ドラゴンクエストX(DQ10) ネタバレストーリー まとめ

ドラゴンクエストX(DQ10)のメインストーリー、サブストーリーのまとめ

エピソード36 神の覚醒

ジャゴヌバ神殿で気絶したナラジアが目覚めたらしいので大魔王城の東翼にある医務室に向かうと、ナラジアとイルーシャが話をしていた。
「あの時感じただろう?」
「イルーシャにもわかったはずだ。」
「再び目覚めたのは必然。」
「俺たちだけが神を・・・させられるんだ。」
「今がその時なんだ。イルーシャ。」


アンルシアがやってきた。
「先日のジャゴヌバとの戦いの後でルシェンダ様やお父様と話をしたわ。」
「魔界のことや大魔王であるあなたのこと。」
「アストルティアと魔界にとっての最悪の危機。」
「大魔瘴期と滅びの神ジャゴヌバのことを。」
「ジャゴヌバはまだ目覚めきっていないのにおぞましく圧倒的な力だった。」
「完全に目覚めたらとても太刀打ちできない。」
「だからアストルティアの賢者様・叡智の冠を集めてジャゴヌバの対策を練ることになったの。」
「そこで魔界の代表者としてアストルティアでの話し合いに参加してほしいの。」
「賢者様たちから大魔王としてのあなたに話があるみたい。」
「魔王ユシュカさんとイルーシャさんも参加してください。」


主人公たちはグランゼドーラ城地下の秘密会議室に向かった。
秘密会議室には賢者ルシェンダ、賢者ブロッケン、賢者ホーロー、賢者エイドスがいた。
「ずいぶんと盛り上がっているようじゃないか。」
賢者マーリンが幻影の状態で現れた。
「だがあたし抜きで始めようってのはどういう了見だい?」


賢者エイドスが驚く。
「叡智の冠・紫の座、賢者マーリン。」
「健在だとはルシェンダから聞いておったが・・」


「あんた達、見ないうちに随分と老いぼれちまったねえ。」
「最後に会った時はまだ若造だったのにさ。」


ユシュカが聞く。
「師匠、あの時ジャゴヌバを封印するために神殿の奥に残られましたね。」
「まだあの場所に?」


「そうさ。今話題のお方の隣にいるよ。」
「やっこさん、まだグーグーとおねんねしてるけど寝相がひどくてねえ。」
「気張ってないと吹っ飛ばされそうだよ。」


賢者ルシェンダが言う。
「我々叡智の冠は集い、話し合った。」
「アストルティアはこの危機にどうすべきか。」
「そして決断した。」
「魔界と手を結び、魔界の者たちにも我々の叡智を分け与えてやろうとな。」
「これも大魔王がそなただからこそ。」
「もしそなたでなければ我らもこのような決断はできなかったかもしれぬ。」
「滅びの神に対抗しうる手段はたったひとつ。」
「すなわちジャゴヌバに匹敵する力をもつ女神ルティアナを目覚めさせるしかない。」
「そしてその復活の方法に関してもすでに見当がついている。」
「それにははるか昔、何万年も前の創世時代の神話をひもとく必要がある。」
「世界が創られた神々の時代ともなると我らの叡智をもってしても判然としない。」
「だがそれを探る手掛かりならばわかる。」
「伝承によれば女神の使徒の末裔が住み、神話の時代から続くという光の郷フィネトカなる地があるという。」
「そこなら創世時代の神話や女神の復活方法がわかるはず。」
「多くの困難を乗り越えてきたそなたたちならば女神復活を担う大役に申し分ないだろう。」
「ではさっそくだが神話の時代から続くという光の郷フィネトカについて話そう。」
「プクランド大陸銀の丘の奥には銀の森という広大な森林地帯があってな。」
「フィネトカの所在はそこだと睨んでいる。」
「まずは光のツボを渡しておく。」
主人公は光のツボを手に入れた。
「今渡したのは女神にゆかりがあるとされる光の河、そこから放たれる創生のチカラを集められる魔法のツボだ。」
「アストルティアの地中には分厚い光の層が横たわっている。」
「各所の地の裂け目から観測できるそれは光の河と呼ばれている。」
「そしてさらにその向こうには魔界がある。」
「アストルティアと魔界を隔て、魔瘴から大地を守るのが光の河の役割というわけだ。」
「この光の河のチカラを光のツボに込めればそれが女神の導きをなって訪れる者を迷わす銀の森の道標となるというのだ。」


