ドラゴンクエストX(DQ10) ネタバレストーリー まとめ

ドラゴンクエストX(DQ10)のメインストーリー、サブストーリーのまとめ

魂がつまびく音色

主人公は偽りのセレドの町にある高台の教会2階にいるリゼロッタに話しかけた。
「こんにちは、主人公さん。」
「この間は妹や両親に会わせてくれて本当にありがとうございました。」
「自分たちが死んでいると分かった後は私もみんなもショックでしばらく落ち込んでいましたけれど。」
「もうだいぶ落ち着きました。」
「これからはその日その日を大事にして慎ましく暮らしていくつもりですわ。」
「でも最近、気がかりなことがあって。」
「実はこの間、小さい子達を連れてセレドット山道の滝の辺りへ遊びに行こうとしたんです。」
「そうしたらその時、道中の洞穴から不思議な音色が聞こえてきて。」
「魔物たちが沢山集まってきたんです。」
「急いで逃げてきましたけれど、あの音色が何かの異変の予兆だとしたらこの町の女王として放っておけませんわ。」
「そこで書庫にあった薬学の本を手掛かりに魔物から身を隠すと言う魔法の薬を作ろうとしたんですが、その材料の一つであるレムール貝だけいくら探しても見つかりませんの。」
「どうか調達してきていただけませんか?」


主人公は北のリンジャハル海岸にある遺跡の北西でレムール貝を取り、リゼロッタに手渡した。
「できましたわ。」
「薬学の本によるとこれはレムオルの粉という古くから伝わる薬だそうです。」
「これを身体にふりかければ魔物から身を隠せますが、万が一のことを考えると一人では心細いですわね。」
「主人公さん、すみませんが不思議な音色の正体を調べに行きたいので一緒に来てくださいな。」
「音色が聞こえた場所はこの町から南に出てセレドット山道をずっと東に進んだ先のベリルの洞穴です。」


主人公とリゼロッタはベリルの洞穴に向かい、レムオルの粉で身を隠して中に入った。
中に入るとトゥーラの演奏を魔物たちに聴かせている少年がいた。
「やあ、こんにちは。」
「君たちも僕の演奏を聴きに来たのかい?」
「僕はセリク。」
「グランゼドーラ王国からやってきたトゥーラ弾きのセリクさ。」
「ずっと一人で退屈だったから愛用のトゥーラを奏でていたんだ。」
「そしたら魔物が集まってしまってね。」
「初めはびっくりしたけど、みんな僕の曲が聴きたいだけみたいだから敵意はないと思うよ。安心して。」
「僕は父さんや母さんと一緒にセレドという町に行くところだったんだ。」
「だけどその道中で気を失ってしまって。」
「目が覚めたら二人ともいなくなっててさ。」
「彷徨い歩いてたどり着いたこの洞穴で誰かが見つけてくれるのを待っていたんだよ。」


リゼロッタが言う。
「そう、あなたのお父さんもお母さんもいつの間にか消えてしまったのね。」
「私の名前はリゼロッタ。もしよかったら私と一緒にセレドの町まで参りませんこと?」
「あなたさえよければその素晴らしいトゥーラの音色を町のみんなに聴かせてあげて欲しいの。」


リゼロッタはセリクを連れてセレドに戻った。
セリクは早速子供たちにトゥーラの演奏を聴かせた。


「ね、素敵でしょう?」
「前に山の中で見かけた魔物の群れはこの演奏を聴きに集まってたのよ。」
「彼はセリクって言うの。」
「ご両親と一緒にセレドの町に来るはずだったんですって。」
「けれど町に来る途中、気を失って目が覚めたらお父さんもお母さんも消えていたそうなの。」
「みんな、セリクを私たちの新しい仲間に加えていいかしら?」
「これからよろしくお願いしますわ。」
「私やみんなを家族だと思っていつでも頼りにしてくださいな。」


セリクが言う。
「ところで気になってたんだけど、この町にいるのは子供たちばかりだね。」
「大人はいないのかい?」
「まあそんなことどうでもいいか。」
「ちょっとトゥーラの練習をしてくるよ。」
セリクは外へ出て行った。


「主人公さんもお気づきかも知れませんが、セリクも私たちと同じなんだと思いますの。」
「きっとセレドの町に来る途中で何か不幸があって、それで・・」
「まだ本人は気づいてないみたいですが、いつか折を見て伝えるつもりですから今はそっとしておいてあげてください。」


