがる。胸糞わりい。」
「連中を黙らせるには誰よりも強い力で押さえつけるしかないのさ。」
「魔王ヴァレリアがそうしたようにな。」
「ゼクレスのバケモンにやられちまったなんて噂されているが、あのヴァレリアがそう簡単にくたばるとは思えねえ。」
「そこでだ、アンタ魔王ヴァレリアを探す手伝いをしちゃくれねえか?」
主人公は頷いた。
「話がわかるじゃねえか。」
「そうこなくっちゃな。」
「ヴァレリアが行方不明になって以来、俺の方も捜索を続けているんだが。」
「ゼクレス城の北に位置するガウシア樹海。あそこはまだ調べられていない。」
「というのもベルヴァインの森西にあるガウシア樹海へ続く道がでっかい岩で塞がれちまってたからなんだ。」
「だがバルディア山岳地帯にあるブラニック採石場でなら岩を壊す道具が見つかるかもしれん。」
「もし岩を壊すことができたら先にガウシア樹海へ向かっててくれ。」
「俺もすぐ後を追う。」


ブラニック採石場で岩を壊す道具「ビッグピッケル」を見つけた主人公はガウシア樹海へ向かった。
ベルヴァインの森西で岩を破壊しガウシア樹海を進んで行くとトポルの村があった。
村の老婆フェアネに話を聞く。
「ティリアは少し前にガウシア樹海にある呪いの泉近くで見つかった子なんだけど、名前以外のことは何も覚えてなかったの。」
「それで私が引き取ったの。」
「そうそう、呪いの泉の水を飲むと化け物の姿になってしまうという噂があるの。」
「あんたも気をつけてね。」


村の青年ソンダイに話を聞く。
「最近ガウシア樹海にあるレビンの洞窟で大蜘蛛のバケモンを見たってよく噂されているんだよ。」


レビンの洞くつへ向かうと大蜘蛛の魔物がいた。
「私、ウェブニーと申します。」
「今はこんなナリですが、元はバルディスタの兵士だったんです。」
「少し前の戦でゼクレス城に突入する時に石橋から落ちてしまって。」
「からくも生き残った私は森を彷徨って辿り着いた泉でこんな恐ろしい姿になってしまったのです。」
「旅の方、どうか私が元の姿に戻れるよう手を貸してくれませんか?」
「じつは先日、眉毛のあるいたずらもぐらがあの泉の水を飲んで恐ろしいゲルバトロスになったのを見たのです。」
「それでそのゲルバトロスはガウシア樹海にあるラーの広場の方へ飛んでいって、もとの眉毛もぐらに戻って現れたのです。」


ラーの広場でラーの果実を手に入れた主人公はウェブニーに果実を食べさせた。
するとウェブニーは無事元の姿に戻った。
「私、蜘蛛が一番怖くて苦手なんです。」


イルーシャが言う。
「もしかしたら呪いの泉はその人が一番恐れている姿に・・」
「だとしたら・・」
「ねえ、村に戻って記憶をなくしたティリアっていう女の子と話をしてみましょう。」


トポルの村に戻るとベルトロを追ってきたギャノン兄弟が暴れていた。
ギャノン兄弟が村の老婆フェアネに剣を振りおろしたとき、ティリアが手に持っていたフライパンで剣を弾き返した。
「私のおばあちゃまに・・村の人に・・よくも!」
「貴様は万死に値する!


イルーシャはティリアにラーの果実を投げて渡した。
ラーの果実を食べたティリアは魔王ヴァレリアの姿に戻る。
「もう二度と、私の目の前で大事なものの命を奪わせたりはしない。」


魔王ヴァレリアは一撃でギャノン兄弟を倒してしまった。


「私はあの時、ゼクレスの化け物の閃光でこの近くまで吹き飛ばされたのだ。」
「どうにか生き延びた私はあの呪いの泉にたどり着き、水を飲んだ。」
「そして私は泉の呪いで最もなりたくないと思っていた、か弱き子供の頃の姿に戻ってしまったのだ。」
「戦いに敗れたうえ、あのような無様な姿となってしまっては私に魔王たる資格などない。」
「だから私は残された人生をこの村でただの無力な娘として生きていこうと決めたのだ。」
「だが、どうやらこの魔界はまだ私のチカラを必要としているようだ。」
「皆のもの、世話になったな。」
「村の復興にはバルディスタがチカラを貸すと約束しよう。」
「さらばだ。」


ベルトロが遅れてやってきた。
「俺はあのガキを見た時、ハナっからヴァレリアなんじゃないかって睨んでたんだ。」
「だがあの通りすっかり腑抜けてただろ。」
「そこで一計を案じ、俺を追っかけてきたギャノン兄弟をまんまとおびき寄せて嫌でも立ち直らざるを得なくしたのさ。」
「ヴァレリアも元に戻ったし、厄介なギャノン兄弟も始末できたし。」
「完璧な作戦だっただろ?」
「おっと、こうしちゃいられねえ。」
「置いていかれちまうぜ。」