主人公は創生のチカラを集め、銀の森に向かった。
するとナラジアが現れた。
「イルーシャを探していたらいつの間にかここに来ていたんだ。」
「この先はもしかして・・」
ナラジア一人で先に進んでいった。
ナラジアを追いかけると光の郷フィネトカにたどり着いた。
「ここが神話時代から残る光の郷フィネトカ・・」


イルーシャが言う。
「なんだか懐かしい感じがする。」
「初めて来た気がしない。」


そこにドワーフの姿をした老婆がやってきた。
「ようやく来たか。」
「待ちかねたぞ、若いの。」
「わしは極天女帝。」
「ルティアナ様の使徒・六聖陣のひとり。」
「この郷の長老でもあるぞえ。」
「お前たちの目的はわかっておるぞえ。」
「忌まわしきもの、大いなる闇の根源が目覚めそうなんじゃろ?」
「わしら六聖陣も当然把握しておる。」
「くわしくはあの聖堂で話そうじゃないか。」
「待っておるぞ。」


主人公たちは聖堂に向かった。
ナラジアの姿はいつの間にか消えていた。
聖堂に入ると六聖陣が揃っている。
「さて、お前たちがここに来た理由。」
「それは女神ルティアナの復活、その方法を探しに来たんじゃったな。」
「わしら六聖陣の使命は古の伝説を継承し、闘戦士を育て、来たるべき大いなる闇の根源の再臨に備えること。」
「そしてここにアストルティアに散らばる女神ルティアナ様の使徒・六聖陣が集った。」
「ついにその時が来たのじゃ。」
「では突然じゃが、そこの娘。その場所で祈るがよい。」


イルーシャは祈りを捧げた。
闘戦聖母が語り始める。
「これより我ら六聖陣に受け継がれし神々の物語を語りましょう。」
「はるかはるか古の物語。」
「これなるは大地が生まれし時の記憶。」


魔封剣姫が語り始める。
「かの遠き世界。とこしえのゆりかごは終わりの時を迎えんとしていた。」
「老いし世界の古き神は一柱の若き神に創生のチカラを託した。」
「これをもって若き神は創生神となる。」
「その名はルティアナ。」


聖光教主が語り始める。
「ルティアナはとこしえのゆりかごを出立する。」
「久遠に続く苦難に満ちた旅の果て。」
「たどり着きし安息の地でこの世界を創った。」
「新たなる世界に降り立ったルティアナはまず光から七柱の神々を創られた。」


星辰武王が語り始める。
「新たに生まれし七柱の神々はそれぞれの似姿となる7つの種族とそれらが住まう大地を創った。」
「そうして生まれた世界・アストルティアには光と緑が満ち、命の歌が響き渡った。」
「永遠にその平和が続くものと思われた。」


天唱楽師が語り始める。
「ところがそれが現れた。」
「夜の闇よりも昏い、昏い闇の底から。」
「それは生きとし生けるものを滅ぼさんとする悪しき神。」
「その神の名は異界滅神・ジャゴヌバ。」


極天女帝が語り始める。
「かくして神々の永き戦いが始まった。」
「はるかはるか古の物語。」
「これなるは神々の戦いの記憶。」


イルーシャが驚いた表情をしている。
「私、この話知ってる。」
「どうして知ってるんだろう。」


「そこにある装置は神話の時代より受け継がれし遺物。」
「先程幾万年の眠りから目覚めた。」
「そなたに呼応するようにして。」
「のう、娘や。」
「その装置を呼び起こせる者は女神の依代と言われておる。」
「イルーシャ様、そなたのことじゃ。」
「よくぞ戻られましたな。イルーシャ様。」
「すぐに信じられぬのも無理はない。」
「それを受け取るのじゃ。」
極天女帝はイルーシャに腕輪を渡した。


腕輪を受け取ったイルーシャは何かを思い出した。
「炎に覆われた灼熱の山、カルサドラ火山・・」


「その腕輪は光の神装と呼ばれる女神像にゆかりがある5つの装備の一つ。」
「伝承によれば女神の依代たるイルーシャ様が光の神装を身にまとい、ある儀式を行うことでルティアナ様はこの世に復活なさるという。」
「残りの4つの光の神装は神々の時代に建造され、アストルティアの各地に隠された。」
「女神の祠という場所に納められておる。」
「先程思い出された灼熱の山こそ、さらなる光の神装が眠る女神の祠。」
「運命がイルーシャ様を導いているのじゃろう。」
「わしら六聖陣にとって女神様の復活は悲願。」
「ジャゴヌバに対抗できるのも女神様だけじゃ。」
「ルティアナ様の復活のため、女神の祠を巡礼してくれんかのう。」


