ドラゴンクエストX(DQ10) ネタバレストーリー まとめ

ドラゴンクエストX(DQ10)のメインストーリー、サブストーリーのまとめ

エピソード35 勇者復活

大魔王城の玉座の間で侍従のカーロウに話を聞く。
「ご機嫌麗しゅう、大魔王様。」
「本日も眩いばかりに輝く笑顔でございますなあ。」
「日に日に大魔王らしくご成長なされてこのカーロウも鼻が高いですぞ。」
「ちょうど3人の魔王たちが大魔王城へ参集したところでございます。」
「ささ、玉座へとお座りくださいませ。」
魔王ヴァレリア、魔王アスバル、魔王ユシュカがやってきた。
「大魔王様に忠誠を誓いたる3魔王、ここに集いましてございます。」
「ささ、皆様。面を上げてくださいませ。」


ユシュカが笑っている。
「おっと、悪い悪い。」
「どうもお前が大魔王だっていう気がまだしなくてな。」


アスバルが言う。
「ようやくそれぞれの国が落ち着いたので大魔王城に来ることができたよ。」
「魔界を大魔瘴期から救うことがここに集まったみんなの願いだ。」
「遠慮なく僕たちを頼って欲しい。」


ヴァレリアが言う。
「我らはしばしこの城に滞在するゆえ貴様の手に余る事態が起きたなら協力してやらんでもないぞ。」


ユシュカが言う。
「当面の問題といえば魔仙卿の奴のことだな。」
「デモンマウンテンの頂から魔界を見下ろして代々の大魔王を選定し、何万年もの間大いなる闇の根源に仕えてきた魔仙卿。」
「なぜ魔界の全てを敵に回したのかは未だ謎のままだ。」
「かつてこの魔界がアストルティアの一部だったと言う魔仙卿の言葉に嘘はないだろう。」
「捨てられた大地である魔界の民が抱くアストルティアへの復讐心、その怨念を断ち切れるかと言っていた。」
「だがそのために新たな大魔王としてお前を選んだなら、どうしてあの場で襲ってくる必要がある?」
「どう言うつもりかは魔仙卿をふんづかまえて直接聞いてみようぜ。」
「戴冠式での言葉から察するに再び俺たちの前に姿を現すつもりだろう。」
「警戒を怠らず奴の居場所を探そうぜ。」
「だがその前に、新たな大魔王様にやって欲しいことがあるんだ。」
「魔仙卿が操る魔瘴魂が大魔王の戴冠式を襲撃したって噂は魔界中に広まっちまった。」
「ただでさえ大魔瘴期の予感に怯えていたところへ魔仙卿の裏切りだ。」
「民はみんな不安がっている。」
「そこで新たな大魔王として威嚇を示し、その強さと心意気を知らしめて魔界の民を安心させてやって欲しい。」
「じゃ、そう言うことで頑張ってくれよ。大魔王サマ。」


カーロウが言う。
「新たなる大魔王主人公様が魔界史上最も優れた大魔王であると民草どもに知らしめねばなりません。」
「今城のものたちが大魔王様のなすべき務めを用意しておりますので城内をめぐり話しかけてみてくださいませ。」
「歴史家ガルダモ、衣装係ショーナ、パンドラチェストのバンクーンの3名が大魔王様を待っております。」
「どの件から着手するかはご自由に。」
「全ての用事を解決なさったら私の元へお知らせくださいませ。」


歴史家ガルダモに話を聞く。
「私がこうして大魔王城を訪れたのは大魔王様が魔界の歴史全般に大変疎くていらっしゃると聞き及んだため。」
「過去を知ることは未来を知ろうとすること。」
「歴史とは無明の荒野を照らす灯火なのです。」
「ましてや魔界全土を率いようと言うお方がその地の歴史に無知であるなど言語道断。」
「為政者としてあってはならぬことです。」
「と言うわけで大魔王様の治世を助けるべくまかりこした次第。」
「幸いなことにこの大魔王城には立派な図書室があります。」
「まずは図書室へ行き、古代から現代までの魔界の歴史について記された書物をじっくりみっちり読み込んでいただきたい。」
「その後大魔王様の魔界史への習熟度合いを私が出題するテストで測りましょう。」
「全問正解できたら合格とさせていただきます。」


図書室で魔界の歴史について記された書物を読む。


「始まりの大魔王五つの偉業と言う本だ。」
「今は名も忘れ去れし始まりの大魔王。」
「その五つの偉業なる業績をここに記す。」
「魔界の神々が失われしのち、魔族同士が相争う戦乱の時代を終わらせ統一国家を築いたのが始まりの大魔王第一の偉業である。」
「第二の偉業はこの統一国家を危険視し攻めて来たアストルティアからの侵略者を魔界史上初めて撃退したこと。」
「第三第四の偉業はゴダ神殿の建立とそこに住う魔仙卿を見出し大魔王の選出を制度化したことである。」
「そして第五の偉業は大魔王によって組織化された精強な軍隊による初のアストルティアへの遠征であった。」
「この遠征は結果として失敗し、偉大なる大魔王は帰らぬ人となった。」
「しかし彼の業績の数々が今の魔界を作ったことを忘れてはならない。」


