ドラゴンクエストX(DQ10) ネタバレストーリー まとめ

ドラゴンクエストX(DQ10)のメインストーリー、サブストーリーのまとめ

エピソード37 闇の根源 前編

大魔王城の玉座に座る主人公の前にルシュカ、アスバル、ヴァレリアの3魔王が集まった。
まずヴァレリアが話し始める。
「さっそくだが大魔王、魔界の現状について申し上げる。」
「状況はかなり悪い。」
「バルディスタの領内では魔瘴の濃度が急激に上がり、大地の汚染が進んでいる。」


アスバルが言う。
「ゼクレスも同じだ。」
「城下では魔瘴が原因とみられる病に苦しんでいる者もいる。」


ユシュカが言う。
「魔幻都市ゴーラではさらに深刻らしい。」
「濃密な魔瘴が地の底から溢れ、宮殿への避難を余儀なくされているそうだ。」
「一方ファラザード領内に大きな変化はない。」
「この辺りも今の所無事のようだ。」
「いよいよ大魔瘴期が迫っているようだ。」
「魔界が魔瘴に沈めばその次はアストルティアだ。」


アスバルが言う。
「だけど滅びの神を倒すためには復活した女神ルティアナはジャゴヌバに敗れて光の河に落ちてしまった。もう滅びを食い止める手段はない。」


ユシュカが言う。
「だが俺は諦めない。」
「まだジャゴヌバに勝つ方法が、俺達にできることがきっとあるはずだ。」
「そうだろ、主人公!」


主人公の頭の中に声が響き渡る。
「主人公、主人公・・我が声に答えなさい。」
「私は風の神エルドナ。」
「かつてあなたに授けた力、叡智の光を通じて語りかけています。」
「闇が世界を覆い尽くそうとしています。」
「なんとしても滅びを止めねばなりません。」
「お聞きなさい、我らが母、女神ルティアナは滅びの神の手で肉体を滅ぼされましたが、その魂は光の河の底で眠っているのです。」
「今こそ世界樹の守り人、ヒメアが守る世界樹の花のチカラを使う時。」
「彼女のもとへ向かいなさい。」
「全てはアストルティアの未来のために。」


主人公は今起きたことを3魔王に話した。


「エルドナ神・・女神ルティアナが生んだ種族神の一柱からの神託だって?」
「世界樹の守り人ヒメアと世界樹の花か。」
「それで何が起こるかわからないが、まだ希望は残されてるってことだな。」


ヴァレリアが言う。
「私はバルディスタに戻り魔瘴対策を続け、大魔瘴期の被害を最小限に抑える。」
「大魔王殿は好きに動くがいい。」


アスバルが言う。
「幸いファラザードの被害はまだ少ない。」
「ここはユシュカが大魔王と共にアストルティアへ向かってくれ。」
「できるなら僕も一緒に行きたかったけれど、ゼクレスの民を放おっておけないからね。」
「吉報を待っているよ、ふたりとも。」


「ああ、こっちは任せておけ。」
「必ず皆で大魔瘴期を乗り越えよう。」
「一刻も早くヒメアのもとへ向かおうぜ。」
「わざわざルクスガルン大空洞を通ってる暇はなさそうだ。」
「俺もお前のアビスジュエルに便乗する。」
「準備ができたらアストルティアへ転移してくれ。」


アビスジュエルでルシュカと共にアストルティアに向かう主人公。
アストルティアの新エテーネ村に着くと、シンイが待ち構えていた。
「先程ツスクルの村から使者が来て、ある重要な伝言を預かったのです。」
「エルフの神、エルドナの神託により明日大いなる風が吹くとき、世界樹の丘にてヒメア様が最後の使命を果たされる。」
「ツスクルの村ではゆかりの深い方々を集め、夜を通して宴を催すようです。」
「今生の別れに。」
「明日、巫女ヒメアは世界樹の守り人としての役目を果たしたのち、その一生を終えるのです。」
「世界は滅びに瀕している。」
「魔界に迫る危機も承知しているつもりです。」
「それでも私はツスクルの村の皆さんに大切な人との別れを惜しむ時間を過ごしてほしいのです。」
「どうか今夜はここに留まってください。」
「これはヒメア様たっての希望でもあります。」
「あなたとは明日、最後に会えるから宴は村人や学徒との時間にしたいと。」


その日の夜、焚き火を囲みながら主人公、ユシュカ、シンイで話をした。
「協調か。俺は間違えているのかもしれない。」
「俺が関わっていく全員と協調できればもっとたくさんの大事なものを守れるだろうって思ってたんだ。」
「でも実際俺は助けられてばかりで誰かを犠牲にし続けている。」
「この夜が明ければ巫女ヒメアだって・・」
「なあ、俺がやってることは本当に正しいのか?」


シンイが答える。
「あなたは奇妙な人ですね。」
「魔族とは目的の為に手段を選ばない残酷な種族、そう思っていました。」
「ですがあなたが抱いた悔しさを私も今、同じように感じている。」
「それが事実です。」
「ユシュカさんを見ていると魔族がわからなくなってきますよ。」
「さてと、もう遅いですし先に戻って寝床を整えてきましょう。」
「私の特製枕はよく眠れると評判なんです。」


シンイは去っていった。
「よく働く幼馴染殿だ。」
「たくさんの村人と話したが口を揃えてこの村で暮らせることを感謝していたぞ。」
「村長の縁が紡いだあたたかい村だと。」
「分け隔てなく誰をも受け入れる国は俺の理想郷でもある。」
「いい村だな、ここは。」
「なあ、この村を作るまでに俺はどんな旅をしてきたんだ?」
「夜が明けるまでまだ時間があるだろ。」
「眠る前に聞かせてくれないか。」
「我らが大魔王様の物語を。」


主人公はユシュカにこれまでの冒険を語って聞かせた。
それは長く果てしない物語だった。
主人公の話をユシュカはずっと静かに聞いていた。
すべてを語り終えた主人公は、まだ焚き火にあたりたいというユシュカを残して自分の家へ帰った。


ユシュカが一人つぶやく。
「盾島で死にぞこないを拾ったあの日から、そこいらの奴とは違うと思っていたが、想像以上の傑物だったな。」
「主人公と、もっと早くこうして話せばよかった。」
魔剣アストロンを見つめるユシュカ。
「お前とだってたくさん話して喧嘩して、ようやくわかりあえたんだったな。」
「もうどこにもいないのか、お前は。」


そして夜が明けた。
主人公とユシュカは久遠の森にある世界樹の木にむかった。
世界樹の前で巫女ヒメアが待っていた。
「よく来てくれましたね、主人公。」
「魔界からの客人も、さあこちらへ。」
「あなたがたがここを訪れた理由はわかっています。」
「母なる女神の命を奪った滅びの神こそ、破滅の衝動に囚われた大いなる悪しき闇。」
「捨て置けば悪しき闇は地の底より魔瘴を放ち、魔界とアストルティアをひとしく蝕む。」
「我らは今、心を一つにせねばなりません。」
「世界樹の花は花開きの聖祭にて我が生命を神気となして咲きほこり、今はここに。」
「とうに覚悟はできています。」
「そのうえ昨夜は思いかけず愛しい子らと今生の別れを惜しむことができました。」
「支度は全て整っています。」
「今こそ我が天命を果たす時。」
「私達は世界という大樹に芽吹く若葉。」
「時に擦れ合い時に重なり合い、共に生きて調和し大樹を守っています。」
「一葉一葉が異なる枝の先に異なる役割を担って生まれ、天命を終えれば朽ちて風に散る。」
「これが世界の理。」
「あなたが見送った多くの人々と同じようにあなたも私も役割を果たす、その時が来る。」
「私が500年、風に揺られ散りゆく葉。」
「今、とても満たされていますよ。」