「私が女神の依代だなんてまだとても信じられない。」
「だけど思い当たることもある。」
「私の魔瘴をあやつるチカラや奇妙な記憶。」
「女神ルティアナの復活、それが私にしかできないことなら私は逃げたくない。」


聖光教主が言う。
「主人公、きみはかつて竜の神ナドラガと戦っただろう。」
「その時に種族神たちのチカラを授かったんじゃないか?」
「闇の根源が眠りし地でイルーシャ様が目覚めたのは、どうやら君の中の神々のチカラに反応したからのようなんだ。」


「そうなんだ。」
「私が闇の中で感じた暖かな光はあなたの中の神様のチカラだったんだね。」


星辰武王が言う。
「そして実は光の神装はその重要さゆえ祠の番人に守られている。」
「イルーシャ様は女神の依代たるチカラを番人共に示さねばならない。」
「それは依代たる者に課せられた試練なのだ。」
「だがその神々のチカラをもって女神の依代と通じ合った君であれば試練への助力も許されるはずだ。」
「言うなれば二人は母子のようなものなのだから。」
「勇者姫アンルシアと魔王ユシュカにはわたくしども六聖陣が邪神に対抗しうる神殺しの秘技を授けよう。」
「貴公らには相応しき器が備わっている。」


主人公とイルーシャはカルサドラ火山に向かった。
カルサドラ火山で試練を受け祈りを捧げると光の神装・指輪と女神の記憶を手に入れた。
「はるかはるか古の物語。」
「これなるは七柱の邪神の記憶。」
「滅びの神がこの世界に現れた時、女神ルティアナは滅びの神に汚された大地を生命の住まう世界から切り離したという。」
「そこで滅びの神はその身体より七柱の邪神を生み出し生命ある世界に遣わして滅ぼさんとした。」
「七柱の名は戦禍の邪神、虚無の邪神、暴虐の邪神、禁忌の邪神、嘲弄の邪神、そして怨嗟の邪神、渇欲の邪神である。」
「攻め入ってきた邪神共に立ち向かい戦ったのは種族神たちだった。」
「この戦いは永く続き大地は荒れ果てた。」
「そこで母なる女神は神気を込めたかがやく矢を放ち邪神共を次々に射抜いた。」
「邪神が倒れた地は汚れを残したが、女神はそれ以上広がらぬようそのまま封印したという。」
「その場所がここ、女神の祠。」


けがれの谷で試練を受け祈りを捧げると光の神装・弓と女神の記憶を手に入れた。
「七柱の邪神共が倒されると滅びの神がみずから生命の大地に襲来し、ついに二大神の戦いが始まった。」
「ある山は火を噴き、ある海は涸れ果てた。」
「二柱の神の戦いは拮抗し、幾千年にもおよんだという。」
「このまま戦いが続くことに世界の崩壊を予感した女神ルティアナはいよいよ最後の手段を用いることを決意した。」
「500年前の偽りの太陽による天変地異に乗じ、この祠に封印した邪神が封印を抜け出た跡が今も残っている。」


女神の祠を出ると旅芸人ピュージュが現れた。
「ああー!」
「君は盟友くん。」
「どうしてこんなところに?」
「え?なんで倒したはずなのにまだ生きているのかだって?」
「あはは、やだなあ。」
「この僕があれしきで死ぬわけないでしょ。」
「盟友くんはおかしいなあ。」
「それはそうと、こちらにいらしていたんですね。」
「僕たちからお迎えにあがろうと思ってたのに。」
「まさか直々にいらっしゃるとは。」
「あれ?」
「ははあ、なるほど。そういうことでしたか。」
「近くにいらっしゃったようだからご挨拶しなくちゃと思ったけど取り込み中のようですね。」
「失礼しました。」
「あはは、いよいよですね。」
「またお会いしましょう。」
旅芸人ピュージュは去っていった。


シエラ巡礼地で試練を受け祈りを捧げると光の神装・花の冠と女神の記憶を手に入れた。
「女神ルティアナは鏡合わせの秘儀によって滅びの神を封印せんとした。」
「この秘儀をもって二柱の神はそれぞれに身体と魂が分かたれたという。」
「滅びの神の身体は汚れし大地の魔の山に。」
「女神の身体は光の河となって汚れし大地との間を隔て、生命の大地を守らんとした。」
「残された女神と滅びの神の魂は・・」
イルーシャは倒れてしまった。


