ドラゴンクエストX(DQ10) ネタバレストーリー まとめ

ドラゴンクエストX(DQ10)のメインストーリー、サブストーリーのまとめ

エピソード43 悠久のレクタリス

神の力を手に入れた英雄たちと協力し、ジア・クトの大軍勢を退けた主人公。
すると魔眼の月と共にジア・クトの首領ジア・レド・ゲノスが現れ、機が熟した暁にアストルティアを総攻撃すると宣言した。
天使長ミトラーが主人公に話があるそうなので、天使長の間に向かった。
「我らは魔眼の月が空に浮かんで以来、天の聖壇に兵を配備し、月の監視を続けていた。」
「そこにやつらが飛来した。」
「そう、ジア・クト念晶体の新たな刺客だ。」
「今の所2体で現れたと聞いているが、他にも伏兵がいるかもしれない。」
「天の聖壇には神化の光炉がある。」
「あれの破壊だけは何としても阻止したい。」
「回生堂にいた英雄たちには声をかけ、すでに天の聖壇へ迎撃に向かってもらった。」
「お前も急ぎ加勢しておくれ。」


天使長ミトラーと話していると扉が開いてユーライザがやってきた。
「天使長、私も主人公に同行します。」
「ジア・クトに好き勝手はさせません。」
「以前襲来したジア・クトの本隊はとてつもない大軍勢でした。」
「あの時はかろうじて押し返せましたが。」
「もし再び押し寄せてくれば神化の儀を受けた英雄とて苦戦は必至。」
「天の聖壇へ急ぎましょう、主人公。」


天の聖壇へ向かうと、双子のジア・クト念晶体がいた。
「我らが王、ジア・レド・ゲノス様は着々とアストルティア侵攻の準備を進めておられる。」
「そしてその間の全軍待機を命じられた。」
「取るに足らない雑魚、あんたたちなんか。」
「そう判断したの。ゲノス様は。」
「しかし報告によるとお前たちは偉大なる原石のひとかけら、ジア・ルミナを打ち砕いたとある。」
「我らの障害となる可能性を否定できない。」
「だから申し出たの。ゲノス様に。」
「そんな可能性、排除してあげるって。」
「美しき紅玉、王の愛たるこのジア・ルーベ。」
「麗しき碧玉、王の叡智たるこのジア・サフィル。」
「我ら王の御手によってみがかれし比類なき輝きを放つふたかけらの原石。」
「殲滅しよう。目障りな下等種族を。」


襲いかかってくるジア・クトの軍勢を退ける英雄たち。
主人公とユーライザは協力して単体で襲いかかってくるジア・ルーベを倒した。


戦いに負けたジア・ルーベはジア・サフィルに助けられ、負け惜しみに神化の光炉を破壊して逃げていった。


そこにスパエルが慌てた様子でやってきた。
「おい、お前たち。探したぞ。」
「今すぐ浄罪の泉まで来てくれ。」
「泉の下に隠されていた部屋から不気味なうめき声が聞こえてくるんだ。」


主人公とユーライザはテトラルの元に向かった。
テトラルが苦しんでいる。
「呪いの光・・光がみんなを・・」
「遠い昔の記憶が蘇って・・」
「この身の結晶を通じて感じました。」
「天星卿が呪いの光に襲われたのですね。」


ユーライザが答える。
「ええ。ジア・クトたちは裁きの閃光と呼んでました。」
「あの光を浴びたものはテトラル様と同じように全て結晶化してしまったのです。」


「かつて魔眼の月が放った呪いの光は、とこしえのゆりかごのあらゆるものを結晶化し、生命を根絶やしにした。」
「いにしえの大崩壊と呼ばれた厄災がこの世界にも訪れようとしている。」
「せめて女神ルティアナの神具が・・」
「アストルティアの楯と神剣レクタリスさえこの世に残されていれば・・」
「神剣レクタリスは呪炎を切り離すもの。」
「アストルティアの楯はジア・クトから世界を隠す結界を張るものでしたね。」
「楯と剣はジア・クトと対決するための特別な力を秘めた神具。」
「二つの神具は神話の時代、女神ルティアナがある天使に命じて創らせたもの。」
「ふたつの寝具が創られた時代なら、創る方法やその素材もわかったかもしれないけど・・」
「ごめんなさい。私にはわからないわ。」
テトラルは再び眠りについた。