「栄光のゼクレス王家と言う本だ。」
「魔界最古の血統を誇るゼクレス王家。」
「その栄光の歴史は英明なる名君たちによる輝かしい活躍に彩られている。」
「ゼクレス建国王ワラキウスは魔界東部を荒らしていた激昂の巨人を自身の魔術で封印し、ここに国を打ち建てた。」
「ワラキウスは世に冠絶した魔道の技でのちに大魔王にまで登りつめ繁栄をもたらした。」
「その才は今も彼の血筋に受け継がれている。」
「第七代ゼクレス王ジグネールはワラキウスの再来と呼ばれその器量は偉大なる始祖に勝るとも劣らないものだった。」
「実際大魔王選定の試練すら悠々と攻略したが、生来の病身には勝てず山頂で急死を遂げた。」
「悲運の王と呼ばれる所以である。」
「第十四代ゼクレス王バルメシュケは混沌の魔術王の二つ名で知られ、ことに人心を操る術を得意とした。」
「多くの魔物や下等魔族を実験台にしながら魔術の秘奥を極めその発展に寄与し、ゼクレス王家で二人目の大魔王になった。」
「以来ゼクレス王家で大魔王となった者は今日まで現れていないが、代々の魔王たちはいずれ劣らぬ魔術の達人揃いである。」
「偉大なるワラキウスの血を引く者に栄光あれ。」
「いつの日か偉大なるゼクレスの紋章旗が魔界全土でひるがえる日の来らんことを。」


「ヴァルザード戦記と言う本だ。」
「海運都市ザードを興し、のちに大魔王となったヴァルザードはその生涯で多くの戦いを経験した歴戦の勇士であった。」
「大ダコの魔獣を石化しザード建国の契機となった血潮の浜辺の戦いは英雄物語として有名だが、初期のザードは吹けば飛ぶような小国だった。」
「その弱小国が一躍発展を遂げたのは当時魔界南部の強国であったズムーラ覇王国を打倒したことによる。」
「ズムーラ城門攻防戦では撃退されたものの、直後に奇襲を仕掛けたズムウル峠の戦いでの大勝利がザードを大きく飛躍させた。」
「次いで賢女の都レジャンナとの間に生じた諍いを有利な条件で解決すると、ザードは通商国家として盤石の地位を築いた。」
「こうして有数の大国となったザードが魔界全土の覇権をかけゼクレス魔道国と争ったゲルヘナ幻野の戦いは魔界史に残る大戦である。」
「ここでゼクレスの南進を退けたヴァルザードが遠からず大審門をくぐり大魔王となることはもはや誰の目にも明らかな未来だった。」


「マデサゴーラ絵画の歴史と言う本だ。」
「大魔王マデサゴーラは多彩な創作活動で知られるが、主に絵画の分野で魔界芸術史に多大な影響を残した不朽の芸術家である。」
「『朝食 その悲しみ』は初期作品の中でも彼の声望を高めた一作としてつとに有名だ。」
「謎めいた作風は当時多くの批評家を悩ませた。」
「『黄金虫の胎動』を発表した時期、マデサゴーラはゴーラの王に登極し魔王にして画家と言う異色の経歴が大いに画壇を騒がせた。」
「『雷葬』は腹心・魔元師ゼルドラドとの逸話が有名で、この作品を見たゼルドラドが臣従の決意をしたと言う鮮烈な印象の力作。」
「『影と光の抱擁』は大魔王即位直前の作品で、のちの超暗黒主義の芽生を感じさせる。」
「芸術家マデサゴーラの過渡期の一作と言える。」
「『虚夢』は最もよく知られているマデサゴーラ黄金期を代表する傑作である。」
「大魔王の芸術が魔界中を席巻したのだ。」
「以降マデサゴーラの芸術は大型化していき、魔幻園マデッサンスなどの建築分野に拡大。」
「やがて創世の野心へとつながっていく。」


「不死の魔王と十二将と言う本だ。」
「不死の魔王ネロドスは歴代の大魔王の中でも多くの配下を抱えていることで知られ、その側近集団は魔軍十二将と呼ばれている。」
「十二将は互いを激しくライバル視しており、事あるごとに功を競い主君の観心を買うことに執心していたと言う。」
「竜将ドラゴンガイアは多くの敵を滅ぼし最強の十二将と呼ばれることを誇りとした。」
「早くからネロドスに臣従した獄将ベリアルは最古の十二将を名乗り暴将黒竜丸はその進攻速度から最速の十二将と称された。」
「邪将トロルバッコスは完璧に侍従の役をこなし最良の十二将と呼ばれ、楽将バトルシェイカは主君を楽しませ最愛の十二将の名を冠した。」
「ネロドス自身のカリスマ性もさりながら彼が臣下に与える不死のチカラという報酬が十二将の競争心を駆り立てたのだと思われる。」


主人公は歴史家ガルダモの問題を全問正解した。
「これほど魔界の歴史に通じていれば魔界を統べる者として申し分ないと言えましょう。」
「いやはや勉強熱心な大魔王様でいらして一研究者として安心いたしました。」
「これで枕を高くして寝られると言うものです。」


衣装係ショーナに話を聞く。
「大魔王様にはその御威光にふさわしいお召し物が必要かと思い準備を進めているところなのです。」
「実はトポルの村にゼクレスの貴族や何人かの魔王様の衣装も手がけてきた高名なデザイナーが隠居しております。」
「大魔王城へ来られないかデザイナーに連絡を取ったのですが、高齢のため遠出するのは難しいと返答がありました。」
「ですが衣装作りだけならできるそうで、大魔王様と直接お会いして衣装をデザインしたいと申しております。」
「恐れ入りますが大魔王様。そのデザイナーの元へおもむき衣装を作っていただけないでしょうか。」
「デザイナーはトポルの村に住むディージアという女性です。」
「彼女の実力は本物。」
「大魔王様に相応しいお召し物を仕立てるはずですわ。」


