主人公は天使長ミトラーに呼ばれ、ユーライザと共にファーリオン聖天舎・天使長室に向かった。
「二人とも、よく来てくれた。」
「ついに天星郷にも下界同様の異変が起こってしまった。」
「神にも等しい力を持つ悪神ならば造作もなかろう。」
「自らが生み出した者に牙をむかれる。皮肉なものだ。」
「残る悪神はアシュレイとレオーネ。」
「どちらの仕業にせよ、動き出してくれてほっとしてるよ。」
「焦らされるのは性に合わん。」
「分かっているのは紺碧の試練場に心域の入口ができたということのみだ。」
「お前たち二人には悪神の火種を回収するため新たな心域に行ってもらいたい。」
「異変の発生源は紺碧の試練場に建つ創世のピラーと呼ばれる塔のような建造物だ。」
「この創世のピラーこそが各々の試練場にエネルギーを供給する施設となっているのだ。」
「その最奥には中心核と呼ばれる膨大なエネルギーを生み出す光る球体が浮かんでいてね。」
「それは綺麗なもんさね。」
「実はその創世のピラーの入り口なんだが、空を飛べる者しか行けない場所にあるのだよ。」
「だからこの際、主人公には我々と同じように空を飛べるようになってもらおう。」
「天使でなくても空を飛べるようになる聖天の翼という道具があってね。」
「まずは深翠の試練場の生誕の花園へ行き、フェディーラから聖天の翼を受け取ってくれ。」
「事情はもう話してある。」
「空を飛べるようになったらユーライザに創世のピラーまで導いてもらうといい。」
主人公は生誕の花園に向かい、空を飛べる能力を獲得した。
早速ユーライザと共に創世のピラー内部へ向かうと、アシュレイがいた。
「ようこそ、我が心域に。お前たちが来るのを待ちわびたぞ。」
「無駄な体力を使うのはよしたほうがいい。」
「今見えている俺は幻影だ。」
「わざわざこんなおもてなしをするのは、お前に生前の俺を知ってほしいからなんだ。」
「この先起こることをよく見て、お前には俺とレオーネの同志になってもらいたい。」
「てなわけで、初代勇者の昔話の始まり始まり。」
「遠い昔、レンダーシアのある所にゼドラとレビュールって部族があったとさ。」
「俺とレオーネはゼドラ族の族長の子として生まれたんだが、幸せな子供時代は唐突に終わっちまった。」
「巫女クラメは俺とレオーネのどちらかを養子に出せと言った。」
「部族の均衡を図るため、どちらかをレビュール族の養子にしなければならないと。」
「双方が勇者をいだくようになれば、いさかいの絶えぬレビュール族とゼドラ族の間に和解の光がさすと。」
「この巫女の婆さんの婆さんのせいでまだ幼かった俺とレオーネは離れ離れにされちまったってわけ。」
「巫女ってのは大魔王が襲ってくるとか勇者が生まれるとか、そういう神からの預言を皆に伝えるのが役目でな。」
「俺とレオを引き離すのも神の預言であるとか言われりゃ逆らえる奴なんざ一人もいなかったのさ。」
「これを機にレオはレビュール族の族長の家に預けられちまった。」
「俺はそのままゼドラ族で育てられたけどな。」
「まだこの頃はレオーネも勇者と呼ばれてたんだっけな。」
「離れ離れになった俺とレオは師匠ガーニハンの訓練を受ける時だけ一緒に集まることができた。」
「成長して師匠を打ち負かす実力を得た時、巫女見習いダフィアが訓練に加わった。」
「巫女見習いダフィアは俺らと同じくらいの歳で、幼少の頃からソーラリア峡谷のグランゼニス宮で霊力を高めるための研鑽を積んでいたんだ。」
「巫女クラメが死に、ダフィアが次の巫女に指名された。」
「そんな中、大魔王ゴダがドラクロン山地に降臨し、俺とレオ、師匠ガーニハン、ダフィアの4人で討伐に向かった。」
「大魔王ゴダを倒すことはできたが、師匠は闇の根源に引きずり込まれ、レオーネはゴダの呪いで石にされてしまった。」
「闇の根源に引きずり込まれそうになったダフィアを守った時に。」
突然襲いかかってきたアシュレイを主人公は返り討ちにした。
神剣レクタリスでアシュレイを貫くが、刀身にヒビが入ってしまう。
アシュレイは隙をついてどこかへ消えてしまった。
主人公は天使長ミトラーのもとに向かい、アシュレイの呪炎の切り離しに失敗して逃げられてしまったと伝えた。
