主人公とポルテ、メレアーデの3人は女神ゼネシアに呼ばれてゼニスの封宮前にやってきた。
「父、主神グランゼニスを目覚めさせる方法に思い至ったため、あなた方、誓約の子らをお呼びしました。」
「我が父たる主神グランゼニスは創生の力にてゼニアスを創造し、その守り手たる守護天使を創りました。」
「守護天使たちに注がれた創生の力は比類なく強大なもの。」
「彼らが集えば父を目覚めさせられるかもしれません。」
「あの時、ポルるん、ルティアナの被造物たる誓約の子らを感じ取り呼びかけてきたように。」
「この考えに至りし時、私は自らゼニアス中に呼びかけてみましたが、ひとりとて返事はなく・・」
「ですが微かな気配は感じます。」
「おそらくジア・クトとの戦いで傷つき、応える力すら失われているのでしょう。」
ポルテが丘の上に天使像を発見する。
「ネーしゃま!メレチー!前から気になってたんだけど、あそこにあるのって天使の像っぽくない?」
「う〜ん、遠くてよく見えないよー。」
「向こう岸へ渡る橋は落ちちゃってるし。」
「あの像、気になるんだけどな〜。」
メレアーデが言う。
「ゼニスの封宮の時みたいに主人公の聖天の翼で空を飛べたらいいのだけど。」
「まあ、アストルティアには神気を飛行の力に変える道具があるのですね。」
「しばしお待ちください。」
女神ゼネシアは光の力をゼニアスの地に満たした。
「これで私の神気がゼニアスの地を満たしました。」
「守護天使たちを捜すのにきっと役立つはず。」
女神ゼネシアは倒れ込んでしまった。
「申し訳ありません、ポルるん。」
「どうやら少しばかり力を使いすぎたようですね。」
「しばらく休めば回復します。」
「どうかその間にゼニアスの守護天使を見つけて・・」
女神ゼネシアは消えてしまった。
主人公たちは聖天の翼でウォルドの守護天使像に向かった。
どこからともなく、声が聞こえてくる。
「ルティアナの子、主神グランゼニスが待ちわびたる誓約の子のため、この像に言葉を残しておこう。」
「我が名はウォルドの守護天使マギエル。ゆえあって安全な場所に隠れている。」
「ゼニアスを守りし守護天使、その生き残りは私マギエルを入れて4人。」
「残る3人の守護天使はゼニアスの各地にて長き眠りについている。」
「3人の守護天使たちを目覚めさせ、彼らに託した3つの神器、弓、弦、矢を揃えるのだ。」
「私は湖の目にて待っている。」
「3つの神器で道を開くが良い。」
メレアーデが聖湖ゼニートに守護天使像があったことを思い出した。
聖湖ゼニートに向い、朽ちかけた天使像を詳しく調べるため、像に触れてみた。
なんと主人公が触れた途端、頭の中に不思議な声が呼びかけてきた。
「私、守護天使リムネルは聖湖ゼニートを守るべき者だというのに創失の呪いの前にはなすすべもない。」
「いずれこの地に誓約の子らが降り立ちゼニアスを救ってくれる、その日を信じて持ち堪えてきたがもはやこれまでか。」
「主神グランゼニス様から放たれし創失の呪いは日に日に色濃くなり、もはや我が力では祓いきれぬ。」
「遠からず私は創失し、ゼニートの民を呪いから守るものは誰もいなくなるだろう。」
「ウォルドの守護天使マギエル様は創失の呪いが漏れ出すのを防ぐため、峠の祠を閉ざすそうだ。」
「誓約の子ら、女神ルティアナの子らよ、どうかゼニアスへ帰りたまえ。我が同胞たちを助けたまえ。」
「この先は何も聞こえないよ。」
「多分ゼニートの守護天使リムネルさんはこのあとすぐに創失しちゃったんだ。」
「それで町の人達は創失しちゃった・・残ってるのデニッサの家族だけだもん。」
「ということは、無事でいる他の3つの町にはまだちゃんと守護天使がいるんじゃない?」
「アマラーク城、メネト村、ムニエカの町、3人の守護天使を探して3つの神器を集めればウォルドの守護天使マギエルに会える!」
主人公たちはまず、アマラーク城へ向かった。
訓練場ではジーガンフが熱心にフーラズーラとの戦い方を指南していた。
そこへ国王リズクとイルシームがやってくる。
「彼のおかげでフーラズーラと戦える者は着実に増えています。」
「女性や老人がやつらを撃退した実績もあるのですよ。」
主人公はジーガンフたちにアマラーク地方の守護天使を捜しにきたと話した。
「私は神も天使も架空の存在、人間の空想の産物だと思っていました。」
「実在するものだったとは・・」
話を聞いていた少女ナーディラが言う。
「あの、みなさん。天使様を捜しているのですか?」
「でしたら私たち、知っていますけど。どこにいるかも知っています。」
「さて、守護天使様の居場所ですが、私たちのお願いを聞いてくれたらお教えします!」
主人公は弟のマルドとナーディラのお願い事を叶えてあげた。
ナーディラのお願い事は、国王リズクにアストルティアのケーキを渡すこと、マルドの願いはクールホーンという魔物のツノが欲しいというものだった。
「お捜しの守護天使様はシュタール鉱野とタービア草原の中間地点、川辺の休憩所に身を隠しています。」
「川辺の休憩所にある宝箱の近くで呼びかけてみてください。」
宝箱の前で呼びかけると、声が聞こえてきた。
「ナーディラ、我を救いし少女にこの場所を聞いたか。いいだろう。」
「我がこの地の守護天使である。」
とても小さな白いフーラズーラが姿を現した。
「我が名はバトラエル。今はかように忌まわしき姿をしているが、この地の守護天使である。」
ポルテが事情を説明する。
「ウォルドの守護天使マギエルに?」
「ではそなたら、ルティアナ神の子なのか?」
「ええい、それすらも感じ取れぬのか、この身は。」
「我は元の身体を奪われてしまったのだ。」
「そなたらがフーラズーラと呼ぶあの化け物によって。」
「それだけではない。このままだとやつらは数日以内にアマラーク王国をも滅ぼすだろう。」
「これまでフーラズーラは人を食うことで命をつないできた。」
「アマラークが興る遥か昔、数万年前から。」
「しかしここ20年ほどは食える数が激減し、最近にいたっては黒槍を持たぬ非力な人間に撃退される始末。」
「喜ばしいことだが、これがフーラズーラに危機感を抱かせた。」