主人公はトポルの村に住むディージアに話を聞いた。
「あなたはこれまでに沢山の戦いや辛いことを乗り越えて来たのですね。」
「だからこんなに優しい顔をしている。」
「でもだからこそあなたは・・」
「あなたのお顔を見たら衣装のデザインが浮かんだの。少しお待ちになって。」
「完成にはもう少し時間がかかります。」
「お待ちの間に大魔王城にいる衣装係のショーナを連れて来てくださらない?」
「衣装の着付けをお願いしたいのですよ。」


主人公がショーナを連れてくるとディージアは息絶えていた。
主人公宛の手紙を見つけた。
どうやらディージアが書いたもののようだ。
主人公は手紙を読んだ。
「大魔王様へ。」
「突然こんなことになってきっと驚かれたでしょうね。」
「ごめんなさいね。」
「あなたには隠していたけれど、私の身体は魔瘴に深く侵されていていつ限界が来てもおかしくない状態でした。」
「だからあなたの衣装を完成させられないまま死ぬのかしらとハラハラしたものですが、間に合って本当によかった。」
ベッドの側に大魔王の衣装が飾られていた。
「早速衣装を着てみてくださいな。」
「優美だけれど恐ろしくて厳か。」
「大魔王様にぴったりの衣装でしょう?」
「両肩にドクロの飾りはやっぱり素敵。」
「赤い宝石ブラッドスピネルを仮面に使いましたの。」
「仮面は私の一番のお気に入りです。」
「衣装を着たあなたを見られないのは残念ですが、デザイナー人生の終わりに最高の衣装を作ることができて私は幸せでした。」
「私が死ねば心優しいあなたは悲しんでくださるのでしょう。」
「けれどその顔を周りに見せてはいけませんわ。」
「あなたは魔界を統べるお方。」
「魔族も魔物もあなたの前にひれ伏す。」
「王が情けない顔を晒してはなりません。」
「いつも誰かの痛みや悲しみに寄り添ってきた優しい心は仮面の下にお隠しなさい。」
「なぜならあなたは大魔王なのですから。」


主人公とショーナは家の近くにある墓地にディージアの亡骸を埋葬してから大魔王城に戻った。


「大魔王様のお手を随分と煩わせてしまいました。」
「ディージアは私の祖母なのです。」
「大魔王様のお召し物を作ることができて祖母は・・」
「失礼しました。」
「祖母は最期に大魔王様に出会えたこと、大魔王様のデザイナーになれたことを本当に喜んでおりましたわ。」
「ありがとうございます、大魔王様。」
「実は衣装の一つとして鎌もあるのですが、そちらは腕利きの鍛冶屋に依頼していてまだ完成しておりません。」
「完成しましたら大魔王様のお手元に届くよう手配いたします。」
「もうしばらくお待ちください。」
「衣装は私がお預かりします。」
「着替えたい時はいつでも私に話しかけてください。」


パンドラチェストのバンクーンに話を聞く。
「これは大魔王様、仕事が終わらなくて困ってたガネ。」
「ちょうどいいところに来てくださったガネ。」
「ユシュカ様から大魔王城のお金の管理を任されたんだけど、僕だけじゃとても仕事がまわらないんだガネ。」
「大至急助っ人を雇って欲しいんだガネ。」
「僕はそう言う人を知らないから大魔王城の私室にいるユシュカ様に聞きに行くガネ。」


ユシュカに話を聞く。
「大魔王城の金庫番を任せるならファラザードでバザールの元締めをやっているジルガモットが適任だと思う。」
「ジルガモットは優秀だぞ。」
「あいつが元締めになってからバザールは一気に発展したんだからな。」
「能力は保証する。」
「ただあいつは気に入った奴としか組まない。」
「向こうには話をしておいてやるからこれも大魔王の仕事と思って口説いてみろよ。」


主人公はファラザードに向かい、ジルガモットを口説いた。
そのことをパンドラチェストのバンクーンに報告する。
「大魔王様、ありがとうだガネ。」
「ジルガモットさんが助っ人に来てくれて大助かりだガネ。」
「大魔王城のお金の管理はこれで万全だガネ。」
「安心して僕らにお仕事任せるといいガネ。」


カーロウに報告する。
「なんとまばゆいご尊顔。」
「御即位なされた頃とはまさに別人。」
「見事威厳を身に付けられましたな。」
「ささ、大魔王様。」
「次なる御公務でその素晴らしき威厳を魔界の民草に知らしめましょうぞ。」
「ちょうどさらなる高みを目指す大魔王主人公様の助けになろうと3魔王の方々から申し出がありました。」
「東翼にあるそれぞれの魔王の私室をお訪ねくださいませ。」
「どの申し出から引き受けるもご自由ですぞ。」
「全て解決なさいましたら玉座の間にいるこの私めにお知らせください。」
「では大魔王主人公様。ご健闘をお祈りしておりますぞ。」


魔王ヴァレリアに話を聞く。
「大魔王の即位によって魔界は一つにまとまったように見えるが、実のところ全ての魔界の民が従っているわけではない。」
「貴様を大魔王と認めない勢力の一つが反乱を起こそうとしていると情報が入った。」
「悪い芽は早めに潰すに限る。」
「本来なら私が出向くところだが、今回は貴様に花を持たせてやることにした。」
「大魔王自ら反乱軍を討伐することで主人公のチカラと威勢を魔界中に知らしめることができるだろう。」
「これも大魔王として必要な職務だ。」
「まさか断るなどとふざけたことは言うまいな?」


ベルトロに反乱軍の情報を聞いた主人公はアジトに向かった。
「誰か助けて・・」
「ここから出して・・」
地下室に行くとイルーシャと瓜二つの青年が牢屋に捕らえられていた。
「君は・・優しくて暖かな光を感じる・・」
「お願いだ。僕を助けて・・」
「僕はナラジア。」
「目が覚めたら知らないところにいて。」
「あの恐ろしい連中につかまってここに。」
「自分の名前以外何も思い出せない。」
「僕はいったい・・」


