ドラゴンクエストX(DQ10) ネタバレストーリー まとめ

ドラゴンクエストX(DQ10)のメインストーリー、サブストーリーのまとめ

エピソード40 暴かれし相貌

新しき神を生むはずの神化の儀によってフォステイル以外の英雄は悪神と化してしまった。
悪神ラダ・ガートだけは主人公が倒したが、他の悪神たちはいずこかへと飛び去っていく。


天使長ミトラーが主人公に話があるそうなので、天星郷にある聖天舎2階の天使長の間に向かった。
フォステイルが主人公の前に現れた。
「やあ、天使長に呼び出されたのかい?」
「君は相変わらず頼りにされているね。」
「もっとも、頼れる相手が君しかいないというのが今の天使長の本音だろうけど。」
「四天の星巡りを達成して神となる資格を得たアストルティアの英雄達。」
「だが神化の儀は失敗し、英雄たちは悪神と化した。」
「私と君の2名を除いて。」
「私が儀式の場に姿を現さなかった理由を知りたい・・そんな顔をしているね。」
「その答えはいずれわかるさ。」
「君は、君のなすべきことをするといい。」
「そうだ、ここで私と会ったことは内密にしておいてくれると助かるよ。」


天使長の間に天使長ミトラーがいた。
「よく来てくれたね、主人公。」
「察しているだろうが、お前を呼び出したのは神化の儀の一件に進展があったからだ。」
「我々がおこなった神化の儀により、英雄たちは神ではなく悪神と化した。」
「お前のおかげでラダ・ガートの魂だけは回収することができたが、他の悪神たちはいずこかへと去った。」
「あれから我々は悪神たちの行方を追うと共に、神化の儀の失敗の原因についても調査を進めてね。」
「その過程で、こいつを見つけたのさ。」
天使長ミトラーの手には黒い宝石が2つ握られていた。
「神化の儀とは、四天の星巡りを突破し魂の燭台にすべての炎を灯らせた英雄の魂を神の高みへと昇らせる儀式。」
「英雄たちが魂の燭台を神化の光炉にささげ、そこから生まれた神化の炎を己の中に取り込むことで神と成す。」
「この2つの黒い宝石は神化の光炉から見つかったんだ。」
「調べたところ、こいつにはある呪いが込められていることが判明した。」
「おそらく神化の儀を失敗させたい何者かがあらかじめ神化の光炉にこの宝石を仕込んでいたんだ。」
「そして英雄たちが魂の燭台を光炉に投げ込んだ際にその呪いが発動し、神化の炎は穢される。」
「呪われし神化の炎・・呪炎を取り込んだ英雄たちは悪神となってしまった。」
「それが先の一件の経緯だろう。」
「この宝石は、悪神の火種とでも呼ぼうか。」
「何事もわかりやすいのが一番だからね。」
「悪神の火種を使って神化の儀を失敗させた犯人はまだ見つかっていない。」
「こちらに関しては我々が調査を進めている。」
「さて、ここからが本題なのだが、実は最近、アストルティアの各地で異常な現象が観測されていてね。」
「これらは下界に降りた悪神たちが引き起こしたものではないかと考えている。」
「放っておけば大きな災いをもたらすだろう。」
「ただでさえ強大な英雄たちが悪神と化した。」
「並の者では太刀打ちできまい。」
「もはや頼れるのはお前だけだ。」
「悪神たちの呪いを解き、元の誇り高き英雄に戻してほしい。」
「無論、お前一人に押し付ける気はない。」
「協力者として天星郷の者も同行させよう。」
「さあ、入っておいで!」


ユーライザがやってきた。
「アストルティアでの任務、私も同行させていただきます。」
「よろしくお願いしますね、主人公。」
「必ずやあなたのお役に立って見せます。」


「ユーライザは翼を隠して同行する。」
「天使の実在を知らぬアストルティアの民にいらぬ驚きを与えてしまうからね。」
「では悪神への対処法を説明しよう。」
「悪神の儀から日がたってしまったせいで悪神化の呪いは進行していると思われる。」
「ラダ・ガートは悪神となり間もなかったから打ち倒すだけで呪いが解けたのだ。」
「もはやあの時のようにはいかないだろう。」
「だが打つ手はある。ここにね。」
天使長ミトラーの前に剣が出現した。
「神剣レクタリス。これを受け取ってくれ。」
主人公は神剣レクタリスを手に入れた。
「先に悪神化の呪いの詳細を説明しよう。」
「この呪いは英雄たちの記憶や心の傷に干渉し、怒りや増悪を煽るというものらしくてね。」
「まずは悪神の荒ぶる心、怒りや増悪を鎮めるんだ。」
「その方法にこれが正解というものはなかろうが、なんとかやってみてくれ。」
「怒りや憎悪が鎮まれば、悪神化の呪いは弱まる。」
「その時こそお前に渡した神剣レクタリスの出番だ。」
「呪いが弱体した悪神を神剣で斬りつければ呪炎を切り離せる。」
「つまり呪いが完全に解けるというわけさ。」
「とりあえずはアストルティアで異変を起こしている悪神たちの居場所を見つけ出すべきだろう。」
「ドルワーム王国、風の町アズラン、そしてジュレットの町。この3カ所で異変の調査をするところから始めてくれ。」