数日後、再びリゼロッタと話をした。
「主人公さん、あなたに頼みたいことがありましたの。」
「実は私たち、セリクのために内緒で歓迎パーティーの準備をすることにしたのですが・・」
「セリクが大事にしていたトゥーラが突然壊れてしまったみたいで、彼ったらひどく落ち込んでおりますの。」
「こんな時にパーティーなんてできませんわ。」
「どうかセリクのトゥーラの修理を手伝ってくれませんこと?」


セリクに話を聞く。
「おや、リゼロッタから僕の頼みを聞いてくれって言われたのかい?」
「実はトゥーラをずっと練習していたら弦が切れてしまってさ。」
「弾くことができずに困ってたんだ。」
「いつもなら予備の弦を持っているんだけど、僕のカバンの中にしまったまま父さんに預けっぱなしだったんだよね。」
「君が父さんの持ってるカバンをここに届けてくれるなら修理もできるけど、そんなの無理だろうしね。」
「それにしても父さんと母さんはいったいどこに行ったんだろう。」
「一緒にセレドの町に来るはずだったのに。」


主人公は真のセレドの町に行き、セリクの父親のティードに話を聞いた。
「息子はかつてグランゼドーラ王国でトゥーラの名手として人気を集めていましたが、そんな栄華も今となっては昔の話です。」
セリクは両手両足が石化し、意識を失ったままベッドに横たわっていた。


母親のフラムが言う。
「この子は身体の端から少しずつ石化してしまう難病を患っていて、もうずっとこんな状態なんです。」
「いつかグランゼドーラの音楽祭で優勝するのが夢だと言って頑張っていたのに、なぜよりによってうちのセリクが・・」


ティードが言う。
「このおぞましい病気が治療できたとしても、息子の指が動くようになる保証はありません。」
「長く辛い訓練が必要とのことです。」
「それでも私たちは息子に生きていて欲しい。」
「そんな思いから評判の高いこの施療院を調べ治療に来る途中だったのですが、その道中、ついにリャナ荒涼地帯の山道で意識を失ってしまいそれ以来目を覚まさないのですよ。」
「しかもこの子が大事にしていたカバンも魔物に奪われてしまうし。」
「まったく災難続きですね。」


主人公は魔物からセリクのカバンを取り戻し、偽りのセレドにいるセリクに届けた。
「ああ、それは僕のカバンじゃないか!」
「僕の両親はいったいどこにいたんだい?」
「まあトゥーラさえ直せればそんなことどうだっていいか。」
セリクは壊れたトゥーラを直した。
「ふふ、すっかり元どおりさ。」


セリクの歓迎パーティーが開かれた。
「自分でお菓子を作るなんて初めてだったから美味しくできたか自信ないけれど。」
「みんな手伝ってくれましたの。」
「それからあなたにプレゼントがありますのよ。」
リゼロッタはセリクに木彫りのロザリオを手渡した。
「このロザリオはセレドの町の、子供の国の一員としての絆の証ですわ。」
「ご両親がいなくて辛い時もあると思うけれど、そんな時はロザリオを見て私たちという仲間がいることを思い出して。」
「この絆がある限りあなたはいつだって私たちの大切な仲間よ。」


セリクが喜ぶ。
「ありがとう。こんなに心のこもったもてなしを受けたのは生まれて初めてだ。」
「みんなへの感謝のしるしに一曲プレゼントさせてもらうよ。」
セリクはトゥーラを奏でた。
「ありがとう、みんな。」
「こんな晴々とした気持ちでトゥーラを弾くのは本当に久しぶりだよ。」
「僕はつい最近まで手足の先からだんだん石化してしまうというおぞましい病気にかかっていてね。」
「トゥーラを弾くところか立つこともできなくて、僕にこんな運命を与えた神様を呪いながら日々過ごしていたんだ。」
「でもこっちの世界に来たらそんな病気は跡形もなく消え去っててね。」
「またトゥーラが弾けるようになったんだよ。」
「なあ、僕って本当は死んでるんだろう?」
「やっぱりそうか。」
「グランゼドーラの音楽祭で優勝する夢はもう叶わないんだね。」
「でもそんなことどうでもいいよ。」
「病気で苦しんで指先も動かせない人生よりここで好きなだけ曲が弾ける方がいい。」
「僕の演奏で喜んでくれる人もいるし、これ以上の幸せはないよ。」
「みんな今日は本当にありがとう。」