「アシュレイに神剣が効かずヒビが・・」
「アシュレイの並ならぬ胆力が神剣の力を跳ね返したのかもしれんな。」
「次に奴と戦うときはきっちり心を折ってこてんぱんにしてやれ。」
「刀身にヒビが入り刃こぼれもひどいがまだいけるさ。大丈夫だろう。」
「近いうちに修復せねばならんが、アシュレイを倒すまではこれで乗り切っておくれ。」
「それより問題なのは紺碧の試練場だな。」
「アシュレイは創世のピラーの奥で中心核のエネルギーを吸い取っているようだ。」
「下手すると浮力を失い、紺碧の試練場が墜落しかねん。」
「前にも話したが、創世のピラーは試練場を維持するためのエネルギーを生み出している。」
「そのエネルギーが奪われているとなると・・」
「かくなる上は神都フォーリオンの余剰エネルギーを紺碧の試練場に回して急場をしのぐしかあるまいな。」
「この程度でとこしえの神殿の結界が消えることはないだろうが。」
「とこしえの神殿は神代の遺構の次に古い建物だ。」
「天星郷の歴史的な遺産。」
「大事にしなきゃご先祖様に叱られる。」
「先代の天使長ゲゼルマイン様に神都の余剰エネルギーを紺碧の試練場に供給したい旨を伝えておくれ。」
主人公とユーライザはゲゼルマインのもとに向かった。
ゲゼルマインにエネルギー供給に関する情報を聞き、神都の余剰エネルギーを紺碧の試練場に供給した。
天使長ミトラーに報告する。
「聖天舎の天使長は数名の候補者から投票で選ばれるが、先代天使長の指名で候補者に推薦された私はその時点で有利だった。」
「私に白羽の矢が立ったのは天星郷の抱えるとある重要な課題を解決に導いたことが評価されたのだと自負していた。」
「ところが私の功績は先代しか知らぬ機密事項ゆえ、あいつはくじ引きで推挙されたなどと噂が立ってな。」
「不安になり真偽を確かめるために先代を問い詰めたのだがはぐらかされるばかりで真相は闇の中さ。」
黄金の試練場にある輝きの草原に創世のピラーが現れたとの報告があった。
早速主人公とユーライザは輝きの草原に向かった。
創世のピラーの中に入るとアシュレイが現れ、昔話を始めた。
「母上はレオーネの死を受け入れられず、俺を責めた。」
「レビュールとセドラは一つになりゼドラ王国として俺が治めることになった。」
「俺はダフィアと結婚し、ダフィアは王妃として俺を支えながらレオーネの解呪に勤しんでいた。」
「そんな中、レビュールの族長の息子でレオーネの義兄であるトランブルが神聖レビュール王国の初代国王と名乗り反乱を起こした。」
「レオーネの石像もトランブルに奪われ、すぐに俺は説得に向かったが話にならなかった。」
「襲いかかってくるトランブルをやむなく殺めてしまった俺は、真実に気づいてしまった。」
「ダフィアが俺を裏切り、トランブルを手引きしていたことに。」
「部族にこだわる厄介者を炙り出し、駆除するためだとぬかしやがった。」
「どうしてだろうな、主人公。」
「人と人とは争わずにはいられないんだ。」
「殺し合わずにはいられない。」
「一番結束が固かったのは人類共通の敵、大魔王と戦っている時だったよ。」
「今という時代もよく似てるんじゃないのか?」
「闇の根源という共通の敵を失い、これからは人と人とが争う修羅の時代に突入するだろうよ。」
「誰もが平和を求めてやまないのに、なぜか争いが起きやがる。」
「勇者の力でも王の権力でも止められない不条理。」
「でもレオはよ、俺なんかと違って優秀でさ。」
「なんとこの不条理を乗り越えるすげえ手段を閃いちまったんだ。」
「レオの計画に乗れば全てを正せる。」
「世界を平和にできるんだ。」
「少しでも共感したなら俺たちの同志になってくれ。」
主人公は首を横に振った。
「俺はレオの不名誉を隠すために勇者ではなく盟友ということにして後世に伝えた。」
「俺がレオを盟友にしなければ、お前もこの時代で勇者と呼ばれていた。」
「俺を恨んでるんだな?だから断ったんだろ?」
「勇者は絶対不敗の神話だ。」
「大魔王に屈した不名誉が残ってはならない。」
「石化したレオは歴史から抹消されるところだった。」