主人公はユーライザと共にドルワーム王国に向かった。


王座の間で国王のウラード国王に謁見した。
「おお、我がドルワームの恩人主人公よ。よくぞ参った。」


「ユーライザと申します。」
「こちらにいらっしゃる勇者の盟友にしてアストルティアいちの大英雄、主人公にお仕えしております。」


「このドルワーム、いやドワチャッカ大陸全土に大きな危機が迫っておるのじゃ。」


側にいたドゥラ院長が言う。
「近頃、ドワチャッカ大陸の中央に位置するカルサドラ火山の活動が急激に活発化しているのです。」
「我が王立研究院が保有している火山の観測データと比べてみても異常としか言いようがありません。」
「私が計算したところ、近いうちにカルサドラ火山は歴史上類を見ないほどの大噴火を起こす。」
「この大噴火が起こってしまえば、ドワチャッカ大陸全土が火の海と化し、被害は甚大なものとなるでしょう。」
「この異常事態に対し、対策を練るためカルサドラ火山に急遽調査隊を派遣しました。」
「しかし、火口付近に派遣した調査隊が何日経っても帰ってきません。」
「彼らの身に何かあったに違いありません。」


チリ王女が言う。
「私も同行するわ。」
「カルサドラ火山の異変を突き止め対策を練るためには王立研究院の者が同行する必要があるわ。」
「それにいつもあなたには助けてもらってばかりだもの。」
「私だって力になりたいよ。」
チリと共にカルサドラ火山の調査に向かった。


火口付近に向かうと声が聞こえてきた。
「ドワチャッカ大陸を火の海に・・」
「我ら三闘士の過ちを正すべし。」
「我が大願の邪魔はさせぬぞ。」
「ここから立ち去れ!」


ドルタムの幻影が現れた。
「来てくれたんだね。ありがとう。」
「僕、きっとあなたが助けに来てくれるって信じてた。」
「ここは悪神となった僕らが創り出した、ドワチャッカ大陸を滅ぼしたという歪んだ欲望が具現化した世界。」
「呪いで魂を穢され、悪神となってしまったけどわずかに残った正気の部分を切り離して届けることができて良かった。」
「お願い、アクロニア鉱山にいる山神イプチャル様のところへ行って。」
「イプチャル様ならきっと僕達を止める方法をご存知のはず。」
「呪いが僕達のすべてを飲み込む前に。」
「僕らが大陸を焼き尽くしてしまう前に、僕らを、兄ちゃんたちを助けて。」


主人公たちはアクロニア鉱山にいる山神イプチャルに会いに行った。
「我が名は山神イプチャル。アクロニア鉱山に恵みを与え、この地のドワーフを見守りし者なり。」
「カルサドラ火山に宿し邪悪な力がドワチャッカ大陸を滅びに導こうとしているのを感じる。」
「そなたたちにカルサドラ火山に巣食う悪神、三闘士たちについて語る必要なある。」
「彼らの栄光の果てに何が起こったのかを。」
「魔物たちがはびこるドワチャッカ大陸の端、このアグラニの地より旅立ちし3人の若者は大地を切り拓き、民を太陽の下に連れ出した。」
「閃光のオノ、震天のの槌、賢哲の盾と呼ばれた若者はドワチャッカ大陸に3つの大集落を築き、ドワーフたちに幸福と安寧の時代が訪れる。」
「閃光王カブは人々に言った。」
「前進せよ。我らが大地を切り拓いたように、そなたらが望めばこの世に叶わぬことはない。」
「彼らの民はそれに従った。」
「持ち前の探究心で発展をとげ、輝かしい時代を築いていった。」
「だが、過ぎたる力は破滅を招いた。」
「急激な発展により富と力を手にしたドワーフたちは自らの欲望を抑えられなくなった。」
「欲に我を忘れ、他人から奪い、蹴落とし、集落同士で争うようになった。」
「すでに年老いてしまった三闘士に民を止める力はなく、争いは苛烈の一途を辿るばかり。」
「ある日のこと、数十年ぶりに閃光王カブがこの地を訪れた。」


カブが言う。
「ここんとこ若い奴らは争ってばかりだ。」
「どっちが上だの下だの、くだらねえ。」
「俺はもうほとほと嫌になっちまった。」
「俺がみんなを穴ぐらから連れ出さなければドワーフ同士で争うこともなかっただろうな。」
「俺の本当の兄弟は穴ぐらの中で食べ物がなくて飢えて死んだんだ。」
「誰一人助けてくれるやつはいなかった。」
「みんな穴ぐらの外に出るのが怖くて、まだ小さかった弟と妹を見殺しにしたんだ。」
「俺は奴らのことが許せなかった。」
「俺はそんな奴らを見返したくて、奴らと俺は違うって証明したくて穴ぐらの外へ飛び出した。」
「自分を信じて突き進めばみんなが幸せに生きられるって信じてた。」
「それなのに俺はいつの間にかドワーフ同士で争い合う地獄を作っちまったみたいだ。」
「なあイプチャルよ。」
「俺たちのしたことは間違っていたのか?」
「俺のせいでみんな・・」


イプチャルの話が続く。
「三闘士がこの世を去った後、3つの大集落はガテリア、ウルベア、ドルワームと名を変えた。」
「そしてガテリアとウルベアの大戦争で多くのドワーフが殺し合い、死に絶えた。」
「三闘士はドワーフの欲望と争いの歴史に絶望し、カルサドラ火山の炎で全てを焼き尽くし、民を原始の暮らしに戻そうとしているのだ。」
「彼らの心の闇を祓うには、絶望を凌駕するほどの希望が必要となる。」
「かつてドワーフたちに希望をもたらした三闘士の武器と同等の力を持つ神器があれば三闘士の絶望を砕くことができるかもしれぬ。」
「ドワチャッカ大陸の未来のため、この鉱石を託す。」
「我の力を宿した鉱石を使えば希望をもたらす神器を作ることができよう。」
主人公はイプチャルの鉱石を手に入れた。
「神器を作るにはウルベア帝国に伝わる原初の炎、ガテリア皇国に伝わる秘伝の術、そしてドルワーム王国に伝わる創造の炉が必要となる。」
「3つの力を合わせ、ドワチャッカ大陸を救うのだ。」