主人公はメレアーデの元に向かい、神話の時代へ時渡りする術を聞いた。
「今のエテーネルキューブを使っても、まだ到達したことのない未知なる時代へは行けないわ。」
「キュルルがエテーネルキューブに宿っていて、力を制御してくれたから時渡する時代を新たに増やすこともできたけど。」
「キュルルはもういない。」
「世界の一部となって消えてしまったから。」
「ましてや神話の時代へ行くなんて。」
「叔父様なら・・」
「たぐいまれなる時渡りの使い手だったパドレ叔父様のチカラを借りられれば、神話の時代にだって行けるかもしれないわ。」
「じつはね、つっと調査していたの。」
「パドレ叔父様を救う方法を。」
「時見の泉に遺された航界船にはキュレクスの膨大な知識が記録されてるわ。」
「叔父様を救う方法もわかるかもしれない。」
「誰より叔父様を救いたいのは主人公だとわかっていたけど、いつも世界のために戦っているあなたに、それを放置して叔父様を救いましょうとはなかなか言い出せなかった。」
「でもあなたが私を訪ねてくれた。」
「ずっと考えあぐねていたけれど、今こそその時だと思う。」
「時の牢獄に囚われたパドレ叔父様を救い、神話の時代へ時渡する方法を掴むため、私と一緒に航界船を調査しましょう。」


主人公はメレアーデと共に航界船へ向かった。
「かつて私はこの船に乗り込み、永久時環に働きかけることでエテーネ王国をこの時代に時渡りさせた。」
「あの時、意識の奥深くでこの船に刻まれた膨大な知識と繋がった感覚があったのよ。」
「それに、船が私のことを覚えているみたい。」
「もう一度繋がれないか試してみるわ。」
「うまくいけば船に刻まれた知識に触れられるかもしれないし。」
メレアーデは航界船に乗り込んだ。
「どうか教えて。あなたの中に眠る知識を。」
「時の牢獄へはどうすれば行けるの?」
「どうやったらパドレ叔父様を助けられるの?」
航界船が光り輝き、メレアーデに知識を与えた。
「主人公、私、分かったの。」
「船に刻まれた膨大な知識とまた繋がることができたのよ。」
「この知識を使えば時の牢獄の近くへ行くことができるかもしれない。」
「時の牢獄は、内側から時渡の力を使って時空の裂け目を維持しないと脱出できないの。」
「主人公が脱出した時は叔父様が時渡のチカラを放出し続けて時空の裂け目を維持させたわけだけど、今度は誰も犠牲にすることなくパドレ叔父様を救出しなければならないわ。」
「例えば、そうね。時渡の力を放出する装置を作って、時の牢獄の中へ送り込むとか。」
「作ってみせるわ。この国には偉大な才能が揃っているんですもの。」


主人公たちは時見の泉をあとにして王都キィンベルの軍司令部まで戻った。
そしてパドレを救いたいというメレアーデの呼びかけに応えた王国の錬金術師たちが集まってきた。
ディアンジ、ザグルフ、リンカ、ゼフ、ワグミカ、そして主人公の弟が集まった。
メレアーデは行方不明になっているパドレが時の牢獄という場所に囚われていること、それをどうにか助けたいこと、そして航界船から得られた知識を伝え、時渡のチカラを放出する装置を作りたいと錬金術師たちに説明した。
弟とワグミカが協力して「時の宝珠」を錬金し、リンカとゼフが協力して錬金人形を完成させた。
錬金人形に時の宝珠を組み込み、ディアンジとザグルフが協力して完成させた「伝声の琴・改」を受け取った。
マローネからパドレ宛の手紙を預かり、時見の泉でパドレ救出作戦を開始した。
「時の牢獄に閉じ込められたことがあるあなたは、叔父様のいる時空と目に見えない糸で繋がっているの。」
「航界船から得た知識によれば、その糸のことを時の糸と呼ぶらしいわ。」
「そして航界船の機能を使って時の糸の繋がりを広げることで細い通路を開くことができるの。」
「その通路を通して錬金した品や手紙を送り届けるのよ。」
「さらに時渡のチカラを持つ私と主人公なら、糸をたどって時の牢獄の近くまで行くことができるはずよ。」
主人公は、錬金人業に伝声の琴・改とパドレへの手紙を持たせた。
作戦は見事に成功し、パドレを時の牢獄から救出することができた。
「お前たちの真心、確かに届いたぞ。」
「お前たちが迎えにきてくれてうれしいよ。」
「ありがとう、二人とも。」