巫女ヒメアは命を捧げ、世界樹の花を生み出した。
「そなたたちに世界樹の花を託す前にひとつ頼みがあります。」
「私が命を終えてのち、何もせねば遠からず新たな世界樹の守り人が選ばれて不死の術を施されてしまいます。」
「ですがもし、魔瘴の根源が消滅すれば世界樹の守り人はその役割を終え私が最後の守り人となりましょう。」
「どうか必ず、異界滅神ジャゴヌバを倒して下さい。」
「それが巫女ヒメア、最後のお願いです。」


主人公は世界樹の花を手に入れた。


ユシュカが言う。
「承知した。必ずジャゴヌバを倒し、この世界を救ってみせる。」


「これより光の郷フィネトカへ向かい、聖光教主様のもとを訪ねなさい。」
「花の使い方は彼が教えてくれるでしょう。」
「そなたらの未来に世界樹と風の守りがあらんことを。」
「主人公、生き返しを受けたそなたが若葉の試みを終えツスクルを旅立った日をよく覚えています。」
「そなたの身体の持ち主はエルフの宝でした。」
「しかし今のそなたは紛れもなくアストルティアの宝です。」
「どうかこれからも皆の先頭に立ちかがやける未来へと導いてください。」
「さあ、行きなさい。」
巫女ヒメアは仰向けに倒れ込んだ。
「コハク・・迎えに来てくれたのだな。」
「そなたの魂に抱かれて、ようやくこの永き生が終わるのだとわかる。」
「一度目は黄泉へ送ったそなたを追って。」
「二度目はいとおしい思い出を胸に使命を終え、ここで散るつもりだった。」
「だというのに三度目の今はこの世に未練が残る。」
「役割とはいえあの子らを苛烈な戦いに送り出し、必勝の誓いさえ立てさせた。」
「このままではあまりに身勝手ではないか。」
「本当は去りがたいのだ。」
「その思い、そなただけはわかってほしい。」


「ヒメア、いとしいヒメア。わかっているよ。」
「僕はそんな君を心から誇りに思う。」
「君は充分によくやった。」
「だけど我が妻、ヒメア。今日こそ君を連れていく。」
「風となって、世界の未来を。若葉たちの息吹を見守ろう。」
「さあ。ともに天のかなたへ。」


「ありがとう。」
「我が夫、コハク。ともに逝こう。」
「いつもそばで見守っていますよ。私のいとしい子どもたち。」
ヒメアの魂はコハクの魂と共に天へと昇っていった。


主人公と魔王ユシュカは光の郷フィネトカに向かった。
「ジャゴヌバに敗れた後、女神の肉体は滅びたけどその魂は光の河に落ちて眠っている。」
「とても静かな場所でね。」
「今こそ僕が蓄えた聖光のチカラで女神の魂の在りかへ導いてあげよう。」
聖光教主と共に光の大穴を覗き込める場所に向かった。
「聖光よ、その大いなる輝きをもってこの混迷の世界をあまねく照らし、希望の道標を指し示さん!」


主人公は聖光の渦をたどり、女神の魂の在りかにたどり着いた。
すると目の前に虚無の邪神ヴァニタトスが現れた。
「私は虚無の邪神ヴァニタトス。忘却と失意をつかさどる者。」
「ジャゴヌバ様に命じられてずっと女神の魂を探していたのだけど、偶然の出会いにしては出来すぎだね。」
「あなたがたは運がいい。」
「私の両手があなたがたの魂を包んだ時、世界の記憶から失われ虚無となる。」
「誰からも忘れられれば使命や重責、この世のしがらみから自由になれるわよ。」
「ジャゴヌバ様の御慈悲に感謝なさい。」
「虚しい、虚しい。なんて虚しいの。」
「あなたがたは神話の時代から何一つ変わらない。」
「苦しみもがいて戦い抜いてあなたがたの仲間は次々に倒れていく。」
「その果に待つ絶望も知らずに。」
「ああ、愛する者のいない虚しい世界を救う意味がどこにあるというの?」
「すべてを忘れてしまいなさい。」
「忘れられてしまいなさい。」
「おいで、抱きしめてあげる。」
「無意味な生に群がる無価値な命ども。」


「黙れ!邪神ごときが人の意味を語るな。」
主人公と魔王ユシュカは協力して虚無の邪神ヴァニタトスを倒した。
「魔界に渦巻く邪悪な怨念が我が主よりほとばしる魔瘴と結びつき、地の底から立ち昇る。」
「時は来た。終焉の始まりだ。」
「いつか分かる時が来る。」
「あなたがたの行いに意味などなく未来は虚しいだけだと。」
虚無の邪神ヴァニタトスは消滅した。


女神の魂に世界樹の花を捧げると、花から蝶が生まれた。
「聞け、アストルティアの子よ。」
「我は女神ルティアナ。」
「光の胡蝶の姿を借りてこの世に舞い戻った。」
「世界樹の花に宿る神気が我が魂をつなぎとめているに過ぎぬ。」
「花無くして生きられぬかりそめの命よ。」
「我が身は小さき胡蝶なれど、魔瘴を退けるチカラは宿っているようだ。」
「我もそなたらと共に魔界へ行こう。」
「大魔瘴期に混迷する者たちを救うために。」
「主人公、アストルティアの闘戦士よ。」
「これまでのそなたの活躍の数々は我が魂の器、イルーシャを通して見届けてきた。」
「アストルティアと魔界をつないだそなたならば、この大いなる聖戦に必ずや打ち勝てよう。」
「世界の命運、そなたに託したぞ。」


主人公が持つ世界樹の花に女神ルティアナの化身「光の胡蝶」が宿り、ついてくるようになった。


「とうとう大魔瘴期が来た。」
「留守の間、魔界各地の状況を調べるようカーロウに頼んである。」
「すぐに大魔王城に戻るぞ。」
主人公と魔王ユシュカは大魔王城に戻った。


「ユシュカどのに頼まれていた通り、魔界各地の情報を城の兵士たちに探らせ報告を受けていたところなのですが、突如として魔界全土が濃厚な魔瘴に包まれて各地で猛威をふるっているようです。」
「ついに魔界南端のファラザードまで魔瘴に包まれてしまいました。」
「今は皆で支え合い持ちこたえています。」
「この魔瘴、これまでとは何かが違います。」
「少し触れただけで意識が遠のき、自分が自分でなくなる感じがするのです。」
「弱い魔物や魔族が濃厚な魔瘴を浴びて苦しみもがきながら命を落としたという恐ろしい報告もありました。」


魔王ユシュカが言う。
「我らが大魔王はアストルティアより新たなチカラを得てここに帰還した。」
「今やるべきはおびえることではない。」
「大魔王のもとに魔界が一丸となってこの危機を乗り越えることだ。」
「まずは落ち着いてくれ。」
「どんな些細な変化でもいい。」
「他に新しい情報は入っていないか?」