主人公は3000年前のウルベア帝国に向かい、ウルタ皇女に原初の炎をもらった。


ドルワーム王国水晶宮の王座の間へ向かい、チリに原初の炎を渡した。
「これがウルベア帝国に伝わると言う秘宝、原初の炎・・いったいどうやって・・」
「いいえ。あなたはいつだって不可能を可能にしてきたものね。」
「何も不思議じゃないのかも。」


ガテリア皇国の第一皇子、ビャン・ダオがやってきた。
「チリからドワチャッカ大陸の一大事と知らせを受けてな。」
「急ぎ遺跡の調査から戻ってきたのだ。」
「すでに話は聞き及んでおる。」
「イプチャル神の鉱石を加工するため、我がガテリアの秘術が必要だというのじゃな。」
「この巻物はガテリア皇国の王族に伝わる秘宝。」
「3000年前から余が肌身離さず持っていたものじゃ。」
「ここにはガテリアの技術のすべて、三闘士の神器の材料とされる鉱石の加工術についても記されておる。」
「本来ならばガテリアの王族以外の者の閲覧は固く禁じられておるが。」
「そちを始め、この時代で知り合った大切な友人たちを守るためならば、このビャン・ダオ、喜んで協力しようぞ。」


チリが言う。
「これでウルベアの原初の炎、ガテリアの秘術は揃った。」
「残るはドルワーム王国の創造の炉だけど・・」


ウラード国王が言う。
「それについてはわしから話をしよう。」
「創造の炉は確かにこのドルワームに存在する。」
「お前たちがその存在を知らぬのは無理もない。」
「ドルワームの代々の王にのみ口伝で語り継がれ、その存在を隠す掟なのじゃ。」
「炉への道を開けるのは太陽の意志を扱える王族の者のみ。」
「今こそ道を開こう。」
「太陽の石の力を使い、そなたたちに炉に赴く資格を与えた。」
「水晶宮4階の神カラクリの横にある操作盤を調べ、創造の炉へ向かうのだ。」
「すべてはそこで説明しよう。」


皆で創造の炉へ向かう。
「4000年前、ドルワームの礎を築いたとされる賢哲王ドルタム様の手によって作られた。」
「太陽の石の膨大なエネルギーを用いることで、どんな鉱石をも加工することができる。」
「この炉に創造できぬものはない。」
「三闘士の神器をはじめ、ドワーフたちの文明を支える様々なものが創造の炉から生み出された。」
「だが、やがてこの炉によって人殺しの道具までもが作られるようになってしまったのじゃ。」
「誰よりも争いごとを嫌っていた心優しきドルタム様は、事態を憂いこの炉を集落の地下深くに封印した。」
「悪き心を持つ者に利用されぬよう、代々の王にのみ創造の炉の存在は伝えられ、長い間存在を隠されてきたのじゃ。」
「だが、今はそんなことを言っていられる状況じゃない。」
「代々の王もお許しくださるはずじゃ。」
「今こそドワチャッカ大陸を救うため、3つの力を合わせる時。」
「創造の炉を使い、神器を完成させるのじゃ。」


主人公たちは三闘士に対抗するための神器づくりに寝る間も惜しんで取り組んだ。
そして「希望のクワ」が完成した。


ドゥラ院長が言う。
「武器ではなく、クワの形にしたのは三闘士が人々と共に大地を開拓した際、クワを用いたという伝説を参考にしました。」
「未来と希望を切り拓くための神器。これならきっと・・」


ユーライザが言う。
「三国を代表し、ドルワーム王国の者がそのクワを扱うべきだと私は思います。」
「チリさん、一緒に来てくださいますか?」


ビャン・ダオが主人公に近寄る。
「ソチにこれを授けよう。」
「覚えておるかの?」
「ウルベア魔神兵の中にあった、リウ老師から受け継いだタネの一つじゃ。」
「あれからこのタネを誠心誠意、愛情をこめて育ててな。」
「やっとここまで成長させることができた。」
「我が祖国、ガテリアの希望の象徴じゃ。」
「これがあれば災いを起こしているというカブ様の気持ちをなぐさめられるかもしれぬ。」
主人公はガテリアの苗を手に入れた。
主人公たちはカルサドラ火山へ向かった。


主人公はナンナの魂に触れた。
「アタシたちの願いはカルサドラ火山を噴火させ、二度と争いが起こらないようにこの大陸を原始のカタチに戻すこと。」
「それが三闘士の、兄者の望みなんだ。」
「アンタらは知ってんだろ?」
「兄者の作った国、ガテリアの末路を。」
「アタシの国、ウルベアによって滅ぼされたのを。」
「アタシの民が兄者の愛した国を、民を、全てを殺し、踏み躙ったんだ。」
「許されるはずがないだろう。」
「どんなに裏切られようが、兄者は大陸の民を誰よりも愛し、死ぬ直前までずっと信じてたんだ。」
「アタシの国がそんな兄者の想いをつぶしちまった。」
「取り返しがつかないことをしてしまった。」
主人公はガテリアの苗を取り出した。
「それは・・ガテリアに残っていたタネから?」


ドルタムの魂が語りかける。
「姉ちゃん、ウルベアはガテリアを滅ぼした。」
「だけどね、ガテリアの全てが失われたわけじゃない。」
「この苗やそのクワを作った技術のように、今も確かに生き続けるものがあるんだ。」
「僕たちのドワチャッカ大陸に。」
「だからこそ、兄ちゃんを止めなくちゃ。」
「兄ちゃんの愛した民を、大地を、希望を、兄ちゃん自身の手でつぶさせてはいけない。」
「そうなったら兄ちゃんは今よりももっと苦しむことになるから。」