主人公たちは現代へと帰還した。
そして時の牢獄から救出したパドレを連れてマローネが待つパドレア邸へと向かった。
マローネが走ってパドレを出迎える。
「長く家を空けたが、今帰ったよ。」


「お帰りなさい、あなた。」
パドレとマローネ、そして主人公。
バラバラになった家族が悠久の時を経てついに念願の再会を果たした。
その夜、パドレア邸は歓喜に包まれ、長い旅路からの帰還を果たしたパドレを囲み、客間でささやかな晩餐会が催された。
晩餐会の後、メレアーデはパドレがいない間、エテーネ王国に起きたさまざまな変化を時間をかけて伝えていった。
そして主人公はパドレとマローネに自分とユーライザが世界を救うために神話の時代を目指していることを打ち明けた。


「神話の時代。女神や種族神たちがアストルティアを創生していた頃へか・・」


メレアーデが言う。
「神話の時代ほど遠く離れた時代に時渡りするにはいくつもの難しい条件を乗り越えなければならないの。」
「まずは神話の時代と縁の深い土地を選ぶこと。」
「そして時間跳躍する者とその補助をする者、二人の強力な時渡りの使い手が同じ場所に揃うこと。」
「普通の時渡りでは手の届かない時代へ大きくジャンプすることになるの。」
「一人の力では足りないの。」


ユーライザが言う。
「このレンダーシア大陸の北西の外海、コニウェア平原の沖に神代の島という人々に忘れ去られた場所があるのです。」
「そこは神話時代の天使たちに深い縁がある土地とされてきました。」
「行ってみる価値はあるかと。」


明朝、神代の島に出発することを約束し、主人公はパドレア邸でゆっくり休んだ。
そして夜が明けた。


神代の島に向かう主人公一向。
島に入るとジア・サフィルが襲いかかってきた。
主人公とハドレは協力してジア・サフィルを倒した。
パドレはジア・サフィルとの戦いで深手を負ってしまったが、何とか時渡の力を使い主人公を神代の時代に送ろうとする。
すると主人公が持つエテーネルキューブからキュルルの声が聞こえてきた。
「全く、世話の焼ける相棒だキュ。」
「僕は世界の一部になったけれど、友達のピンチには駆けつけてやるっキュ。」
「いつも君を見守ってるキュ。」
「僕の友達、主人公。」
エテーネルキューブが起動し、主人公は神代の時代へ転送された。


巨大な岩の前に2人の天使が横たわっている。
その前に天使長レクタリスがいる。
「天使ソハエル。ならびに天使ガルがリム。」
「勇敢な君たちは命をかけて天使長たる僕を守り抜いてくれた。」
「その高潔なる魂に誓おう。」
「僕は死なない。必ず生きるよ。」
「そのためならどんな犠牲もいとわない。」
2人の天使の魂は巨石に吸い込まれていった。
「仲間たちのもとでどうか安らかに。」
「ごめん。」
そこに突然、時渡りをはたした主人公が現れた。
天使長レクタリスは驚くことなく、主人公の側にやってきた。
「僕の名は天使長レクタリス。」
「はじめまして、天使ならざる者よ。」
天使長レクタリスはユーライザの姿にそっくりだった。
「僕の顔に見覚えでも?はじめましてだよね。」
「君の中に宿る創生の力。不思議な色をしているね。」
「さて、ここは天使の墓所。」
「生命をまっとうした天使の魂が天魂石に宿り、安らかな眠りにつく場所だ。」
「君が立っているそこは、同胞の遺体を横たえる場所なんだ。」
「どいてもらえると助かるよ。」
「そうだな、ひとまず僕たちの拠点である神都フォーリオンへ来てもらえる?」
「この墓所を出たところにある転送の門を使い神都に向かってほしい。」
「君を警戒しないよう皆に通達を出しておくよ。」
「星羅の天宮にある暁星の間で君を待つ。」