「まもなく一斉攻撃を仕掛けるつもりなのだ。」
「付け加えると、先日の襲撃をはるかに上回る規模の戦いになる。」
「真正面から立ち向かっても勝ち目はない。」
「狙うべきはやつらの本体だ。」
「じつはハディン採石場の地下にはさらに洞窟が広がっており、その最深部にフーラズーラの本体が潜んでいるのだ。」
「アマラークに出現する無数のフーラズーラは本体が生み出している。」
「やつさえ倒せば現れなくなるはずだ。」
「かつて本体に戦いを挑んだ我は身体を食われ、天使の力ごと吸収されてしまった。」
「先日アマラークを襲撃した巨大なフーラズーラを覚えているか?あれが我だったのだ。」
「お前たちが倒してくれたおかげで、邪悪な力が削がれ、核、天使である我の意思だけが残った。それがこの姿だ。」
「ようやく自分の意思で動けるようになり、人々と接触を試みたのだが、追いかけ回され、少女に保護されて今に至る。」
「フーラズーラの本体を倒さぬ限りは天使の姿も力も戻らぬだろう。」
「ルティアナ神の子らよ。守護天使としての我を取り戻すため、何よりアマラークの人々を守るため、どうか本体を倒してくれ。」
守護天使バトラエルはポルテにトラちゃんとあだ名をつけられ、ポルテのフードの下に隠れた。
玉座の間に向かう。
「フーラズーラがこの国に一斉攻撃を仕掛けようとしている・・」
国王リズクは、フーラズーラへ先制攻撃を仕掛ける決断をし、兵士たちを集めた。
「アマラークにとってこの200年は受難の時だった。」
「あまたの戦士たちがなす術もなくフーラズーラに食われていった。」
「しかし彼らがあの化け物との戦い方を授けてくれた。」
「今こそ反撃の時である!」
「地下洞窟に潜むフーラズーラの本体。これを倒せばやつらは二度と現れない。」
「討伐作戦は明朝開始とする。」
「そなたら戦士たちの勇敢な働きに期待している。」
「アマラークに勝利を!」
「ジーガンフ殿がお前たちに戦い方を教えたのは死なせるためではない。」
「お前たちを生かすためだ。」
「これまで私はお前たちに死ぬことを強いてきた。」
「だが今回は違う。」
「死ぬために戦うな。自分のため、家族のため、愛する者のため、生きるために戦ってくれ。」
「アマラーク王リズクが命じる!我らが怨敵と戦い、生きて勝利を持ち帰るのだ!」
「アマラークに勝利を!」
深夜、突然フーラズーラの大群がアマラークを襲った。
急遽作戦を変更し、ジーガンフと兵士たちは防衛のため町に残し、主人公、イルシームの少数精鋭で地下洞窟へ向かうことになった。
ハディン採石場の最新部に向かうと、ジア・クト念晶体が1体、横たわっていた。
「やつの正体は遥か昔この世界を襲ったジア・クト念晶体の1体。名をジア・ガルネという。」
「やつの身体は我がここに封じていたが、フーラズーラが創り出されるのは止められなかった。」
「主人公、我がやつを抑えているうちに倒してくれ。そうすればフーラズーラは・・」
ジア・ガルネが目覚めた。
「つれないな、バトラエル。数万年を共に過ごした仲だろう。同じ身体で。」
「とうの昔に動くことは可能になった。」
「お前の拘束を打ち破ることなど。」
「人間を食って得た創生の力で。」
「美味かったんだよ!化け物に人間を食わせるたびに響くお前の絶叫が!この世の何よりも!」
「食ってやろう!お前らも!」
「そして味わおう!バトラエルが上げる極上の悲鳴を!」
主人公はジア・ガルネを倒した。
ジア・ガルネが消滅すると、バトラエルの身体が元通りになった。
「我が名はバトラエル。この地の守護天使なり。」
「ありがとう、ルティアナ神の子、主人公。」
「そなたのおかげで真の姿を取り戻せた。」
「そなたが持つ黒き槍は元来、我の所有物だった。」
「ジア・クトどもの襲撃時、主神グランゼニスより賜った武器。」
「それが黒槍、いや、神槍だ。」
「この地を襲ったジア・ガルネと我の戦いは長きにわたり決着がつかぬまま、主神グランゼニスは最後の手段を選んだ。」
「創生の力を奪う大いなる呪い、『創失』。」
「ジア・クト念晶体を消し去るための諸刃の剣は守るべきこの地にも襲いかかった。」
「我はとっさに神槍を投げ放ち、結界を張った。」
「『創失』からこの地を守護するために。」
「しかし、その隙を突いてジア・ガルネは我を・・」
「本来ジア・クトどもに捕食という概念はないはずだが、『創失』に侵されたガルネは反射的に我を食ったのかもしれぬ。」
「主神より生み出された天使たる我は強い創生の力を宿していたからな。」
「生存本能のようなものだったのか。」
「ジア・ガルネに吸収された我は、逆にそれを利用してやつの身体を操り、この地下洞窟に封じた。」
「やつは創失の呪いに侵されていた。その身体は徐々に創生の力を失い、いつかは消滅するはずだった。」
「しかしジア・ガルネは我を食うことで生命を創り出す手段、創生の能力を手にしたのだ。」
「『創失』で消えるはずだったやつは、化け物を創り、人間を食うことで創生の力を取り込み、生き続けた。」
「わかるか?守護天使たる我の力こそがフーラズーラという災いを生み出したのだ。」
「すまない・・」
「この数万年、いっそ殺してくれと願わない日はなかったが、主人公、そなたが救ってくれた。」
「そなたはウォルドの守護天使、マギエルの指示で我を捜していたのだったな。」
「さあ、これを受け取ってくれ。」
主人公は『大樹の弓』を手に入れた。
「マギエルから預かっていたものだ。」
「それでは時が来たら我を呼ぶといい。必ずそなたのもとへ参じよう。」
主人公たちはアマラークへ戻った。
負傷者は多数出たが、犠牲者はでなかったようだ。
国王リズクが泣きながら感謝する。
「イルシームを、兄を連れ帰って下さったこと、本当にありがとうございました。」
「今宵は国を挙げての宴を開きます。」
「是非、主人公さんたちもご参加ください!」
フーラズーラという長年の脅威から解放されたアマラーク王国の人々は皆、晴れやかな笑顔を浮かべていた。
主人公はポルテとジーガンフと共に宴に参加し、楽しい時を過ごした。
盛大な宴がお開きになると、主人公たちはアマラーク城で身体を休めた。
そして夜が明けた!