ナンナの魂が言う。
「なあ、その苗さ、アタシが持っててもいいかい?」
主人公はナンナにガテリアの苗を渡した。
「お願いだ。アタシに勇気を。」
「前に進むための力を分けてくれ。」
「兄者はこの先にいる。」
「行こう、主人公。」
「アタシたちの手でこの悪夢を終わらせるんだ。」


奥にカブがいた。
「見ろよ、この眺め。」
「これが俺の望む新たな世界の姿だ。」
「俺が外に連れ出しちまったから、ドワーフ同士で殺し合うなんて馬鹿なことが起こっちまった。」
「前に進まなければ、希望さえ持たなければ、何も起こりはしない。」
「俺の民は争いもなく、平和に暮らせるんだ。」
「俺は俺の犯した過ちを正す。」
「争いの歴史と争いのもととなる全てを焼き、この大陸を原始のカタチに戻す。」
「それがドワチャッカ大陸の新たな神となる俺たちの初仕事ってわけだ。」


主人公とユーライザは協力して悪神・三闘士を倒した。


チリが叫ぶ。
「いい加減に目を覚ましなさい!」
「確かに私たちドワーフは自らの欲に目がくらみ、愚かな争いを続けてきたわ。」
「歴史上幾度も争いが繰り返され、ドワーフ同士でも殺し合ってきた。」
「あなたたちから見れば私たちの歴史はいびつでひどく醜いものかもしれない。」
「けれど、これが私たちの歴史なの。」
「あなたたち三闘士が希望を与えてくれたから、多くの間違いを犯し、もがき苦しみながらも先人たちは前に進むことができた。」
「あなたたちがくれた希望を、私たちが歩んできたこの歴史を、否定することは絶対に許さない!」
ナンナ、ドルタムは正気に戻った。
チリがクワで穴を掘り、ナンナがガテリアの苗を植えた。
「閃光王カブよ!この花がドワチャッカの、私たちドワーフの希望の形です!」
カテリアの苗は花を咲かせ、光がカブを照らす。
「希望・・これが俺たちがずっと追い求めていた光・・」


主人公は神剣レクタリスでカブを切り裂いた。
カブは悲鳴をあげ、正気に戻った。
「へへ。お前の説教、ガツンと効いたぜ。」
「ずいぶん骨のある嬢ちゃんだな。」
「現代のドワチャッカ大陸に生きる娘よ。」
「我の過ちを正し救ってくれたこと、心より感謝しよう。」
「穴ぐらの外の世界でお前たちが紡いでいく未来を楽しみにしているぞ。」
「またお前に助けられちまったな。」
「さすが俺たちの主人公だ。」
「大暴れしたからなんだか疲れちまった。」
「身体に力が入らない。」
「俺たちはフォーリオンに戻って一旦眠ることにするぜ。」
「ありがとな、主人公。」
三闘士の魂はフォーリオンに戻っていった。


主人公とユーライザはジュレットの町に向かった。
女王の間で女王ディオーレに謁見する。
「過去に例を見ないほどの大嵐とある海域から聞こえてくる謎の歌についてはヴェリナード城にも話が伝わっている。」
「王家としても捨て置けるはずもなく、すでに調査と対策に乗り出している。」
「ただし、指揮を執るのは女王であるわらわではない。」
「この度の異変の解決に関しては、我が子オーディスに一任したのだ。」
「王子には荷が重いかもしれないが、ラーディス王以来の300年ぶりの男王を目指すのならばこれも試練のうちだろう。」


オーディス王子と話をする。
「僕としては謎の歌が聞こえるという海域が怪しいと推測している。」
「そこに魔物が潜んでいて大嵐を呼んだのではないかとね。」
「しかし大嵐の海へ調査に行くなど普通の船では不可能だ。」
「そのための手段も手配している。」
「実はヴェリナード王国ではかねてからどんな悪天候でも進めるような魔法船の研究開発を行っていたんだよ。」
「これでくだんの海域の調査に行ける。」
「主人公君、すまないがまた君の力を頼らせてほしい。」


主人公はラーディス王子から王家の秘宝を預かり、魔法船のあるジュレットの町へ向かった。
謎の歌が聞こえる海域に向かうと、悪神が作り出した空間に迷い込んでしまった。
奥へ進むと悪神リナーシェがいた。
「600年前のウェナ諸島はコルレーン王国とジュレド王国という二つの国が分割して統治しておりました。」
「わたくしはコルレーン王国の女王でしたが、この日はジュレド王国を訪れていたのです。」
「日照り続きで苦しんでいたジュレドの民のため、わたくしは育みの歌を歌い、水に聖なる加護を与えました。」
「ジュレドの王・ヴィゴレーも弟のカルーモも喜んでくれました。」
「わたくしとヴィゴレーは結婚し、ジュレド王国とコルレーン王国を統合することで新たな王国をつくることが決まっていたのです。」
「わたくしにはアリアという名の年の離れた妹がおりました。」
「しかしあの子が産まれてすぐ、わたくしたちの母は亡くなったのです。」
「わたくしは母との思い出をなぞるようにアリアを育てました。」
「わたくしが部屋にいるといつもあの子がやってきた。」
「アリアはわたくしとヴィゴレー様の婚姻に反対していました。」
「ジュレド王国とは何百年も敵対していて、お父様もジュレド王国に殺されたから。」
「ジュレド王国が休戦の約束を破って攻めてきたのが原因でした。」
「ジュレド軍を追い返すため、勇敢な戦士だったお父様は死んでしまった。」
「ですが殺し合いをしたのは先代の王たち。」
「その子であるヴィゴレー様とわたくしは恨みを捨て手を取り合うことを選びました。」
「そもそも二国が争うのは土地のやせたウェナ諸島の中でわずかな実りを奪い合うがゆえ。」
「わたくしが作った育みの歌の力があれば豊かな実りをもたらすことができる。」
「もはや争う理由はないのです。」
「二つの国がひとつになればもう奪い合うことはありませんから。」
「戦争になれば必ず血が流れる。」
「誰かの恋人が誰かの父親を殺し、やがて誰かの夫に殺される。」
「私はもう、そんな歴史を終わらせたかった。」