「そういえば、ここしばらく鎮まっていたジャリムバハ砂漠の魔瘴塚が再び活性化したとか聞きましたぞ。」
「以前よりも濃厚な魔瘴が吹き出し、近づけば即死間違いなしとかなんとか。」


主人公とユシュカはジャリムバハ砂漠の魔瘴塚へ向かった。
「すさまじい瘴気だ。」
「ここで、この魔瘴でみんな・・」


主人公の胸から光の胡蝶が飛び出てきた。
「かの魔瘴塚が魔瘴の嵐の元凶。」
「我が光で浄化を施そう。」
魔瘴塚の魔瘴は一瞬にして消え去った。


ユシュカが驚く。
「魔瘴塚を一瞬で浄化した。」
「女神のチカラはすごいな。」
「ここは俺にとってどうしても見過ごせない場所なんだ。」
「300年くらい前、俺が子供の頃の話だ。」
「親父は宝石商で十数人から成る隊商を率いて砂漠中を移動しながら交易をしていた。」
「仲間たちは血のつながりはなくてもみんな家族も同然だった。」
「にぎやかな隊商暮らしは毎日楽しかったよ。」
「俺は魔界一の宝石商になるために親父のそばで商売のコツや交渉術を学ぶつもりでいたんだ。」
「だが親父は将来のための教育だと言って幼い俺を当時のネクロデアにあずけると隊商を率いて行ってしまった。」
「仲間はずれにされたと思って子供心にずいぶん傷ついたし、ナジーンにも八つ当たりをしたっけ。」
「だがネクロデアでは隊商暮らしのままではわからないたくさんのことを学べた。」
「今では親父の教育方針に感謝してるよ。」
「ある日、ネクロデアに一報が入った。」
「親父が率いる隊商が砂漠の北西で突然消息を絶ったと。」
「駆けつけてみると悲惨な光景が広がっていた。」
「親父たちが交易で差しかかったところに突然魔瘴塚が出現したらしい。」
「一晩で家族みんなを失ったんだ。」
「魔界ではよくあることと言ってしまえばそうだが、俺は全然納得できなかった。」
「それで魔瘴塚が出現した理由を求めて各地を旅するようになったのさ。」
「はじめて師匠に会ったのはその時だ。」
「そして魔瘴塚が現れた原因はこの魔界に大魔瘴期が近づいている証だと教えられた。」
「もし大魔瘴期が来れば魔界全てが親父たちのように無残に死に絶える。」
「そんなことは絶対あってはならない。」
「俺は宝石商として旅をしながら親父たちの悲願と大魔瘴期の驚異を魔界各地に伝えてまわった。」
「そうすればやがて魔界がひとつになって大魔瘴期を回避するために立ち上がり、行動を起こすって信じてたんだ。」
「だけど現実は辛いものだった。」
「どこへ行っても誰と話しても最後まで理解されることはなかった。」
「俺は何も変えることができなかった。」
「思考の止まった淀んだ魔界の前ではどんな真実も意味はないんだ。」
「本当に魔界を変えたいと願うなら、ただの宝石商では駄目だ。」
「民の心を動かす魔王にならなければ。」
「いいや、その魔王すらも統べる王、大魔王にならなければ魔界に未来などない。」
「そのくらいの覚悟でやってきたんだ。」
「だからお前が大魔王の資格者だと言われた時、認められなかった。」
「魔界を知らぬ者に覚悟や背負うものなどあるはずないと。」
「あの時は悪かった。」
「すまなかったな、主人公。」
「エテーネ村ではお前の話が聞けてよかった。」
「世界の命運を背負ってきたお前だからこそ大魔王になるべくしてなったんだろう。」
「俺はお前が魔界の未来のために必死に戦ってくれることが嬉しいんだ。」
「これまでやってきたことは無駄じゃなかったんだなと思えてさ。」
「必ず魔界を救おう。」
「俺たちの手でジャゴヌバを倒し、ふたつの世界に平和を取り戻すんだ。」


バルディスタから使者がやってきた。
主人公とユシュカはバルディスタ城へ向かい、ヴァレリアと会った。
「大魔王殿か。アストルティアから戻ったと聞いてこちらから伝令を出したがどこかで行き違ったか?」
「魔瘴塚を破壊するために魔瘴対策部隊を向かわせたのだが、すぐに連絡が途絶えた。」
「それほどまでに魔瘴の勢いが増している。」
「だからザハディカル岩峰を封鎖した。」
「率直に言って打つ手がないのだ。」
「イルーシャがいなくなった今では魔瘴塚の浄化も叶わぬ。」


ユシュカが言う。
「いや、まだ手がある。」
「女神ルティアナの化身である光の胡蝶だ。」
「すでに砂漠の魔瘴塚を浄化してくれた。」
「俺たちが魔瘴塚を浄化しにいく。」
「駐屯地に取り残された連中を助けるぞ。」


主人公とユシュカはザハディカル岩峰に向かった。
光の胡蝶はザハディカル岩峰の魔瘴塚を浄化した。
駐屯地にいたシィジャン兵士長が言う。
「ところで大魔王様。」
「大魔瘴期が訪れた後、この地域の魔瘴被害を調査していたところ怪しげなものが発見されたのです。」
「西の水辺に浮かんでいたのですが、あまりに奇妙なので念の為大魔王様にご確認いただこうかと。」
それは魔仙卿である弟が被っていた面だった。
「少し前のことですが、駐屯地の入口にどうやってここまでたどり着いたのかアストルティアの人間が倒れていたのです。」
「その者はひどく衰弱していて傷も深く駐屯地のテントで療養させていました。」
「しかしどこかへ消えてしまったのです。」


ゼクレスの使者がやってきたので、至急アスバルのもとに向かった。
「領内の魔瘴塚が活性化のきざしを見せたから魔法の結界で対策を施したところなんだ。」
「それもいつまで持ちこたえられるかだけど。」
「君たちがアストルティアから戻るのを心待ちにしていたんだよ。」
「何か対策は見つかったかい?」


ユシュカが言う。
「世界樹の花の生命力で蘇ったルティアナの化身、光の胡蝶だ。」
「魔瘴の浄化に手を貸してくれている。」


ルティアナの声が聞こえる。
「だがいくら魔瘴を浄化しようともその根源を絶たぬ限り世界は救われぬ。」
「大いなる闇を隠すはまた闇の中。」
「奴は魔界を覆う魔瘴に紛れ気配を隠し、来る時を待ち構えている。」
「だが小さき胡蝶の身では居所がわからぬ。」
「もはや一刻の猶予もないというのに。」


アスバルが言う。
「実は地下宝物庫に賊が侵入して、そこに安置していたリドのタリスマンが盗まれてしまったんだ。」
「リドのタリスマンはゼクレス出身の大魔道士が作ったという精神操作を解くための秘宝。」
「他の高価な宝物には目もくれず、タリスマンだけを盗んでいった。」
「その意図はわからないけれど、犯人は逃げる時手紙を残していった。」
「中はアストルティアの文字で書かれていて、その宛先は主人公なんだよ。」