主人公とポルテは、ヒューザと魔王アスバルと共にメネト村に向かった。
メネト村では種まきの時期になると太陽への感謝と豊穣を願ってコッケン祭りを開くという。
コッケン様は村に古くから伝わる鶏の神様で、太陽の使いだという。
トープスはあれ以来、姿を見せていないようだ。
ポルテが言う。
「この村のみんなが眠っていた時でも、なぜかトーくんだけ目覚めていたし、夢見の香炉なんて不思議なものも持っていた。」
「きっとトーくんこそがこの村の守護天使を見つける鍵だと思うんだ。」
「それにあれからずっと消えたトーくんのこと心配だった。このまま放ってはおけないし、絶対見つけてあげなくちゃ。」
アスバルが言う。
「ずっと考えていたんだけど、みんな宵と暁の伝承を覚えているかい?」
「そこにこういう一節があったんだ。」
「まれびと、みんなの眠りを見張る。」
「お山の神殿、守りの砦。」
「悪夢を捉えて一緒に眠る。」
「この伝承のまれびとというのは、守護天使のことじゃないかと思うんだ。」
「とすれば守護天使は神殿にいるのかも。」
話を聞いていたティセが言う。
「あれ?今宵と暁の伝承って言ったよね?」
「私の知ってる宵と暁の伝承と違ってるよ。」
「私が知ってるのは・・」
「まれびと、お空に魔法をかけた。」
「太陽昇ってお日様さんさん。」
「草花みんな喜んだ。」
「まれびと、今度は鶏呼んだ。」
「鶏鳴くと、みんなは元気。」
「日の出を祝って祭りの準備。」
「まれびと、みんなと祭りを祝う。」
「踊りを踊って楽しい気分。」
「お山の神殿、戻って眠る。」
「鶏眠れば太陽沈む。」
「月夜になればみんなも眠る。」
「夢の中でも幸せ続く。」
内容が全然違うことに驚いたアスバルは、ロナ長老に借りている本を慌てて確認する。
すると、本の内容が変わっていた。
ティセも一緒に行きたいと言うので翌日に宵の神殿に向かうことにし、村に泊まった。
宿屋の主人に言われ、広場の宿木に祈りを捧げ戻ってくると、ティセが慌てた様子で宿にやってきた。
「ママが、村のみんなが・・真っ黒な影に・・」
「みんなやっと太陽が昇って、はりきってコッケン祭りの準備をしてたところだったのに・・」
「昨日、ママに村の外に行く許可をもらって、それで早起きして準備してたら・・そしたらママとパパが急に何かをすごく怖がりはじめて。」
「いきなり黒い霧みたいのに包まれて、それっきり動かなくなっちゃったの。」
「それで怖くなって家の外に出たら、村のみんなも・・」
主人公たちは急いで宵の神殿に向かった。
塞がれた門の前に立つと、どこからか声が聞こえてくる。
「神殿の眠りを妨げるのは誰じゃ?」
「ここはメネトの眠りを司る暁の神殿じゃ。」
「まさにこの窮地に訪れし珍客は女神の希望か、それとも悪夢の手先か。」
「よかろう、吾輩は自らの役目を果たすまで。」
「暁の神殿に入りたくば、お前たちがメネトにゆかりある者だと証明してみせよ。」
主人公は本に書かれている内容を答えた。
「答えは鶏!大正解だ!」
「メネトにゆかりある者なら誰しも知っている。」
「鶏こそメネトの守護神であると。」
「それにお前のその比類なき波動、覚えておる。」
「お前の祈りはメネトの宿木より吾輩の元へ確かに届いていたからな。」
「いいだろう、入るがいい。」
「すべては守護者様のご意志のままに。」
神殿の中に入ると、金の鶏が目の前に現れた。
「下がれ、馬鹿者どもが。」
「ええい、頭が高い。ただの鶏と思ったら大間違いだ。」
「吾輩は偉大なる守護天使様の最も忠実にして優秀なる僕、暁の使者、コッケン様である!!」
「吾輩はメネトの守護者としてご主人様から神殿の門番を任されておった。」
「だがこのコッケン、一生の不覚。」
「外からの守りにばかり徹しておったら、敵は神殿の内部に潜んでおったのだ。」
「おかげで聖なる神殿はこの有様。」
「吾輩は何としても悪きものに囚われたご主人様を助けねばならんのだが。」
「悲しいかな、吾輩一人では不可能。」
「だからこそ吾輩は入り口でお前らが信じるに足る者かを審判したのだ。」
「吾輩はお前らを信じることにした。」
「特にそこの間抜け面のお前!お前から類稀なる善なる波動を感じる。」
「しかし愚か!あまりにも愚かじゃ!」
「悪き者相手に無策で突っ込むなど、吾輩がいなければあっという間に全滅だぞ!」
主人公たちはコッケンの助けを借りて神殿の奥に進んだ。
神殿の奥に入ると、トープスが幽閉されていた。
「こっちに来ちゃダメだ!すぐに逃げて!あいつが・・」
トープスを見張っていた門番「悪夢入道」が襲いかかってきたが、主人公たちは返り討ちにした。
トープスが解放された。
「ティセ、来てくれてありがとう。」
「俺の力だけじゃどうしても抜け出せなかったんだ。」
「見ての通り、もう俺には悪夢に対抗する力など残っていない。だから元の姿には戻れないみたいだ。」
「混乱させてごめんね、ティセ。」
「俺はメネト村の守護天使トープス。」
「メネト村を眠らせたのは俺だったんだ。」
「はるか昔、俺たち守護天使は滅びゆくゼニアスから自らの守護する人々をそれぞれの手段で守ろうとしたんだ。」
「俺はメネト村のみんなをいつか救いが訪れる時まで眠らせることにした。」
「眠り続ける限り年も取らないようにしてね。」
「しばらくはそれで良かったんだ。」
「でもメネトのみんなが悪夢を見るようになってから状況は変わってしまった。」
「この地にジア・クト念晶体が襲って来た時の恐怖の記憶がみんなの心を蝕んで、次第に悪夢となって現れるようになった。」
「そして長い年月の間、皆の夢の中で繰り返された悪夢はやがて実体を得て一人歩きを始めてしまったんだ。」
「俺は何度もその悪夢を消し去ったけど、悪夢は蘇って村のみんなを襲った。」
「そのうちに俺自身も消耗してしまって・・」
「最後は仕方なく自分と一緒に悪夢をそこの棺桶に封印し、眠りについたんだ。」
「そうしたら俺も悪夢に侵食されてしまった。」
「以前眠ったメネト村で君たちと出会った無力な俺は守護天使の俺が見ている夢が彷徨っていたものだったんだよ。」