ベルトロは魔王ヴァレリアとともにバルディスタ要塞へ戻っていった。


主人公もバルディスタ要塞へ向かった。
ヴァレリアが言う。
「そういえば貴様の強さもこのまま放っておくには惜しいな。」
「どうだ、我が陣営に加わらぬか?」
主人公は首を横に振った。
「ほう、その言葉後悔するなよ。」


主人公はイルーシャと一緒にゴダ神殿の謁見の間に戻った。
「よくぞ戻った。」
「ゼクレスとバルディスタでのそなたの奮闘ぶりは聞き及んでおるぞ。」
「こたびの活躍、まことに大義であった。」
「これであの二つの国も無事に復興を遂げられるであろう。」
「ゼクレストバルディスタ、いや、魔界全土のためにそなたはよく尽くしてくれた。」


魔王ユシュカがやってきた。
「おいおい、俺の大事なファラザードのことも忘れないでくれよ。」
「今日はあんたとこいつに話したいことがあって来たんだ。」
「俺はこれまで自分が大魔王となって魔界を変革し、大魔瘴期から救うという夢を追い続けてきた。」
「だがあの大戦で同じ夢を追ってきたナジーンを失ってそれから考え続けてきたんだ。」
「自分がこの先何をするべきなのかを。」
「そして俺はやっと気づいたんだ。」
「大魔王の座に固執しすぎていたことに。」
「魔界を変革するのに必ずしも俺が大魔王になる必要はない。」
「お前がゼクレスとバルディスタでやってきたことは聞いている。」
「今やお前は両国の魔王から信頼を勝ち得ている身だ。」
「そんなヤツがいるならそいつが大魔王になって魔界をまとめ上げるのが魔界を救う最短の道だろう。」
「お前が大魔王になれ。」


魔仙卿が言う。
「ほう、ここにいる者は皆そなたが大魔王になることを望んでいるようだ。」
「そなた、大魔王になる決心はついているか?」
主人公は頷いた。
「おお。これまでアストルティアを守ってきたそなたには断られるかと覚悟しておったが、意外にも乗り気のようだな。」
「しかしいずれにしてもそなたとは二人きりで話さねばならぬことがある。」
「重大な話だ。魔選の儀礼場で話そう。」
「ユシュカ、イルーシャ、悪いがそなたたちはここで待っていてくれ。」


魔仙卿と二人で魔選の儀礼場に向かう。
「さて、いいかげんそなたには話しておかねばなるまいな。」


魔仙卿の姿は気ぐるみだった。
着ぐるみを脱ぐと、中から弟が現れた。
「久しぶりだね。元気だった?」
「おいらにとっては数百年前に時獄の迷宮で会って以来なんだけど、兄ちゃんからすると最近のことなのかな?」
「あの日、世界の滅亡を阻止するのに協力させてくれって言ったっけ。」
「ああ、懐かしいなあ。」
「おいら、兄ちゃんと時獄の迷宮で会った後にずっと昔の魔界に飛ばされちゃったんだ。」
「本当ならおいらなんかずぐに魔界の魔物に殺されるか魔瘴で死んでしまうところだったんだけど、落ちた場所がデモンマウンテンの頂上でさ。」
「そこで先代の魔仙卿に拾われて命を救われたんだ。」
「おいらを拾った時の先代の魔仙卿はちょうどその役目を終えようとしていて、次の魔仙卿となる後継者を探していた。」
「あの人はそんな時に目の前に現れたおいらに後継者の資質を認めて決めたのさ。」
「魔仙卿となる者は大いなる闇の根源と契約することによって魔仙卿としてのチカラを得る。」
「皮肉にもおいらは闇の根源と契約したことで、この魔界でも生きていける身体になったんだ。」
「そしてその契約によって同じ時代に長い間留まれないっていう時渡りの呪いからも解放された。」
「闇の根源との契約うというより強力な呪いを受けただけかもしれないけどね。」
「でもそのおかげでおいらはこの魔界の地で数百年の間生きてこられた。」
「あの永遠にも思えた長い放浪の果てに辿り着いたこの魔界がおいらの安息の地になったんだ。」
「だからおいらにとってはこの魔界もアストルティアとなんら変わらない守るべき世界なんだよ。」
「そして何度も言ったけど、魔界にはこれからかつてない規模の魔瘴の氾濫、死の大魔瘴期が訪れる。」
「その前になんとしても兄ちゃんには大魔王になってもらってこの魔界を救ってほしいんだ。」
「さっき兄ちゃんの気持ちは聞いたけど、もう一度改めてお願いするね。」
「どうか大魔王になって、おいらが守ってきた魔界とアストルティアの両方の世界を救ってくれよ。」
主人公は頷いた。
「本当にありがとう。」
「それじゃ謁見の間に戻ろう。」
「あ、それと魔仙卿がおいらだってことは他の人には黙っておいてね。」
「人間が魔仙卿をやってたなんてことがバレたらみんな混乱して不要な騒動を巻き起こしかねないからね。」