「レオの名を消させないために、せめて名前だけでも後世に残すため盟友にするしかなかったんだよ。」
主人公とユーライザは襲いかかってくるアシュレイを倒した。
「ゼドラ王国は大魔王を倒した勇者によって建国された。」
「大魔王の呪いで石にされたレオの存在は勇者の敗北ともとられかねない。」
「レオを勇者と認めるべきではないと、そんな屁理屈みたいな主張をゼドラ族の強硬派がかかげたせいで、またレビュール族と険悪になりかけたんだ。」
「でもこの件はレビュール族が譲ってくれて、レオには勇者の盟友という新たな地位が与えられた。」
「言葉は悪いが格下げだな。」
「ま、俺としちゃ肩書きはともかく名前だけでもいいからレオの存在を残してやりたかったんだがな。」
「それどころかゼドラ王国や俺の名前さえまともに伝わってねえでやんの。」
「だせえよな。」
「でもよ、王としては無能な俺だったけど盟友ってもんを後世に残したのは正しい判断だったと今ならはっきり言える。」
「お前っていう盟友がいてくれたからこそ、俺の暴挙は止められたんだしよ。」
「レオも助けてやってくれ。」
「俺はレオの指示に従ってただけなんだ。」
「なんでもアストルティアの楯とかいう物をレオは手に入れようとしていた。」
「その楯があれば世界を変えられる。」
「戦争、略奪、権力闘争、ありとあらゆる争いを撲滅できるってレオは言ってたよ。」
「争いのない平和な世の中ってやつがたまらなく魅力的に思えて気が付いたらレオの手を取ってたのさ。」
「今思うと夢でも見ていたような気分だよ。」
「アストルティアの楯ってやつがなんなのかもよく分かってなかったのに。」
主人公は神剣レクタリスでアシュレイを貫いた。
アシュレイの呪炎は消え去り、悪神の火種の回収に成功した。
その衝撃で神剣レクタリスは砕けてしまい、アシュレイの魂は天に帰って行った。
天使長ミトラーに報告する。
「つい先ほどアシュレイの魂が聖天舎に戻ったとの報告を受け取った。」
「神剣が壊れるのは予期していたことだ。」
「一部でも残っていれば修理するのはそう難しくもない。」
「それよりも、信徒のエネルギーを2ヶ所の試練場に回せば今度こそ、とこしえの神殿を守る結界を維持できなくなる。」
「あそこにはアストルティアの楯という秘宝が収められていてな。」
「レオーネの狙いはアストルティアの楯だった。」
「試練場のエネルギーを奪っていたのも結界を解かせるためだったのだな。」
「しかし、なぜあの楯ことを・・ヘルヴェルから聞いたのか・・」
「まさか・・ジア・クト!」
「神殿の守りは私が出向いて固める。」
「しばらくの間、聖天舎をカンティスに預けることにした。」
「二人はレオーネが動き出す前に壊れた神剣を修復してくれ。」
「方法はカンティスが知っている。」
天使長ミトラーはとこしえの神殿に向かった。
主人公とユーライザは、ヘルヴェルが目を覚ましたというので話を聞きに行った。
「迷惑をかけてすまなかった。」
「二度とあのような真似はせぬ。」
「もしまた正気を失い、暴れるようなことがあればその時は躊躇いなく止めを刺してくれ。」
「息抜きにこの辺を出歩くことは許されている。」
「聖天舎には出られないがな。」
「ユーライザという名は勇敢であれと天星郷に伝わる勇士から名前をもらったのだが、幼い頃のユーライザはそれはそれは夜泣きがひどくてな。」
「さて、息抜きはこれくらいにするか。」
「近くに私が療養に使っている部屋がある。」
「込み入った話はそこでしよう。」
「300年前、神代の遺構に棲みつく魔物を一掃しようとした作戦に参加したんだ。」
「神代の遺構で行動を共にしていた上司が突然襲いかかってきて、私の口に真っ赤な石を押し込んできた。」
「抗いきれず、石を飲み下してしまった。」
「その時の揉み合いで、誤って上司に致命傷を与えてしまい殺害してしまった。」
「幸い、事件後に目撃者が名乗り出てくれて正当防衛が認められた。」
「あの日から私自身に変化が起こった。」
「意図せずして聖天舎を裏切るような行動を自然にとるようになっていたのだ。」
「主人公を四天の星巡りに参加させぬよう裏で悪評を流したりしたのもそうだが、ずっと前から企みは動き出していた。」