「メネトの悪夢は、皆が悪夢を見るたび強大になっていった。」
「今ではもう、消耗した俺の力ではとても敵わないほどにね。」
「ごめんよ、ティセ。すべての元凶はこの俺だ。」
「だから俺は自分のせいで生まれてしまったメネト村の悪夢を倒さなきゃいけない。」
「それだけが俺にできる罪滅ぼしだから。」
「なのに俺にはもう守護天使の力が残っていない。」
「今の俺はただの無力なガキだ。」
ティセはトープスが思いを込めて作った花冠を頭にのせていた。
それをトープスに返すと、トープスは守護天使の力を取り戻した。
「ティセやポルテ、みんなのおかげで俺はやっと守護天使に戻ることができた。」
「本当にありがとう。」
「これでこの神殿はもう安全だよ。」
「さて、次はメネト村のみんなを助けにいかないといけないね。」
主人公たちがメネト村に戻ると、広場に巣食っていた『メネトの悪夢』が現れた。
「久しぶりですね、トープス。」
「天使の姿でのお目見えはいつぶりでしょう。」
「あなたがメネト村を眠らせてくれたおかげでこの私が生まれたわけですが、そろそろ自由にやりたくなりましてね。」
「私は気づいたんです。このゼニアス全土が我が悪夢に沈めば私を邪魔するものはいなくなると。」
「この何万年かの間、メネトの住人がどれほど繰り返し悪夢を見たと思っているんですか?」
「その度に私は力を増し、今や私の方がはるかに強大なんですよ。」
「何度でも悪夢に引き摺り込んであげます!」
主人公たちは襲いかかってくるメネトの悪夢を倒した。
「これで終わりだと思わないでくださいね。」
「人々の心に刻まれた恐怖がある限り、私は何度でも蘇る・・」
「その時を待っていてください・・」
「俺はいつかティセたちに豊かな世界で生きて欲しかったから皆を眠らせるって決めたんだ。」
「目覚めてしまったら、みんな年も取る。」
「この救いなき大地で一生を終えることになる。」
「全部、意味なかったんだよ。」
ティセが怒る。
「馬鹿トープス!天使に戻っても相変わらずウジウジしてんのね!」
「あんたこそいい加減、目を覚しなさいよ!」
「あんたが村を眠らせたのはみんなを守るためだったんでしょ?」
「そんなの説明すればわかってくれるよ!」
「それにたとえ私たちを守るためでも、眠り続けるのって退屈だった。」
「目覚めてからの方がずっと楽しいよ。」
「このままメネト村で一生過ごすことのどこが悪いの?」
「私はメネト村が大好きだよ。」
「村のみんなも絶対そう思ってるよ。」
「余計なこと言う奴がいたら、私がそいつをとっちめてやるから!」
主人公たちがメネト村に帰ると、村の住人はすっかり元に戻っていた。
そして村中で大急ぎでコッケン祭りの準備が進められ、ついに宿木広場にてコッケン祭り当日となった。
「コッケンはずっと昔から太陽の使いとして守護天使と同じくらい、いや、それ以上にメネト村で信奉される存在だったんだよ。」
「とはいえ、本物がコッケン祭りに参加するのはこれまでの歴史でも前代未聞のことだけどね。」
「そういえば気になっていたんだけど、主人公たちは俺が守護天使だって予想がついていたみたいだったね。」
「もしかして誰からか守護天使の話を聞いたのかな?」
主人公は守護天使マギエルに言われてゼニアスの各地にいる守護天使を捜していたことを説明した。
「そうか、マギエル様が。」
「ならば近いうちに召集があるかもしれないな。」
「主人公、これを渡しておくよ。」
「マギエル様から3つの神器を集めるように言われているだろうからさ。」
主人公は『星封の矢』を手に入れた。
「主人公には本当に助けてもらったから、今度は俺が恩返しをする番だ。」
「何かあったらいつでもかけつけるからね。」
主人公たちはコッケン音頭を踊って楽しい時を過ごした。
メネト村の人々は守護天使のトープスを暖かく迎え、村人はみな久々のコッケン祭りを心から楽しんだ。
コッケン祭りは夜通し続き、そして夜が明けた。
主人公たちはムニエカの町に向かった。
町長エドアルドの屋敷に入る。
「おや?誰かと思えば主人公君!」
「わざわざ訪ねてきてくれるとは嬉しいね。」
「ついに人形になる決心がついかのかな?」
主人公は、エドアルドにムニエカの町の守護天使について知っていることはないか、訪ねた。
「不思議な存在・・まさか・・?」
「でももしこの話が本当なら・・」
「実は君たちが言う守護天使にひとつだけ心当たりがあるんだ。」
「その守護天使を見つけるために、どうしても必要なものがあってね。」
「悪いけど、君たち、採ってきてくれないかな?」
「以前、森で泉の水を汲んできてもらっただろう?」
「あの森の北には特別な宝石が採れる洞窟があるんだ。」
「そこにあるモノの中で最も美しい、神秘的な輝きを放つエメラルドを採ってきてくれたまえ!」
主人公は結晶の森の奥で『大地のエメラルド』を手に入れた。
「ありがとう。これでやっと僕の夢が叶うよ。」
「前に話したろう?」
「不思議な力でこのムニエカを救ってくれた旅人の女性のことを。」
「彼女の名はルーミリア。」
「僕は君たちの言う守護天使とは彼女のことなんじゃないかと睨んでる。」
「君たちは守護天使がこの町にいると言ったね?」
「だが彼女の姿はどこにも見当たらない。それは何故か?」
「君たちの話を聞いて、僕はこう考えた。」
「彼女はいなくなったのではなく、見えなくなってしまったのではないかと。」
「彼女はきっと、かつての僕らと同じように肉体を失い、魂だけの存在となって町のどこかにいるのだ。」
「つまり、彼女が失った体を用意できれば、ルーミリアの復活が叶うってわけさ。」
部屋の片隅に美しい人形が椅子に座った状態で飾られている。
「何を隠そう、そこにあるのはルーミリアを完璧に模した人形さ。」
「彼女のいない生活があまりにもつらくて、作ってしまったのだよ。」
「この人形はまだ未完成でね。一番大事なパーツ、彼女の神秘的で美しい瞳が入ってないんだ。」
「君たちが採ってきてくれたこの宝石を入れることでようやく完成する。」
「僕の愛しい人、美しきルーミリアが!」