憎悪に侵食されたリナーシェの魂が姿を現した。
「ほら、思い出しなさい。」
「あの日、何があったかを。」
「あの日の絶望を。」
「ヴィゴレーは結婚式の前日、わたくしに剣を突き刺して殺した。」
「そしてその罪を弟のカルーモに着せたではないか。」
「その後、育みの歌を歌える最愛の妹アリアを妻にしてヴェリナード王国を建国した。」
「10年前、父の命を奪った張本人がヴィゴレーだということを隠して。」
「さあ、己の中の増悪を受け入れなさい。」
「ヴィゴレーの残した国も、血も、全て打ち滅ぼしてくれる!」


主人公はユーライザと共に悪神リナーシェを倒した。


「盟友様・・なぜ邪魔をするのです。」
「悪辣なヴィゴレーの血は根絶やしにせねば。」
「あなたもそう思うでしょう?」


主人公が持つ王家の秘宝「潮騒の宝石箱」からアリアの声が聞こえてくる。
「私の名はアリア。ヴェリナード王国・初代国王の妃です。」
「後の世のためにウェナ諸島の命綱である育みの歌と建国の歴史を、王家の心をここに遺します。」
「母なる水に加護を与え、やせた土地にさえ恵みをもたらす育みの歌。」
「この歌を作ったウェナ諸島の救世主こそが始源の歌姫、私の姉・リナーシェなのです。」
「しかし姉の婚約者でありヴェリナード王国の初代国王になるはずだった男・ヴィゴレーはその強大な力を恐れ姉を殺害。」
「あろうことかヴィゴレーは自分の弟であるカルーモにリナーシェ殺害の罪をなすりつけ、彼は処刑されることとなったのです。」
「カルーモがそんなことをするはずがない。」
「そう考えた私は真相を確かめることを決意しました。」
「私と同じく姉の死を不審に思った者たちの協力を得て調査を進め、やがて私はヴィゴレーこそが犯人だと確信したのです。」
「そのことを証明し、カルーモは釈放。」
「ヴィゴレーはジュレイダ連塔遺跡へ投獄されることとなりました。」
「しかしジュレド国王によるコルレーン女王の殺害という真実によりヴェリナード王国は再び分裂の危機に陥ったのです。」
「私はカルーモと共にその回避に務め、やがて危機が去ったとき、私たちは互いを想い合うようになっていきました。」
「私とカルーモは婚姻を結び、ようやくここに姉の夢見た平和な時代が訪れたのです。」
「ですが、私は姉を失ったこと、いいえ、姉を守れなかったことを深く悔いています。」
「この過ちを決して繰り返してはなりません。」
「王家の子よ、ヴェリナードの子よ。」
「育みの歌でウェナ諸島と愛する民を守ること。」
「それこそが王家の役目と知りなさい。」
「そして愛する民と同じほどに愛する家族を守ること。」
「それこそが王家の心と知りなさい。」
「歌とは心。」
「誰よりも民の安寧を願った資源の歌姫・リナーシェの心を。」
「育みの歌をあなたたちに託します。」


リナーシェがたじろぐ。
「そんな・・あんなに幼かったアリアが・・」
「わたくしがいくつもの歌を作り父の仇と婚約までしたのもあの子を守るため。」
「けれどあの子は自分の意志で考え、行動し、600年続く国を築き上げた。」
「わたくしが守らずとも立派に。」
「つまるところ、わたくしは傲慢だったのですね。」
「守ると言いながら、あの子を、自分以外の者を見くびっていた。」
「わたくしもアリアのように他人を信じて頼れるような素直な心の持ち主だったら、別の結末があったのかもしれません。」
「お願いします、盟友様。」
「どうかわたくしを助けて!」


主人公は神剣レクタリスで呪炎を切り離した。


「ありがとう、盟友様。」
「あなたが助けてくださったおかげで、わたくしは何より愛した国を、子らをこの手にかけずにすみました。」


ユーライザが言う。
「悪神の火種は私が回収しておきました。」
「リナーシェ様は天星郷に戻り休んでください。」


「盟友様、もしあなたが窮地に陥ることがあれば今度はわたくしが。」
「ヴェリナードが始源の歌姫・リナーシェが必ずあなたを助けにまいりますわ。」
「本当にありがとう、主人公様。」
リナーシェの魂は天星郷に帰っていった。


主人公は風の町アズランに向かい、領主タケトラと話をする。
「そなたもここに来るまでに目にしたと思うが、突然風が荒ぶりだして身の毛もよだつ禍々しい気配を運んでくるようになったのだ。」
「暴風の奥でうごめく巨大な影を見た者もおる。」
「このままでは遠からず何か恐ろしいことが起きるに違いない。」
「かつてアズランの危機を救ってくれたその実力を見込んでそなたに此度の異変の原因を調べてもらいたいのだ。」
「主人公よ、フウラは風乗りとして立派にやっておる。」
「此度の異変は風にまつわるものだ。」
「フウラが力になれる事もあるだろう。」
「是非連れていってやってくれ。」