主人公はイルーシャを連れて一度フィネトカに戻った。
極天女帝が言う。
「女神様を復活させるにはイルーシャ様が光の神装を身にまとい、儀式をする必要があると以前話したな。」
「女神の祠を巡ったことでその儀式の詳細が明らかになったのじゃ。」
「その儀式、神魂融合の儀は女神様の魂と女神様の身体を再び結びつけることを目的とする。」
「そして女神様の身体が光の河ならばその魂は女神の依代、イルーシャ様の中に封じられているのだ。」
「ルティアナ様が復活する時、イルーシャ様は光の河に溶けて一体となる。」
「イルーシャ様は消えてしまうんじゃ。」
「すまぬ、神代の記憶があるとはいえ、わしもルティアナ様がどのような封印を施したかまでは知らなかったんじゃ。」
「それが定められた運命じゃ。」


イルーシャが目を覚ました。
「私なら大丈夫。」
「女神の祠はもうひとつ残ってるわ。」
「巡礼の試練を続けてルティアナ様を復活させましょう。」
「じつはね、祠を巡礼していくうちに自分の中に誰かとても大きな何者かが眠っていることを感じていた。」
「それで私が消えるべき存在なんだってなんとなく気づいていたの。」
「私、自分が何者なのかずっと悩んでた。知りたかった。」
「そして今日、生まれてきた意味がやっとわかった。」
「自分が消えることで世界を救えるなら私はこの運命を受け入れるわ。」


呪われた大地で試練を受け祈りを捧げると光の神装・衣と女神の記憶を手に入れた。
「依代に封じられし神の魂はその身体と相反する地に封印されり。」
「その目覚めを久遠に遠ざけんがために女神の魂は滅びの神の身体が眠りし山の頂に。」
「滅びの神の魂は女神の身体なりし光の河の中に。」
「これなるは神々の物語。」
「眠れる神々を目覚めさせぬようその記憶を分かち各地の祠に封印せん。」


光の神装をすべて身にまとったイルーシャは記憶のすべてを取り戻した。
「全部思いだした。」
「これからやるべきことがわかったわ。」
「ナラジアが言っていたことも。」
「誰かが来る。行かなくちゃ。」


祠を出ると旅芸人ピュージュが現れた。
「あはは。みーつけた。」
「僕知ってるよ。」
「そこの娘、これから女神を復活させる気なんでしょ?」
「そんなことは僕はさせないよ。」


イルーシャの危機を察知した女神ルティアナが一時的に目覚めた。
「依代を守るため一時的に目覚めたようだ。」
「だが長くは保つまい。」


「さっすが。これが女神ルティアナのチカラかー。」
「もうお遊びはやめにしません?」
「そこにいらっしゃるのはわかってますよ。」
「ジャゴヌバ様。」


女神ルティアナの足元からナラジアが出現した。
「ふう、影の中は窮屈だった。」
「ピュージュ、ご苦労だったね。」
「僕が眠っている間、ずっと僕のために働いててくれたんだろ?」


旅芸人ピュージュが答える。
「あはは、とんでもございません。」
「ただ僕たちは魔界の扉を開いただけ。」
「あとは運命がジャゴヌバ様に味方したのです。」


「僕は滅びの神の依代となった。」
「僕の中にはジャゴヌバがいる。」
「この前、ジャゴヌバ神殿で思い出したんだ。」
「あの巨体が僕の本当の身体なんだって。」
「そうしたら急にモヤモヤが晴れて僕のやりたいことがはっきりしたんだ。」
「あの分かたれた身体とひとつになってこの世界を滅ぼしたい。」
「それが僕の生まれた意味なんだ。」
「助かったよ。」
「実はイルーシャの影の中に潜んで君たちに同行させてもらっていたんだ。」
「なぜって?」
「祠には邪神たちが眠っているだろう?」
「主人である僕が訪れれば彼らはその気配だけで目覚める。」
「ほうら、こんなふうにね。」