エドアルドは主人公が採ってきた宝石を削って、美しく輝く瞳を作り、それを人形の目に取り付けた、
「さあ、目覚めておくれ、愛しき人、僕の天使、ルーミリアよ!」
しかし、ルーミリアは目覚めない。
ムニエカ地方の東の高台に、かつてルーミリアが暮らしていた小屋があると言うので、主人公たちはドロテアと一緒にそこに向かった。
ルーミリアの手記が残されている。
「結晶の侵略者が飛来した地獄の日、ムニエカの町を任された身でありながら、私は町を守り切ることができませんでした。」
「結晶の化け物たちが無惨にも街の全てを破壊し尽くし、住民たちは全員肉体を失い、魂だけの存在となってしまった。」
「ムニエカの町は私の宝物。大好きなみんなを失いたくなんかない。」
「嫌です。嫌です。どうすれば・・」
「ふと思い出しました。」
「いつだったか、赤髪の人形師さんが言っていた。」
「壊れてしまったら直せばいいだけさ、と。」
「幸い、住民たちの魂はまだ無事です。」
「新しい身体さえ用意できれば、この地に眠る草生の力で生き返らせることができるかも。」
「見様見真似ですが、やってみましょう。」
「ずっと、ずっとあの人形師さんを見てきたから作り方は覚えています。」
別の手記に目を通す。
「今日は特別なお役目を賜りし記念すべき日。」
「これから始まるかけがえのない毎日を忘れぬため日記をしたためることにします。」
「ムニエカはすばらしい町。初めて見た時から私はこの町に夢中でした。」
「町中に花が咲き乱れ、人間たちが歌い踊り、幸せそうに笑っている。」
「人間は本当に不思議で素敵な生き物。」
「自らの手で幸せと笑顔を創り出すことができるのですから。」
「私の故郷には存在しない生の営み。」
「なんと尊く美しい輝きなのでしょう。」
「ムニエカの町はかけがえのない私の宝物。何があってもこの平和を永遠に守って見せます。」
その時、一緒に来ていたチュピちゃんが天井裏から本のようなものを持ってきた。
「私の名はルーミリア。」
「かつてムニエカの守護天使と呼ばれていた者。」
「ジア・クト念晶体と名乗る侵略者による襲撃の果てにムニエカの町はそこに暮らす住民ともども破壊されました。」
「理不尽な運命からなんとしても愛する住民たちを救いたかった。私は彼らに新しい器、人形の身体を与え、ムニエカ地方の森に残された創生の力で彼らの魂と人形の身体を結びつけ、復活させることに成功したのです。」
「神が創りたもうた人間と寸分違わぬ身体を全員分作るのは途方も無い作業でしたが、彼の協力もありやり遂げることができました。」
「長い長い時を経て、ついに私たちは愛する故郷ムニエカを取り戻したのです。」
「うれしくて涙が止まりませんでした。」
「私たちは決して朽ちることのない、永遠の平和と安寧を手に入れた。」
「これでずっと幸せに暮らすことができる。」
「けれど、一つだけ気掛かりがあります。」
「今はまだ小さな染みだけれど、捨て置けば皆を蝕み、町に災いを呼ぶ可能性がある。」
「ムニエカの地下にある私の秘密の場所。しばらくはそこに篭り切りになるでしょう。」
「入口の鍵を三人の住民に託しておきます。」
「もう二度とムニエカの町を、愛する人々を失ないたくはない。」
「今度こそ皆を守らなければ。」
セアトロとオルーサから鍵を譲り受ける。
ロベールはオルーサの息子のようだが、ずいぶん昔に町を出て行ったようだ。
ロベールが住んでいた家の暖炉にはこんもりと灰が積もっている。
長い間使われていないようだ。
主人公は灰の山を調べてみた。
ところどころ焦げ目のついた木の破片や人形の部品らしきものが混ざっている。
灰の中を探ると、奥から歯車の装飾がついた金属製の小さなパーツが出てきた。
どうやらこれが日記に記されていた鍵のようだ。
主人公が広場の扉に3つの鍵をはめると、地下へ降りる階段が出現した。
かなり奥まで続いているようだ。
エドアルドも広場にやってきた。
すると、住民たちが苦しみ始める。
「毎日のメンテナンスも欠かさず行っていて、異常はなかったはずなのに・・」
「君たち、悪いが先に行ってくれないか?みんなを修理したら僕もすぐに向かうから。」
主人公たちは階段の奥へと進んだ。
どこからか声が聞こえる。
「やっと戻って来れた・・ムニエカのみんなを救うために・・」
「町の地下深くに隠したあれを・・」
「でも今の私に先に進む資格はない・・」
「取り戻さなければ・・欠けた記憶を・・」
「ムニエカの住民たちとの記憶、どれも私の大切な宝物。」
「ひとつたりとも失ってはならなかったモノ。」
「記憶の修繕を・・西の扉を出て光の道を辿り、保管庫へ。」
「思い出して、私の・・」
「ここは愛しいムニエカの住民たちを見守り管理するため作られし場所。」
「私の秘密の場所。」
「我が名はルーミリア。」
「偉大なる主神グランゼニスからムニエカの町の守護を命じられし天使。」
「ジア・クト念晶体の襲撃からどれだけの月日が経ったでしょう。」
「毎日、この場所で住民たちの様子を見守り、細心の注意を払っていました。」
「しかし、ついに恐れていたことが起こってしまったのです。」
「ある日突然、住民の一人が異常な言動を取り始め、その果てに人形の身体を破壊し、自害してしまった。」
「人形の身体となった住民たちは年を取らず、死も迎えない不老不死。」
「長い間不変の生を過ごしていた。」
「流れぬ水が濁りゆくのと同じように、時の流れを堰き止められた彼らの魂には強いケガレが生じてしまっていたのです。」
「住民たちに異常が出るたび、一人一人浄化を施しましたが、いくら浄化をしても年月を経た魂にはすぐケガレがたまってしまう。」
「このままでは浄化が追いつかず、住民たちの魂は皆、闇に堕ちて魔物と化してしまうでしょう。」
「もう二度とムニエカの町を、愛する者たちを失ないたくありません。」
「一刻も早くあれを完成させなければ・・」
「住民たちの魂の汚れに対処するため、私は町の地下にケガレを吸い集め、浄化する装置を作ることにしました。」