魔仙卿と主人公は謁見の間に戻った。
「この者はこの魔界の地で大魔王となり来たるべき大魔瘴期から魔界を救うために尽力することを承諾した。」
「ついては新たな大魔王の誕生を祝い、魔界全土に知らしめるため戴冠式を執りおこなおうと思う。」
「この戴冠式にはユシュカはもちろんのこと、ゼクレスの魔王アスバル、バルディスタの魔王ヴァレリアにも来てもらわねばならぬ。」
「そこでそなたには二人に戴冠式に出席するよう話をつけてきてほしい。」
「我が書いた新書を見せれば話が早かろう。持っていくがよい。」
「バルディスタはまだ慌ただしかろう。」
「まずはゼクレスにいるアスバルのもとへ行き、その後でヴァレリアのもとへ向かうがよい。」


主人公はゼクレス城4階に向かい、魔王アスバルに親書を手渡した。
「そうか、君はついに大魔王になる決心をしたんだね。」
「君ならきっとこの魔界を・・」
「わかった。戴冠式にはよろこんで出席させてもらうよ。」
「ところで、大魔王になる君に僕から贈り物をさせてほしいんだ。」
「ここゼクレス城の地下深くにはこの国の開祖であるいにしえの大魔王が身につけていた王冠が保管されているんだ。」
「よかったらそれをもらってくれないか?」
「ゼクレスが誇るとても美しい王冠だ。」


主人公は「大魔王の王冠」を手に入れた。


その後バルディスタ城の玉座で魔王ヴァレリアに親書を手渡す。
「ほう、貴様もとうとう腹をくくったか。」
「アストルティアの者が大魔王になろうとは。」
「よく覚悟を決めたものだ。」
「前代未聞の珍事だな。」
「そう驚いた顔をするな。」
「貴様が魔界の者ではないことくらいとうに見抜いていたさ。」
「だがいくら貴様の頼みとはいえよそ者に大魔王になると言われてはいそうですかと承諾はできんな。」
「大魔王としてこの魔界を背負って立つというのなら相応の実力を見せてもらおう。」
「なあに、簡単なことだ。」
「バルディスタの魔王である私と戦って見事打ち破ってみろ。」


主人公は魔王ヴァレリアと戦って見事勝利した。
「フフ、いい戦いだったぞ。」
「聞け、皆の者。」
「この者こそ先の魔仙卿の選定にて新たな大魔王として選ばれたものである。」
「今の戦いを見たであろう。」
「これでもこの者が大魔王になることに異を唱える者はいるか?」
「よし、これで決まりだ。」
「我がバルディスタはこの者を新たな大魔王としてここに認める。」
「これでお前も少しはやりやすくなっただろう。」
「戴冠式には私も出席しよう。」
「くれぐれもガッカリさせてくれるなよ、大魔王殿。」


魔王アスバルと魔王ヴァレリアが主人公の戴冠式に参加してくれることになった。


ゴダ神殿にいる魔仙卿に報告する。
「よくぞ戻った。」
「どうやら二人の魔王の説得に成功したようだな。」
「それではいよい戴冠式を執り行うぞ。」


こうして大魔王戴冠式が執り行われることになり、その知らせが魔界中に布告された。
主人公にはデスディオ暗黒荒原に大魔王の城が与えられ、戴冠式は大魔王の城で行われることになった。
そして大魔王戴冠式の日がやってきた、


「我、魔仙卿は新たな大魔王としてこの者を選定せり。」
「その権能をもって戴冠の義を行う。」
「我ら魔界に生きる者の心は大魔王のもとに一つとなり大命へと向かわん。」
「皆ことごとくこれなるを祝福せよ。」
「そなたはこれで大魔王となった。」
「どうか魔界を導いていってくれ。」
「たとえこの先、何が起ころうとも。」
「闇の根源より出ずる邪霊、魔瘴魂よ。」
「今こそその姿を現したまえ。」
「かつてはるか遠き神話の時代、魔界はアストルティアの一部であった。」
「しかしある時、大いなる闇の根源・ジャゴヌバと呼ばれる存在が現れ大地を魔瘴で侵食していった。」
「魔瘴の変異させるチカラはあまりに危険。」
「そこで女神ルティアナはジャゴヌバごと汚された地をアストルティアから切り離した。」
「すなわちこの魔界は世界の創造主から見限られ捨てられた大地なのだ。」
「魔界に残された者達は死に絶えるか、魔物や魔族となって環境に適応し過酷な世界を生き延びていくしかなかった。」
「魔界には見捨てられた者達の絶望と無念が満ちている。」
「神話時代の記憶はもはや失われたが、魔界の民の魂には自分たちを見捨てたアストルティアへの憎悪の炎が宿っている。」
「その炎が大魔王という象徴のもとに結集し、アストルティアへの侵略を繰り返す。」
「それが魔界の歴史なのだ。」
「新たなる大魔王よ。」
「果たしてそなたにこの怨念の連鎖を断ち切ることができるかな?」


主人公は魔仙卿が召喚した魔瘴魂グウィネーロを倒した。
魔仙卿はいずこかへ消え去った。


主人公は大魔王となり、3人の魔王たちは主人公を祝福した。


その頃、修行を終えた勇者アンルシアが王家の迷宮から帰還した。
「強くなった私を、どうか見守っていて。」


―次回、勇者復活―