ナラジアが指をならすと禁忌の邪神ヤファギルが出現した。
「ワレは禁忌の邪神ヤファギル。」
「ワレを蘇らせていただき感謝します。」


「ふふふ。ジャゴヌバの完全なる復活には君のチカラが必要だ。」
「僕たちについてくるがいい。」
「さて、ルティアナよ。」
「時は満ちた。」
「僕らと共に来い。」


女神ルティアナが答える。
「承知、いざルファ神殿へ。」
「アストルティアの子らよ。心配は無用。」
「かくなりしは必然の定め。」
「我に任せるがよい。」


ナラジア、女神ルティアナ、旅芸人ピュージュ、邪神ヤファギルは姿を消した。


一度光の郷フィネトカに戻った主人公は極天女帝に報告した。
「ナラジア様はイルーシャ様と共にルティアナ様によって創られし双星。」
「当時わしはお二人に仕えておった。」
「じゃがナラジア様は滅びの神の依代として光の河の中に封じられたはずなんじゃ。」
「なにゆえ目覚めてしまったのか。」
「考えている時間はなさそうじゃ。」
「いずれにぜよ女神様が滅びの神と共に行動するなど見過ごすことはできぬ。」
「イルーシャ様を追わねばなるまいな。」
「そこにはかの禁忌の邪神も待ち受けていよう。」
「戦いは避けられん。」
「じゃがナラジア様はさらなる邪神の復活をもほのめかしておった。」
「わしら六聖陣はそれに備え残らねばなるまい。」
「ゆえに神殺しの修行を終えたユシュカとアンルシア、そして主人公にイルーシャ様の救出を頼みたい。」
「女神様たちが行くと話しておったルファ神殿のことを教えようかの。」
「神魂融合の儀が行われる地こそがルファ神殿。」
「アストルティアと魔界の間に横たわる光の河の中に建つとされておる。」
「広大な光の河の中にあってルファ神殿の所在は魔界とアストルティアをつなぐ大洞穴。」
「ルクスガルン大空洞にほど近いという。」
「まずはルクスガルン大空洞を目指し、ルファ神殿への道を探るのじゃ。頼んだぞえ。」


魔王ヴァレリア、魔王アスバル、エステラ、シンイも加勢し、皆でルファ神殿へ向かった。
途中、禁忌の邪神ヤファギルを倒し最奥へ向かう。
そこにピュージュが立ちはだかる。
「あはは。待ってたよ、盟友くん。」
「やっぱり来たんだんだね。」
「ヤファギルくんには荷が重かったかな?」
「まあ目覚めたばかりだったしあの程度だったのは勘弁してあげてよ。」
「でもここから先には行かせないよ。」
「もうこれ以上ジャゴヌバ様の邪魔をさせるわけにはいかないんだ。」
「あれれ?」
「懐かしいお客さんが来たなあ。」


賢者マーリンが現れた。
「まさかこんなところでアンタに会えるなんてね、ピュージュ。」


「あはは。マーリン。」
「君とジュリアンテの人形はまあまあ役立ったよ。」
「もう飽きて捨てちゃったけど。」


「ピュージュとは古い知り合いでね。」
「ちょっとした因縁があるのさ。」
「あの時の決着をつけようかね。」
「こいつとはこのまま戦ってもキリがない。」
「まず正体を暴いてぶちのめす必要があるんだ。」
賢者マーリンはラーの鏡を取り出した。
「これはラーの鏡。」
「さあ、真の姿を見せな!バケモノ!」


旅芸人ピュージュは真の姿を現した。
「僕は嘲弄の邪神ピュージュ。」
「500年ほど前、けがれの谷にある女神の祠の封印を破ってジャゴヌバ様復活のために暗躍してたのさ。」
「邪神の僕と正面きって戦おうだなんて最高に愉快で愚かだね。」
「さあ、僕を楽しませておくれよ。」


主人公は嘲弄の邪神ピュージュを倒した。
「あはは。邪神の僕がヒトごときにやられちゃうとは、これは笑えないね。」
「だけどもう遅いよ。」
「そろそろカルサドラ火山とシエラ巡礼地に眠っていた邪神が復活する頃さ。」
「そしたらアストルティアはジャゴヌバ様の覚醒を待たずして滅ぶんだ。」
「あはははは。」


邪神ピュージュは賢者マーリンが投げた宝石の中に封印され、宝石ごと賢者マーリンに飲み込まれた。
「ふう、この術を使うのはさすがにこたえる。」
「もうあたしも若くないねえ。」
「ジャゴヌバはもう覚醒寸前だった。」
「封印を維持できそうになかったから仕方なく退散してここまで来たんだ。」
「それよりもイルーシャちゃんが待ってるよ。はやく行っておあげ。」