主人公は反乱軍を倒し、ナラジアを助け出した。
「本当に僕は何も覚えていないんだ。」
「でも一つだけ思い出した。」
「ここに来る前、深い霧の中に僕はいた。」
「僕は一人ではなかったんだ。」
「僕にそっくりな女の子。」
「あの子がいたから僕は・・」
「イルーシャ・・」
ナラジアは一人で何処かへ行ってしまった。


魔王アスバルに話を聞く。
「実はゼクレスの貴族たちから大魔王である君を招待して盛大な舞踏会を開きたいって話があるんだ。」
「おそらく貴族たちは新たな大魔王である君を値踏みするつもりだろう。」
「あの人たちはとても疑り深いからね。」
「でも彼らは社交界での振る舞いを何よりも重視する存在である。」
「この舞踏会で認められれば必ずや支持を得られるはずだ。」
「これは最高のチャンスだと思う。」
「僕も一緒に行くから大魔王として舞踏会への招待を受けてくれないか?」


魔王ユシュカに話を聞く。
「魔界には過去の大魔王の巨大な彫刻が並ぶ大魔王顔壁と言う場所がある。」
「大魔王の偉大な姿を刻む重要な場所だ。」
「歴代大魔王の中でも特に有力な大魔王しか像を彫ることを許されていないが。」
「魔界を救うお前にはその資格があるはずだ。」
「大魔王顔壁で像を造って歴代の大魔王たちと肩を並べてこい。」
「これも民心掌握の一環だ。」


3魔王の依頼を全てこなし、カーロウに報告する。
「さすがですぞ、大魔王様。」
「すっかり大魔王らしさを身に付けられて。」
「このカーロウ、思わず嬉し涙が。」
「大魔王即位から時を置かずしてこれほど多くの業績を成し遂げられるとは。」
「いやはやまことお疲れ様でございます。」
「ずっと働き詰めでいらしたのです。しばらくのんびり羽でも伸ばされて・・」


兵士が玉座の間に入ってきた。
「おそれながら申し上げます。」
「バルディスタ領、アストルティアへと続く大洞穴付近に突然魔瘴塚が発生いたしました。」
「魔瘴塚からは膨大な魔瘴が噴出しており近隣の遠征軍駐屯所の兵たちが救援を求めております。」


「ご苦労、よく知らせてくれた。」
「お部屋にいるイルーシャさまをここへおよびしてくれ。」
「遠征軍駐屯地は対アストルティアの最前線。」
「かの地を救ったとなれば大魔王様の御威光はいや増すかと。」
「お疲れのところ申し訳ございませんが、魔瘴の巫女イルーシャさまとともに遠征軍駐屯地の救援にご出発を。」


主人公はイルーシャと一緒に遠征軍駐屯地に向かった。
シィジャン兵士長に話を聞く。
「ご覧になった通り魔瘴塚はすでに静まって・・」
「いえ、謎の集団によって封じられたのです。」
「突然このあたりに発生した魔瘴塚から伸ばした手の先すら見えぬほど魔瘴が噴出し死を覚悟したその時、フードをまとった謎の集団が現れすべての魔瘴塚を封じ込め立ち込める魔瘴を打ち消したのです。」
「驚く我々に奴らはこう問いました。」
「強い女の魔王を探している、居所を白状するがいいと。」
「おそらく魔王ヴァレリア様に恨みを持つ連中なのでしょう。」
「もちろん知らぬ存ぜぬを通しました。」
「すると謎のフード集団は意外なことにあっさりと諦めそのままいずこへと立ち去りました。」
「ですがいずれは探している魔王がヴァレリア様であると突き止めバルディスタへ現れることでしょう。」
「大魔王主人公様、バルディスタ要塞のベルトロ様に警護を強めよとどうかお伝え下さいませ。」


ベルトロのところへ向かった。
「これはこれは大魔王様。」
「ちょうどいいところへおいでなすった。」
「じつはどうしてもアンタの耳に入れときたいことが・・おっと失礼。」
「そっちの用事から先に聞くとしよう。」
主人公は遠征軍駐屯地に現れたという謎の集団が来ていないか聞いてみた。
「そうそう、俺もその話がしたかったんだ。」
「さすがは大魔王様だねえ。」
「そうとも。お探しのフードの集団なら確かにここバルディスタに現れたぜ。」
「魔王ヴァレリアを探しにな。」
「あの日、ヴァレリアが大魔王城へ旅立ちバルディスタ要塞が手薄になったその隙をつくかのように。」
「奴らは現れたのさ。」
「謎のフードの集団はバルディスタ軍の精鋭たちを片っ端から薙ぎ払いとうとう玉座の間まで到達した。」
「ヴァレリアが滅ぼした国は数しれず。」
「おそらく謎のフード集団もその生き残りだろうと俺は考えた。」
「連中が誰かの仇討ちのために来たのは明らかだ。」
「鬼神の如き強さの剣士が率いるはそれぞれ並ならぬ魔法の使い手が3人。」
「残念ながら俺の腕じゃ手に余る相手だ。」
「俺一人なら生き延びられるかもしれんが、他の連中は皆殺しにされちまう。」
「ここで戦うのは得策とは言えねえだろう。」
「とすれば答えは一つ。」
「ヴァレリアが大魔王城にいると教えるしかなかった。」
「てなわけで謎のフード集団ははるか大魔王様の城を目指すためバルディスタから出ていったんだ。」
「お探しのフード集団ならいずれ大魔王城へ現れるはずだぜ。」
「あんたたちが揃ってりゃなんとかなるさ。」
「ヴァレリアの敵はアンタの敵。」
「それが大魔王の責任ってもんだろ?」
「さ、あとは頼んだぜ。大魔王様。」