手紙は見覚えのある懐かしい文字で書き殴られている。
「魔仙卿の衣装のおかげでどうにか生き延びられた。」
「残された命をかけておいらは最後の役割を果たすよ。」
「ジャゴヌバは大魔瘴期を起こした後、魔界の地底にある奴の本拠地、滅星の邪園という場所に隠れてしまった。」
「でも砂の都ファラザードの城の地下にある開かずの扉の先にはそこに向かうための切り札が残されている。」
「ただその切り札を復活させるにはどうしてもリドのタリスマンが必要だったんだ。」
「説明する暇がなくて、勝手なことしてごめん。」
「おいらは兄ちゃんと別れてからもずっとジャゴヌバに監視されて命を狙われている。」
「だから一緒には行動できない。」
「切り札は必ずおいらが手に入れる。」
「だからこっちは任せて。」
「兄ちゃんは大魔王として魔界を守って欲しい。」
「今までたくさんありがとう。」
「ずっとずっと大好きだよ。」
「弟より、兄ちゃんへ。」


主人公は魔仙卿の正体が自分の弟であること、そして今までその事実を隠してきた理由を語った。
すべては魔界とアストルティア、二つの世界をジャゴヌバの手から守るためだったと時間をかけてユシュカたちに説明した。


「とにかく、お前はなんとしてでも自分の弟を助けたいんだな?」
主人公は頷いた。
「わかった。お前の好きなようにするがいい。」
「俺はそれを全力で支えてやるだけだ。」
「悪い、アスバル。」
「俺は主人公とファラザードに行ってくる。」
「魔瘴対策は後回しになってしまうが、俺はもう目の前にいる誰一人犠牲にしたくないんだ。」
「こいつに大魔王の務めを押し付けて自分の弟を見捨てさせるようなことをしたら俺は一生後悔する。」
「ファラザード城の地下牢から血潮の浜辺に下りられる。」
「そこにどうやっても開かなかった古い扉がひとつあるんだ。」
「開かずの扉ってのはそこで間違いない。」
「ファラザードに向かうぞ、主人公。」


主人公とユシュカはファラザードにある古い扉に向かった。
閉ざされた水路を通って血潮の浜辺に向かうと弟がいた。
「どうしてタリスマンが効かないんだ。」
「もう時間がないっていうのに。」
主人公たちの姿に気づいた弟は倒れ込んでしまった。
光の胡蝶が主人公の胸から飛び出す。
「この者の魂は深き魔瘴に覆われている。」
「我が光で闇を払いのけよう。」
光の胡蝶は弟の身体の中にある魔瘴を取り除いた。
「魔瘴は取り除いたが、おぞましい呪縛がこの者の魂を絡め取っている。」
「まもなく命の炎も燃え尽きよう。」
「この者の精神世界に入り記憶を辿ることで魂を縛るものの正体がわかるやもしれぬ。」
「精神世界に入り得るのはこの者と親しき存在のみ。」
「もし望むのなら我がそなたを導いてやろう。」


「今ここにかの者の記憶へ至る扉を開かん。」
主人公は光の胡蝶に導かれ、弟の精神世界に入った。


最初の記憶はエテーネ村が冥王ネルゲルに襲われた時のものだった。
弟の身体が光に包まれる。
「なんなの・・この光・・」
「時間が・・止まってる・・」
「まさか・・これ・・」
「嫌だよ!兄ちゃん!」
「おいらを一人にしないで!」
「やめて!やめてよ、兄ちゃん!」
「兄ちゃん!」
弟の身体は主人公の無意識による時渡りのチカラにより時空を超えて過去のナルビアの町に飛ばされた。


光の胡蝶が言う。
「主人公よ。そなたの弟の精神に根付いているすべての始まりの記憶に触れたようだな。」
「ここはかの者の次なる記憶。」
「いずこかにそなたの弟がいるはずだ。」
「我が先に飛んでいき弟の姿を探す。」
「そなたは我の光を頼りに弟の姿を見つけ出し、かの者の思い出を拾い集めながら記憶の世界を辿るのだ。」


マリカという女性が言う。
「何年か前、このナルビアの町に現れた弟さんは魔物に襲われた故郷の村へ帰る方法を探していたのよね。」
「そしてこの町の錬金術師イッショウさんの娘リリオルさんを苦しめていたメラゾ熱を錬金術で作った薬で見事に治してみせた。」
「その縁がきっかけで弟さんはイッショウさんの家で暮らし始めたの。」
「やがてこの町に流れてきた旅人たちとたくさんの冒険をしながら錬金術師としてメキメキと腕を上げていったのよ。」
「結局故郷には帰れなかったみたいだけど、別の新しい目標を見つけて今も頑張っているみたい。」
「前向きな人よね。」


リリオルと弟が浜辺にいた。
「私達に迷惑がかからないように弟が島を出ていこうとするなんて私には全部お見通しなんだからね。」
「テンスの花を作るのはとても危険なんでしょ?」
「私にも手伝わせて、お願い!」
「お父さんが弟に譲った家は人に売ってお金にしてきたわ。」
「当面の生活費と研究資金になると思う。」
「心配しないで、大丈夫よ。」
「お父さん、意外と気にしない人だから家を売ったことも許してくれると思うわ。」
「事情を話せないのは申し訳ないけど、お父さんに見つかったら連れ戻されちゃう。」
「さあ、急いで旅立とう!」


弟が言う。
「ちっちゃいアバさまはおいらにテンスの花を作れと頼んできた。」
「いつかそれが必要になるからって。」
「おいら絶対に花を作りたい。」
「兄ちゃんのためにも、死んでいった村のみんなのためにも。」
「でもリリオル、アバ様の予言だと花を作るために危険が待ち受けてるって話だった。」
「君を巻き込みたくないんだ。」
「ここに残っておいらのことは忘れてイッショウさんと平和に暮らしてほしいのにどうしても一緒に来るつもりなの?」
「リリオルの気持ちはわかったよ。」
「おいらも覚悟を決めた。」
「ここから海を渡ってグランゼドーラへ、行けるところまで一緒に行こう。」
「イッショウさん、ごめん。」
「リリオルのことはおいらが絶対守るから。」


マデ島にある孤島の修道院の記憶に飛ばされた。
マザー・ヨハンナという女性が言う。
「弟とリリオルが危険な追っ手からかくまってほしいとこの修道院を訪れてからもう半年が過ぎた。」
「弟には何か特別な使命がある。」
「リリオルがあの人に寄り添うには悲しいけれど荷が重すぎるのだわ。」
「おお神よ、弟とリリオルにあなたさまのご加護のあらんことを。」


ロバータという女性が言う。
「グランゼドーラ王国では100年前に流行したメラゾ熱がまた流行りだしてたくさんの人が苦しんでいたらしいね。」
「そこに旅の錬金術師とその助手が現れてメラゾ熱の特効薬を作って人々を治療した。」
「錬金術師はたちまち大評判になったけど、メラゾ熱の流行がおさまった途端どこかへ姿をくらませたとか。」
「もしかして錬金術師は弟さんでその助手はリリオルさんなんじゃ?」
「おっと、余計な詮索は神様に怒られちまうね。」


海岸にリリオルがいた。
「額に入れ墨を入れたあの男は、私達がテンスの花作りの研究を進める限りどこまでも執念深く追いかけてくる。」
「辛くないと言ったら嘘になるけど、私は最後まであなたと一緒にいる。」
「本当にその覚悟だったのよ。」
「でも弟は優しいからこの島に私を避難させてひとりで行ってしまうんでしょう。」
「わがままは言わないわ。」
「それがあなたの為になるんだったら、私喜んでここに残る。」
「そしてあなたの無事と研究の完成を願い、毎日神様にお祈りを捧げるわ。」
「たとえもう二度と会えないとしても。」
「だからせめて今日だけは、あなたの姿を目に焼き付けることをどうか許してね、弟。」