主人公は暁星の間に向かった。
天使長レクタリスの横に風の神エルドナがいた。
「私は風の神エルドナ。」
「女神に生み出されし神の一柱ですのよ。」


主人公は自分の名を名乗った。
「主人公、君は僕たち天使や天星卿の文化にずいぶんと慣れているようだね。」
「君が天星卿に現れたのは偶然ではない。」
「何か目的があってここを訪れた。」
「それを全て話してみない?」
「今後について最善の道を探るためにも、お互いに隠し事はなしにしよう。」
主人公は自分が魔眼の月が出現する未来のアストルティアから時を渡ってやってきたことを説明した。
そして未来では神具と呼ばれる楯と剣が失われており、世界は滅びの危機に瀕していると全てを正直に打ち明けた。


主人公の話を最後まで聞いた天使長レクタリス。
「ルティアナ様も同じことを懸念されていた。」
「将来、ジア・クト念晶体がこの世界を見つけ、魔眼の月と共に襲来するだろうと。」
「エルドナもわかっているだろう?」
「この話は君たちと僕しかしらない秘匿事項だ。」
「突拍子もない話に聞こえても、未来で実際に体験したというこの人の証言にはむしろ説得力があるよ。」
「こちらからも情報を提供しよう。」
「残念ながらこの時代においても二つの神具は存在していない。」
「楯と剣はこれから創られる。」
「僕、天使長レクタリスがその任を預かっているんだ。」


女神ルティアナの声がする。
「我が声に応えよ、レクタリス、そしてエルドナ。」
「話は聞いた。その者を我のもとへ。」
「とこしえの神殿にてそなたらを待つ。」


主人公はとこしえの神殿に向かった。
「私は女神ルティアナ。」
「とこしえのゆりかごより旅立ち、アストルティアを創生せんとする者。」
「そなたの中にただならぬ光がある。」
「たとえ闇の底に落ちようとも決して消えることのない創生のチカラが。」
「問おう。時のまれびとよ。」
「そなたはアストルティアを救うためにこの地へと現れたのか?」
主人公は頷いた。
「そなたを信じよう。」


側にいた空の神ナドラガが言う。
「私は反対です。」
「時を渡ったなどとでたらめを言って母上を惑わす不届きものにしか思えません。」


女神ルティアナが首を横に振る。
「この者には縁を感じる。」
「はかり知れぬ深い縁を。」
「聞け、人の子よ。」
「遥か昔、我らの故郷とこしえのゆりかごはジア・クト念晶体の居城、魔眼の月が放つ裁きの閃光で絶滅の危機に瀕した。」
「旧き世界の神は新天地の創造を我に託し、我は生き残った人間たちとわずかな天使を連れ故郷を脱した。」
「しかし長き旅は人間にとって過酷であった。」
「ゆえに我は天の賜物たる果実を与え、人間を天使へと作り変えたのだ。」
「今や光輪を抱く旧き天使は天使長レクタリスただ一人。」
「我はレクタリスに使命を与えた。」
「世界を守護する楯と剣を生み出す神具創成の儀である。」
「二つの神具はジア・クトへの切り札。」
「神々の力を束ね、絶大なる奇跡を起こすことが叶うものだ。」
「主人公、レクタリスと共に行くが良い。」
「神具創成の儀を行えば、その秘奥もおのずと得られよう。」
「この光はそなたを守り、導くであろう。」
「よいな、レクタリス。」
「ナドラガ、エルドナ。女神の名においてレクタリスらの補佐を命ずる。」
「アストルティアにとこしえのゆりかごと同じ運命を辿らせてはならぬ。」
女神ルティアナは光と共に消えた。


「我は空の神ナドラガ。」
「我が言葉は女神の意思ととらえよ。」
「これより貴様にはレクタリスと共に二つの混沌へと向かい、未知なる寝具の素材を手に入れてもらう。」
「混沌はアストルティアの地上にあり、荒ぶる創生のチカラが満ちる場所。」
「要は創りかけの大地ということだ。」
「混沌に渦巻く創生の力は、貴様の侵入を全力で拒むであろう。」
「命を捨てる覚悟で挑むが良い。」