「守護天使である私のありったけの力をこの聖花石にこめ、町中のケガレを一気に吸収し、浄化する。」
「浄化の聖花石の完成まであともう少し。」
「身体も精神も限界を迎えつつありますが、全てを失ったとしてもやり遂げなくては。」
「ムニエカの住民たちの、愛する人の笑顔を守るために。」
「だけど・・住民たちはケガレから生じる絶望を抑えることができず、その全てを私にぶつけてきました。」
「どうして自分たちは理不尽に殺され、こんなに苦しんでまで生きなければならぬのか。」
「悲しくて、腹立たしくてしかたない。」
「お前さえこの町に来なければ、この疫病神め!とも。」
「毎日のように住民たちから罵倒の言葉を浴びせられる。」
「魂のケガレによる一時的なものだと理解しています。」
「聖花石さえ完成すれば、元の優しい皆さんに戻ってくれる。わかっているはずなのに・・」
「目の前が真っ暗になっていく・・」
「どうしてこんなことになってしまったのだろう。」
「私はただ、あの幸せな光景を失ないたくなかった。」
「愛するあの人に笑っていて欲しかった。」
「もう何も考えたくない。」
「皆が言うように、こんな私、消えてしまえばいい。」
「ごめんなさい、エドアルドさん。貴方と交わした約束はもう、守ることができないかもしれません・・」
奥に進み、聖花石の前にやってきた。
聖花石には黒いモヤがかかっている。
そこにルーミリアの人形を抱えたエドアルドがやってきた。
エドアルドはケガレの影響をもろに受け、ますます変になった。
ルーミリアの人形はケガレを吸収し主人公たちに襲いかかるが、返り討ちにした。
その時、聖なる光を帯びたドロテアがエドアルドのケガレを打ち払う。
「ドロテア・・君、どうして・・」
「ああ、違う。この美しくて優しい光・・」
「君は、君こそが・・」
「ルーミリア、君なんだね・・」
ドロテアは守護天使・ルーミリアに姿を変えた。
「浄化の聖花石を作るため、力の全てを使い果たした私は、自らの存在すら維持することができなくなっていました。」
「消えかけていたところを、貴方の作った人形に入り込んで、どうにか生きながらえることが出来たのです。」
「自分が何者であるのかも忘れ、真実から目を背けてきた。」
「恐ろしかったんです。」
「死という現実を受け入れ、全てを、大好きな貴方を、失うことが・・」
「でも、どれだけつらくても向き合わなくては。」
「これ以上ムニエカの民を苦しめるわけにはいかないから。」
「これは私の罪。全て受け止めます。」
ルーミリアは全てのケガレを吸収した。
「ルーミリア、君はずっとそばに居てくれたんだね。」
「それなのに、僕、ちっとも気づかないでさ。」
「ほんと、バカだよね。」
「あまりにバカすぎて笑っちゃうよ。あはは・・」
ルーミリアがエドアルドに寄り添う。
「ごめんなさい、私のせいでみんなを・・貴方を長い間苦しませてしまった。」
「ごめんなさい・・」
「どうして謝るんだい?君は僕たちの命を救い、心から愛してくれた。」
「辛いこともあったけど、幸せな日々だったよ。」
「ねえ、見てくれたかい?君の愛した町を。」
「美しいだろう?君の喜ぶ顔が見たくてさ。僕、すごく頑張ったんだよ。」
「だからさ、どうか笑っておくれ。ね、ルーミリア。」
「そう、その顔だ。」
「ずっとその顔が見たくて、僕は・・」
エドアルドの魂は砕けて、消えてしまった。
「彼は長い間ずっとムニエカの町を守り続けていました。」
「こんなボロボロになるまで、私なんかのために・・」
「彼の魂はもうどこにもいない。」
「二度と蘇らせることはできません。」
「もう二度と会えない・・」
主人公たちとルーミリアは町の広場に戻った。
「住民たちの魂のケガレは全て浄化しました。」
「ムニエカの町は本当に美しい。」
「みんないつも幸せそうに笑っていて、この輝きを永遠に残しておきたかった。」
「ですがそれは大きな間違いでした。」
「終わりがあるからこそ、人は限られた生の中で幸せであろうとする。」
「だからこそ、町も人も輝いて見えた。」
「私は人々の生命の輝きに魅せられていたのですね。」
「申し遅れました。我が名はルーミリア。」
「偉大なる主神グランゼニスよりこのムニエカの地を任されし守護天使です。」
主人公はルーミリアに事情を説明した。
「守護天使マギエル様が私を・・」
「招集の時が近いということでしょうか。」
「ではこちらをお受け取りください。」
「マギエル様からお預かりしていたものです。」
「きっと皆様のお役に立つでしょう。」
主人公は女神の弦を手に入れた。
「これまで、エドアルドさんが皆さんの身体を修理していましたが、それができるものはもう町に存在しません。」
「おそらく100年も経たず身体が朽ち、住民たちの魂は人形から解放され、天に召されることとなるでしょう。」
「地下にある聖花石は作動していますから、人形が朽ちる前に魂にケガレがたまる心配はないと思います。」
「ムニエカは終わりの時を待つのみとなる。」
「それがこの町の本来あるべき姿だから。」
「本当は今すぐ私の手でみんなを眠らせてあげるべきなのかもしれません。」
「ですが・・」
「時が来たらお呼びください。」
「どこであろうと必ずはせ参じます。」
「どうか貴方たちの人生が最後の瞬間まで幸せなものでありますように・・」
主人公はドゥラ院長に報告した。
「こちらが各地の守護天使たちを見つけた際に預かったという3つの品ですか。」
「弓と弦と矢、ずいぶん古めかしいもののようですが、はてさて、これをどうしろというのか・・」
手先が器用なナブレット団長の手によって、大樹の弓、女神の弦、星封の矢の3つの神器はゆりかごの弓に生まれ変わった。
メレアーデが言う。
「みんなが守護天使を捜している間に調べたの。」
「この始まりの地の湖にあるあの小島・・」
「まるで湖の目みたいに見えないかしら?」
その時、ゆりかごの弓から強烈な光が放たれた。
「3人の守護天使に認められし誓約の子らよ。」
「我が名はウォルドの守護天使マギエル。」
「ゆりかごの弓を手に取り、湖に浮かぶ小島へ矢を放て。」