主人公はフウラと共にカミハルムイ城に向かい、ハネツキ博士に話を聞く。
「書庫にある歴史書に手がかりがあったんだけど、600年前、この大陸にはヤマカミヌ王国って国が存在したらしいの。」
「その本によると、ヤマカミヌ王国は今のスイゼン湿原の場所に位置してるんだけど、大いなる災厄によって滅びたんだって。」
「そしてヤマカミヌが滅ぶ前に吹き荒れたマガツカゼという暴風が今のこの風にすごく似ているのよね。」
「ヤマカミヌが滅んだ後、民の骸に群がった魔物に怨霊が乗り移り、スイゼン湿原にはヤマカミヌの怨霊の声が響き渡るとか。」
「もしかするとマガツカゼの復活と共にヤマカミヌの民の怨霊もスイゼン湿原に蘇っているのかもしれないわ。」
「実は歴史書と共に保管されていたスイゼン湿原から出土したヤマカミヌの民の辞世の句の木簡があって、マガツカゼが吹くようになってからその木簡に新たな文字が上書きされて浮き上がってきているのよ。」


スイゼン湿原に向かうと、木簡に文字が浮かび上がった。
「我が祖国を滅ぼした災厄が再び蘇らんとしている。」
「このままではこの地は再び枯れ果てた大地となるであろう。」
「手遅れになる前に時の王者を頼れ。」
「ハクオウ様は我らの希望。我らの誇り。」
「必ずや止めてくださる。」
「滅びの時まで一刻の猶予もない。」
「この地の西にあるヤマカミヌ王の墓へ向かえ。」
「王の声でハクオウ様を目覚めさせるのだ。」


ヤマカミヌ王の墓へ向かう。
フウラが風を鎮めると、コウリンという侍の亡霊が現れた。
「我が名はコウリン。」
「かつてこの地にあり災厄の王に滅ぼされたヤマカミヌ王国を治めていた者だ。」
「再びかつての恐怖、災厄の王が蘇り、この地を滅ぼさんとしている。」
「このマガツカゼはその前兆だ。」
「やがて草木は枯れ果て、大地は滅びるだろう。」
「私はとうに滅びた身ゆえ、どうしてやることもできぬ。」
「手遅れになる前に私の手綱を持って落葉の草原の北西の外れにある石碑へと向かうのだ。」
フウラは国王コウリンからヤマカミヌ王の手綱を手渡された。
「彼の地には時の王者ハクオウが眠っている。」
「その手綱を持っていけば意固地なあいつとも話ができるだろう。」
「時の王者とは災厄の王を倒すために世告の姫に選ばれし最強の闘士のこと。」
「ハクオウは救世主なのだ。」
「ハクオウならばこの地にふりかかる災いを必ずや退けてくれる。」
「急げ。」


主人公たちは落葉の草原に向かった。
石碑からハクオウが現れた。
「なぜあなたがその手綱を持っているのですか。」
「これは傑作なことだ。」
「あの人はまだそんなことを言っているのか。」
「この地に再びあの忌まわしき災厄の王が出現してしまった。」
「エルトナ大陸はもう終わりです。」
「美しき森は枯れ、人々は死に、骸が山と築かれるでしょう。」
「そして国は滅びるのです。」
「そう、かつてのヤマカミヌがそうであったように。」
「私は時の王者としてヤマカミヌを救うため全てを賭けて戦いましたが敗れました。」
「滅びの未来は避けられないのです。」
「ならばその運命に抗って苦しむより死を受け入れ静かに消える方がいいでしょう。」
「そうすれば失う痛みを味わうこともない。」
「ひとり孤独に取り残されることもないのですから。」
ハクオウは消えてしまった。


フウラが言う。
「あの記憶、きっとハクオウさんにとってコウリンさんは大切な人のはず。」
「コウリンさんの言葉なら届くかも。」


ユーライザが言う。
「ずっと考えていたのですが、ヤマカミヌの王コウリンという名には聞き覚えがあったのです。」
「実は彼も英雄の候補にあがっていました。」
「それほどの者ならフォーリオンでその魂を復活させるための手がかりが得られるかも。」


主人公とユーライザは天使長ミトラーのところへ向かった。
「残念なことに肉体を持った状態で生き返らせるのは死後すぐに魂を回収した英雄候補のみ。」
「しかし方法がないわけではない。」
「天星郷の神秘たる転生の花を使えば一時的に魂を呼び戻すことはできるだろう。」


ユーライザは転生の花とヤマカミヌ王の手綱を使い、領主タケトラの屋敷でコウリンを召喚した。
すると、神獣コウリンが召喚された。
「ああ、よかった。」
「やっと来れた。」
「何度天星郷を出ようとしてもうまくいかなくって困ってたんだ。」
神獣コウリンが主人公を見る。
「あ、父さん。」
「父さんが僕を呼んでくれたんだね。ありがとう。」
「ずっと会いたかったんだよ。」
「一度は卵に戻っちゃったけど、僕、すっかり元気になったんだ。」
神獣コウリンがフウラを見る。
「僕、コウリンっていうんだ。」
「ハクオウ父さんがコウリンって名前をくれたんだよ。」
「僕が卵だった時にハクオウ父さんと主人公父さんに育ててもらったから、今度は僕が恩返しをする番なんだ。」
神獣コウリンにはヤマカミヌ王の手綱がついている。
「僕の中にはハクオウ父さんからもらった力が今もあるんだ。」
「だから離れていても感じるんだよ。」
「ハクオウ父さんは今、すごく苦しんでいる。」
「だから今度は僕が力になるんだ。」
「今の僕ならもう前みたいにただ守ってもらうだけじゃない。」
「一緒にハクオウ父さんを助けに行こう。」