弟が言う。
「これ以上リリオルを巻き添えにできない。」
「アバ様の予言通り入れ墨の男はどこまでもおいらたちの命を狙うだろう。」
「それに気になってることもあるんだ。」
「旅の途中で偶然見つけた古代エテーネの時渡りに関する文献のこと。」
「本の記述によると時渡りのチカラがない者が無理やり時渡りをしてしまうと恐ろしい呪いにかかると言われている。」
「記憶がなくなっちゃったり同じ時間に留まれなくなって違う時代へと飛んでしまったり。」
「リリオルにはこんなこと言えなかった。」
「どちらにせよ、おいらたちはこれ以上一緒にいられないんだよ。」
「リリオルにお別れを言おう。」
「それが彼女のためなんだ。」
「レンダーシアの誰も知らない場所に研究所を作ろう。」
「一人でならうまく隠れてテンスの花の研究が続けられる。」
「錬金術しか取り柄のないおいらにできるリリオルへの恩返しは、絶対にテンスの花を完成させること。」
「それだけなんだ。」
「時渡りの呪いがいつ、どんな風に降りかかるかもわからない。」
「急がなくちゃ。」


「ああ、やっぱりね。」
「ついに時渡りの呪いが発動した。」
「この時代にはもういられないんだ。」
「でもテンスの花は完成させた。」
「これが兄ちゃんの使命の役に立つならどこに飛ばされたって悔いはないや。」
「兄ちゃん、いつ会えるんだよ、兄ちゃん。」


弟が目を覚ますと、目の前にクオードがいた。
「おい、大丈夫か?しっかりしろ!」
「貴様は誰だ!人がせっかく介抱してやったのにその態度は無礼だぞ。」
「貴様は洞窟の外で倒れていたんだ。」
「俺が気づいてここへ運び込まなければ魔物の餌だっただろう。」


「そうだったんだ、助けてくれてありがとう。」
「えっと、君は?」


「クオードだ。」
「こんなところで人間に会えるとはな。」


弟は今までの経緯をクオードに説明した。
「貴様の話は信じられないことばかりだが、とことん諦めが悪い性格の錬金術師だということはよくわかった。」
「気に触ったのなら謝る。」
「俺たちは似ているなと思っただけだ。」
「どんなに時間を漂流しても故郷に帰ることを諦めきれない。」
「いっそ絶望してしまえば楽になれるのにな。」


弟が言う。
「帰ろうよ、元の時代に。」
「いつかきっとなんとかなる。」
「何度失敗しても挑戦すればいいんだ。」
「諦めなければできるはずだよ。」


「はは、奇遇だな。」
「俺も最初からできないと決めつけるのは大嫌いなんだ。」


「我々は大きな野望を果たすために穴倉を出てどこかの町を目指して旅立つ。」
「この先の困難は並大抵のことではないはずだ。」
「だが、俺クオードと弟は必ずやり遂げるだろう。」
「初心を忘れぬため決意をここに残す。」
クオードは記憶の結晶を穴倉に隠した。


「いいか、これから俺のことはグルヤンラシュと呼べ。」
「グルヤンラシュ、エテーネ王国に伝わる『あの日へ帰る』という意味の古代語だ。」
「なかなかいい名だと思わないか?」


帝国技術庁の記憶に飛んだ。
ナナレという女性が言う。
「ガテリアの皇子ビャン・ダオがジャ・クバ陛下を暗殺してからそろそろひと月が経つのね。」
「陛下の命を奪ったガテリアが憎いわ。」
「奴らにも私達の痛みを、悲しみを味あわせてやりたい。」
「でもそのために軍拡を推し進めウルベア魔神兵を大量に送り込むのは報復じゃなくて侵略ではないの?」


フフチュという女性が言う。
「グルヤンラシュ様と筆頭研究員の弟様、最近すごく仲が悪いわね。」
「お互いばったり出くわせば口論ばかり。」
「噂だと一般研究員には公表できない秘密の研究があって、その方針を巡って折り合いがつかないとか。」


クオードは弟を研究室に閉じ込めた。
「グルヤンラシュ!ここを開けてよ!」
「どうして閉じ込めるんだよ!」


「最近の貴様はエテーネルキューブ開発に集中できていない様子だったのでな。」
「その研究室でなら作業もはかどるだろう。」
「開発を急げ、弟。」
「入手に手間取っていたボロヌジウムもまもなく全て揃う手はずだ。」


弟が言う。
「まもなくってそれ、どういう意味?」
「ボロヌジウムはガテリア皇国のものだ。」
「まさか戦争でも仕掛けようっていうの?」


「ジャ・クバ陛下はビャン皇子に殺された。」
「もはや戦争は避けられまい。」


弟が驚く。
「まさか、ジャ・クバ陛下を殺したのは、本当は・・」
「なんでそんなことしたんだよ。」
「皇帝陛下は和平を結ぼうとしてた。」
「そんな短気を起こさなくてもいつかチャンスが来たかもしれないのに。」


「いつかだと?」
「そんなものを待っていたらいつまで経っても元の時代に戻れない。」
「俺には時間がないんだ。」
「お前と違ってな。」
「貴様は悠久の時間を生きているんだろう?」
「この時代に渡って長い時を共に過ごしたが、貴様は出会った当時のまま変わらない。」
「そんなこと最初はどうでもよかった。」
「だが俺とお前とでは時間に対する価値が全く違うと気づいてしまったんだ。」
「エテーネルキューブの開発で心が折れるような試行錯誤を重ねてきた。」
「完成に手が届くと思えばまた遠ざかる。」
「その繰り返しだったよな。」
「こういうことが起こるたびに貴様は疲れたとも辛いとも辞めたいとも言わず俺に言い続けたじゃないか。」
「いつかきっとなんとかなると。」
「根拠のない楽観的なその言葉を聞くたび心に暗いものがつのっていった。」
「俺は普通の人間だ。」
「終わりの見えないこの状況が永遠に続くと思うとどうにかなりそうになる。」
「だがこんな気持はきっと貴様には理解できないだろう?」
「俺は俺の時間を進める。」
「自分の意思で歴史を動かす。」
「そのためどんな罪を犯そうとも。」
「すまない、弟。」
「エテーネルキューブさえ完成すればこの苦しみを終わらせることができるんだ。」
「だから早く助けてくれ。俺がおかしくなってしまう前に。」
「どうか、頼む。」


「違うんだよ、クオード。」
「君を傷つけるつもりはなくて。」
「おいらが歳を取らなくなったのはただの偶然なんだ。」
「自分でなりたくてこんな風になったわけじゃないんだ。」
「おいらたちにとって大事なのはあの日に帰るために諦めないことだけでお互いの事情はくわしく話さなかったね。」
「思えばそれがいけなかったんだ。」
「ずっとつらい思いを抱えさせてごめん。」
「でもたとえ悠久の時間を生きててもおいらはクオードと同じ普通の人間だよ。」
「老いることもなく、呪いのせいで同じ時間に留まれない人間が本当に・・普通?」
「錬金術師のおいらにできることはエテーネルキューブを作ることだけだ。」
「クオードを助けてあげなくちゃ。」
「あいつがこれ以上罪を重ねる前に。」
「ねえクオード、普通の人間じゃなくてもやっぱり心は痛むし辛いよ。」