主人公が大魔王城に戻るとナラジアが城に入ってきた。
イルーシャの姿を見つけるナラジア。
「君が・・イルーシャ?」
「よかった。僕・・君に会うためここまで・・」
ナラジアはその場に倒れ込んでしまった。


ユシュカが驚く。
「イルーシャとそっくりだと?」
「いったいどうなってるんだ。」


ナラジアを医務室に運び、イルーシャが看病する。
「初めて会う人のはず・・なのにどこか懐かしい気持ちになるの。」
「お願い。目を覚まして。」
「あなたと話がしてみたい。」
「私がちゃんと看病するから心配しないでね。」


玉座の間に向かうと3魔王が集まっていた。
アスバルが言う。
「ただの人間が丸腰で魔界を横断してきた。」
「それだけじゃない。」
「城の外に施された外敵よけの結界も封印魔法もあいつには通用しなかった。」
「とてもただの人間とは思えないよ。」


そこに謎のフード集団が現れた。
「長い道のりでした。」
「命を賭した修行の日々も、魔界の奥深くへのつらく厳しい旅も全てはこの時のため。」
「魔界を滅ぼし大魔王を倒す。」
「それこそが勇者の使命!」
謎のフード集団の正体は、勇者姫アンルシア、賢者ルシェンダ、シンイ、エステラの4人だった。
大魔王の衣装を身に着けた主人公に気づいていない様子のアンルシア。
「我が名はグランゼドーラ第一王女にして当代の勇者アンルシア!」
「太古より続くアストルティアへの侵攻と非道なる破壊と殺戮の数々、もはや許すわけにはいきません!」
「決着をつけましょう、魔王ヴァレリア。そして災いの根源・・大魔王!」


ヴァレリアが言う。
「誰かと思えばあの時のアストルティアの小娘か。」
「大魔王に出ていただくまでもない。私に任せてもらおう。」


勇者アンルシアは覚醒し、大きな聖なるチカラを身に宿している。
「代々の勇者と盟友たちよ。どうか私にチカラを。」
「我が剣はアストルティアのために!」
「大魔王!」
「アストルティアの悲しみの歴史に今こそ私が終止符を打つ!」
「大魔王!いざ勝負!」


ヴァレリアはエステラと、アスバルは賢者ルシェンダと、ユシュカはシンイとそれぞれ戦闘を始めた。
「アンルシア姫!ここは私達に任せて大魔王のもとへ!」


「大魔王、覚悟!」
驚き戸惑う主人公は不意を付かれ、勇者姫アンルシアの攻撃をまともに受けてしまう。
大魔王の衣装である仮面が吹き飛ばされ、主人公の素顔があらわになった。
それを見たアンルシアは衝撃を受け涙を流す。
「本当にあなたなの?主人公・・」
「でもどうして・・どうしてあなたが大魔王なの?」


正体が明らかになった主人公はアンルシアたちに休戦を申し出ると大魔王城の会議室に案内した。
そして一度は命を落としかけたもののユシュカの魔力によって救われたこと、来る大魔瘴期から世界を救うため大魔王に即位したことをアンルシアたちに説明した。


話を一通り聞いた勇者姫アンルシアが言う。
「あなたがそこにいる魔王ユシュカに命を救われた恩を感じているのはよくわかったわ。」
「でもこれまで魔王たちがアストルティアに何をしたのか忘れたの?」
「なのに魔界の味方につくというの?」


魔王ユシュカが言う。
「大魔王が救うのは魔界だけじゃない。」
「あんたらが住むアストルティアもだ。」
「大魔瘴期の到来は予想以上に早く、その影響は魔界だけではすまない。」
「2つの世界は光の河を隔ててつながっている。」
「魔界を滅ぼした魔瘴は必ずアストルティアをも覆い尽くすだろう。」
「もはや魔界の民とアストルティアの民が戦っている場合ではないんだ。」
「これまでの恨みは忘れ、休戦してほしい。」
「ともに大魔瘴期に立ち向かおう!」
「そこにいる魔瘴の巫女イルーシャは魔瘴を鎮めるチカラを持っている。」
「まず巫女が大魔瘴期の到来を遅らせる。」
「その間に協力して元凶を突き止めよう。」
「たがいに知恵を出し合えば大魔瘴期を止める方法も見つかるはずだ。」


シンイが言う。
「私達の故郷エテーネ村はあなた方魔族によって滅ぼされました。」
「唐突に大魔瘴期だの魔瘴の巫女だのと言われてもおいそれと信用はできません。」
「正直なところあなた方を前にしてこうして冷静に対話することだけで私には精一杯です。」


勇者姫アンルシアが言う。
「盟友であるあなたのことは信じてるわ。」
「けれどそんな簡単にすべてを水に流せと言われても。」


魔王ヴァレリアが言う。
「ふん、勝手なことを。」
「同胞を失った恨みならば魔界も同じだ。」


兵士が会議室に入ってきた。
「デモンズマウンテンに異変が起きました。」
「大量の魔瘴が噴出し、山頂を覆い尽くしています!」


魔王ユシュカが言う。
「デモンズマウンテン?まさか魔仙卿の仕業か?」
「アストルティアの勇者よ。」
「大魔瘴期の到来が嘘じゃないって事をその目で確かめる気はないか?」
「このまま手をこまねいてたらどうなるか、ジャディンの園に行けばわかるはずだ。」
「俺たちについてきてくれ。」