主人公たちはエルドナの混沌へ向かい、奥にある風樹の台地に向かった。
そこでエルドナ神は創生の力を凝縮した大樹・世界樹を創成し、若葉の精霊を召喚した。
「若葉の精霊よ。」
「風の神エルドナの名において世界樹に宿り、チカラが乱れぬようしっかりと世話をするのだわ。」


若葉の精霊が言う。
「世界樹は丈夫な楯の素材になるはずだわ。」
「枝の一本くらい取っても大丈夫だわ。」
若葉の精霊はご機嫌な鼻歌を歌いながら世界樹からひと振りの枝を持ってきてくれた。
主人公は世界樹の枝を手に入れた。


ナドラガ神に報告に向かう。
「我が管理する大地、ナドラガンドの混沌への扉を開いた。」
「本来ならば何人も立ち入らせぬが、母上の願いゆえ創生のチカラから剣の素材を生み出す許可を与えよう。」
「我が眷属たるあまたの竜が息づくナドラガンドの混沌を甘く見るなよ。」
「とこしえのゆりかごから母上を守護してきた伝説の竜グレイナルの末裔たちだ。」
「気性は荒く恐ろしく強いぞ。」


混沌の奥へ向かう途中、主人公はレクタリスに未来のアストルティアでの冒険について求められるまま色々と語って聞かせた。
レクタリスは主人公の話に喜びと驚きをもって熱心に耳を傾けた。
二人にとって楽しい時間が流れた。
「未来の天使郷にいるユーライザ・・その天使が僕によく似ているって?」
「ああ、だから初めて会った時、僕の顔を見てびっくりしていたんだね。」
「そう、ユーライザは君の冒険をずっと見守ってきて今も側にいるんだ。」
「君を守っているんだ・・そう・・」


暁の水底で創生の力を凝縮した鉱床を見つけた。
主人公は鉱床から光り輝く鉱石を採取した。
現代で見たレクタ鉱石によく似ている。
主人公は神代の鉱石を手に入れた。


女神の神座に戻ると女神ルティアナが待っていた。
「レクタリス、そして時のまれびとよ。」
「混沌の大地よりよくぞ戻った。」
「創生の力より創り出した素材は我が預かろう。」
主人公は世界樹の枝と神代の鉱石を女神ルティアナに渡した。
「そなたらが混沌に向かっている間、天の彼方より大いなる流星が堕ちた。」
「流星は海中深くに沈み姿を消した。」
「ただの隕石ならばよいが、あるいは・・」
「ジア・クトへの備えを急がねばらなぬ。」
「ただちに神具創成の儀を行うのだ。」
「神具創成の儀は特別な衣を着て行わねばならぬ。」


レクタリスは衣をまとい、月夜見の清泉でみそぎを行った。
「ねえ、きみは儀式が終わったら未来に帰るんだよね。」
「僕も見てみたいな。」
「このまま連れていってくれない?」
「それでさ、一緒に旅をしよう。」
「にぎやかな街並み、きみの故郷や天星郷。」
「まだ知らない謎めいた世界の果てまで。」
「君を守りたいよ。ユーライザみたいに。」
「ごめん、冗談だよ。」
「そう簡単に時を渡れないことくらいちゃんとわかってる。」
「僕にはこの時代できみのためにできることがある。」
「それはとても幸せなことだ。」
みそぎは一晩かけて行われ、その後、儀式の舞を奉納すると楯と剣は無事創成された。
「主人公、これが神具創成のための最後の素材だ。」
「君が求めていた神具創成の秘奥こそ、僕の天使の光輪なんだよ。」
「そしてこの光輪は、旧き世の天使の命そのものだ。」
「二つの神具は私の生命と引き換えに創られるもの。」
「我が命、光輪を捧げ神具を顕現させん。」
レクタリスは自らの光輪を楯と剣に捧げ、アストルティアの楯と神剣レクタリスを完成させた。


女神ルティアナが光と共に現れる。
「旧き世の天使レクタリスよ。」
「よくぞ我が使命を果たした。」
「我はここに誓う。」
「創成されし二つの神具をもってジア・クトの脅威から世界を守り抜くと。」
「遠き未来、神具が失われるその時には主人公へ我らの意志を託す。」


倒れ込むレクタリスに主人公が駆け寄る。
「天使の光輪のこと、ごめんね。」
「僕が言わないでってお願いしたんだ。」
「未来で神具を創るならこれが必要になる。」
「あと一度くらいは使えるはずだ。」
「さあ、受け取って。」
主人公は光輪の核を手に入れた。