「まず人知れず悪神の火種や真っ赤な石を神代の遺構で栽培することから始めた。」
「知りようもない知識が頭の中にあったのだ。」
「あのとき飲み下した真っ赤な石のせいかもしれない。」
「のちに私は己を支配した真っ赤な石をアルビデに寄生させた。」
「くしくも私の上司が襲いかかってきた時と同じやり方で。」
「何者かに支配・・というか、命令されている感覚などまるでなかった。」
「悪神の火種は全てレオーネに渡した。」
「神化の儀が失敗に終わったの直接の原因はレオーネにあるはずだ。」
「ルティアナ様に誓って嘘は言ってない。」
「私とて悔しい。」
「ジア・クトから逃れ築かれた安住の地を乱していたなど。」
カンティスにヘルヴェル同行の許可をもらい、神剣レクタリスの修復を手伝ってもらうことにした。
白灰の試練場の中心核の間に向かい、聖天のレンズを使って神剣レクタリスを修復する。
修復には時間がかかるようだ。
「お前たちは知っておくべきだろう。」
「この身はすでに罪にまみれている。」
「今また一つ、禁を破るとしよう。」
「ユーライザ、我らの祖先がとこしえのゆりかごと呼ばれる古き世界より脱出してきたことは知っているよな?」
「その大災害の元凶がジア・クトと呼ばれる侵略者。」
「祖先の故郷を蹂躙した者たちだ。」
「今は神代の遺構ち呼ばれるかつての神都にジア・クトの爪痕が残されている。」
「あそこに漂う猛毒の赤い霧はジア・クトによるものだ。」
「数万年前もの時を経てもなお消えない。」
「アルビデを支配するのに使った石や悪神の火種は神代の遺構の赤い霧が漂うあの場所でしか育たなかった。」
「つい最近肉体を得たばかりのレオーネが全てを計画したにしては用意が周到すぎる。」
「今は一刻も早く加勢に向かうべきだ。」
「レオーネはこれまでの悪神と何かが違う。」
「一切の油断は捨ててかかれ。」
「神剣は完成次第必ず届ける。」
「私を信じてくれ。」
主人公とユーライザはとこしえの神殿に向かった。
奥に向かうとレオーネの石像に語りかける2代目勇者アジールの幻影がいた。
「先代の勇者アシュレイにはあなたという盟友がいた。」
「でも僕には共に戦ってくれる盟友がいない。」
「たった一人で大魔王ヴァルザードを倒せだなんて。できるわけないよ。」
「巫女の血を引くお母様は神預言を授かったとはしゃいでいるけど、何もかも僕に押し付けるなんて。あんまりだ。」
「いまだに僕は勇者の力に目覚めてないのに。」
「力が欲しい。勇者の力が。」
「僕だって誰にも死んでほしくない。」
「ゼドラ王国の王子としてすべての民を守りたい。」
2代目勇者アジールの体が光り輝き、レオーネの石像がそれに呼応する。
石化が解け、レオーネは再び目覚めた。
「俺が石に・・大魔王ゴダの呪い・・」
「盟友?なんだそれは・・」
レオーネの声が聞こえる。
「あの時、俺に相手に真っ直ぐ向き合う強さがあれば、アジールを正しく導きより強い勇者に育てられただろうに。」
「だが俺の心の奥底にある弱さが、迷いが、あいつの持つ輝きから目を背けさせ、あいつとの間に心の壁を作らせた。」
「すまない、アジール。」
「先代の勇者としてもっとお前に伝えられることがあったはずなのに。」
「師匠のような不屈の心の持ち主であれば大魔王ヴァルザードとの戦いで最後まで諦めず戦い抜けたはず。」
「もしそうだったならあの瞬間、師匠のように弟子を、アジールを守ってやることができたはずなんだ。」
「兄貴ならあの時代の多くの人々とも絆を結び、万全の態勢で大魔王との戦いに挑むことができたはず。」
「もし俺が兄貴のように人を信じられればあんな結末には至らなかったものを。」
「大魔王ヴァルザードとの戦いで、アジールは命を落としてしまったんだ。」
「それを知ったアジールの母、ゼドラ王国女王ゼーナピアは怒り狂い、俺を磔にし、生きたまま火炙りにした。」
「生まれてこなきゃよかった。」
「絶命した俺の前に導きの天使が現れ、真実を教えてくれた。」
「巫女クラメは、大魔王が討伐された後に起こるゼドラ族とレビュール族のいがみ合いを避けるため、ダフィアに石化の札を渡していたんだ。」
「大魔王討伐後、御しやすい者を生かし、そうでないものを石化してしまうようにと。」