風穴の研究室の記憶に飛ばされた。
キュルルと弟が話をしている。
「弟、これだけ説明しても納得できないキュ?」
「どうあがいても事実は変わらないキュル。」
「故郷の村が滅ぶ運命を変えるためキューブを使って何度時を超えようとも決して滅びの時にはたどり着けないキュ。」
「それが歴史の修正力というものキュ。」
「すでに起きた過去、確定した歴史を変えることは簡単なことではないキュ。」
「ちっぽけな人間である君にできることはせいぜいまだ揺らぎの幅が大きな時間、未来に備えることくらいキュね。」
「未来は現在が連続したその先にあるキュ。」
「この意味をよく考えることキュね。」
「ショボい未来が確定される前に。」
「というわけでこの時の妖精が貴重な情報を与えたその対価といてさらなるチョコレートを所望するキュ。」


「何度キューブで時を渡ったとしてもエテーネの村はどうやっても滅びて兄ちゃんとも離れ離れになる。」
「クオードの間違いを正すためウルベアにも戻ろうとしたけどできなかった。」
「これが歴史の修正力。」
「確定した運命。」
「それならおいらとクオードがあの日に帰ろうともがき苦しんだ日々も全部無駄だったってこと?」
「いや、無駄なんかじゃない。」
「キュルルの言う通りだ。」
「過去は変えられなくてもこの先の未来はおいらの手で変えることができる。」
「エテーネ村のこれからのため、兄ちゃんの使命を助けるため、おいらにできることを全部やるよ。」
「ああ、うう、またあの感覚だ。」
「他の時代に飛ばされそうになる時の、自分が透明になっていくような感じ。」
「これまでなら平気で何十年くらい同じ時代に留まっていられたのに少しずつ間隔が短くなってる気がする。」
「いや、今はそんなことよりキューブを使って兄ちゃんのいる時代へたどり着くことだけ考えるんだ。」
「よし、キュルル。時を渡ろう。」
「おいしいチョコレートをあげるから。」
「おいらに君のチカラを貸して。」


記憶のムストの町に飛ばされた。
ヘルドラという竜族の女性が言う。
「最下層の会議室で弟様がクロウズ様と話し込んでいる。」
「どうやら危険な任務に旅立つらしい。」
「しかし一人で本当に大丈夫か?」
「あの人って見るからにひ弱そうだし、できればあたしが守ってやりたいよ。」


ガナジという竜族の男性が言う。
「クロウズ様の予知ではもうじき魔物たちが攻めてくるという。」
「いつでも避難できるよう準備せねば。」
「この辺りは地上にいる人達の仮の住まいになる予定だ。」
「床板が外れていたら直さないとな。」


ブレエゲという竜族の男性が言う。
「神の器の保護といえば聞こえはいいが、実際のところ誘拐のような形で皆さんを連れてこざるを得ない状況だという。」
「神の器には女性や子供も含まれるとか。」
「せめて集会所をきれいに整えておいて快適に過ごしていただけるよう準備せねば。」


ベングという竜族の男性が言う。
「疾風の騎士団はナドラガ教団の教義に異議を唱える弟様とクロウズ様によって結成された。」
「近頃地上に迫る危機もあってお二人の言葉に耳を傾ける者も増え、団員も集まってきている。」
「だが嵐の領界ではこの人数が限度だろう。」
「他の領界からも同志をつのることができればそれに越したことはないのだが。」


クロウズと弟が話をしている。
「どうやらナドラガ教団側も神の器の存在に気づいているようです。」
「竜族の精鋭がアストルティアに送り込まれるでしょう。」
「一刻も早く神の器を保護するのです。」
「事情を説明している暇はありません。」
「多少強引な手段を使ってもやむを得ない。」
「弟さんに辛い役目を押し付けてしまうのは心苦しいですが、あなたにしか頼めないことなんです。」
「本当にこんな時は自分の予知が当たらなければいいと思ってしまいますよ。」
「主人公さん・・」


「心配しないで、クロウズさん。」
「全部おいらに任せておいて。」
「神の器をバッチリ連れて帰ってくるよ。」
「きっと大騒ぎになるんだろうね。」
「兄ちゃんのことだから神の器を取り戻しに頑張っちゃうのかもしれない。」
「へへ、おかしいね。」
「離れてからずっと兄ちゃんに会いたくてたまらなかったのに今はできれば会いたくないなんて。」
「でも事情を説明すれば兄ちゃんは世界を救うためにナドラガンドに来て命を落としてしまう。」
「だから絶対に何も伝えちゃいけないんだ。」
「もしそれでおいらが嫌われても。」
「兄ちゃんが死ぬより怖いことなんてない。」
「おいらが嵐の領界に来てからもう半年以上が過ぎてしまった。」
「クロウズさんには言えてないけど、時渡りの呪いのせいでこの時代に留まれるのはあとちょっとかもしれない。」
「ああ、一度でいいからあの頃と同じように呑気な弟として兄ちゃんのそばで笑いたいな。」
「幸せな時代にもう戻れないなら、おいらの望みはそれだけ。」
「たったそれだけなんだ。」


最果ての地に飛ばされた。
「ここは最果ての地。」
「そなたの弟のはっきりとした記憶はここで途切れてしまった。」
「時渡りを重ねるうち、次第に加速していく呪いの作用のため満足に他者と関われぬままごく短い時間移動を繰り返したゆえか。」
「今我がチカラで弟の精神の片隅に残されたあいまいな記憶を寄せ集めてこの地につなぎとめた。」
「弟の時渡りの軌跡を追いながら一刻も早くかの者の姿を見つけるのだ。」
「闇の手はすぐそこに迫っている。」


屈強なオーガが言う。
「あれは辺境の雪山に新しい村を作るため仲間たちと共に分け入った時のこと。」
「とてつもない猛吹雪が吹き荒れた。」
「体力のない仲間から次々に倒れていく。」
「生き残った者で話し合い、開拓を断念し獅子門の難民キャンプに帰ろうとした時だ。」
「どこからともなく旅の錬金術師が現れた。」
「錬金術師は俺達の話を聞き取るととある薬草を錬金してくれた。」
「その薬草、ヌーク草をひとくち食べると身体が温まり寒さに弱った者はみるみるうちに元気を取り戻したんだ。」
「錬金術師はヌーク草の効果を確かめるとその翌日には姿を消してしまってな。」
「どこから来てどこへ帰っていったのか。」
「もしもまた会うことができたらお礼を伝えたいと思うんだ。」


大工のエルフが言う。
「あたしスイの塔を建てた棟梁なの。」
「占いでスイのやしろの上に木造の塔を建てることになったんだけど、地底湖に基礎を作るのが最大の難題だったわ。」
「木工職人たちで悩んでいると、ある日突然旅の錬金術師が現れてかわきの石というものを錬金してくれたの。」
「地底湖の水はどんどん石に吸い込まれて基礎工事はあっという間に進んだわ。」
「工事が終わった後あの人を都に招こうとあたりを捜したんだけど、いつの間にか忽然と姿を消してしまったの。」
「まるで精霊の使いみたいだったわ。」
「出会いも別れも成し遂げたことも全てが幻のようで。」