イルーシャが言う。
「私が魔瘴を鎮められるところを見てもらいたいの。」
「一緒にデモンズマウンテンに行きましょう。」


勇者姫アンルシアが言う。
「では魔界とアストルティアから双方の代表者が同数ずつ出発することにしましょう。」
「魔界側の代表者は私が選びます。」
「この条件でいいというならジャディンの園まで行きましょう。」
「アストルティアからは私と賢者ルシェンダ様が、魔界からは魔王ユシュカと魔瘴の巫女イルーシャさんにお願いします。」
「そしてもうひとり、主人公にも来てほしいの。」
「魔界とアストルティア、それぞれを知る者として。」


出発前に勇者姫アンルシアと話をする。
「あなたが大魔王だと知ったときはすごく驚いたしなんだか裏切られたような気持ちがしたけれど、でもこうして話してみてわかったの。」
「あなたは何一つ変わらない。」
「私の知ってる主人公のままだって。」
「生きていてくれるって信じてた。」
「主人公、あなたと再会できて本当によかった。」


賢者ルシェンダと話をする。
「まさか主人公が大魔王になっていたとは。」
「盟友にして大魔王とは、なんと数奇な運命よ。」
「アンルシアは魔王ヴァレリアに敗れて以来、厳しい修行を重ねていたのだが突然強大な魔族の気配を感知したそうなのだ。」
「もはや一刻の猶予もならぬ。」
「先手を打ってアストルティアを守るのだとアンルシアは魔界に旅立ったのだ。」
「アンルシアが乗り越えてきた試練はかつてと比べ物にならん。」
「主人公、あの子は強くなったぞ。」


シンイと話をする。
「ガミルゴの盾島での戦いの後、魔族たちがアストルティアから退きほっとしたのもつかの間、ヴェリナード王国に強大な魔族が出現。」
「正体を隠しオーディス王子に接触したものの女王ディオーレに怪しまれ姿を消したとか。」
「魔族共が再び牙をむくのは確実。」
「ならばその前に大魔王を討伐すべし、アンルシアさんはそう決断されました。」
「行方不明の盟友に代わり勇者とともに戦うべく集められたのが私達です。」
「なのになぜあなたが大魔王なのです?」


エステラと話をする。
「アンルシアさんは賢者ルシェンダさんとシンイさんを連れて竜族の隠れ里にいらっしゃいました。」
「アストルティアを救うため同胞である竜族にもチカラを貸してほしいとそうおっしゃってくださったのです。」
「みなさんと魔界を旅している間、なぜか竜族の世界を思い出すのが不思議でしたが魔界の成り立ちを聞いてわかった気がします。」


魔王アスバルと話をする。
「すごいよ主人公。」
「君は大魔王であるだけでなくアストルティアでは勇者の盟友なんだね。」
「主人公が架け橋になってくれたら魔界とアストルティアも和解できる。」
「ああ、本当に君って最高だよ。」
「ジャディンの園に噴出した魔瘴をみれば大魔瘴期の到来が真実だと彼らもわかってくれるはずだ。」


魔王ヴァレリアと話をする。
「貴様がアストルティアの出身であることは知っていたが、あの勇者の盟友だったとはな。」
「よくもこれまで謀ってくれたものだ。」
「いや、責めるつもりはない。」
「貴様の正体を見抜けなかった我々が愚かであっただけのこと。」
「だが覚えておけ。」
「もし貴様が魔界に仇なすならばこのヴァレリアが容赦せん。」
「そしていずれあの忌々しい勇者と盟友である主人公、貴様らを私がまとめて倒してやるとな。」


主人公たちはジャディンの園に向かった。
ジャディンの園は魔瘴が吹き荒れている。
「ひどい・・」
「私に任せて。」
しかしイルーシャ一人では処理できない量の魔瘴だ。
そこにナラジアが現れた。
「イルーシャ。」
「どうしてもこの場所に来なければならない気がして。」
「そしたら君に会えたんだ。」
「けどいったい何が起きたんだい?」
イルーシャは手から黄金の光を放ち、ナラジアは青白い光を放つ。


巨大な魔瘴塊が現れた。


「仕方ない、とっておきを使うか。」
「こいつでもくらいな!」
ユシュカは6色の宝石を取り出し魔瘴塊に投げつけた。


それを見た賢者ルシェンダが驚く。
「今のは・・」
「加勢するぞ、小僧!」
ルシェンダも魔瘴塊に光の呪文を放った。


「今度は勇者と盟友がお相手するわ!」
「さあかかってきなさい!」
主人公と勇者姫アンルシアは巨大魔瘴塊を倒した。


賢者ルシェンダが言う。
「どうにか魔瘴塊を一掃できたようだがひどい有様だ。」


勇者姫アンルシアが言う。
「イルーシャさんたちが魔瘴を鎮めてくれなかったらみんな死んでいたかもしれない。」
「おふたりとも、ありがとう。」


魔王ユシュカが言う。
「しかしナラジアといったか?」
「お前も魔瘴を操れたとはな。」
「やがてくる大魔瘴期にはさっきの何万倍もの魔瘴が魔界中を覆い尽くすと言われている。」
「それをなんとかして止めたいという俺達の願いにいつわりはない。」
「どうかわかってほしい。」
「ま、ゆっくり考えてくれ。」
「さあて本題に戻るとするか。」
「ゴダ神殿、大いなる闇の根源へと通じるという秘められし場所。」
「おそらく魔仙卿は神殿のどこかに潜んでいるはずだ。」
「よし、ゴダ神殿へ向かおう。」