「さすれば道は開かれるだろう。」
主人公はゆりかごの弓で湖の小島へ矢を放った。
ゆりかごの弓ははじけ飛び、湖の小島まで光の橋がかかった。
なんと小島に不思議な建物が現れている。
光の橋はどうやら不思議な建物の中まで続いているようだ。
そこにラキが怖い顔をしてやってきた。
「湖上に浮かぶ島は聖なる地。」
「選ばれし者以外、決して立ち入らせるなと父様からきつく命じられている。」
「その聖なる地に、お前たち、何をした!」
メレアーデが言う。
「ねえ、ラキ。あの小島のことが気になるなら、お目付役としてあなたが私たちについてきてくれないかしら?」
主人公たちは光の橋を渡って不思議な建物へ向かった。
途中、女神ルティアナの像があった。
「そう、女神ルティアナ様はゼネシア姉様の妹君で、ラキのちい姉様。」
女神ルティアナの像が黄金に光り輝く。
「ようこそ、私の愛しき子よ。」
「誓約の園までよくぞ無事に辿り着いた。」
「天上の楽園、誓約の園は、我らゼニアスの神々が住まう聖なる地。」
「創生の力がもっとも強き場所なり。」
「誓約を守り、この地に還り来たりし愛し子のため、とこしえのゆりかごから旅立つ前に、私の言葉を遺しておこう。」
「誓約の園の頂へ至り、神殿で待つ守護天使マギエルに会うがよい。」
「そうしてジア・クトに損なわれたるこの世界、ゼニアスと我が姉、女神ゼネシアを救って欲しい・・」
神殿に入ると、主神ゼニアスと容姿がそっくりの守護天使マギエルがいた。
「我こそはウォルドの守護天使マギエル。」
「誓約の子御一行様、あんたらを心から歓迎しよう。」
「かつてジア・レド・ゲノス率いる侵略者、ジア・クト念晶体との戦いに終止符を打つべく、主神グランゼニスは創失の呪いを放った。」
「ジア・クト去りし後、かの恐るべき呪いが我が身を蝕み、いずれ正気を失うと知りながらな。」
「そこであの爺さん、自分を封印する前に、自分の記憶と意志を俺に受け継がせ、ルティアナちゃんを待て、と命じたんだ。」
「それ以来、俺は昔のいけてる姿とは似ても似つかねえ、主神そっくりのごっついおっさん顔になっちまったのよ。」
主人公は、現状を説明した。
「誓約の子らよ。少しばかり昔話をしてやろう。」
「かつて我、グランゼニスは己を唯一絶対とする驕れる神であったが、ある者が過ちを正してくれた。」
「創造主といえど、一人では判断を誤る。」
「ゆえにその者が去し後、我は二人の女神を生み出した。」
「女神ゼネシアと女神ルティアナ。二人の我が娘を。」
「ひとつのまばゆき光は必ず影を作る。」
「されど、もう一つの光が異なる側より影を照らせば、世界の全てが光に包まれる。」
「ルティアナはゼネシアのために。ゼネシアはルティアナのために。」
「我は娘たちにお互いを補い、助け合えと命じた。」
「主神の座の継承に二つの神具、王笏と王冠が必要なのも、愛する娘たち二人に仲良くやれよ、という意味なのさ。」
「ところがだ、娘たちの成長を待っていたある日、ジア・クト念晶体が攻めてきて、ゼニアスの大地を次々と侵食し出した。」
「追い詰められた爺さんはもはやこれまでとゼネシアを眠らせ、ルティアナちゃんを逃して創失の呪いを解き放ったんだ。」
「お偉い神様だってしょせんは人の親。」
「自分の娘にゃめっぽう甘いのさ。」
「あんたら、創生の力の源がなんなのか、考えたことあるかい?」
「創生の力、それはズバリ、愛だ。」
「考えてもみろよ。何もない寂しい無から世界を生み出すなんて、なかなかできるもんじゃねえ。」
「どんな世界なら暮らしやすいだろう。どんな生き物がいたら楽しいだろうって一つ一つ考えなきゃ生命は創れねえの。」
「新たなる世界、新たなる生命への溢れんばかりの愛。それこそが創生の力。」
「天地創造の神様なんて、愛情深くなきゃやってらんねぇからな。」
「だからこそ、あの日。主神グランゼニスの絶望がかの創失の呪いを生んだのさ。」
「短い間にしろ、爺さんがあんたらルティアナちゃんの眷属との接触で目覚めたと言うのが本当なら、俺たち4人の守護天使全員が爺さんのとこに戻れば創生の力が強まり、創失の呪いに勝てるかもしれねえ。」
「だが危うい賭けだ。」
「うまく運べばゼニアスは救われるが、最悪の場合、最後の希望すら失われる。」
ポルテの表情が変わる。
「ふん、悠長なものだな。」
「創失の呪いはゼニアスにとどまらず、すでに我らが世界、アストルティアをも蝕んでいる。」
「もはやゼニアスのみの問題ではない。」
「どんなわずかな可能性であろうとも、試さねばならぬのだ。」
「いいぜ。同行しよう。」
「俺たちゼニアス最後の守護天使はルティアナの子らに全てを託す!」
主人公たちは、守護天使マギエルと共に大祭壇の奥へ向かった。
「来い!ゼニアスの守護天使、最後の生き残り達よ!」
バトラエル、トープス、ルーミリアが駆けつけた。
「ゼニアスの大いなる創造主、主神グランゼニスよ!」
「我ら守護天使が宿したる創生の力、今こそ御許へお返ししよう!」
守護天使達は主神グランゼニスに全ての創生の力を注ぎ、消滅した。
主神、グランゼニスが目覚めた。
「ルティアナの子らよ、近くへ。」
「どれほど帰りを待ち侘びたことだろう。愛しき娘ルティアナ、その誓約の子らよ。」
「よくぞとこしえのゆりかごへ帰りきた。」
「聞かせよ、新たなる天地がいかなるものか、新たなる生命、新たなる世界を我が娘はいかに治めたりしかを。」
ポルテの表情が変わる。
「女神ルティアナが創造せし新世界、その名はアストルティア。」
「我が女神は七柱の兄弟神を創造し、七柱の兄弟神達はそれぞれの眷属、7つの種族を創生の力にて創り出した。」
「あまたの困難、あまたの災が世界を襲ったが、7つの種族達は皆、力を合わせ、困難を乗り越えてきた。」
「その要、全ての種族と神々を束ね、アストルティアを救し新世界の守り人こそが、主人公、ここにいる者なのだ。」
「なるほど。誓約の子らが無事ゼニアスに帰還できたのは、そなたのおかげなのだな。」
「感謝するぞ、主人公。」
「我が娘、女神ルティアナはその旅立ちの日にこう誓ってくれた。」