侍女のウェディが言う。
「私の主はからくり好きが高じて音の波をとらえて振動し共鳴を起こす金属の棒を作りたいと言い出しました。」
「私は金属の調達を命じられましたが専門知識もなく、主の期待に耐えかねて職場から逃げようと海辺を歩いていました。」
「すると旅の錬金術師が声をかけてきて身の上話を聞くやいなや不思議な術で美しい鋼を錬金してくれたのです。」
「急ぎ主の元へ戻ってそれを見せると素材の素晴らしさに狂喜乱舞なさいました。」
「これで極上の音叉が作れると。」
「私は旅の錬金術師にお礼を言おうと海辺に戻りましたがすでに姿はなく砂浜の足跡も波にさらわれた後でした。」
「あの方は海の神の化身だったのでしょうか。」
「その後主が発明した音叉はウェディの歴史に残る大発明となったのですから。」


ごきげんなプクリポが言う。
「おっと、この帽子が気になるのかい?」
「これはおいらの宝物なんだ。」
「譲るわけにはいかないよ。」
「おいらは冴えないプクリポだった。」
「笑いも駄目、ルックスも駄目、彼女にも振られて人生詰んでたよね。」
「そんな時故郷のプクレット村で初めて演芸グランプリが開かれるって聞いたんだ。」
「一番面白いプクリポを決める大会さ。」
「それに出場して自分を変えたいと思った。」
「それでたまたま馬車で一緒になった旅人に笑いの情熱を三日三晩語り明かしたんだ。」
「旅の人はニコニコしながら聞いてくれてね。」
「最後に別れる時、錬金術ってやつでこのごきげんな帽子を作ってくれたんだ。」
「演芸グランプリでは結果を残せなかったけど帽子がきっかけでたくさんの友達ができてたっくさん笑えるようになったんだ。」


知的なドワーフが言う。
「我らドルワーム王国はウルベアとガテリアの戦争に巻き込まれぬよう都市をまるごと砂漠に潜行させる高度な技術を開発した。」
「やがて戦争は終結し、数年ぶりに地上に浮上しようとしたのだが機構が壊れて砂の中で動けなくなってしまったのだ。」
「都市内の空気はどんどん薄くなる。」
「我らは滅びの一途をたどっていた。」
「そんな時にあの人は現れたのだ」
「不思議な術で移動機構を修理し、ドルワーム王国を窮地から救ってくれた。」
「おお、感謝してもしきれない。」
「ひどく急いだ様子で謝礼も受け取らぬまま次の旅に出ようとするあの人は最後に奇妙なことを訪ねてきた。」
「ウルベア地下帝国を支配していたグルヤンラシュは本当に死んだのかと。」
「ウルベア皇女の手で確かに処刑されたというと、あの人は泣き笑いのような顔をしてどのままどこかへ消えてしまったよ。」


見覚えのある人間が言う。
「わしは滅びゆくエテーネ王国に見切りをつけ自由人共の船で辺境警備隊詰所を脱出した。」
「たどり着いた先はまさかの未開の孤島。」
「しかもそこで謎の熱病にかかってしまい、自由人どもの錬金薬も効き目がない。」
「無念、わしは死を覚悟した。」
「するともうろうとした意識の中とある錬金術師が寝ているわしにパンチのきいた茶を飲ませてきたのだ。」
「くう、まずい、苦い、しびれる。」
「するとわしの病はたちまち治った。」
「目が覚めるとその錬金術師の姿はなく、1枚のレシピが残されていた。」
「干した毒消し草で作った毒消し茶。」
「毒沼色で味も香りも変な匂い。」
「その全てがわし好み。」
「わしは毒消し茶を皆に広めてやろうと村中に振る舞ったが癖が強いといって誰一人理解を示さんかった。」
「ゆえにわしは決心したのだ。」
「毒消し茶のよさを、素晴らしい効能を語り継いでいく男になるとな。」


ナラジアの幻影が言う。
「あの時、冥王の心臓から逃げ出す君をしっかり掴んで離さなかったら世界は今頃どうなっていただろう。」
「うん、あの時からだ。」
「あの時からずっと君を捜していた。」
「そしてまもなく時は満ちる。」


ジャディンの園に飛ばされた主人公。
弟が倒れている。
「ここはどこだろう・・」
「いや、どこだっていいや。」
「兄ちゃんがいないならどの時代だって同じだから。」
「最後に会ったのは時獄の迷宮だったっけ。」
「あれからずいぶん経ったけど結局会えなかったな。」
「おいら疲れちゃたよ。」
「たどり着けない場所を目指すのも、大事な人との別れを繰り返すのも。」
「きっともう会えないね・・」
「そこにいるのは誰?」


先代の魔仙卿が弟の目の前に立っていた。
「我こそは魔仙卿。」
「託宣をもって魔界を守りし者。」
「ここは魔界の最高峰、デモンマウンテンの頂ジャディンの園だ。」
「光に包まれたそなたが空から落ちてくるのを見かけてな。」
「ふむふむ。」
「そなた、どうもやっかいな呪いを抱えておるようだな。」


弟が言う。
「そうだよ。」
「おいらは時渡りの呪いで同じ時代に長い間留まれないんだ。」
「それにはじめは何十年と同じ時代にいられたのが最近はひと月とももたないんだ。」
「留まれる時間がどんどん短くなったら、いつかどこにもいられなくなって誰もおいらのことを見つけられないよね。」
「怖いよ。」
「本当の一人ぼっちになるのはすごく怖い。」


「人の身で因果な運命を背負ったものだ。」
「実に面白い。」
「気に入ったぞ。」
「そなたこそ我が後継者にふさわしい。」
「我は長きにわたり魔仙卿としての役割を務め、次なる使命に奉ずる者を捜していたのだ。」
「魔仙卿となる者は大いなる闇の根源と契約を行う。」
「新たな契約を結べば古き契約は破棄されるであろう。」


弟が驚く。
「それってまさか、時渡りの呪いから解放されるってこと?」
「でも待って。闇の根源って、アストルティアを襲う魔瘴の源だよ。」
「そんな奴と契約するなんて。」


「そなたは悪しきチカラと聞いていよう。」
「だがチカラは使い方によって意味を変える。」
「あとはそなた自身で決めるがいい。」


弟がうなずく。
「おいら、やるよ。」
「この苦しみから解放してくれるならどんな最悪の契約だって結ぶ。」
「闇の根源も抑え込んでみせる。」
「そして何十年、何百年経ってもこの魔界で兄ちゃんを待つよ。」


「その覚悟、しかと受け止めたぞ。」
「我の魔仙卿としての知識、経験、その全てをそなたに継承しよう。」
「ともあれ修行はせねばならぬがな。」
「さあ、ついてくるがいい。」


ナラジアの幻影が言う。
「大魔王マデサゴーラを大魔王に選んだのは弟ではなくて先代の魔仙卿さ。」
「ふふ、少し安心したかい?」
「でも大魔瘴期を早めたのは間違いなく君の弟だよ。」
「そのせいでどれだけの争いが、犠牲が生まれたんだろうね。」
「ああ、なんて恐ろしい。」
「ルティアナが生み出した君たち人の考えることは理解できないよ。」