「まさかダフィアが・・」
「導きの天使は、俺にかりそめの英雄となり、ジア・クト念晶体をこの世界に呼び寄せればすべてを清算できると言った。」
「ジア・クトの洗礼を受け入れ、世界を変えるのだと。人類を、文明を進化の階梯へと引き上げろと。」
最奥に向かうと天使長ミトラーがレオーネと対峙していた。
主人公とユーライザが加勢する。
一瞬の隙をつかれ、天使長ミトラーが捕まってしまった。
レオーネは最奥の部屋に入り、アストルティアの楯を手にした。
「これがアストルティアの楯か。」
「結界を解かせるのには苦労したが、そのかいはあったようだ。」
「天使長、あんたは試練場を見捨てるべきだったな。」
「そうすればこんな事態を招きはしなかった。」
「主人公、兄貴からも聞いているだろ?」
「お前を同志として迎えたい。」
「勇者の盟友として生きるお前をな。」
「運命の巡り合わせか、人生で二度も大魔王と戦ったが理不尽な目にあい、挙句見せ物のように殺された。」
「魔族でも大魔王でもない、他ならぬ人間の手によってな。」
「俺が生きていた時代と何も変わっちゃいない。」
「いくら世代を重ねようと人類は幼子のままだ。」
「どだい人が人を統治するのは無理なんだよ。」
「あまりに未熟すぎてな。」
「だから俺はジア・クトに賭ける。」
「侵略であっても、平和のうちに統治されるならそれでよし。」
「逆に滅ぼされたとしても不幸な人生を生きる者がいなくなるだろう。」
「さあ、俺の同志になってくれ。」
「この世界にジア・クト念晶体を招こう。」
主人公は首を横に振った。
「当代の勇者の盟友であるお前に親近感を抱いていたんだがな。」
「どうやら俺の片思いだったようだ。」
「神殿の結界を解かせるため中心核のエネルギーを奪取してきたのはそれだけが目的だったわけじゃない。」
「この莫大なエネルギーを暴発させれば、いかに創世の女神の秘宝といえど木端微塵になるだろうよ。」
レオーネは収集したエネルギーを暴発させ、アストルティアの楯を破壊した。
「ジア・クト念晶体よ!アストルティアはここだ!俺たちはここにいるぞ!」
「見つけたぞ、ゆりかごの末裔。」
「探していた。永遠とも思える停滞の中でお前たちを。」
「ゆりかごの末裔よ。」
「侵略する。貴様らの世界を。」
「我らジア・クト念晶体が。」
巨大な船が現れ、錨が打ち込まれた。
船体からジア・ルミナが現れた。
「肯定する。私はジア・ルミナ。」
「ジア・クト念晶体のひとかけら。」
「座標を公開したのはお前か?」
「突然この世界が見つけやすくなった。」
「曇り空が晴れたように。」
「感じる。お前からジア・クトの因子を。」
「服従せよ。ジア・クトに。」
「さすれば同胞として歓迎す。」
「ただし、敵意には容赦せぬ。」
「ジア・クトに向けられる敵意には。」
主人公とユーライザは協力してジア・ルミナを倒した。
「非礼を詫びよう。あなどっていた。軟弱な生命体と。」
「速やかに排除すべきか。」
「侵略の障害となりうる要素は。」
ヘルヴェルが神剣レクタリスを持って駆けつける。
主人公は神剣でジア・ルミナを斬った。
「よくも傷を・・私の念晶体に。」
天使長ミトラーが目を覚ました。
「神剣で鎖を断て!」
「今ならあの船を追い返せるかもしれん!」
ヘルヴェルが主人公から神剣レクタリスを奪った。
「神剣よ!怨敵から世界を守るため秘めたる力を今解き放て!」
「我が命を吸い、万物を砕く刃に変えろ!」
ヘルヴェルは命を賭して船の鎖を断ち切った。
ヘルヴェルの体は鎖ごと消滅した。
「砕いたのか。我が船の錨を。」
レオーネがジア・ルミナに近づく。
「ジア・クトは異なる世界の境界をも乗り越える優れた種族だ。」
「人類の福音となってくれ。」
ジア・ルミナが頷く。
「招待しよう。我が船に。」
「今よりお前はジア・クト念晶体のひとかけらだ。」
ジア・ルミナはレオーネと共に消えた。
「お姉さまが・・ヘルヴェルお姉さまが・・」
主人公は動こうとしないユーライザを立ち上がらせ、とこしえの神殿を後にした。
その後、天使長ミトラーは行方不明となり、カンティスが天使長代理を務めることになった。