「父、主神グランゼニスより受け継ぎし創生の力にて、私は未知なる空に新たなる世界を創造しましょう。」
「そしていつの日か、新たなるグランゼニス、父の名を継ぐ神と共に還り、姉ゼネシアとゼニアスを救うと誓います。」
「それこそがルティアナの誓約。」
「ルティアナの命は新世界にて尽きたようだが、娘に代わり新たなる神、継承者グランゼニスがとこしえのゆりかごを救うだろう。」
「アストルティアのグランゼニスがゼニアスを訪れる、その日を楽しみにしているぞ。」
「娘よ、そなたは二つの心を持つようだな。」
「そなたのもう一つの心は、必ずやそなたの助けとなるだろう。ルティアナとゼネシアのように。」
「誓約の子らよ。そなたらのアストルティアのためにも創失の呪いを完全に消し去らねばならんな。」
等身大のグランゼニスが出現した。
「これなるは我が身より生まれ、ゼニアスとアストルティアを苦しめたる創失の呪い、その源なり。」
「誓約の子らよ。こやつと戦うのだ。」
「ふたつの世界が救われる道は、全ての創失の呪い、その源を断つことのみ。」
「ルティアナの誓約に従い、こやつを倒せ。」
主人公達は呪われしグランゼニスを倒した。
「ラキ、長きにわたる忠誠、まことご苦労であった。」
「今、この時より、神獣の任を解こう。これからは自由に生きるが良い。」
「時は来たれり。」
「我が身より出でて、我が身深くに巣食いし創失の呪いは誓約の子らにより倒された。」
「今この時より、創失の呪いは二つの世界から完全に消え去る。」
「我が身と共に!」
「さらばだ、愛しき子らよ。」
「手を取り合い、正しき道を歩め。」
女神ゼネシアが現れた。
「どうか早まらないでくださいませ!」
「創失の呪いの源を消し去る方法は、きっと他にもあるはずです!」
主神グランゼニスはしずかに首を振った。
「我が娘、ゼネシアよ。」
「こたびこそ、ゼニアスを守れ。」
主神グランゼニスは光と共に消滅した。
「二つの世界を苦しめた創失の呪いは完全に消え去りました。」
「けれど引き換えに、とこしえのゆりかご、ゼニアス、この世界を創造せし神が消えてしまった。」
「妹ルティアナも亡き今、どうして私一人が生き残り、取り残されてしまったの・・」
女神ゼネシア残された王笏を手に取った。
「この王笏に宿る力は計り知れぬもの。」
「それでも世界を甦らせるには足りない。」
「主神ならざる私ひとりでは・・」
落ち込むゼネシアにメレアーデが声をかける。
「先ほど主神グランゼニス様は、女神ルティアナ様の子、継承者グランゼニスが世界を救う、そうおっしゃっていました。」
「そして私たちは、主神グランゼニス様に約束したのです。必ずアストルティアから人間の神、グランゼニス様を連れてくると。」
ポルテが言う。
「伝説だと、人間の神グランゼニス様は神話の時代の戦い以来、アストルティアのどこかで眠りについたって言われてるよ。」
「傷つき、滅びかけたこの世界。」
「ゼニアスを甦らせることができるのは新たなる主神、ただ一人。」
「主人公、みなさん、どうか継承者グランゼニスを捜し出し、ゼニアスまで導いてくださいませ。」
「ラキも継承者グランゼニスを捜したい。」
「主人公、ラキをアストルティアまで連れて行って!」
「私からもお願いいたします、主人公。」
「どうかラキをお供にお連れください。」
「あらたなる主神の座を継承するためには、父が遺したこの王笏ともう一つの神具、行方知れずの主神の王冠が必要。」
「私は主神の王冠を探します。」
「あなた方は継承者グランゼニスをどうかお願いいたします。」
「創失の呪いの源を断ち切り、ゼニアスとアストルティアを救ってくださったこと、亡き我が父、主神グランゼニスに代わり、感謝いたします。主人公。」
「ラキ、アストルティアで継承者グランゼニスを見つけたらすぐに私に知らせるのです。」
「しばしお別れですね。主人公、メレちー、ポルるん。」
「ルティアナの子、継承者グランゼニスと共に、あなた方がゼニアスに帰る日を、誓約の園にて待っておりますよ。」
ゼネシアは光と共に姿を消した。
メレアーデが言う。
「まさか主神グランゼニス様が自らを犠牲にして呪いを消し去るなんて、思いもよらなかったけれど。」
「そのおかげで私だってこうして呪いから救われたのよね。」
「もしかしてマローネ叔母さまも?」
「そうよ!私、どうして忘れてたの?主人公のお母さんの名前はマローネ叔母様だわ!」
主人公たちはラキを連れてはじまりの地へ戻り、調査隊のメンバーに創失の呪いの源が断たれたことを報告した。
調査隊の面々は、主神グランゼニスの死やラキの正体に驚きながらも、呪いが消えたことを大いに喜んでくれた。
創失の呪いの解決を機に、燈火の調査隊は一旦解散することになった。
主人公がアストルティアに戻ると、マローネが出迎えてくれた。
「心配をかけましたね、主人公。」
「創失というものに飲み込まれた後、私は果てなき暗闇の中にいました。」
「天も地もなき闇の中、助けを求め逃げ出す方法を探して彷徨えども音なき闇が広がるばかり。」
「いつしか私は自分がどこから来たのか、どこへ帰ろうとしていたかを忘れていました。」
「心までも闇に飲み込まれたかのように。」
「どれほどの時間が経ったのか、自分が誰だったのかすら忘れかけた私が全てを諦めたその時、突然闇の中に眩い光が差し込み、光へと必死に手を伸ばすうちに私はこの世界へ戻ってこられたのです。」
「溢れる光に包まれた時、主人公、あなたの声が聞こえたような気がしたわ。」
「再びこうして親子3人で笑い合えるのは、あなたのおかげなのね。ありがとう、主人公。」
主人公はパドレに今までの経緯を説明した。
「旧き世界からの客人よ。しばらく時間をくれぬか。」
「世界中に遺されたグランゼニスの伝承を我々が集めてみよう。」
ポルテとラキはしばらくの間、新エテーネ村に身を寄せることになった。
創失の呪いが消え、平穏が訪れたはずだったが・・・
誰も気づかないところで、ひっそりと、少しずつ、創失の呪いが・・
To be continued...