主人公たちはセリクの歓迎パーティーで楽しいひとときを過ごした。


リゼロッタが言う。
「彼は自分の死に気づいていたんですね。」
「ちょっと驚きましたけど、あまり落ち込んでいない様子で安心しました。」
「ところで向こうのセレドの町でセリクのご両親にお会いしたようですわね。」
「どんなご様子でしたの?」
主人公は真のレンダーシアにあるセレドの町で見てきたことを説明した。
「え?向こうのセレドの町にもセリクがいたですって?」
「施療院で意識を失ったまま?」
「それじゃあセリクはまだ生きているの?」
「ちょっと考えたいことがあるから、私、部屋に戻ってますわね。」
「今日はありがとうございました。」


数日後、主人公はリゼロッタと話をした。
「私ってばすっかりセリクが向こうの世界で命を落としてこちらの世界にやってきた人だと思い込んでましたけど、彼は施療院で意識を失ったまま身体はまだ生きてますのね。」
「主人公さん、私考えたのですけど。」
「まだセリクの身体が生きているならちゃんと彼の魂をあるべき場所に戻してあげるべきだと思いますの。」
「身体がだんだん石化してしまうと言う難しい病気にかかっているそうですが、それさえ治ればきっと助かるはずですわ。」
「無茶なことを言っているのは承知ですが、どうかセリクの病気を治してあげてくれませんこと?」


主人公は薬の原料となる宝石「アルゴンハート」を手に入れ、真のセレドの町にいる施療院の医師ユーグに渡した。
「それはまさかアルゴンハート。」
「赤き巨竜はすでに絶滅してしまったはずなのに・・いったいどうやって・・」
「いや、そんなことどうでもいい。」
「私の患者さんのためにそれが必要なんです。」
「どうかお譲りいただけませんか?」


ユーグは早速薬を作り、セリクに施薬した。
「よし、これでうまくいくはず。」
セリクの石化は治り、身体が元どおりになった。
「やった、やったぞ!」
しかしセリクの意識が戻らない。


主人公は偽りのセレドの町にいるセリクに会いに行った。
セリクの身体が半透明となり光り輝いている。
「まさかリゼロッタと主人公さんが僕を生き返らせようとしてたなんてね。」
「だけど僕は意地でもここに残るつもりだよ。」
「僕の病気が治ったって以前のようにトゥーラを弾けるようになるかはわからないじゃないか。」
「これからずっと辛い訓練を続けてもトゥーラを弾けるようになる日なんてもう永遠に来ないかもしれない。」
「そんなの嫌だ!」
「僕はずっとこの世界で自由にトゥーラを弾いていたいんだ。」
「もうほっといてくれ。」


リゼロッタはセリクの左頬を思いっきり引っ叩いた。
「あなた、私と代わりなさい!」
「私また生き返ることができるならどんなに辛い思いをしても構わない。」
「永遠に大人になれない私たちよりずっと恵まれているのに、甘えてばかりのあなたの気持ちなんて分かりたくもないわ。」
「あなたの演奏、素敵だったもの。」
「向こうの世界でトゥーラを弾けるようになってもっといろんな人に聴かせてあげて。」
「いつかグランゼドーラの音楽祭で優勝するのがあなたの夢なんでしょう?」
「お願いだから私たちの分も夢を叶えてよ。」


セリクが言う。
「僕はとんだ甘ったれだったね。」
「君の言う通り、また向こうの世界でトゥーラが弾けるように頑張ってみるよ。」
「その前に一曲だけ弾きたいな。」
「最後に聴いていってくれるかい?」
セリクはトゥーラを弾きながら元の世界に戻っていった。


リゼロッタが祈りを捧げる。
「さようなら、セリク。」
「もう会えないのは辛いですけれど、こうするのがセリクにとって一番よかったはずですよね。」
「彼の命を救って下さって本当にありがとうございました。」
「向こうの世界のセリクの活躍を見ることができないのは心残りですが、彼ならきっと夢を叶えてくれますわよね。」


主人公は真のセレドで目を覚ましたセリクに会いにいった。
「こんにちは、主人公さん。」
「会いにきてくれると思っていたよ。」
「ここで長い眠りから目覚めた時はあの不思議な世界の出来事は何もかも夢なのかと思っていたけれど、やっぱり本当のことだったんだね。」
セリクの手にはリゼロッタの木彫りのロザリオが握られていた。
「手を動かす訓練で挫けそうになった時、これを見るとリゼロッタの言葉を思い出してまた頑張ろうって気になれるんだ。」
「ありがとう、主人公さん。」
「あなたに命を救ってもらったおかげでまた夢を追うことができるよ。」
「いつかトゥーラが弾けるようになったら僕の演奏を聴きにきて欲しいな。」
「一番いい席を取っておくからさ。」