「人を犠牲にして生き残る天使にどんな意味があるんだろう。」
「ずっとわからなかったけど、君と出会ってようやく答えにたどり着いたよ。」
「ありがとう。僕は人を愛するために生まれてきたんだ。」
「飛びたかったな。君と未来の空・・」
レクタリスは息絶えた。


女神ルティアナが言う。
「二つの神具をアストルティアの楯、そして神剣レクタリスと名付けよう。」
「ナドラガ、エルドナ。レクタリスの弔いを。」
「我はこれより神具を発動させる。」
「時のまれびと、主人公よ。」
「未来のアストルティアの姿がどのようになっているかは追求せぬ。」
「だがそなたの光に触れて、我は未来に希望を抱くことができた。」
「その希望を世界創造の支えとしよう。」
「その光で未来を照らせ。」
「我らが愛するアストルティアのために。」


天使の墓所にレクタリスは運ばれた。
エルドナ神が祈りを捧げる。
「神を支え人を愛した彼女の清純なる魂は、羽田足て天魂石の中でただ安らかに眠ることを望むのかしら?」
「私の親友は、レクタは、人を愛し、人と生きることを望んだのだわ。」
「これより風の神エルドナはレクタリスの魂を救済いたします。」
「親友の願いすら聞いてあげられない薄情な神にはなりたくありませんもの。」
エルドナ神は世界樹の花を出現させ、レクタリスの魂を世界樹の花と融合させると、その魂を土に還した。


ナドラガ神が天魂石に問う。
「天使たちの魂よ。レクタリスにならい、アストルティアを守るため転生を望むか?」
天魂石が光り、魂が土に還っていく。
「土に還った魂はやがて花に宿って咲き誇り、新たな命として生まれ変わるであろう。」


エルドナ神が祈りを捧げる。
「おやすみなさい、レクタ。」
「いつか主人公と再会するその日まで。」


主人公は現代に戻り、ユーライザに楯と剣を創るにはそれぞれの素材と光輪の核が必要なこと、そして神具創成の儀で神具が生まれるのを目撃し、光輪の核を手に入れたことを説明した。
レクタリスのことは複雑な思いが入り混じり、今はとても言い出せなかった。


素材を用意し、光輪の核を持ってユーライザと共に創成のピラーに向かった。
聖天のレンズを使って神具の創成に取り掛かる。
創成には時間がかかるようだ。
「あの、主人公。ひとつ伺ってもよろしいでしょうか。」
「その光輪の核を目にした時、不思議な感覚が全身を駆け巡りました。」
「人をいとおしいと思う気持ちやあなたを守りたいという切なる願いに胸の中がぐるぐると掻き乱されて。」
「光輪の核をゆずってくださったという神話時代の天使とはいったい・・」


ジア・ルーベとジア・サフィルが現れた。
「王から授かったの。新たなる能力を。」
「復讐する、この力で。」
ジア・ルーベとジア・サフィルはフュージョンし、ジア・クルヴェダになった。
主人公とユーライザは協力してジア・クルヴェダを倒した。
ジア・ルーベとジア・サフィルは敗北すると消滅する呪いをかけられていたが、サフィルがルーベを守り、サフィルのみが消滅した。
ルーベは力尽き、意識を失って倒れた。
そこに天使長ミトラーが駆けつける。
「ひとまず生き残った方を回生堂へ。」
「英雄たちに監視してもらうのが安全だろう。」
「今後のことは落ち着いてから決めよう。」
「聖天のレンズの守りはこちらで固めておく。」
「神具の完成が待ち遠しいな。」
主人公はサフィルの心核を手に入れた。


主人公たちは白灰の試練場から引き上げ、神都フォーリオンの入り口まで戻ると英雄たちが出迎えてくれた。
ユーライザが言う。
「ジア・ルーベとジア・サフィルとの戦いでは己の力不足を思い知らされました。」
「ですが私の意思にゆらぎはありません。」
「必ずこのアストルティアと・・主人公。あなたを守りたい。」


主人公の目には、ユーライザとレクタリスの姿が重なって見えた。
力強く頷く主人公。


ー続くー