さらに奥に進むとイルーシャがいた。
「やっぱり来てくれたのね。」
「あなたの光をずっと感じてた。」
「何も告げずにあなたのもとを去ってしまってごめんなさい。」
「ルティアナ様を復活させるには私とナラジアの二人で神魂融合の儀を行う必要があったの。」
「だから滅びの神の依代と知っていてもナラジアと一緒に行くしかなかった。」
「主人公、ありがとう。」
「最後に会えてうれしかった。」
「さよなら。」


イルーシャは光の河に身を投げた。
イルーシャとナラジアの両手に架せられたイバラの腕輪が外れ、女神ルティアナが復活した。


ナラジアが主人公の前にやってきた。
「光あるところに必ず闇はある。」
「でも闇があるところに必ずしも光はあるだろうか。」
「ううん。」
「闇はそれだけで在ることができるんだ。」
「光なんていらないんだよ。」
「ねえ、主人公。」
「僕は君たちに感謝しているんだ。」
「ジャゴヌバが完全にチカラを取り戻すには女神のイバラの封印が邪魔だった。」
「でも君たちがそのイバラをほどいてくれたんだよ。」
「何を言っているのかわからない?」
「じゃあ教えてあげるよ。」
「女神がジャゴヌバを封印したのは知ってるだろ?」
「あれはね、自分と相手を同じように封印する強力な呪いだった。」
「ルティアナといえどジャゴヌバを封印するにはそれしか方法がなかったんだろうね。」
「たとえ自らを犠牲にしたとしても。」
「そしてたった今、女神の封印が解けた。」
「そのときもう片方のジャゴヌバの封印はどうなると思う?」
「もうわかっただろう?」
「君たちは光の女神だけでなく滅びの神をも復活させてしまったんだよ。」
「ご苦労だったね、特に君の働きは見事だったよ。」
「イルーシャもこのことは知っていたよ。」
「それでも愛する世界を守れると信じてルティアナを復活させることを選んだんだ。」
「ルティアナが勝てるかどうかなんてわからないのにね。」
「さあ、舞台はととのった。」
「この神々の戦いで世界の命運が決まる。」
「君にも見せてあげよう。」
「さあ、目覚めよ。」
「滅びの神、ジャゴヌバ!」
「僕とひとつになってすべてを滅ぼすがいい!」
大いなる闇の根源から出現した手にナラジアは包まれ、ついに異界滅神ジャゴヌバが復活した。
女神ルティアナと異界滅神ジャゴヌバの戦いが始まった。
最初は優勢に戦いを進めていた女神ルティアナだが、カルサドラ火山とシエラ巡礼地に眠っていた二柱の邪神を自らに取り込んだ異界滅神ジャゴヌバが放った攻撃をまともに受けてしまう。
女神ルティアナはチカラを失い、再び光の河となってしまった。
それを見届けた異界滅神ジャゴヌバは去っていった。


主人公が目を覚ますと大魔王城の医務室にいた。
銀の森で倒れていた主人公を魔王ユシュカが見つけ、連れ帰ってくれたらしい。
「主人公、目覚めたか。」
「そうだな、何から話そうか。」
「あまりに多くのことが起こりすぎて俺もまだ整理がついていないんだ。」
「お前が中央塔に向かった後、俺達が合流して塔の最上階にたどり着くとそこにはマーリン師匠だけがいた。」
「師匠は俺たちをフィネトカへと導き、そこであのルティアナとジャゴヌバの壮絶な戦いを見せられたんだ。」
「戦いの結果ルティアナが敗れ、ジャゴヌバはどこかへと飛び去っていった。」
「イルーシャのことは言葉にならない。」
「その時できる限りのことはやったはずだが、それでもイルーシャは助けられなかった。」
「認めたくないが、これが現実だ。」
「二柱の絶対的な存在の前では俺達の意思などちっぽけなものだってまざまざと思い知らされたわけだ。」
「賢者たちが言うには、ルティアナが敗れた今ジャゴヌバを止める術はもうないという。」
「だが俺は諦めていない。」
「命ある限り戦うことができるからだ。」
「ほんの一瞬かもしれないが、ジャゴヌバにもどこかに隙があるはずだ。」
「まだ形勢逆転の目は残されている。」
「主人公、お前はよくやってくれた。」
「決してイルーシャの遺志を無駄にはしない。」
「滅びの神との力量差が絶望だったとしても、最後まであがいてやるさ。」


―次回「闇の根源」―