ゴダ神殿の奥に行くと、イルーシャは何かを思い出したようだ。
「私はここからこの世界に現れたの。」
「ナラジア、あなたは?」


ナラジアも何かを思い出したようだ。
「僕は・・」
「この先にいる誰かが僕のことを呼ぶ声が聞こえる。」
「僕が、僕たちがこの世界にやってきた意味はこの先に・・」
二人が手を繋ぐと地下への階段が出現した。
「この下にいる・・」
「封印された神殿の奥に・・」
「ゴダ神殿の真の役目は大いなる闇の根源を封印すること。」
「大いなる闇の根源と呼ばれしもの。」
「その真の名は・・異界滅神ジャゴヌバ。」


賢者ルシェンダが驚く。
「ジャゴヌバだと?」
「もしや魔仙卿とやらの狙いはジャゴヌバの復活なのか?」


「行きましょう、ジャゴヌバの神殿へ。」
「そこですべてがわかるはず。」


地下神殿の奥へ進むと巨大な扉があった。
「この扉に施された封印は中にいる者から世界を守るためのもの。」
「ジャゴヌバはこの奥に。」
イルーシャとナラジアは手をつなぎ扉の封印を解いた。
「かの異界滅神ジャゴヌバを外界へ出さぬようにすることがこの神殿の役目。」
「されど時の流れが封印を弱めジャゴヌバは覚醒しようとしている。」
「ジャディンの園を滅ぼせし魔瘴も魔界に訪れんとする大魔瘴期もみなかの者の目覚めがもたらした災い。」
「だから私達はこの世界に現れた。」
「さあ、封印されしジャゴヌバはこの先に。」


異界滅神の間に入る主人公たち。
すると魔仙卿が石化したジャゴヌバになにやら術を施していた。
「邪魔をするな。」
「大魔王と話がある。」
「他の者は下がっていろ。」


魔仙卿と二人になる。
「兄ちゃん、こいつが異界滅神ジャゴヌバ。」
「今はまだ眠っているけど。」
「ジャディンの園を滅ぼした魔瘴の噴出はジャゴヌバ復活が近づいたせいらしい。」
「でもどうしてこんなに早く・・」
「魔王ユシュカはおいらのせいだと誤解しているみたいだね。」
「大魔王の戴冠式で脅かしすぎたかな。」
「おいらは長い間魔仙卿を演じ、アストルティアと魔界が共存する道を探してきた。」
「けれど魔界の地上への怨念は根深く、地上もまた魔界を許せはしない。」
「当たり前の方法じゃ和平は望めなかった。」
「2つの世界が全面的に争いを始めた後、大魔瘴期が訪れたらもう手の施しようがないことになる。」
「だからおいらは封印されし異界滅神ジャゴヌバに働きかけて大魔瘴期を早め、両世界が協力するしかない状況をもたらそうとしたんだ。」
「戴冠式であんな芝居をしたのも、まず魔界3国の絆を深めるためだったんだ。」
「手荒な真似をしてごめんよ。」
「兄ちゃんが魔界を平定し、新たな大魔王に即位したあのとき、おいらは計画の成功を確信した。」
「勇者の盟友であり大魔王である兄ちゃんだからこそ2つの世界の架け橋になれるんだ。」
「お願いだよ、兄ちゃん。」
「どうかアストルティアと魔界、2つの世界をまとめて欲しい。」
「同じ危機に協力して立ち向かえば魔界の3国がまとまったようにアストルティアとも協調できるはずだ。」
「時獄の迷宮で最後にあった時おいらと約束しただろ?」
「何があってもアストルティアを守ろうって。」
「おいらたちのアストルティア。」
「魔界と地上のすべてをジャゴヌバの手から守って欲しい。」
「兄ちゃんならきっとできるって、おいら信じてるよ。」
「そうだ、おいらが裏で糸を引いていたって知れたらすべてが台無しだ。」
「今話したことは二人の秘密だよ。」
「しかしおかしいのだ。」
「我が計算ではこのタイミングでここまで封印がゆるむはずがない。」
「だが心配は無用。」
「こいつとの付き合いは長い。」
「元通り抑えることは容易い。」
「そなたはみなを連れて安全な場所へ。」


その時、イルーシャとナラジアがジャゴヌバに近づいた。
ジャゴヌバの目と右指が動き、暴虐の邪神ダビヤガを召喚した。
「平伏せよ、チリあくたども。」
「我は七柱の邪神がうちの一柱。」
「暴虐の邪神ダビヤガ。」
ダビヤガは魔仙卿を一撃でふっとばした。


賢者ルシェンダが叫ぶ。
「皆の者!一旦引け!」
「古き友より預かったコイツを使うべき時が来たようだな。」
ルシェンダはユシュカが使ったのと同じ6色の宝石を投げ、防御の結界を張った。


それを見たユシュカが驚く。
「師匠の技をどうしてアンタが・・」


「やはりな。」
「皆の者、私がしばし時間をかせぐ。」
「態勢を整えよ。協力してあやつを倒すのだ!」


「みずからジャゴヌバ様の覚醒のための生贄になりにくるとは、殊勝な心がけよ。」
「人の身で神に勝てるとでも思うたか。」
「愚かなるその血を祭壇に注ぎジャゴヌバ様覚醒の糧となるがいい。」
主人公、勇者姫アンルシア、魔王ユシュカ、賢者ルシェンダ、イルーシャは協力して暴虐の邪神ダビヤガを倒した。
「この世界から消え去りなさい!」
イルーシャは両手から光を放ち、邪神ダビヤガを消滅させようとした。
その時、ジャゴヌバがイルーシャを睨みつける。
するとイルーシャの両手に巻かれているイバラが闇の色に染まり光が消えてしまった。
「私は・・前にもこうして・・」
「私・・誰なの?」
イルーシャは倒れ込んでしまった。
ジャゴヌバは邪神ダビヤガを吸収し、主人公たちを吹き飛ばした。