石碑に向かうと文字が浮かび上がっていた。
「孤児として生まれ、サハテ僧院に引き取られた幼きハクオウは大僧正トゥバンの指導のもと厳しい剣の修練に明け暮れた。」
「やがて希代の剣士へと成長したハクオウはヤマカミヌ王国へ仕え、国王コウリンの片腕として乱世を平定し国の発展に寄与する。」
「だが災厄の王が現れ国王コウリンは討ち死にしハクオウは主君の仇を討つため単身災厄の王に挑みこの地で落命した。」
「ハクオウ亡き後、その遺志を継いだ戦友は生き残った民を率いてゴフェル計画を発動し多くの民を滅びから救ったのだった。」
「これは時の王者ハクオウの慰霊碑なり。」
「ヤマカミヌのために生きた気高き剣士よ。」
「今は安らかに眠れ。」


悪神ハクオウが現れた。
「あれほど言ったのに、ここまで土足で踏み入るとは。」
「あなたたちはよほど死に急ぎたいのですね。」
「この地はやがて大いなる災厄によって滅びを迎えます。」
「それを回避する術はありません。」
「どれだけ私が戦って命をすり減らし抵抗を続けても結局全ては失われました。」
「大切な友も美しい故郷も、何もかもなくなってしまった。」
「愛するものを失うのは死よりも辛いこと。」
「いっそ最初から持っていない方がマシだと思うほどに。」
「あんな絶望は私だけでたくさんです。」
「もう誰にも同じ思いはさせない。」
「災厄の王による滅びは必然。」
「抵抗するのならこの手で息の根を止めるまで。」
「そのほうが力及ばぬ絶望を知り失意の中で死ぬよりもずっといい。」
「私を止めたければ殺しなさい。」
「私が死ぬかあなたが死ぬか。」
「道はどちらか一つです。」


主人公は襲いかかってくる悪神ハクオウを倒した。


「私は友の命ひとつ守れない。」
「お前は私を信じると言ってくれたのに。」
「すまない、コウリン・・」


フウラにヤマカミヌ王コウリンが憑依する。
「剣を下ろせ!」
「目を覚ませ。お前の剣はいかなる理由があろうと仲間を傷つけるためのものではない。」
「風に愛されし子がお前のことを思ってずっと私に呼びかけていたのだ。」
「おかげで彼女の身体を借りてここへ来ることができた。」
「私が死んだ後も、最後の瞬間まで屈することなくよくぞ戦ってくれた。」
「お前はヤマカミヌの誇りを守り通した。」
「たとえ国が滅びようとも、お前がいたから民は気高く最期を迎えられたのだ。」
「お前は我らの希望だった。」
「私はずっとお前を誇りに思っている。」
「もうお前も分かっているんだろう?」
「お前が負けたのは他者に背を向けただ一人で戦ったからだ。」
「それではいつか必ず限界がくる。」
「今のお前には仲間がいるだろう。」
「共に戦って災厄の王を退けるのだ。」
「まったく、お前は本当に筋金入りのわからず屋だよ。」
「お前は今も災厄の王との戦いに囚われている。」
「今度は間違うなよ。」
「我が親愛なる友、ハクオウよ。」


ハクオウが正気を取り戻した。
「ありがとう、友よ。」
「お前には心配をかけてばかりだな。」
「一人で戦えばまた同じ過ちを繰り返すことになるけれど、今の私にはあなたたちがいる。」
「敵は強大にして凶悪。」
「命を落とすこともあるかもしれません。」
「ですが共に災厄の王と戦ってくれませんか?」


主人公はハクオウと共に災厄の王を倒した。
「やっと6000年続いた私の戦いを終わらせることができます。」
「神になるなど私には分不相応だと今でも思いますが。」
「英雄に選ばれなければ私は今も死に際の妄執に囚われ続けていました。」
「そんな私の心の奥底にあるいやしがたい傷に呪炎は取り憑きました。」
「確かに呪炎によって暴走はしましたが、悪神となっていた私の言動はまぎれもなく私自身の本心でもあったのです。」
「一人ではダメでも皆がいる。」
「皆が言う通り私は本当にとんでもないわからず屋でしたね。」
「妄執から解き放たれた今だったら呪炎を私から切り離せるでしょう。」


主人公は神剣レクタリスで呪炎を断ち切った。
ハクオウの魂は天星郷へ昇っていった。


ユーライザが言う。
「悪神の火種は取り除けましたし、ハクオウの魂は天星郷でしばし休めば回復するでしょう。」
「ですがハクオウの心の傷に取り憑き燃え広がらせた呪炎という存在。」
「なんと残酷で卑劣なものでしょうか。」
「この企みの首謀者が誰であろうと私が必ず罰してみせます。必ず。」


天使長ミトラーに報告するためルティアナの清泉に向かうとヘルヴェルがいた。
「天使長の命でな。お前たちが持ち帰った悪神の火種を受け取りに来たのだ。」
「強力な呪物ゆえ暴発することも考えられる。」
「受け取り次第そのままひとけの少ないこの場所で破壊するようにとのお達しだ。」