魔仙卿となった弟が言う。
「先代の魔仙卿はおいらにその術の全てを継承して役目を終えると逝ってしまった。」
「それからおいらは魔仙卿として数百年の間魔界で生きてきたんだ。」
「いつか必ず兄ちゃんに会えると信じて。」
「魔仙卿としての役目は果たしたし、少し心残りはあるけどやるべきことは終えたと思う。」
「兄ちゃんはこんなとこまでおいらを迎えに来てくれたんだね。」
「でもごめん、おいらはもう帰れない。」
「大いなる闇の根源と契約したからには奴の支配からは逃れられないみたいだ。」
「兄ちゃんと一緒には生きられない。」
「一人で元の世界に戻って。」
「今ならまだ間に合うから。」
「おいらもう行かなくちゃ。」
「ここまで追いかけて来てくれてありがとう。」
「すごく嬉しかったよ、兄ちゃん。」


呪縛の回廊に飛ばされた主人公。
「ここが記憶の終着点。」
「扉の先は記憶の中で最も闇深き場所。」
「そなたの弟はそこにいる。」
「闇の根源の支配を逃れることは至難のわざ。」
「それでもかの者を救いたければ心して先へ進むがよい。」
「扉を開いて光へと導いてやるのだ。」
「かの者の特異な魂に触れられるのはこの世でたった一人、そなたのみ。」


扉に触れた主人公の指先に弟の記憶の世界で回収してきたたくさんの思い出が集まってくる。
なんと弟の思い出が鍵の形となり閉ざされた扉を開いた。
扉の先には弟がいた。
「どうして追いかけてくるんだよ。」
「おいら帰れないって言っただろ。」
「人がせっかく覚悟を決めて別れを告げたっていうのに、ひどいや。」
「兄ちゃんの顔を見たら、おいらは・・」


呪縛が現れた。
「私は呪縛。」
「契約せし者の血の鎖。」
「光に導かれ闇の深淵をのぞく者よ。」
「そなたに問おう。」
「この者は貴様にとって何者か。」
「血の繋がりがない他人だとしても、この者を弟だと呼べるのか?」
「寄る辺なきまま数千年の時を超え、老いる事も死すこともない者を弟だと呼べるのか?」
「魔仙卿を継ぎ我が根源と契約し、大魔瘴期を早め、世界に混乱をもたらすことで数多の悲劇、犠牲を生んだ。」
「その大罪を知ってもなお貴様はこの者を弟だと呼べるのか?」
「この者は因果の狭間で醜悪に歪んだ恐ろしき者に成り果てた。」
「ゆえに今一度貴様に問おう。」
「それでもこの者を弟だと呼べるのか?」


主人公は頷いた。


「こんなおいらでも・・弟だって言ってくれるの?」
弟は自らの意思で呪縛を解いた。
「おいらは兄ちゃんと行く。」
「ジャゴヌバとの契約はもう終わりだ!」


「断じて許さぬ。」
「貴様がその血で交わした契約は命枯れ果てるまで続く鋼の掟。」
「偽りの絆に意味などない。」
「この滅神の獄で永久に囚われるがいい。」
主人公と弟は襲いかかる闇の根源の呪縛を協力して倒した。


「我が契約が・・消滅する・・」
闇の根源の呪縛が消滅した。


「ありがとう、兄ちゃん。」
「やっぱりおいらを助けてくれるのはいつだって兄ちゃんなんだね。」
「おいらはもう迷わない。」
「自分が何者なのか、自身をもってはっきり答えられるよ。」
「おいらは兄ちゃんの弟だーー!」
「闇の根源との契約はこれで終わった。」
「それでも時渡りの呪いは消えたままみたいだ。」
「おいら、とうとう兄ちゃんと同じ時間を生きられるんだね。」
「さあ、帰ろう。」
「おいらたちの守るべき世界へ。」


光の胡蝶が作り出した扉をくぐり、二人で元の世界に戻った。
ユシュカと無事合流した主人公と弟。
「大丈夫か、二人とも。」
「ついにやったな、主人公。」


ナラジアが現れた。
「すごい、すごい。」
「僕の呪縛から契約者を解き放つなんて、前代未聞の快挙だよ。」
「主人公、君はすばらしい。」
「そうだ、僕の城へおいでよ。」
「君とはゆっくり話がしたいな。」


光の胡蝶が主人公たちの前にたちはだかる。
「これはそなたを闇の眷属へと堕とす邪悪なる深淵のかいな。」
「決して触れてはならぬ。」


ナラジアが言う。
「ふふ、ルティアナ。」
「僕に負けた上に虫けらになって戻ってくるなんて。」
「どこまで笑わせてくれるんだい?」
ナラジアの強大な闇のチカラにより光の胡蝶が瀕死に追い込まれる。
「さあ、そろそろ行こう。」
「君を本当の大魔王にしてあげるよ。」


ユシュカが笑い声をあげる。
「ジャゴヌバよ、失望したぞ。」
「お前は心底見る目がないな。」
「どうしてもこいつを手駒にしたいらしいが、お前の思い通りになるやつではないぞ。」
「幾度もアストルティアを救い、種族神たちの加護を受け、女神に愛され、まばゆい光に祝福された救世主。」
「おまけに魔界にまで来て誰かのために身を投げ出して戦い続ける。」
「こいつはそういう奴なんだ。」
「こんな光のチカラにあふれたやつを闇に染めるのは苦労するぞ。」
「それよりもっと適した逸材がいる。」
「お前がこれまで選んできた大魔王はなかなか面白い連中ばかりだったが、その顔ぶれに俺を加えてみないか?」
「もし俺と手を組めばこれまでにないもっと新しくもっと刺激的な誰も知らない世界を見せてやろう。」
「本当に大魔王にふさわしいのはこの俺、魔王ユシュカだ。」
「俺を選べ、異界滅神ジャゴヌバ!」


「君の望みを叶えてあげよう。」


「じゃあな。」
「ナジーン、お前、俺をかばった時、同じことを思ったんじゃないか?」
「これが俺の選んだ道だ。」
魔王ユシュカは闇の根源に飲み込まれ、ナラジアと共に姿を消した。


光の胡蝶が言う。
「闇の根源がいずこかへ魔瘴を結集させている。」
「これが意味することは・・まさか・・」


主人公は魔王ユシュカが残していった魔剣アストロンを手に入れた。


主人公はジャゴヌバの手によってユシュカが連れ去られてしまったことをファラザード城に報告した。
そして大魔王城に戻ると、傷ついた弟を医務室に運んだ。


ジルガモットがやってきた。
「自分の方が大魔王にふさわしいだなんて、もう、これぽっちも思っていないくせに。」
「ユシュカったらとんだ芝居を打ったものね。」
「あなたに心配ばかりかけて、勝手な人。」
「私達がもっとあの人の行動に気をつけていれば。」
「いいえ、誰もナジーンのようにはなれないわね。」
「さて、これでファラザードは魔王と副官、どちらも失ってしまったわ。」
「普通の国なら滅びてもおかしくない状況ね。」
「でもアストルティアと協調したいだなんて、前代未聞の理想を語る魔王が築いた国の民だもの。」
「協調は何よりも強いチカラだとユシュカはいつも言っていた。」
「だから私達は最後まで希望を捨てない。」
「ユシュカがいない間はファラザードのみんなで留守を預かるわ。」
「それができるのが協調ってものでしょう?」
「ユシュカには何か考えがあったはずよ。」
「策もなしにいなくなるはずがないわ。」
「転んでもただでは起きない人だもの。」
「あなたはどうかそれをチャンスに活かして。」
「そして必ず世界を救うのよ。」
「私達の大魔王様。」


「ここまで来い、主人公。」
「異界滅神ジャゴヌバを倒すために。」


―後編に続く―