「まーったく、若いのにだらしがないねえ。」
賢者ルシェンダが持つ6色の宝石が光り輝き、大柄な女性が姿を現した。
大柄な女性は宝石を使いジャゴヌバの動きを封じ込める。


大柄な女性を見たユシュカが驚く。
「まさか・・レディウルフ?」


賢者ルシェンダが言う。
「やはりユシュカに宝石魔術を教えたのはあなたでしたか。」
「賢者マリーン。」


ユシュカが言う。
「アンタも師匠と知り合いなのか?」


「なあに、あたしとこいつはちょっとした昔なじみでね。」
「ほう、勇者と盟友、そして魔王が一堂に会しているとは。」
「こりゃあ壮観な眺めじゃないか。」
「さすがに異界滅神ジャゴヌバを完全に封じるのは無理のようだね。」
「とはいえ今はあたしが何とかするしかないか。」
「いいかい?あたしの多重結界でもジャゴヌバが完全に覚醒したら簡単に破られちまうだろう。」
「魔界は魔瘴の海に沈み、次に犠牲になるのはアストルティアだ。」
「やつに対抗できるのは等しきチカラを有する神のみ。」
「ふたつの世界で協力して光の女神ルティアなを復活させるんだ。」
「まずいね、そう長くは保たなそうだ。」
「さっさとここから出ておいき!」
「なあに、あたしならなんとかするさ。」
「この部屋は内側から封印する。」
「急いで逃げるんだ。」


主人公たちは異界滅神の間から逃げ出し、賢者マリーンが内側から封印した。
賢者マリーンにその場を任せた主人公たちは大魔王城へと帰還した。


イルーシャはすぐに回復したが、ナラジアはいまだ目を覚まさなかった。
「私のせいなの。」
「ナラジアは私を助けるためにジャディンの園まで。」


ナラジアがうなされている。
「イルーシャ・・君・・目覚めさせるために・・僕は・・」


皆で玉座の間に集まった。
ユシュカが言う。
「ちょうど今、俺の師匠レディウルフの話をしてたんだ。」


賢者ルシェンダが言う。
「レディウルフか。」
「賢者マリーンは今なおあの者を忘れてはおらぬのだな。」
「ユシュカの師・レディウルフこと我が古き友賢者マリーンはかつて一人魔界へと旅立った。」
「魔界で何が起きているかを調査するためにな。」


ユシュカが言う。
「師匠はレディウルフと名を変えて魔界を旅するうちまだ未熟な俺と出会い、俺にアストルティアのことや他人と手を取り合うことの大切さを教えてくれたんだ。」
「アスバル、お前にやったあのコンパスは師匠から譲り受けたものなのさ。」


勇者姫アンルシアが言う。
「魔界の皆さん、そしてシンイさん、エステラさん。」
「魔界にあふれる魔瘴の勢いはアストルティアの比ではありません。」
「彼らの言葉は真実です。」
「私達みんなのチカラを束ねても異界滅神ジャゴヌバにはとうていおよばなかった。」
「恐ろしい敵でした。」
「現在は賢者マリーン様が封印してくださっているものの、いずれジャゴヌバは覚醒し封印は破れる。」
「ジャゴヌバが覚醒してしまえば魔界もアストルティアも大魔瘴期によって滅びるでしょう。」
「魔界と・・手を結びましょう。」


ユシュカが言う。
「ああ。俺もこの目でジャゴヌバを見てはっきりと理解した。」
「やつを倒さなければ俺たちに未来はない。」


賢者ルシェンダが言う。
「賢者マリーンによればジャゴヌバを倒すことができるのは等しきチカラを持つ神のみ。」
「光の神・ルティアナの復活なしに我々に勝ち目はないとのことだ。」


エステラが言う。
「光の神・ルティアナ・・」
「竜族の神・ナドラガをはじめ七柱の種族神を生み出したという母なる創世の女神を・・」


勇者姫アンルシアが言う。
「ええ。賢者マリーン様がおっしゃったようにルティアナさまを復活させるのです。」
「魔界とアストルティア、その全てが滅びる前に魔界と手を取り合いともにジャゴヌバに立ち向かわなくては。」


賢者ルシェンダが言う。
「我々はいったんアストルティアに戻ろうと思う。」
「我々が見たものをありのままに伝え、できる限り皆を説得しなくては。」
「でなければどちらの世界にも未来はないのだ。」


エステラが言う。
「世界から切り離された魔界の在り様はナドラガンドの合わせ鏡。」
「見捨てられた魔界側から手を差し伸べてくれたのです。」
「握り返すべきなのでしょうね。」


シンイがやっと納得した。
「わかりました。勇者と盟友の決断を信じましょう。」


「きっといい報せを持って帰るわ。」
「それまでの間、魔界のことはお願いね。」
アンルシアたちはアストルティアへ帰っていった。


ユシュカが言う。
「アストルティアと手を組みともにジャゴヌバに立ち向かおうって大魔王様のご方針に従おうぜ、な?」
「ここまで話がまとまったのもお前が大魔王だったおかげだ。」
「感謝してるぜ。」


カーロウが言う。
「この度はお疲れ様でございました。」
「アストルティアから報せが届くまではしばしごゆるりとお過ごしくださいませ。」


必死にナラジアの看病をするイルーシャ。
「ナラジア・・あなたは・・」
「いいえ、私達は何者なの?」


アストルティアに戻り先祖に祈りを捧げるアンルシア。
「アストルティアを救うため、私は魔族と手を結ぶつもりです。」
「勇者アルヴァン様、トーマ兄様、どうかお許しを・・」


旅芸人ピュージュがなおも暗躍している。
「本当に怖いのはここからだよ。」
「あはははは。」


― 次回 神の覚醒 ―