ユーライザが悪神の火種をヘルヴェルに渡そうとすると、フォルテイルが現れた。
「待ちたまえ。」
「儀式のため天の聖壇へ向かう途中で悪い予感がしたので今まで様子を見ていた。」
「未来を予知してみたが、黒く塗りつぶされたように何も見えなかった。」
「そのせいで天星郷の天使たちには私が犯人だと疑われていたようだけどね。」
「アストルティアで君たちが君たちのなすべきことをしていたように、私も私のなすべきことをしていた。」
「天星郷を練り歩き、一連の事件についての真相を探っていた。」
「主人公が天星郷に到着した直後に魂の燭台を紛失したこと。」
「深翠の試練場で起きた神獣の変容。」
「みそぎを行う浄罪の泉の汚染。」
「神代の遺構における天使アルビデの不審死。」
「そして神化の儀の失敗。」
「これら全てのことをさ。」
「私は一連の事件がひとつの意思のもとに引き起こされていることを突き止めたんだ。」
「主人公は犯人に襲われた。」
「その結果、魂の燭台を紛失したんだ。」
「襲撃の理由は今君たちが持っている悪神の火種にある。」
「5人の英雄から回収された5つの火種。」
「つまり英雄を悪神に変えるには一人につき一つの火種が必要なんだ。」
「悪神の火種を神化の光炉に仕込んだ犯人はあらかじめ用意していたはずだよ。」
「9人分の火種をね。」


ユーライザが言う。
「もしや・・実は主人公を招くべきという私の訴えは四天の星巡りが始まる直前、ギリギリで認められたのです。」
「本来ならば生者を天星郷に迎えることはありません。」
「主人公の功績をもってしても反対する同胞は多くて。」


「だがユーライザの熱意によって主人公は英雄に選ばれることとなり、その存在は犯人にとっての誤算となった。」
「犯人が用意していた悪神の火種は9つ。」
「だから犯人は君を排除しようとしたんだ。」
「その手段は物理的な襲撃に止まらない。」
「天使の間に広がる悪意に満ちた噂。」
「あれも君の四天の星巡りを妨害するため意図的に流された情報だろう。」
「しかし君は危険も悪評も乗り越えて試練の継続を天使長にも認められた。」
「ゆえに犯人は作戦を変更することにした。」
「つまり君用の悪神の火種を用意することにしたのさ。」
「神化の儀までにね。」
「そのためには時間が必要だった。」
「深翠の試練で細工をほどこし試練を妨害したり、禊を行う浄化の泉を汚すため魔物を差し向けた。」
「これらは悪神の火種を新たに作るまでの時間稼ぎだったのさ。」
「君たちは見たはずだ。」
「神代の遺構にある廃屋の中で咲き乱れる謎の植物を。」
「あの植物の種子こそ私たちが悪神の火種と呼んでいるものなのさ。」
「あの場所に足しげく通っていたらしいアルビデは悪神の火種を育てた張本人ではあるのだろう。」
「だが神化の儀を行う天の聖壇は厳重に管理されている。」
「彼の立場では入れなかったはずだ。」
「アルビデの命を糧として悪神の火種を育てさせ、用済みとなった彼を見捨てて種を摘み取り神化の光炉に仕掛けた真犯人は別にいる。」
「その人物は神化の儀の場でも不自然な発言をしていた。」
「ただちに主人公に神化の儀を行い神となさしめようと。」
「あれは自分が仕掛けておいた悪神の火種によって主人公をも悪神にせんとするための進言だったんだ。」
「一連の事件の犯人はあなただろう?ヘルヴェル。」


ヘルヴェルがユーライザに近づき不意打ちを喰らわせる。
そして倒れたユーライザから悪神の火種を奪った。
「ユーライザ。悪神の火種の回収任務、ご苦労だったな。」
「確かに受け取ったぞ。」
「回収してきた悪神の火種が暴発し主人公も悪神と化した。」
「天使長にはそう報告するつもりだったのだがな。」
「つくづく貴様には予定を狂わされる。」
「しかしそれもここまでだ。」
「何が英雄。何が神。」
「この力の前では赤子に等しい。」
「貴様らに憤怒を。悔恨を。絶望を。」
「憎悪の炎で身も心も焼き尽くす。」


主人公は襲いかかってきたヘルヴェルを倒した。
「さすがに悪神の火種を5つも取り込んだだけのことはある。」
「かくも禍々しい気を放つとは。」


天使長ミトラーが天使たちを連れてやってきた。
「審判の天使たちよ。ヘルヴェルを抑えるぞ!」
天使たちはヘルヴェルに光の楔を刺した。
「主人公!今こそ神剣レクタリスを。」
主人公は神剣レクタリスでヘルヴェルを斬った。
ヘルヴェルに取り込まれていた悪神の火種は呪力を使い果たして砕け散った。
「ヘルヴェル・・お前が犯人だとフォステイルから聞かされた時は何かの間違いだろうと思ったのに。」


フォステイルが言う。
「私は天使長と密かに結託していたのさ。」
「神化の儀を失敗させるなんて芸当は天使でなければ不可能。」
「誰が裏切り者かを調べる役目は私が最適だろうと協力を申し出たんだよ。」
「言わば天使全員が容疑者だからね。」


「ヘルヴェルの身柄は我々が押さえておく。」
「怪我を負ったユーライザは神都に連れ帰って治療を受けさせよう。」
「なぜこんな事をしでかしたのか。」
「早急にヘルヴェルを問いただしたいがあの様子ではしばらく目覚めそうもないか。」
「残りの悪神たち、初代勇者アシュレイと盟友レオーネの消息もいまだ不明のまま。」
「まったく頭が痛い事ばかりだよ。」
「だが5人の英雄を連れ戻し裏切り者の正体まで突き止めた。」
「事態の収束へ向けて大きく前進したね。」
「本当に世話になったな、主人公。それにフォステイル・・うん?」
「フォステイルはどこだ?」
「神出鬼没なやつめ。」
「まあいい。」
「私たちは引き上げさせてもらうよ。」


アシュレイが主人公たちの様子を見ている。
「俺らを上から見下ろす天使様のくせにあっさりやられちまいやがって。」
「だせえったらねえな。」
「けどまあ、こっちの準備が整ったのはあんたのおかげだ。」
「ありがとよ、ヘルヴェルさん。」